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春運到来 出稼ぎ労働者の帰郷就業志向

春節の大都市 渋滞都市から閑散都市に

 間もなく正式に春節の大移動のピークに入る。人々の大規模な移動に伴い、平日
は甚だしく渋滞となる大都市にも一時の「閑散都市」状態が訪れ、特に交通は1年
で最も順調に流れる時期となる。
 高徳(中国カーナビメーカー)の地図データによれば、毎年2月は都市交通の渋
滞指数が最低となる時期だという。春節期間となるため、北京、上海、深セン、広
州等、一線都市の人口は大幅に減少する。
 そのうち、外来人口が在住人口の7割以上を占める深センは、ラッシュ渋滞指数
の下降幅は20%超と下降幅が最大の都市であり、「閑散都市」ランキングのトップ
である。僅差で続くのが、広州、北京、東莞、上海等の伝統的な出稼ぎ大都市であ
る。また、近年新たに人口の受け入れ地となった蘇州は外来人口が在住人口の4割
を占めており「閑散都市」ランキングのベスト10に入る。
 残念なことに、このような状況は休暇期間にしか存在しない。もし、中国のサラ
リーマンが日々世界でも最もつらい通勤を強いられているのであれば、平均してそ
の半分の通勤時間は渋滞によってふえたものだ。
 北京では、朝晩の通勤ラッシュ1時間の中で30分が深刻な渋滞で費やされ、ラッ
シュに起因する渋滞指数は2.06となる。つまり、車通勤のサラリーマンは2倍の時
間をかけなければ目的地に到着できないことを意味している。
 もし、北京市の労働者の平均月給と相殺すれば、北京のサラリーマンは交通渋滞
により毎月808元相当の時間コストを代償として支払っていることになり、その渋
滞時間コストは全国最高となる。
 耐えがたい通勤時間は明らかに人の心理に影響を与え、幸福感は大きく下降する。
しかし、このような状況を予測可能な短期間内で改善することは不可能で、人々は
やはりどうしても大都市での生活を選択する。それは言うまでもなく、より高い給
料レベルとより多い就業チャンスを求めるからである。
 中国2.5億の流動人口のうち、半数が経済要因から故郷を離れている。婚姻や学
習等の非経済要因は1990年代の人口の大規模移動後は明らかに下降の道をたどって
いる。
▽春節期間の渋滞指数下降幅最大都市トップ10(%)
 深セン 20.5
 広州  18.6
 北京  12.7
 東莞  11.1
 杭州  10.9
 上海  9.7
 仏山  8.9
 珠海  8.3
 成都  8.2
 蘇州  7.0
▽都市コストランキング
(左)ピーク時間1時間当たり渋滞時間
(中)従業員平均月給(元)
(右)1月当たり渋滞時間コスト(元)
 北京  30.00  808  6463
 広州  29.20  753  6187
 深セン 28.85  728  6054
 上海  28.57  649  5451
 大連  28.42  628  5301
 天晋  23.86  601  6047
 長沙  26.31  565  5154
 武漢  26.42  556  5052
 重慶  28.17  556  4738
 南京  24.64  551  5592
〔網易2016年2月2日〕

春運人口移動経済学 農民工の帰郷就業のトレンド

 史上最大規模の人口移動がまたまた始まった。
 高速鉄道ネットワークの運送量がどんどん上昇し、政府統計は、今年の春運(旧
正月の帰省ラッシュ)期間の全国旅客輸送量は延べ29.1億人に達し、7.27億人の人
口流動に相当すると予想した。
 旅客総量が多い上位10省は、労働力を送り出したり、受け入れたりしている省で
ある。しかし、今年著しく変化していることは、労働力を送り出す四川省の送り込
む流れが鈍化し、農民工の帰郷就業が中期的なトレンドになると予想されているこ
とである。
 人口の流入によってその都市の不動産価格が変化するため、人口が流出している
省の主要都市ではない都市の不動産動向は悪くなる。
 四川省で大量の農民工が帰郷就業をするようになる背景では、深刻な高齢化問題、
出稼ぎによる労働力流出で「富まずして年老いてしまう」というマイナス面があら
われ始めている。
 しかし、もし四川が現在、大規模な農民工の帰郷を支援できなければ、西部地域
の他の労働力の送り出しをしている貴州や雲南等ではさらに深刻な就業状況に直面
することになる。
 49歳の廖坤華さんは、工場から事前に休みの通知を受けた後、まず四川の実家に
電話をして、急いで列車のチケットを変更した。
 彼がいる広東省東莞市厚街鎮は全国有数の製靴業の集積地で、早い段階で経済減
速の影響を受けた地域の一つである。
 廖坤華さんはこれまでの経験で1カ月前に列車のチケットを予約していたのだが、
自分の工場が1週間前倒して工期を終えるとは思っていなかった。廖坤華さんは
「来年は来ないかもしれない」と言っている。
 1月24日、2016年春運が正式に始まり、労働力を送り出している四川省では再び
大規模な人口移動の時期を迎えた。
 鉄道部門の予測によると、2016年の春運の全国旅客輸送量は延べ29.1億人に達し、
前年比3.6%増となる。そのうち、鉄道の旅客輸送量は延べ3.32億人で12.7%増と予
想されている。
〈農民工が出稼ぎを選ばなくなる〉
 奇虎360公司が提供した2016年春運初日の鉄道輸送力データによると、出発都市
の上位10都市中9都市は東部地域で、北京、上海、広州等が上位にあり、唯一ウル
ムチだけが西北地域であった。 これらの都市は中国の出稼ぎ者が最も集中する都
市で、教育資源が最も集中する地域でもある。
 到着都市は西南部地域が主体で、四川・重慶(川渝)地域の重慶、成都(四川)、
達州(四川)が上位にある。
 大体ここ十数年来の中国の春運の標準モデルとしては、出稼ぎ者は春節前を選び、
北京・上海・広州・深センから、西部の土地の痩せた故郷に大挙して戻り、何回か
の家族団らんの後、別れの酒を酌み交わし、新年を迎えた後、再び故郷を立つとい
うものだ。
 廖坤華さんの目的地は成都で、そこから3時間車に乗らなければ家にたどり着け
ない。
 夏逢利主任は、廖坤華さんの故郷である四川省金堂県竹〓鎮の就業社会保障サー
ビスセンターの主任であるが、数年来、中国のマクロ経済の変化がこの山中の小さ
な鎮に与える影響を観察しており、その結果、2つの変化に最も関心を寄せるよう
になった。
 まず、交通手段の多様化である。最初の自動車+列車から、現在は飛行機+高速
鉄道が増加し、「出稼ぎ収入が多くなれば、車を運転して帰郷する人もますます多
くなる」(夏逢利主任)
 交通手段の多様性は出稼ぎ目的地の選択の多様化をもたらしている。特に、西部
の高速鉄道のネットワーク化が進む中、農民工の出稼ぎ目的地はさらに自由度が増
している。広東に集中するような状況ではなくなっており、四川の高速鉄道の開通
地域はどれも選択対象である。
 実際、西部各省の状況から見れば、高速鉄道は第13次5カ年計画時期の重点推進
プロジェクトであり、多くの地域の政府工作報告にも書かれている。
 例えば、貴州省の孫志剛省長は政府工作報告において、第13次5カ年計画では、
貴州の鉄道営業キロ数は4000キロメートル以上に達し、そのうち高速鉄道は1500キ
ロメートル超としている。
 成都市でも、「全国主要都市との8時間交通圏、周辺省都都市との4時間交通圏、
成都平野部都市群1時間交通圏をつくる」との目標を定めている。
 しかし、夏逢利主任は、変化し続ける経済状況は春運に新しい変化をもたらして
おり、多くの竹〓鎮住民が出稼ぎを選ばなくなると見ていた。
 2015年末、竹〓鎮を代表する金堂県全体で、省外に働きに出た人数は既に2007年
の17万人から5万人足らずにまで激減した。
 「農民工の帰郷現象は中期安定的なトレンドであり、今後数年は帰郷して働く人
はますます増加するはずだ」四川省社会科学院区域経済研究所の張鳴鳴副所長はこ
のように語る。
〈帰郷就業状況が深刻に〉
 四川省就業サービス管理局の田傑局長は、3つの原因で四川省の農民工が戻って
きているとしている。
 第一に、大量の優秀な企業家、企業管理者、専門技術者があらわれ、人材が集ま
ってきており、帰郷して創業する意欲が出てきた。
 第二に、多くの農民工が家庭の価値を重視するようになってきた。
 第三に、東部の先進地域の労働力市場に重大な変化があらわれ、農民工の帰郷を
促している。
 「国際経済の低迷が外需の減少を招き、生産能力の過剰という矛盾を激化させて
いる。多くの外向型企業の生存が難しくなっている。幾つかのミドル・ローエンド
企業や労働集約型企業が中西部や中国国外への移転を加速させている。中国国内の
都市建設、インフラ建設、不動産開発がピークを過ぎたことで、多くの農民工が沿
海部から四川へを戻らざるを得なくなった」
 張鳴鳴副所長は、今回の帰郷の動きの中で、出稼ぎ労働者の年齢が若年化傾向に
あることに注目している。
 「高齢で帰郷する者のほか、働き盛りの青年の出稼ぎ労働者も帰郷して仕事する
ことを選んでいる」
 廖坤華さんとそのおいも、そのうちの一人だ。
 間もなく50歳となる廖坤華さんは、自分の体は実家の長年修繕できていない屋根
瓦のようなもので、もうがたが来ていると感じるから、2016年は出稼ぎはしないで、
放浪した半生とは決別するつもりだ。
 一方、廖坤華さんのおいは、「成都の工場の賃金は既に広東と同じと聞いた」た
め、竹〓鎮に戻ってからは、夏逢利主任のいる社会保険サービスセンターで仕事を
探すつもりでいる。
 実際に、四川省で大量の農民工が帰郷就業を志向する背景では、深刻な高齢化問
題がある。四川省における60歳以上の高齢者は総人口の18.1%を占め、全国平均よ
り3.2%高くなっている。出稼ぎによる労働力流出で「富まずして年老いてしまう」
というマイナス面があらわれ始めている。
 張鳴鳴副所長は、四川全体の経済情勢からいうと、四川の目下の経済発展と就業
機会の供給は大規模な農民工の帰郷創業を支えるには足りなく、したがって、今後
は逼迫していくだろうとしている。
 2015年のGDP(域内総生産)全体からいえば、四川省の3兆元という数は西部地域
でトップ、さらに、成都のほか、四川省でGDPが1000億元以上の市、州は12ある。
 しかし、もし四川が現在大規模な農民工の帰郷を支援できなければ、西部地域の
他の労働力の送り出しをしている貴州や雲南等ではさらに深刻な就業状況に直面す
ることになる。
 「労働力人口と人材の流失は、実は、質の高い発展のための要素の流失であり、
労働力の送り出し地域の持続的な競争力や発展活力を下げることは避けられない」
(田傑局長)
 田傑局長は、農民工の帰郷創業を引きつけるため、財政支援を強化するとしている。
 「創業プロセスにおける最大の困難は資金不足である。よって、財政面で、四川
省の88の貧困県に1.76億元の帰郷創業基金を創設し、金融機構が創業融資を強化で
きるよう支援する」
 しかし、張鳴鳴副所長は同時に、四川は工業化の加速時期にあり、その重要な特
徴の一つとして、インフラの投資が続くことで持続的に成長する、投資がふえれば
持続的成長につながるということは、一部分の帰郷農民工の就業需要を消化できる
ということだとしている。
注)〓は、たけへんに「高」
〔21世紀経済報道2016年1月27日〕
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