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政府の国民健康への関与と公衆衛生強化

WHO 中国で毎年300万人以上が早過ぎる死に至る

 WHOが1月19日に発表したリポートによると、300万人以上の中国人は70歳前に心
臓病、肺病、脳卒中、がん、糖尿病等の非感染性疾患(NCDs)で亡くなっている。
 BBCの報道によると、WHOはこの種の死を早過ぎる死と定義している。
 WHOが発表した「2014年世界非感染性疾患現状報告」によると、2012年に計3800
万人が非感染性疾患で亡くなり、そのうち42%、1600万人の死が本来なら避けるこ
とができた早過ぎる死であった。2000年に比べて、早過ぎる死による死亡者数は14
60万人多くなっている。
 WHOによると、非感染性疾患をもたらす早過ぎる死を大幅に減少させるために、
各国政府は、喫煙、有害なアルコール、不健康な飲食、運動不足を減らし、全ての
人に衛生保健サービスを提供するなど関連政策を打つことが可能であるとしている。
 このリポートでは、WHOが推薦する、費用対効果が高く重要な積極的影響をもた
らす「最も割に合う」勧奨策を紹介している。
 例えば、あらゆる方式のたばこ広告の禁止、トランス脂肪酸にかわって不飽和脂
肪酸の使用をふやす、アルコール広告の制限または禁止、心臓病や中風の予防、母
乳による育児の提唱、食事内容や運動の推奨、子宮頸がんの検査である。
 WHOがリポートを発表した同日、中国政府は、全国医療衛生サービス体系規画綱
要を通じて、特に農村医療健康サービスの具体策を提案している。その目標は「農
村住民が迅速に、安価に、安全な基本医療サービスを獲得する」ことである。
 これらの措置には、1000人当たり少なくとも1人を標準として全国に医師を配置
することや、公設民営、政府補助等で、村の衛生室建設や施設購入を支援すること
も含まれている。
 そのほか、行政レベル別に各種公立病院を設置する。県レベルでは原則、総合病
院1、漢方病院1を配置し、地・市レベル及び省レベルでは人口規模に見合った総合
病院を配置する。
 WHO中国代表の施賀徳博士は、衛生医療システムの投資において、特に人々の居
住地に近い行政レベルの保健サービスの投資は、非感染性疾患の死に対処する重要
な方法だとしている。〔参考消息2015年1月21日〕

中国の薬価は普遍的に割高 「制度コスト」はお幾ら?

〈「制度コスト」が高い中国薬価〉
 先日、ある南京の夫婦がインド製抗がん剤の代理購入をめぐって訴えられたこと
で、抗がん剤の内外価格差が大きいということが社会的な関心事項となった。
 実際、中国の薬価が割高な現象は輸入特許薬においてのみ存在するわけではない。
特許薬価が高いのはその特許費用によるものだが、薬価が不当に高いのは、薬価に
は数々の「制度コスト」が加わっているからである。中国薬品市場がいかに制度に
起因するアンバランスに陥っているかは、大量のデータでもあらわれている。
〈財政補助が少ない病院は「薬によって経営を支える」〉
 公衆衛生費用の対GDP比は、国の衛生事業に対する資金投入量、政府と社会の衛
生及び国民の健康に対する重視程度をあらわす。WHOの統計によると、2012年、中
国の公共の医療衛生支出の対GDP比はわずか3.03%で、オランダ、フランスの約3分
の1であった。欧米諸国の多くは公共衛生費用の対GDP比は7%以上である。
 三十数年来、中国政府は病院への補助を減らし続けてきており、現行制度は、実
際上は公共病院が大量に高額の薬品を出すことで収入を得ることを奨励している、
つまり、薬によって経営を支えているのである。
〈高額薬品の増値税は薬価を押し上げる〉
 高額な薬品の増値税も、中国の薬価をかなりの程度において押し上げている。OECD
とEFPIA(欧州製薬団体連合会)のデータによると、大多数の国では薬品の増値税
率は非常に低い。国家標準の増値税率が割高な幾つかの国はあるが、薬品に対して
は率を下げている。
 米国、オーストリア、キプロス等は薬品の増値税を徴収しない。イギリス、スウ
ェーデン、オーストラリア等では、処方薬の増値税率は0%である。オランダ、フラ
ンス、ベルギー等は、薬品の増値税率は標準増値税率の3分の1である。しかし、中
国の薬品の増値税率は17%にもなり、EU平均(8.8%)の2倍である。
〈流通秩序の混乱 販売店と病院での多重の上乗せ〉
 体制、医療衛生制度の要素のほか、薬品流通秩序の混乱、販売店や病院での多重
上乗せ、暗黙のリベートがさらに薬価を押し上げている。
 製薬大手の物流及びビジネス費用は薬価の7―8%を占め、そのうち、物流費は約2%、
関連する仲介販売店は3店前後、各仲介販売店で5―7%が上乗せされ、最後の一級販
売店から病院への過程で通常は7―8%上乗せされる。
 このほか、規定に基づいて、中国の病院では実際の購入価格からさらに10―15%
上乗せすることができる。例えば、北京大学人民病院では、乳がんの治療のための
ハーセプチンの中間価格は2万1613元で、小売価格は2万4854.9元だが、15%を上乗
せしているので、1箱売るたびに病院には3242元の利益が入る。
 近年来、国家発展改革委員会は薬品に対して三十数回の値下げを実施したが 薬
価が不当に高い問題は依然として解決を見ていない。実際には、薬品の複雑な流通
構造により、政府が薬品定価権を放棄し市場調整に委ねたとしても、薬価を下げる
ことは難しい。
 この問題を解決するには、政府が医療衛生の財政支出をふやし、さらに法律制度
を頼り、規範、健全な薬品市場秩序をつくるとともに、医薬衛生業界が徐々に必要
以上の利益をむさぼらず、公益へと回帰することである。
〈「制度コスト」高どまりする中国薬価〉
 公共医療衛生支出の対GDP比 非処方薬の増値税率 処方薬の増値税率 標準増値税率
オランダ   9.93  6     6     19
フランス   9.04  2.1―5.5 2.1―5.5 19.6
オーストリア 8.66  20    20    20
ドイツ    8.61  19    19    19
日本     8.3   5     5     5
アメリカ   8.31  0     0     0
ベルギー   8.2   6     6     21
スウェーデン 7.85  25    0     25
イギリス   7.78  17.5   0     17.5
ノルウェー  7.67  25    25    25
カナダ    7.66  0.0―7.0 0.0―7.0 7
イタリア   7.17  10    10    20
スペイン   7.08  4     4     16
スイス    6.97  2.4    2.4    7.6
フィンランド 6.9   8     8     22
チェコ    6.5   9     9     19
スロベニア  6.42  8.5    8.5    20
ギリシャ   6.26  9     9     19
オーストラリア 6.11 10    0     10
マルタ    5.96  0     0     18
ポルトガル  5.92  5     5     21
ルクセンブルク 5.79 3     3     15
スロバキア  5.5   10    10    19
ハンガリー  4.98  5     5     20
エストニア  4.75  5     5     18
リトアニア  4.71  5     5     18
ポーランド  4.71  7     7     22
ブラジル   4.32  18    18    18
ルーマニア  3.97  9     9     19
ラトビア   3.4   5     5     18
メキシコ   3.19  0     0     15
キプロス   3.16  0     0     15
中国     3.03  17    17    13―17
タイ     3    7     7     7
〔網易2014年11月23日〕

中国のがんの5年生存率はわずか3割 肺がんの発症が最も多く、最も致命的

 先日、中国最大規模のがんの生存データの集計分析が発表された。中国のがんの
5年生存率は30.9%で先進国の水準よりはるかに低く、同時に農村患者の生存率は都
市患者の約半分であった。
 中国のがんの発症率は決して高くはないが、がん患者の生存率はとても低い。
 国家がん登記センターとがん予防オフィスが全国17カ所のがん登記所、13.9万件
の症例を分析した統計によると、中国のがん患者の5年生存率は30.9%で、アメリカ
(66%)のわずか半分であった。
 以前、イギリス医学雑誌「ランセット」に掲載された文章によると、世界のがん
の5年生存率が最も高い国はカナダで、カナダのがん患者100人中、82人が治療後5
年以上生存し、手術して5年後のがんの再発率も大きく低下している。
 カナダ以外にも、日本、オーストラリアや西ヨーロッパの多くの国のがん患者の
生存率もとても高く、通常70%以上である。中国、インド、アルジェリアなどの国
はがん生存率が比較的低く、5年生存率が40%に達しない国である。
 がん患者の生存率と社会の医療水準及び科学研究の水準は密接に関連しており、
この分野で中国は明らかに先進国におくれている。
 アメリカの前立腺がん患者の99%は、治療後、5年以上生存することができ、乳腺
がん、子宮がん患者の5年生存率は平均で85%に達している。中国のこの3種類のが
ん患者の5年生存率はそれぞれ53.8%、73.1%、及び55.1%である。
 中国とアメリカは、白血病の治療において最大の違いをあらわしており、アメリ
カの白血病患者の5年生存率は73%だが、中国はわずか19.6%である。
 先進国との格差以外にも、中国内部の農村と都市のがん患者の生存率にも同様に
格差が存在する。
 統計によると、農村のがん患者の5年生存率は21.8%で、都市の患者のわずか半分
(39.5%)である。食道がんを除く主ながんに対して、都市部の5年生存率は全て農
村より高い。
 生存率のほか、がんの種類の構成にも地域による違いが存在している。
 北米など先進国では、前立腺がん、乳腺がんが多数を占め、中国では、肺がん、
胃がん、肝臓がんなどがよく見られる。目下、中国の発症率と死亡率が最も高いが
んは肺がんで、これは中国のますます深刻な大気汚染と大きく関係がある。
 喫煙は肺がんを引き起こす主要因であるが、PM2.5が肺がん発症率の持続的な数
値の上昇に対して重要なかなめの役割を果たしている。カナダのオタワ大学が行っ
たオタワ地区の18万人の非喫煙者に対する研究によると、PM 2.5と肺がんの間に明
らかな相関性が存在し、PM2.5の濃度が、1立方メートル当たり10マイクログラム増
加するたびに、肺がん死亡率は15%から17%増加する。
〈がんの5年生存率〉
カナダ   82.5%    スペイン  62.8%
日本    81.6%    スロベニア 57.9%
オーストラリア 80.7%  ブラジル  53.9%
ドイツ   78.4%    韓国    53.4%
フランス  76.6%    アルジェリア  39.3%
イギリス  73.1%    中国    30.9%
アメリカ  66.0%    インド   28.6%
イタリア  63.4%
〔網易2014年11月5日〕
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