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「二人っ子」政策実施で人口増の期待

「二人っ子」政策は一人っ子に先立たれた高齢夫婦に希望の光

 10月29日に閉幕した中国共産党第18回5中全会で「二人っ子」政策の全面自由化
が提案された。これは一人っ子に先立たれた家庭の2人目の計画に新たな希望をも
たらした。しかし、彼らの中でも多くは高齢で、気持ちはあるが力がないという。
 これに対し、専門家は、現在の出産技術は徐々に成熟しており、夢をかなえる助
けができるので、高齢出産を望むのであれば早く調査すべきだと述べている。
 今年2月26日、河南省濮陽市の孟瑞鵬23歳は、蓮花池に落ちた2人の児童を助ける
ために犠牲になった。孟瑞鵬の両親、孟現杰と関翠景は息子を思って心を痛め、も
う一人子供が欲しいという望みを抱くようになり、最近、北京に来て生殖技術の助
けを求めた。
 「息子はいなくなった。私たちは孤独を感じて、子供が欲しいと思うようになっ
た」という46歳の関翠景の言葉は、多くの一人っ子に先立たれた家庭の本音を代表
している。
 統計によると、現在、中国の一人っ子に先立たれた家庭は100万戸を超え、毎年
7.6万戸の家庭が新たにふえている。一人っ子を失った後、多くの両親は「もう一
人子供を産みたい」という望みを抱くようになる。
 現在の「二人っ子」新政策は彼らに新しい機会をもたらすが、一人っ子に先立た
れた高齢者は、逆に出産適齢期を逃したという気まずさに直面している。専門家に
よると、現在の生殖医療技術は既に成熟しており、彼らの夢をかなえることも可能
だ。今年8月、孟現杰、関翠景夫婦は北京家円医院で試験管ベビーを試みた。
 家円医院の副院長兼生殖センターの胡淑敏主任は記者にこう述べる。専門家は既
に関翠景の腹部から卵子を採取して、5つの胚胎を形成し、現在、冷凍することに
成功した。関翠景の身体の状況が許すのを待って、彼女の子宮内に移植し、妊娠で
きるようにする。
 現在、中国の試験管ベビー全体の成功率は50%くらいで、高齢の妊産婦の成功率
はやや低くなっている。胡淑敏主任は2人目を望む高齢の夫婦はできるだけ早く病
院で出産調査を行うようにと提案している。40歳以上の患者が試験管ベビーに成功
する確率は確かにかなり低いが、患者の卵巣の状況に基づいて相応の計画を立てる
ことで、成功率を高められるという。
 高齢の妊産婦を顧みての心配事について遼寧九州不孕不育研究院のシニア胚培養
士、徐小明博士によると、長年の追跡調査を通しては、試験管ベビーが自然分娩児
より奇形率、流産率が高いとは示されていないという。
 一般的には、25―35歳が女性の出産適齢期である。これに対して、徐小明博士は、
高齢の妊産婦にリスクは存在するが、多くの強みもあると指摘している。
 例えば、仕事の圧力は小さく、経済的基礎は充足している。35歳以上の女性はさ
らに生活、社会経験と仕事の自信があり、子供を育て、教育するのにも比較的よい
状態にある。数千人の高齢の母親を対象とした研究では、比較的遅く出産した母親
はより容易に健康で聡明な赤ん坊を産むことがわかっている。
 そのほか、妊娠は高齢の妊産婦の健康に一定の長所がある。女性は年齢が上がる
につれてホルモン水準が低下するが、妊娠によってホルモン水準を回復することが
できる。35歳以上の女性は骨の流失が比較的多いが、妊娠することで骨粗鬆症を減
らすことができる。〔中国新聞網2015年11月1日〕

「二人っ子」政策全面実施後も中国の低出産は持続する

 10月29日夜、中国共産党第18回5中全会が閉幕し、中国で夫婦が2人の子供を育て
られる政策が全面実施される。これは2013年の夫婦の片方が一人っ子家庭の二人っ
子政策(2人目容認政策)に次ぐ人口政策調整である。
 中国の出産政策調整は緩慢であるが、その主な原因は、各界で二人っ子がどれだ
けの人口増をもたらすかについての論争が起きていたからである。
 2014年、国家衛生計画委員会は、夫婦の片方が一人っ子家庭の二人っ子政策の実
施で、年間出生数が100―200万人上昇するとしていた。それによると、二人っ子政
策全面実施後4年以内に、年間出生者数が2425万人となる(政策が不変の場合の2015
年の出生者数は約1583万人)。
 人口学者の王広州氏の試算では、2015年全国統一での二人っ子政策全面実施後の
年間の新規人口増加数は最高で五百数万人にすぎない。さらに、出生人口政策を変
えなければ、年間出生規模は2017年でピークの約2170万人に達するが、このような
出産水準予測は1、2年しか続かず、すぐに減少へと進むとしている。国家統計局の
データによると、2014年、中国の出生人口は前年より47万人増加したにすぎなかった。
 このことは、国家衛生計画委員会の予想と実情には大きな食い違いがあることを
示しており、二人っ子実施後も人口爆発は不発だということである。
 また、人々の出産意識と実際の出産行為は同じではない。
 江蘇省が2010年に行った調査によると、客観的な制約条件を考慮しない「理想的
な子供の数」から、「産むつもりの子供の数」、「現在の子供の数」までどんどん
数が減っていく。
 日本の調査でも同様に、三十数年来の各種の出産指標は下がっているが、実際の
出産及び出産意欲の差は似通った水準で推移している。
 出産意欲については、中国人も高くない。
 ある学者が各種家庭の2人目出産意欲を調査したところ、1人目が女の子で2人目
を持つ家庭、片方が一人っ子の家庭、夫婦両方が一人っ子の家庭とも、2人目は不
要との割合が半数を超えていた。そのうち、夫婦の両方が一人っ子の家庭の2人目
を望む割合は最も低く、わずか13.3%であった。
 このほか、中国は都市と農村の格差が大きいが、各家庭による2人目は不要とす
る主な原因は似通っており、それは2人目がもたらす経済的負担である。観念の変
化は同様に重要で、都市家庭20.9%と農村家庭18.4%は「一人っ子がよい」と考えて
おり、2人目が不要な原因を健康問題とするのはごくわずかにとどまった。
 夫婦の片方が一人っ子家庭の二人っ子政策効果の低調、また出産意欲の低迷は、
出産観念の変化であり、育児体系全体がコストから気力までぜいたく品化している
ためでもある。先進国(例えば日本)の現状も同様に理想と現実のギャップを証明
している。したがって、二人っ子政策実施後に低出産の現状が逆転することは難し
いだろう。
 データ出典:「夫婦の片方が一人っ子家庭の二人っ子政策に合致する家庭の出産
意欲と出産行為」石智雷、楊雲彦、「出産政策調整研究に存在する問題と再考」王広州
▽2015年出産政策調整による出生人口増加規模推計(単位:万人)
  政策が不変の場合の出生人口 二人っ子政策全面実施後の出生人口増加数
 2016年 1584.1 565.8
 2017年 1587.14 583.2
 2018年 1558.39 393.45
 2019年 1556.63 421.3
 2020年 1533.99 426.52
 2021年 1503.06 391.7
 2022年 1456.44 280.29
 2023年 1428.56 351.66
 2024年 1366.26 306.4
 2025年 1310.49 337.74
 2026年 1269.54 283.77
 2027年 1235.99 322.07
 2028年 1207.24 332.51
 2029年 1164.55 262.88
 2030年 1150.17 254.17
▽理想から実際までの子供の数の変化
  現在の子供数 出産するつもりの子供数 理想の子供数 国家出産政策で許容される子供数
日本
 1977年 1.85 2.17 2.61
 1982年 1.88 2.2 2.62
 1987年 1.93 2.23 2.67
 1992年 1.86 2.18 2.64
 1997年 1.84 2.16 2.53
 2002年 1.78 2.13 2.56
 2005年 1.77 2.11 2.48
 2010年 1.71 2.07 2.42
江蘇
 2010年 1.1 1.5 1.7 2
▽各種家庭別2人目出産意欲
 2人目が欲しい 2人目は不要 わからない
 1人目が女の子の場合の二人っ子家庭 30.55 51.09 18.36
 夫婦の両方が一人っ子家庭 13.3 61.11 25.59
 夫婦の片方が一人っ子家庭 21.51 59.17 19.32
 全体 23.26 57.29 19.45
▽都市、農村家庭別2人目不要の原因
  都市家庭 農村家庭
 経済負担 51.3% 48.7%
 一人っ子がいい 20.9% 18.4%
 仕事が忙しい 11.2% 12%
 育児をする人がいない 7.5% 8.5%
 その他 6% 7.9%
 高齢出産リスク 1.7% 2.1%
 配偶者が望まない 1% 1.4%
 女性が出産できない 0.4% 1.1%
〔網易2015年10月30日〕

隔絶された中国の無戸籍の人たち

 先日、中国で数が膨大な無戸籍層(黒戸)の身分問題解決が見込まれるとの報道
が注目されている。
 人口調査によると、中国人の約1300万人には戸籍資料がなく、通常身分証明書を
持っていない。至るところで証明書に頼って正当性を証明する社会において差別を
受けるだけでなく、あるべき権利保障もなく、日常生活を維持し外出するときの行
動さえ難しい。
 2014年、発展改革委員会マクロ経済研究院の万海遠研究院らは専門で無戸籍者の
生存状態問題について雲南、広西、河南等でフィールド調査を行った。
 調査結果によると、無戸籍者となる原因の過半数は計画出産違反であり、罰金の
支払いを避けるため派出所に戸籍の届け出をしないというものである。また、10%
前後の人は未婚での出産で、両親が結婚証、准生証等の証明がないために戸籍登録
ができない。さらに、残りの15%は、大学卒業生等の戸籍移転中に身上書類をなく
し戸籍資料を失っていることが原因。
 大学生を除く大部分の無戸籍者層が正規の教育を受けるのは難しく、安定した正
規の仕事の機会を得ることは難しい。そのうち、44.2%は教育を受けたことがない
非識字、30%は小学校教育を受けたのみで、長期安定的な仕事があるのはわずか1.3%
であった。
 入学や就職だけでなく、列車に乗るのにも身分を証明する必要があるシステムの
中、彼らは外出さえ困難で、4割近い人には列車、飛行機に乗ったり、ホテルに泊
まったりする経験はなかった。
 しかし、このような人目を忍んで生存している状態をやめたくとも、巨額な罰金
を支払う力がないことが大きな障害であるだけでなく、地方によっては計画出産違
反者や未婚出産者の罰金支払いを解決する資格はなく、戸籍登録は一律で拒絶され
ている。
▽半数の無戸籍の原因は計画出産違反
  無戸籍となる原因 割合 人数(総数は推計で1300万)
 計画出産違反 50.8% 660.4万
 未婚の出産 10.1% 131.3万
 戸籍未登録 15.2% 197.6万
 戸籍移動中の紛失 14.8% 192.4万
 戸籍登録制度を知らなかった 2.7% 35.1万
 戸籍はあるが身分証はない 4.3% 55.9万
▽無戸籍者層は正規の教育を受けられず、安定した仕事につくのが難しい
教育経験
 非識字 44.2%
 小学 30.7%
 中学 9.8%
 短大・大学 15.3%
就業状況
 長期安定的な正規の仕事 1.3%
 短期労働契約 4.8%
 労働契約なし 37.4%
 派遣 12.7%
 仕事がない 43.8%
▽隔絶された無戸籍謝たちは外出さえ困難
列車、飛行機、ホテル経験
 経験なし 39.3%
 こっそりと経験したことがある 28.2%
 人に身分証を借りて経験したことがある 30.1%
 その他 2.4%
▽罰金や政策が戸籍回復の最大の障壁
戸籍回復が難しい原因
 計画出産の罰金が払えない 35.9%
 政策条件に合わない 29.1%
 関連証明書類がない 22.6%
 必要性を感じていない 9.7%
 その他 2.7%
〔網易2015年11月27日〕
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