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電子マガジン・中国最新情報
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いよいよ本気 中国マネー越境流出の勢い

中国人の香港での保険購入にさらなる制限

 中国当局は、中国(本土)からの資本流出対策として、中国人(中国本土住民)
による第三者決済を通じた香港での保険商品の購入をさらに制限した。米ブルーム
バーグ社が伝えた。
 同社の入手した保険会社の代理店への通知によると、中国人民銀行は、中国人の
クロスボーダーオンライン決済を通じた生命保険、投資型年金保険の購入を3月12
日より禁止し、購入可能なものを人身傷害保険、医療保険、貨物保険等に制限し、
購入額も3万元(約4600米ドル)以下とした。
 また、騰訊財経によると、中銀集団人寿保険は、保険専属エージェント部門及び
企業マーケティング部門に対し、2016年3月14日から中国人による銀聯カード、銀
聯口座の通聯支付による保険料決済を暫時停止するとし、別途通告を行った。
 友邦保険(AIAグループ)及び中国人寿保険の顧客は以前から広州を介した保険
料のクロスボーダー決済を利用しており、保険証券ごとのカード決済限度額は100
万香港ドルであったが、この決済ルートもまた凍結された。
 これに関して、中銀集団人寿保険、通聯支付、香港保険業管理監督所、中国人民
銀行はいまだブルームバーグ社の取材に応えていない。
 中国人の香港における保険購入を制限する動きは2月より既に広がりを見せてお
り、上述のブルームバーグ社の報じた時期といささか異なる。
 新浪財経2月の報道によれば、2月4日から中国人が香港の保険会社の端末機を使
用して保険料を支払う際の限度額は、銀聯カード、デビットカードを問わず、1件
当たり5000米ドルに制限されていた。
 しかしながら、銀聯国際によれば、中国本土外の保険企業が中国の銀聯カードを
受理する行為は「外国投資産業指導目録」における制限類に属する取引に当たり、
5000米ドルという限度額設定は一部企業の違反行為を規制するものにすぎない。
 近年、中国人による香港での保険購入ブームが高まりを見せている。中国では1
人当たりの年間外為決済額の上限は5万米ドルに規定されているが、中国本土外に
おいて銀聯カードを使用して保険を購入する場合はその例外とされた。そのため、
保険の購入によって外貨統制の網を抜け、合法的に資金を海外へ移すことができた。
 また、中国のものに比べ、香港の保険料は安く、保障額も高額であり、特殊保険
では年齢制限も高く設定され、加入額に特別な制限もなく、数年間の加入で終身保
障され、重篤な疾病に対する保障範囲も広く、加入審査が厳しい反面支払いはスム
ーズで、世界中で支払いの手続がなされ、香港において署名された保険証券は香港
の法律によって守られる。
 香港の保険業はここ数年で急速に成長している。香港保険業管理監督所のデータ
によれば、2015年1―9月に中国人が香港で新たに購入した保険総額は211億香港ド
ルに達し、新規購入全体の21.7%に及んだ(2009年の当該比率はわずか6.4%)。
 新浪財経は2月、某大手保険会社支店長の話を引用し、香港の高額保険の保険料
は一般的に10万米ドル以上と報じた。〔ウォールストリート見聞2016年3月13日〕

1130億米ドル!中国企業第1四半期海外M&A規模は去年1年間の規模に近づく

 外貨管理局でひそかに大きなA株が準備される一方、中国企業は「高速」の勢い
で「海外進出」を進めている。
 米ブルームバーグ社がまとめたデータによると、中国企業が年内までに発表した
海外M&Aの規模は1130億米ドルに到達し、2014年1年間分の規模を超えただけでなく、
去年樹立した1210億米ドルの記録にも近づいている。
 中国化工は2月に1株465米ドルでシンジェンタを買収すると発表した。買収総額
430億米ドルを超え、中国企業最大のM&Aとなった。
 フォックスコンは35億米ドルでシャープの持ち株権を買収した。ハイアールは54
億米ドル出資し米ゼネラル・エレトリックを傘下に置いた。大連万達は35億米ドル
で米レジェンダリー・エンタテインメントを買収した。
 買収する企業のタイプはエネルギー関連、鉱業、製造業、消費品業界、TMT(テ
クノロジー、メディア、通信)など多様化している。中国資本はさまざまな場所ま
で広がり、発展途上国の天然資源案件に比べ、中国企業は先進国における成熟した
資産に注目している。
〈中国資本の加速と拡大はなぜ起こるのか〉
 中国資本の世界中での「爆買い」はなぜ起こるのか。
 ゴールドマンサックス買収業務連合責任者のGregg Lemkauはゴールドマンサック
ス公式サイトで発表したムービーの中で「資本を中国から逃がし世界各地に投資先
を求めている。中国企業のM&Aはハイレベルの後押しによるものであるような感覚
だ」と話す。
 また、今年、中国企業の海外M&Aは去年の5倍に達する可能性もあり、他で類を見
ない大きな取引にかかわる中国企業も出てくるとしている。
 人民元のレートも要因の一つである。Lemkauは「人民元が安くなる前に、海外の、
価値がより高い米ドルやユーロ資産に投資することは急務のようだ」と話す。
 中金公司(CICC)のアナリストの王漢鋒氏もレポートの中で、人民元は近いうち
に双方向どちらにも振れる可能性も大きいが、過去数年元高に振れていたため、企
業は余剰資金を海外資産としてプールしていたとする。
 国内経済が減速している中で、企業の成長が停滞することは企業の検討課題とな
っている。企業内の発展ニーズから見るに、中国経済全体の減速はより多くの企業
を海外市場開拓に目を向けさせる。さらに、産業レベル向上の要請で、海外から先
進的な技術やブランドを買収するということが中国企業の選択肢の一つとなっている。
 このような動向は、似たような経済成長をたどった日本や韓国経済にも起こって
いる。
 デロイトM&A取引責任者Patrick Yipによると、中国企業は海外ブランド、特許、
技術を買収することにより、みずからの世界の中での地位を高めている。
 プライスウォーターハウスクーパース取引サービス部責任者のDavid Brownは、
中国の海外M&A取引は今後数年は50%の成長をするだろうと見込んでいる。
 これ以外に、主要商品の価格低迷により安い値段で関係会社を買収することがで
きることもあるし、政府の「一帯一路」政策、企業の資産配置等が、中国資本の海
外拡大の要因になっている。
 安邦が最近、スターウッドの競売に参加した要因として「企業のあらゆる買収は
全て善意の買収である。取引を達成させたいと思うのはどんなに悪い境地に立たさ
れても企業に利益をもたらすためである」と回答している。
〈債務の影と法律のバリア〉
 取引規模以外に、中国資本のM&Aの過程における企業債務問題もしっかり注目さ
れている。
 ウォールストリート・ジャーナルによると、中国化工がシンジェンタを買収する
前年、銀行に430億米ドルを超える借り入れを申請した。そのうち350億米ドルはシ
ンジェンタとの取引に用いられた。
 33億米ドルでアメリカのライバル会社テレックスを買収した中連重科の負債は
EBITDA(減価償却前営業利益)の83倍だった。
 格付会社フィッチのKalai Pillayは以前、中国化工は国有資産監督管理委員会に
管理されている企業であり、そのことが後ろ盾となって「無制限に国有銀行の資金
を借り入れができる」。中国化工等の海外M&Aを実施している企業の負債は比較的
高く、もし中国政府の支援がなければこれらのM&Aを行うのは難しい、もしくは厳
しい融資の代価を受け入れなければならないと話していた。
 商業部の陳徳銘前部長は23日、安邦等の大型金融機構の海外M&Aに対し「大型金
融機構の海外M&Aは支持するが、高レバレッジのM&Aは支持できない」と表明している。
 中国企業の海外企業買収は多くのバリアに直面している。
 オメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所の研究によると、中国投資者の多
くはアメリカ経済の潜在能力を熟知し、アメリカ企業を魅力のある投資先の選択肢
としていた。しかし、47%の回答者がアメリカの監督機関と法律規定は企業買収に
おいて大きなバリアになっていると見ている。
 例えば、中国重慶財信企業グループがシカゴの証券取引所を買収する意欲を示す
と、アメリカの議員45人が連名で米財務省に書簡を送り、この買収に対して「全て
の項目を徹底的に調査する」ことを要求した。
〔ウォールストリート見聞2016年3月31日〕

「一帯一路」で中国先導の新しい雁行モデルの構築

 3月末、習近平国家主席がチェコ共和国を訪問したが、これは「一帯一路」戦略
の延伸、中欧、東欧国家との貿易協力の積極開拓にとり大事な一歩となった。
 目下、「一帯一路」は、戦略構想から全面実施の段階に入っている。今後の発展
の趨勢は、アジア・ヨーロッパ自由貿易地域ネットワーク構築の加速、二国間・多
国間のFTAやBIT交渉の促進、二国間・多国間の直接投資政策推進の実行、その上で、
自由、公平、公正な世界の開放的な多国間貿易と投資システムの建設、最終的に
「一帯一路自由貿易地域」を完成し、世界経済の新しい枠組みを再編する。
 「一帯一路」で、新たな世界経済の大循環がつくり出される。
 第一に、「一帯一路」は世界第三の貿易枢軸を形成する。
 「一帯一路」地域の総人口は約46億人(世界人口の60%)で、GDP総量は20兆米ド
ル(全世界の3分の1)に達する。域内国家の経済成長は国際貿易依存度が高く、
2000年の各国の平均貿易依存度は32.6%である。2010年は33.9%、2012年は34.3%で、
同時期の世界平均水準の24.3%を大幅に上回った。
 世界銀行のデータをもとに計算すると、1990―2013年、世界貿易、海外直接投資
の年間平均成長率は7.8%、9.7%であったが、「一帯一路」関係65カ国では13.1%、
16.5%であった。特に、国際金融危機以降の2010―2013年においては、「一帯一
路」貿易、外資流入の年間平均の伸びは13.9%、6.2%であり、世界平均水準より4.6%、
3.4%高かった。
 2015年、中国と「一帯一路」沿線国の輸出入貿易総額は1兆米ドルに迫る。中国
は沿線65カ国中49カ国に投資しており、投資額は計150億米ドル、前期比18%増だった。
 「一帯一路」はまさに、大西洋貿易枢軸、太平洋貿易枢軸のほかの、新たな、ア
ジアとヨーロッパを核とする世界第三の貿易枢軸である。今後10年で、「一帯一
路」輸出規模は3分の1前後まで上昇することが見込まれ、沿線国は中国の主要貿易
及び投資パートナーとなることが予想される。
 第二に、「一帯一路」は新たな雁行形態モデルを構築する。
 雁行モデルの核心は産業移転である。1960年代から80年代から、日本から、アジ
アNIES、ASEANへと、東南アジアは産業の段階的移転を通じて外向型経済を大いに
発展させ、地域全体の経済的飛躍を実現する、雁行モデルを形成した。
 1980年代、アジアは日本を中心とした雁行モデルを形成し、日本は先進的工業構
造で雁行の分業システムのトップにあり、新興工業国・地域、中国及びASEAN諸国
がその後に続いた。分業の3つの段階には、技術集約・高付加価値産業、資本技術
集約産業、労働集約型産業という特徴がある。
 中国の産業構造高度化と日本経済の持続的な衰退に伴い、過去日本が先導しアジ
アの産業分業と産業移転を行うというモデルは徐々に破られてきている。
 労働コストや天然資源保有状況の比較優位に基づき、今後5年間、中国の労働集
約型産業と資本集約型産業は「一帯一路」周辺及び沿線国家へと移転し、沿線国家
の産業高度化と工業化水準上昇をもたらす。
 中国が先導する新しい雁行モデルが構築されれば、「一帯一路」域内国家の経済
的補完性を十分掘り起こし、サプライチェーン、産業チェーン、バリューチェーン
の建設、健全化、汎アジア、アジア・ヨーロッパ経済の一体化を促進する。
 しかし、「一帯一路」域内貿易投資協力強化には克服すべき課題が山積している。
 まず、地域全体の発展レベル、市場規模が小さい。
 主要57カ国の統計によると、2013年の1人当たりGDP水準は1万米ドルを下回る国
家が35カ国ある(世界水準は1万500米ドル)。これらの国家の人口総数は39.5億人
に達し、全世界の55.33%を占めるが、GDPは全世界の20%にすぎない。1人当たりGDP
は3862米ドルで、この地域の平均水準の76.5%、世界平均水準の35.7%にすぎない。
 次に、高レベルの経済一体化建設が立ちおくれている。
 シルクロード地域の人口は多く、距離が近く、経済関係を深める有利な条件を有
しているとはいえ、経済発展レベルの格差は大きく、現地の政治事情が複雑である
ために、この地域をメンバーとした広範で代表性を有するFTAや有効な協力メカニ
ズムが欠乏しており、域内協力の深さや範囲の制約要因となっている。
 第三に、域内貿易の占める割合は相対的に低い。
 EU、NAFTA、ASEAN等の域内一体化が実質的に進展している地域に比べ、「一帯一
路」関係国の域内国家向けの輸出及び輸入の貿易全体の比重は比較的低くなってい
る。過度に外部市場に依存し、域外経済の変動のダメージを受けるリスクが大きい
と同時に、域内国家間での過当競争を激化させる可能性があり、地域全体の貿易利
益水準を押し下げている。
 最後に、貿易往来には多くの障壁やバリアが存在する。目下、「一帯一路」域内
国家の貿易協力はまだ初期段階にある。
 例えば、新ユーラシア鉄道の沿線国家では、鉄道レール規格がさまざまで、各国
のレール統一に時間がかかっている、各国の通関の協力メカニズムが未整備で、通
行がスムーズではなく、物流コストも割高となっている、港湾設備が立ちおくれて
いて、商品やサービス流通を困難さにさせている。
 このため、当面の現状を満たすため、「一帯一路」は区域内の政策の意思疎通、
道路の通行、貿易の円滑化、貨幣流通、人々の心のつながりの推進を重点に置き、
インフラの相互利用、エネルギー資源協力、産業パークや産業投資協力、貿易やプ
ラント設備輸出等の領域を含めて、開放型経済の新体制建設を促進し、沿線のイン
フラの相互利用を頼りに、沿線貿易及び生産要素の最適な配置を行う。
 そして、「周辺の利点を基盤としてFTA戦略を行う」「グローバルでハイレベル
の自由貿易地域ネットワーク」というのは、今後の大勢の赴くところである。
 目下、中国は13のFTAに署名し、対象国は21カ国・地域に及んでいる。中国と、
ASEAN、ニュージーランド、シンガポール、キルギスタン、チリ、ペルー、コスタ
リカ、アイスランド、スイス、韓国とはFTA、香港、マカオとは経済連携緊密化取
り決め(CEPA)、台湾との海峡両岸経済協力枠組み取り決め(ECFA)である。
 現在交渉中のFTA協定は8件で、23カ国に及ぶ。中国と湾岸協力理事会(GCC)、
オーストラリア、スリランカ、ノルウェーとのFTA、日中韓FTA、東アジア地域包括
的経済連携(RCEP)、ASEANプラス1のグレードアップ交渉、中国・パキスタンとの
FTA第二弾も交渉中である。今後、徐々に足場を形成し、「一帯一路」域内に広げ、
グローバルでハイレベルな自由貿易地域ネットワークに向かい、最終的に「一帯一
路」自由貿易地域をつくり上げる。〔毎日経済新聞2016年4月1日〕
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