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世代間、地域間人口バランス調整

第二子出産政策全面実施で毎年600万人の人口増

 「第一財経日報」が7月21日に報道した第二子出産政策の年内全面実施開始可能
性は、社会の高い関心を呼んだ。
 出産政策の変化が出生数にどれだけ多大な影響を与えるのか、このことは関連方
面が第二子出産政策全面実施の調査研究の意思決定時において慎重に考慮する核心
的なポイントである。
 研究方法は異なり、採用するデータモデルはさまざまであっても、多くの人口学
者の研究や予測では、第二子出産政策全面実施による毎年新規増加人口は最高で600
万人前後であり、これまでの関連方面による、年間新規増加人口がピークで2、3000
万に達するとする予測をはるかに下回るものである。
〈人口増は予想を下回る〉
 衛生計画・生育委員会計画生育基層指導司の楊文荘司長は7月の定例記者会見の
席上、第二子出産政策全面実施について、出産政策の調整は大局的、長期的、人々
の切実な利益にかかわるもので、利害を考慮し、慎重な意思決定が必要だとした。
 政策の調査研究期間で関連部門が最も注目する問題は、第二子出産政策全面実施
が一体どれだけ多くの人口増をもたらすのかである。出産政策の調整をちゅうちょ
する要因は、人口増に対するコンセンサスがないからである。
 一体、第二子出産政策全面実施がどれだけの人口増をもたらすのか?
 北京大学人口所の学者の喬暁春氏は、第二子出産政策全面実施は、これまで関連
部門が懸念していた、毎年数千万という人口増をもたらすことはあり得ないと見て
いる。
 毎年増加する出生数は最高で600万―700万と推計され、目下1600万前後の年間出
生数を加えると、年間出生数のピークは2200万左右で、ピーク時の合計特殊出生率
は2.2―2.3にすぎない。
 さらに、注目すべきこととしては、もしこのような水準の合計特殊出生率が1、2
年続くと予想されたとしても、すぐに減少するはずで、目下の1.5前後の水準まで
下がる。
 2014年、中国人民大学社会・人口学院の?振武院長が発した文書で、第二子出産
政策全面実施で毎年の出生数が最高で3000万人以上増加すると予想したことは、業
界内を驚かせ、意思決定部門に政策調整を尻込みさせた。
 喬暁春氏は、第二子出産政策全面実施が多大な人口増をもたらすとするには、2
つのデータが鍵になると分析する。
 一つは対象者数、つまり、第二子出産政策全面実施によって、もともと第二子政
策条件に合致していなかった人がどれだけ第二子を産むか。もう一つは出産意欲、
これら全面的に第二子出産政策に合致する人で、どれだけの人が第二子を産みたい
と考えるのかどうか。
 これまでの学者がどうして数千万の年間人口増と算出したかというと、夫婦とも
に一人っ子、夫婦の片方が一人っ子等既に第二子出産条件に合致している人たちを
除外しなかったことで、確定的な対象者数が1.5億人を超え、実際の9600万人強を
はるかに上回っていた。また、採用した出産意欲指標が70%に達し、実際の出産意
欲をはるかに上回っていたということである。
 楊文荘司長は前述の記者会見の席上、2014年、国家統計局の人口変動抽出調査に
よると、夫婦の片方が一人っ子の第二子出産政策対象者の43%が第二子を出産する
予定があることを明らかにした。
 今年初め、国家衛生・計画生育委員会が展開した特定調査によると、対象者数の
39.6%は第二子を産むつもりがある。この数字は2013年調査より減少している。
 人口予測専門家で社会科学人口・労働経済研究所の王広州研究員は、数年来ずっ
と出産政策調整が人口増加に与える影響に注目していた。
 王広州研究員が今年発表した「生育政策調整研究で存在する問題と再考」と題す
る文章によると、仮に2015年全国で統一的に第二子出産政策を実施すると、2016年
新規増加出生数は565.8万人で、2017年に583.2万人のピークに達し、それ以後は年
々人口は減少する。
 また、仮に第二子出産政策全面実施が全国範囲で何回に分けて実施されるとすれ
ば、毎年の新規増加出生人口数は上記の予測を下回るはずだとしている。
 人口学者で生物統計学博士の黄文政博士は、第二子出産政策全面実施後、毎年新
規増加人口はピークでも500万を超えることはあり得ないと見ている。
 夫婦の片方が一人っ子の第二子出産実施の全国的な実践から見ると、第二子出産
政策全面実施後の新規増加人口は予想を大幅に下回る可能性がある。
 衛生計画・生育委員会の統計によると、5月末現在、全国で申請された夫婦の片
方が一人っ子の第二子出産総数は145万で、対象者数の13%にすぎず、衛生計画・生
育委員会が発表した出産意欲水準をはるかに下回った。
 出産意欲や出産行為の間に明らかなギャップが存在する。
 中国人民大学人口学者の顧宝昌氏は、目下の合計特殊出生率水準と出産意欲から
見ると、第二子出産政策全面実施後、合計特殊出生率は2にも達しないかもしれず、
依然として2.1という人口の世代交代水準を下回ると見ている。
 「大国の空き巣」の著者で米ウイスコンシン大学人口学者の易富賢氏は、対象者
群における大量の出産適齢女性は既に40歳を超えているところを見ると、強烈な出
産願望があったとしても、再び出産できるわけではないと見ている。
 易富賢氏によると、それぞれの年齢層の女性に出産障害現象があらわれており、
妊娠できないか、妊娠したとしてもうまくいかないという。そのうち、15―29歳の
女性の出産障害率は11.0%、30―34歳は14.2%、35―39歳は39.3%、40―44歳は47.1%
である。
〈出産のリバウンドは正常〉
 夫婦の片方が一人っ子の第二子出産政策実施前後、関連部門の官僚や一部の学者
が話していたことは、回避可能な出生の突然増や出産のリバウンドに注意すべきと
いうことだった。
 喬暁春氏は、過去1年強の実践を見ると、このような心配は余計だと見ている。
 「我々が心配すべきことは政策実施後の出産のリバウンドがとても小さいことで
ある。我々はかえって出産のリバウンドが大きくなることを望んでいたが、もしリ
バウンドが小さく、すぐ下がり始めてしまうのであれば、政策調整がおそかったと
いうことだ」(喬暁春氏)
 2014年12月に開催された第3回生育政策討論会の席上、多くの人口学者は第二子
出産政策全面実施後の出生の突然増をめぐって激しい論争を展開した。
 圧倒的多数の学者は、科学的視点で出生の突然増を見るべきとした。第二子出産
政策全面実施はこれまで心配されていた巨大な出生の突然増を引き起こすことはあ
り得ず、毎年新規増加出生者数は予想を大幅に下回るとしている。
 復旦大学社会発展・公共政策学院の彭希哲院長は、出産政策調整の本来的な意図
は、出生数を多くしたいということで、出生の突然増は正常なことであると見てい
る。出産政策の調整がおくれれば、政策的コストは高くなる。
 南京大学の人口学者の陳友華氏は、出産政策調整においてあらわれる出生の突然
増とは、大海における引き潮の揺り戻しのようなものであると見ている。揺り戻し
は引き潮という状況を変えることはできないが、ないよりはよく、引き潮の速度を
遅くすることができるというものである。
 北京大学社会学部人口学者の郭志剛氏は、以前はずっと出産政策を緩めれば出産
率は上昇するという人口政策ばね理論を考えていた。しかし、実際には、中国の目
下の低出産率は政策の抑制だけでなく、多くのその他の社会経済ないしは人口要因
の重大な影響を受けている。
 北京大学社会学部人口学者の李建新氏は、出生の突然増に関するさまざまな心配
は、実は人口のふえ方に対する誤解だという。数字を細かく心配し、人々の権利や
ニーズ、人口構造や展望の変化を軽視したことが、人口の自然な増加を変容させ、
そのことが人口の年齢や性別構造のアンバランスを招き、最終的に社会、経済全体
の発展に影響を与えている。
 「現在、多くの人が、第二子出産政策全面実施で、めでたしめでたし、中国の人
口問題は解決したと考えているが、実はそうではない。もし、人口のバランスのと
れた発展ができなければ、出生の突然増が終われば出産率は減少し続けるはずで、
中国の人口はさらに大きな挑戦に直面するはずである」(黄文政氏)
〔第一財経日報2015年7月24日〕

人口流出地域の小売市場が徐々に低迷

 中国経済の減速、IT、特にモバイルインターネットの発展、とりわけ中国の人口
と消費行為は劇的に変化しつつあり、これらのことは小売業の転換の鍵となっている。
 つい先日、江蘇省崑山で開催された第10回中国小売商大会の席上、首都経済貿易
大学マーケティング学部の陳立平主任は、中国経済の新常態に伴い、中国の消費も
新常態に入り、人口の構造変化が小売業に与える影響は大きいとした。
 それによると、中国の高齢化が消費に与える影響は大きくなっている。
 現在、中国の人口は急速に高齢化している。2014年、中国の60歳以上の人口は2.12
億に達し、総人口の15.5%を占めた。
 2015年以後、中国は史上空前の高齢化社会に突入する可能性がある。
 最も深刻なことは、今後の中国の少子化問題である。1982年、中国の0―14歳の
子供は3.4億人だったが、2012年には2.2億人にまで急減した。つまり、この30年間
で1億減ったことになる。陳立平主任は、空前の少子化、高齢化は、小売市場には
かり知れない影響を与えるはずだと見ている。
 さらに、今後10年で、中国の消費に影響する別の要素として、次世代消費者層の
飛躍を挙げられる。
 次世代消費者層とは95後、00後を主体とする層で、この層の飛躍は、小売業の生
存や持続的発展と直接関係する。
 陳立平主任は、次世代消費者は主に以下の幾つかの特徴があると分析する。
 まず、健康へのさらなる関心。現在、小学生にはスポーツ、ダイエットというよ
うな観念が非常にはやっている。若年層のサービス、消費体験に対するニーズが急
激に上昇する。
 次に、低価格消費志向の明確化。アリババの統計によると、現在、インターネッ
トショッピングは主に2つの消費者層に集中している。50歳以上の中高年層と青少
年層であり、低価格志向が非常に突出している。
 もう一つは、萌え文化と女性主導の消費時代の到来である。
 高齢化、少子化時代において、個人消費を主導するコンビニ業態が比較的大きく
発展する、2人、3人家族を主要な消費ターゲットとするショッピングセンターが発
展する、小売店、小型スーパーは今後急成長する、今後安価スーパー、ディスカウ
ントスーパーは非常に大きく発展する。
 しかし、恐らく長期的には百貨店、大型スーパーの衰退する。
 女性主導の消費時代が到来し、小売業に大きな影響をもたらすことになる。
 中国の女性が中国歴史史上これまでに現在のような消費に対する主導権を有した
ことはない。良好な教育を受け、一人っ子家庭を継ぐことが経済的な独立を後押し
していることもあって、現在強力な女性主導の消費時代に入っている。
 この時代において商品開発はさらに女性的なものにシフトし、今後小売業発展の
一つの潮流になるかもしれない。
 特に、今後10―20年、中国の人口が持続的に流出する幾つかの地域の小売市場は
衰退の段階に入る。それら地域市場の若年世代が北京、上海、広州といった一線都
市へと集中することにより、幾つかの三線、四線都市の小売市場は徐々に低迷する。
〔国際商報2015年7月23日〕

北京、上海の戸籍人口の高齢化進む 四川、重慶の高齢者扶養比率高まる

 高齢化の苦悩の未来は、中国のさまざまな地方を悩ませている。
 先日、北京国家衛生・計画生育委員会が発表した2014年「北京市の衛生と大衆の
健康状況に関する報告」によると、2014年の北京市の60歳以上の高齢戸籍人口は301.0
万人で、戸籍人口の22.6%を占め、前年より1.4%増加した。
 そして、10―20年後、北京の人口ピラミッド上最も人数が多い45―60歳グループ
が高齢ラインに達し、北京市の戸籍住民の人口負担は段階的に重くなる。
 同様の特大都市として、上海にも同様の問題が存在する。上海のデータによると、
2014年末、上海市の戸籍人口中、60歳以上の高齢人口は総人口の28.8%を占め、そ
れはつまり3人中1人は60歳以上の高齢者ということだ。
 しかし、もし常住人口に従って計算すれば、北京、上海の高齢化はそう深刻では
ない。
 北京を例とすると、2014年の60歳以上の常住人口は321.6万人で14.9%を占め、全
国平均水準の15.5%より低くなる。2013年の65歳以上の人口比率は8.58%で、全国で
も後ろの方に近い。一方、この比率が最も高い重慶は13.25%に達している。
 中国共産党北京市委員会党校北京人口研究所の尹志剛副所長は、四川、重慶の外
来人口が比較的少ないのは、常住人口のうち中高年の占める比率が比較的高いため
であると指摘している。
 一方、四川、重慶が直面しているのは高齢者扶養比率が全国トップ、つまり高齢
者問題の深刻化である。
〈北京、上海住民の寿命 全国トップ〉
 2009年末、北京全市の60歳以上の戸籍高齢人口は226.6万で、戸籍人口の18.2%を
占めた。65歳以上の人口は168.8万で、戸籍人口の13.6%を占めた。そして、2014年
には、60歳以上の高齢人口の比率は2割を超えた。
 2014年末、上海市の戸籍人口は1438.69万人となり、60歳以上の高齢人口413.98
万人は総人口の28.8%を占め、前年と比較して1.7%高かった。
 中国社会科学研究労働・社会保障センターの陳秋霖副主任は、高齢化の度合いが
進むことは、発展した大都市が直面するよくある問題だと考えている。
 経済的発展に従い、北京、上海の出生率が下がり、若者の結婚の意欲も低くなる
とともに、寿命は長くなり、高齢化の度合いが自然に高くなる。
 北京、上海の戸籍住民の平均寿命は全国トップを維持し続けている。
 北京国家衛生・計画生育委員会の報告によると、首都機能の中心地である北京市
東城区、西城区は平均寿命が平均84歳を超えたが、上海の徐匯区と黄浦区も基本的
に同じ水準を維持し、香港(2013年)と日本の東京(2013年)の水準に近づいている。
 ただ、もし外来人口を計上すれば、北京の2014年の60歳以上の常住人口の比率は
14.9%となり、戸籍人口のみの比率よりもかなり低くなる。
 しかし、尹志剛副所長は、依然として戸籍人口の高齢化の度合いが高いという問
題に注意する必要があると考えている。流動人口の年齢も高まっており、この流動
人口が将来、都市にいるのか、農村に帰るのかはわからない。
 21世紀経済報道のインタビューを受けた学者の多くは、出産政策に対してさらに
調整を行うことで一定程度圧力を緩和できるだろうと考えている。
〈人口流出で四川、重慶の高齢者扶養比率高まる〉
 仮に外来人口が北京、上海の高齢化を緩和させているのであれば、四川、重慶は
人口流出により深刻な高齢化問題に直面しているということである。
 国家統計局が発表したデータによると、高齢化の程度と経済発展水準とは一定の
相関関係にある。
 2013年の65歳以上の高齢者常住人口が全常住人口に占める比率を見ると、最も低
いのはチベットで5.17%、新疆は6.37%、青海、寧夏はどちらも約7%、内モンゴルは
約8%である。
 しかし、同じように西部地域の省として経済が急成長している重慶、四川の高齢
化の度合いは深刻な問題に直面している。重慶、四川の2013年の常住人口のうち65
歳以上の高齢者常住人口の比率はそれぞれ約13%、12%で、全国の1位、2位である。
 高齢者の扶養比率(65歳及以上の高齢者常住人口と15―64歳の常住居住人口との
比率)を見ると、四川、重慶は18.1%、18.6%に達し、全国の2位、1位である。一方、
北京、上海は10.5%、13.3%にすぎない。
 つまり、重慶では5人の労働者で1人の高齢者を扶養する一方、北京では10人に1
人の扶養割合である。
 華東師範大学人口研究所の丁金宏研究員によると、実際に全国の人口流動は北京、
上海の高齢化を下げているが、重慶は人口純流出都市で、青年は出稼ぎに出ている。
このことにより、重慶の高齢者の割合は高くなり、高齢者扶養比率も高くなる。
 また、社会全体として常住人口から高齢者扶養比率を算出することは理にかなっ
ており、「戸籍人口に基づくと、西部地域の四川、重慶の高齢化程度が高いという
問題が見落とされかねない」と指摘する。
〔21世紀経済報道2015年7月1日〕
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