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中国超高齢社会到来に向けての準備

2035年の中国の超高齢社会 年金が年間4兆元不足に

〈2035年、超高齢社会到来〉
 日本の皇居周辺にある3000平方メートルの温泉つき別荘の価格は400万元、高齢
者用おむつの消費量は既に赤ちゃん用をはるかに上回っている――これは、日本に
おいて高齢化が進んだことでもたらされた社会現象である。しかし、これらの問題
は中国でもあらわれるだろう。
 3月21日、華夏新供給経済学研究院超高齢社会プロジェクトチーム座長で、中国
人民銀行金融研究所所長でもある姚余棟氏は、中国は2035年に超高齢社会に突入す
ると語った。
 いわゆる超高齢社会とは、80歳以上の高齢者人口の割合が全体の5%以上を占める
ことである。超高齢社会が到来すると、経済の潜在成長速度が断続的に下がり、資
産価格が不安定になり、年金及び医療保険原資の不足の増大等一連の特徴があらわ
れる。
〈超高齢化の加速〉
 30年に及ぶ中国の創造的な経済成長は去り、現在は驚くべきほど高齢化が進んで
きているが、速過ぎる高齢化速度は中国経済成長に対する最大の挑戦になりつつある。
 民政部の関連データによると、今現在、中国の60歳以上の高齢者数は既に2億人
を突破し、総人口の14.9%を占めている。同時に、今後20年で毎年平均1000万人の
高齢者が増加し、2050年までに高齢者人口は全人口の3分の1を占める。
 これはどういうことなのだろうか?つまり、中国の高齢者人口が先進国の高齢者
人口の総和を上回るということである。
 国連の伝統的な高齢化社会の基準は、ある地域で60歳以上の高齢者が総人口の10%
に達することであったが、新しい基準では、65歳以上の人口が総人口の7%を上回る
とされ、14%を上回ると「高齢社会」と呼ばれ、21%を上回ると「超高齢化社会」と
呼ばれる。
 どの基準から見ても中国の高齢化の速度は加速しており、また、80歳以上の高齢
者も毎年100万人の速度で増加している。
 中国の高齢化加速ははっきりしているが、しばらくは最も高齢化した国家ではな
い。日本の高齢化がアジアでは最も高く、典型的な課題に直面している。
 日本政府が発表した2011年「高齢社会白書」では、2010年10月1日現在、日本で65
歳以上の高齢者人口は2958万人に達し、総人口の23.1%を占め、日本は超高齢化社
会に入っている。
 さらに心配されることは、日本の社会保障・人口問題研究所の予測では、日本の
高齢化問題はさらに深刻になってきている一方で、2014年、日本の人口が史上最高
の26.8万人減少となり、その中で出生人口が明らかに減少したことだ。
 これは簡単な人口問題に見えるが、日本の労働力人口は30年来減少し続け、目下
30年来の最低水準に達しており、その減少の傾向は依然として加速している。
 「日本は中国より20年年をとっている、もし我々が現下の戦略を変えなければ、
日本の今日は我々の20年後の状況である。つまり、高齢化の加速に伴って、中国経
済成長も下降し続ける」
 姚余棟氏は、超高齢社会においては、資産価格、特に一、二線都市の不動産価格
は大幅に不安定になると見ている。
 また、これらの問題に対処するため、第十三次五カ年計画人口発展規画において、
中国は「安定した低出生率」の記述をやめるべきで、同時に、既存の職能部門を多
産奨励へと漸次的に転換し、財政補助を拡大し、出産を奨励すべきであるとしている。
 つまり、早目に人口高齢化圧力を相殺し、現在の人口高齢化がもたらすマイナス
の影響を相殺すべきである。
 全国老齢工作委員会弁公室の朱勇副主任も以前、中国全体の出生率急減は中国の
高齢社会を前倒しさせることになる、中国の今後の人口の基盤は高齢化する人口で
あり、高齢化が深刻に進めば、人口ボーナスは徐々になくなっていくとしていた。
〈社会保障の資金がもたず〉
 超高齢化の勢いは既に抗しがたく、年金不足や医療保険基金の不足も超高齢社会
において不可避の問題となっている。
 「高齢化の加速で、老後の負担ますます重くなり、年金の不足と医療保険基金の
不足ははっきりしている」
 3月26日、清華大学公共管理学院教授、就職・社会保障研究センターの楊燕綏主
任は取材に対し、目下、さまざまな年金で「不足」の基準が一致しないのは、着眼
点が異なっているからであると強調する。
 大まかに計算すると、業界内での年金不足に対する統計には3つの基準がある。
第1に、当期の累積した帳簿残高、すなわち歴年の養老金収入と支出の相殺後の数
字。この中の養老基金収入には徴収収入と財政補助が含まれている。第2に、当期
帳簿残高とそれに相当する累積残高との乖離。第3に、予想される養老基金収入と
年金保証との間の乖離。さまざまな基準の統計によって養老金の不足額は異なる。
 「仮に、年金の収入及び1人当たり消費支出の成長率が実質GDPの伸び率と同一で、
養老保険金で15%の1人当たり消費支出をカバーできるものだとして試算すると、中
国で2030年、2050年に新規増加する資金不足は4.1兆元、6.1兆元に達する。つまり、
2030年以後、中国では毎年養老ということだけで4兆元を超える資金不足が生じる
ということである」
 3月26日、先述の超高齢化プロジェクトチームに参加している中国人民銀行貨幣
政策司の尹航氏は取材に対し、試算したこれらの不足は養老金の当年の不足額であ
るとしている。
 「中国2049戦略」は、華夏新供給経済学研究院が2014年2月に開始した重大プロ
ジェクトであり、2014年から2049年までの35年間の戦略プランに焦点を合わせてい
るが、超高齢化はその中の一つの重要な課題である。
 尹航氏から見ると、養老問題の財政的圧力を解決する比較的実行可能な方法は高
齢者労働市場の発展で、労働参加率を向上させることで養老基金収入を増加させ、
養老基金不足を補填することである。当プロジェクトチームの大まかな統計では、
高齢者の就業により、30%の資金不足問題を解決できる。
 日本の極めて高い退職者福利厚生が、日本政府に世界で最も重い公共債務負担を
背負わせている。日本の内閣がかつて出した試算によると、日本の福利厚生コスト
は2025年までに36%増加し、148.9兆円に達し、GDPの24%に相当する。
 財政の破綻を防止するため、日本政府が選択できる緩和措置は多くなく、そのう
ち最も重要なことは、高齢者が年金を受け取る時間を延期することである。
 「学術界が年金不足に言及することは多いが、医療保険資金の不足に対しては少
ない。しかし、中国が超高齢化社会に入れば、医療コストは急速に上昇するし、医
療技術が寿命を延ばし、医療保険資金不足は長期的に存在するはずである」
 姚余棟氏は、これらの問題を解決するため、定年延長や高齢者就業は普遍的な現
象になると強調する。
〔華夏時報2015年3月28日〕

女性幹部60歳定年退職 中国定年延長スタート

 女性指導者幹部及び女性専門技術人員の役割を十分発揮させるため、先日、中共
中央組織部、人力資源・社会保障部が共同で発した通知で、県処級の女性幹部(正
副処級を含む)と高級職女性専門技術人員は満60歳で定年退職とすることを明確に
した。
 このことについて、本紙で、あなたはどのように見るかというミニ調査を行った
ところ、2時間にも満たない時間の中、245人が参加した。新政策を支持するが58.8%、
賛成しないが27.5%で、関心がないが13.7%だった。
 このほか、半数の回答者は、体や家庭条件が許せば、60歳を過ぎても仕事を続け
られるとコメントした。
 また、理想の定年退職年齢については、56―60歳が45%、51―55歳が27.5%、61―
65歳が11.8%だった。
〈処級女性幹部の定年退職を60歳に延長〉
 関連部門が今回、中共中央組織部及び人力資源・社会保障部による「機関事業単
位県処級女性幹部及び高級職女性専門技術人員退職年齢問題に関する通知」を発表
した。
 目下、北京市の幾つかの区県及び部門では、既に関連部門が発出したこの通知を
受け取っている。
 通知によると、女性幹部及び女性専門技術人員の役割を十分発揮させるため、党
政機関、人民団体における正副処級及び相応の職位の女性幹部、事業単位における
党務、行政管理業務を担う正副処級の女性幹部及び高級職(正副高級を含む)女性
専門技術人員について、満60歳で定年退職とする。
 同時に、上記女性幹部及び高級職女性専門技術人員本人から申請があった場合は、
満55歳で依願退職できる。
 満60歳の高級職女性専門技術人員のうちの少数だが、業務上定年退職年齢延長す
る必要があれば、国務院高級専門家離退職の若干の問題に関する暫行規定、人事部
高級専門退(離)職に関連する問題に関する通知の関連規定に基づいて、既に定年
退職延長が執行されている。
 なお、既に定年退職手続を受理した県処級女性幹部及び高級職女性専門技術人員
には本通知は適用せず、遡及しない。
〈退職年齢は絶対ではない〉
 注意すべき点として、過去に、中国では県処級女性幹部及び女性高級専門家と男
性との同齢退職に対する政策規定があったが、全国での執行状況は統一されていな
い。今回の通知は明確な要求で、既存の政策の実行を確保できる。
 同時に、政策で提案している退職年齢は絶対的ではなく、柔軟性を残している。
 一方では、関係者は依願退職を申請できる、つまり、上記の女性幹部及び高級職
名を有する女性専門技術人員本人が申請すれば、満55歳で依願退職できる。
 このほか、満60歳の高級職女性技術人員のうち、業務上定年延長が必要であれば、
国家の関連規定に基づいて執行される。
 今回の通知は、県処級女性幹部及び高級職女性技術人員の退職年齢政策で、社会
に対する注目が高く、政策性も強く、幹部人材の直接的な利益に関連するものであ
り、各地各部門は指導を強化し、業務においてあらわれる問題を真剣に研究、解決
し、思想教育をしっかりと行い、政策の実施を確保することを求めている。
 人力資源・社会保障部の尹蔚民部長は3月10日、人口高齢化等の問題により、中
国の年金の今後の収支バランスに向けられた圧力は巨大で、定年退職の延長を漸進
的に制定、推進するとしていた。
 それによると、今年、定年退職延長方案の制定ができれば、来年、中央の同意を
経て、社会に意見を求め、それをもとに修正し、再来年には正式に施行できるという。
 尹蔚民部長は、党の18次三中全会で「漸進式」定年退職延長政策実施を提案し、
人力資源・社会保障部が中国の高齢化の傾向と労働力の状況に照らし、調整すべき
小節やリズムを把握し、一歩一歩ゆっくり進めて、漸進的に到達させるとしている。
 「つまり、毎年数カ月の定年退職年齢の延長をさせただけでも、相当な長時間を
経れば、規定の法定退職年齢に到達するということである。まず社会に予告するが、
方案の実施時期は少なくとも5年以後である」(尹蔚民部長)
〈現下の実情に合致させる〉
 28日午前、中国労働学会の蘇海南副会長は取材に対し、定年退職年齢延長は平均
寿命の延長と高齢化を背景にした必然の趨勢であるとした。
 中国の高齢化の展望は深刻で、2013年現在、中国の60歳以上の高齢者人口が総人
口に占める割合は15%で、総数は2億人を超え、65歳以上が総人口に占める割合は既
に10%に到達している。2020年までで、60歳以上が総人口に占める割合は19%で、65
歳以上が総人口に占める割合は13%に近い。
 蘇海南副会長は、目下、中国は定年退職延長について対処策を深く研究し、政策
を打ち出すプロセスの中にあるという。
 このプロセスの中において、数年前、中華全国婦女連合会等部門は、女性知識人
層を含む女性の幹部は男性よりも5年早く退職するということについて意見を出し、
過去の政策では、実際上県処級では60歳定年退職でも可能ということは明確にもさ
れていた。
 今回の政策が正式に開始され、本人が反対せず、社会の意見も大きくなければ、
60歳定年退職政策をもう一度打ち出し、さらに柔軟的な措置を用意することで、新
しい政策は現下の実情に合致する。
 このほか、個人の年金にもそれほど大きな影響もない。
 「企業は数年定年退職費用を払うぐらいで、社会保険基金の収入が幾らか多くな
る。その個人が55歳以降も在職していると、在職の人件費は減らず、退職後の年金
もそれほど大きな変化もない。両者ともそれほど大きな損失にはならない」(蘇海
南副会長)
 退職年齢延長は就業にはそれほど大きな影響はなく、あるとすれば再雇用だが、
この層に関してはそれほど多くはない。考える必要があるのは国有企業の内部のこ
とで、55歳定年退職であると、52、53歳で第一線を退いて指導的ポストをおりるの
だが、これは考える必要がある。
 女性幹部、女性知識人層の定年退職延長は中国の社会の進歩、男女性別平等へと
進める一つの重要な指標である。
 男性の定年退職年齢を65歳まで延長するかどうかについては、蘇海南副会長は、
それは定年退職延長政策全体として回答すべき問題であり、国際的な慣例では男女
は同年齢で定年退職しており、男性が65歳で、女性が60歳というのはあり得ないと
している。
〔法制晩報2015年3月28日〕
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