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経済成長減速の中の構造転換の明暗

中国の労働力コスト10年で5倍 製造業競争力はアメリカに逆転される可能性

 7月2日の中国情報化百人会「中国製造業競争力討論会」において同会とデロイト
が共同で発表した報告によると、中国は目下依然として最も競争力を有する製造業
国家だが、米国と中国は1位を奪い合っている。
 中国は人材、イノベーション、エネルギー政策、インフラ、法的環境ではアメリ
カに及ばず、2020年までには中国の地位がアメリカに取ってかわられる可能性もあ
るという。
 この報告は世界各地の500社以上の製造業企業の経営層から収集した調査であり、
人材、労働生産性、サプライヤーの体系、インフラ等12要素を分析し、主要な製造
大国40カ国をランクづけしたものである。
 中国が2016年製造業競争力ランキングのトップを維持したのは、伝統的に言われ
ている低コストということのほか、中国のインフラ建設の長期的な成長により、先
進的な技術が今後の製造業の役割を強化するためである。
 中国がイノベーティブな環境をうまくつくった原因は、研究開発支出の著しい増
加、毎年大学から供給される大量の理工系専攻の学生、技術の商業化、力強く成長
するベンチャーキャピタル投資を重視しているためである。
 幾つかの分野では、中国はアメリカを上回ってさえいる。例えば、中国は世界最
速のスーパーコンピューター天河2号をつくり、「高性能計算」は予測分析やAI工
場とあわせて最も前途有望な先進的な製造技術である。
 しかし、2015年中国の経済成長率は6.9%で、ここ20年余りの最低を更新し、経済
減速はさらに続く可能性がある。
 2016年の経済成長は6.3%にまで減速すると予想されているが、経済成長率が低い
一因は、製造業の活動が落ち続けていることである。工業付加価値を例にとると、
この数字は2007年は14.9%増でピーク値に達したが、2014年に半分以上減少し、6.9%
増まで下がった。
 需要減が工業活動の落ち込みを引き起こし、工業生産能力の過剰を招いている。
中国自動車業界の目下の生産能力利用率は2009年の100%から70%に下がり、製造業
のGDP比率は2007年の41%から2014年の36%に下がり、大部分はサービス業に移った。
 また、報告は、アメリカと中国が今1位を奪い合っており、2020年には逆転が予
想され、中国は2位、ドイツが3位を維持すると見ている。
 中国は人材、イノベーション、エネルギー政策、インフラ、法的環境ではアメリ
カに及ばず、これが順位変動の主要因である。
 労働力コスト、人口の高齢化は中国製造業が直面する主要課題となる。
 2005年以降の10年で中国の労働力コストは5倍上昇し、1995年比で15倍に膨れ上
がった。労働力コストの上昇が心配され、中国と先進国との間のコスト差は減り、
幾つかの先進国の企業は生産をコストがより低い国や自国に移転している。
 そして、人口の高齢化は、中国投資を計画する製造業が心配する別の問題でもある。
 過去20年で初めて労働力人口(15―64歳)はマイナスとなった。2030年までで、
青年人口(15―39歳)の占める割合は2013年の38%から28%まで下がる可能性がある。
〔21世紀経済報道2016年7月3日〕

中国の鉄鋼工場閉鎖率2%未満 淘汰に課題 操業再開も

 米ニューヨーク・タイムズ6月12日の報道によると、唐山(河北省)の重苦しい
工業都市にある松汀は最大の鉄鋼工場の一つであった。この工場は生産停止に陥っ
た。工場の労働者は、何カ月も給与が出ず、将来に不安を感じ退職した。
 かつて年間生産量500万トンを誇る鉄鋼工場は、その動きをとめた。3カ月後、沈
黙が破られ、松汀は起死回生した。中国及び全世界の経済からいうと、これはかえ
って悪い知らせである。
 この工場の状況は、削減調整を行う中国経済において中国政府が直面する問題を
あらわしている。
 中国は、経済をさらに利益に富んだ分野に転換させるため、業界に存在する不必
要かつ利益のない生産能力を淘汰する必要に迫られている。
 中央政府はこの問題への対応を何度も認めている。鉄鋼業界についてだけでも、
中国トップ層は今年、2020年までに1.5億トン余りの鉄鋼生産能力を削減する計画
を宣言している。削減幅は日本の鉄鋼業界全体の規模より大きい。
 しかし、松汀の状況にも示されるとおり、最も問題のある工場を閉鎖したとして
も困難は続く。昨年中国で永久に閉鎖された鉄鋼工場は鉄鋼生産能力全体の2%に満
たないとされ、3分の1前後の生産能力が遊休状態となっている。
 当地の政府ポータルサイトのデータによると、松汀は約6000人の従業員を雇用し
ており、当市での比較的規模の大きな私有鉄鋼工場の一つである。
 新興住宅及びインフラ建設が停滞期に入り、鉄鋼価格は大暴落し、松汀を含む業
界全体は困難に陥った。労働者は2015年初頭から規則的な給与支給を受けられなく
なった。いつしか、工場の一部の設備は生産停止となり、管理層のリストラが始ま
った。
 2015年11月14日午前、労働者はいつもどおり各自の作業場で作業を行っていたが、
マネージャーから、工場は無期閉鎖になると聞かされた。匯豊銀行(HSBC)の昨年
12月のある報告では、当地の電力供給局への費用支払いができなくなり、生産停止
に追い込まれたという。
 以前ここで働いていた労働者によると、当時、松汀は約6か月分の給与を未払い
にしており、一部の従業員が給与支払い要求を開始した。
 2月末になり、マネージャーからの電話で仕事に戻っていいことになった。工場
が一部生産を再開したのだ。
 このような流れとなった原因はよくわからない。
 業界専門家は、一部工場で操業開始となったのは利益が出るからだろうと見てい
る。最近の鉄鋼価格の急上昇、新たな金融マネーゲームで建築業の景気がよくなっ
たことが工場所有者の決断を後押ししたのだという。
 中国研究会社「私の鉄鋼ネット」の徐向春CIOは、雇用維持を考慮したのではな
いかと見ている。「政府及び企業にとり一番の課題は雇用である」、「企業は資本
を生かし、雇用を維持している」
 業界の悩みはまだまだ尽きない。債券評価機構のフィッチは、鉄鋼業界の債務規
模は6000億米ドルに達すると予測する。これだけの大きな債務負担に加え、製品価
格の低迷、需要の低下は、業界全体を赤字状態に陥らせるものである。
 中国鉄鋼工業協会は、昨年の会員の損失額は計645億元としている。しかし、2014年、
これら企業は計226億元の利益を得ていた。
 「政府の後押しがないとしても、市場環境がさらに多くの生産能力を淘汰するは
ずだ」モルガンスタンレー鉄鋼業界アナリストのレイチェル・張は言う。「これは
時間の問題だ」〔参考消息2016年6月20日〕

交通で脱貧困 2016年貧困地区に7000の村道建設の見込み

 「道路が補修され、15分で市街地へ行くことができる。行商人は車を直接農家の
入り口につけて買いつけを行い、リンゴがよく売れる」
 甘粛省平凉市静寧県余湾郷韓店村の村民である趙勤勤さんは、リンゴの栽培で年
収10万元、現在実家を新築中である。
 しかし、以前は現状とは異なり、村民たちはリンゴを売るためにかごを背負い、
リンゴの単価も低くロスも多かった。収入も少なく、彼らが貧困から脱することは
難しい状態にあった。
 長年、交通運輸は貧困地区の発展のネック、最大の「弱点」の一つであった。
 第12次五カ年計画期間、特別貧困地区に集中して6.6万キロの国・省道、及び36
万キロの村道が建設され、多くの行きどまり道路、ボトルネック区画は開通し、貧
困地区が完全に孤立する局面は打開された。
 平凉市静寧県は六盤山の西麓に位置する国家級貧困県であり、山岳地及び乾燥地
が耕地の92%を占めている。
 厳しい自然環境に加え、立ちおくれた交通インフラにより、リンゴを多く生産す
るこの県が特産品によって貧困から脱することはできなかった。
 しかし、2014年、交通運輸部がこの県を六盤山特別貧困地域交通脱貧困支援モデ
ル県に定めてより、この「リンゴの里」には変化が訪れた。
 「以前は、長い道のりをかごを背に歩き、リンゴは必ず売り切らねばならなかっ
たため、単価はとても低く設定された。その後はオート三輪で運ばれたが、雨や雪
など天候の影響を受け、また交通事故もたびたび発生し、年間生産量の1割は輸送
の途上においてその商品価値を失った」
 「一本の道路の補修は、経済の橋を一つかけることに等しい」余湾郷韓店村の村
民である趙安寧さんはこのように語った。
 韓店村から市街地へ向けた静秦公路が開通し、全長8.6キロに及ぶこの道路は、
近隣の羊路、陰〓、胡同、花咀の4村をつなぐ。
 他の村民たちも趙安寧さん同様、かごを背にして一回一回外へ運ぶことも、苦労
して育てたリンゴを売ることができず地べたで腐らせてしまうこともなくなった。
 道路が開通し、情報は伝達され、心は解放的に。山奥に閉じ込められていた村落
と外の世界がつながった。村道は農民にとって脱貧困・収入増加を実現する「開発
道路」となり、これによって貧困地区の住民は「ゆとりある生活」の夢へとまた一
歩近づいた。
 余湾郷の万里果品電子商務体験館ではうずたかく積み上げられた速達伝票が目を
引く。「これらはすべてネット注文によるもので、客は江蘇省、浙江省、上海市、
北京市に多い」
 静寧県の紅六福果業公司の王志偉社長によれば、農村道路が補修されて以降、物
流コストは大幅に減少し、集荷、出荷が手軽になり、オンライン、オフライン双方
での販売が可能となった。
 「自宅前まで道路が補修され、ゆとりある生活が目前に迫る」全国の多くの地域
で余湾郷と同様のことが起こっている。
 「補修されたは道路、富むは民、打ち立てるはブランド、つなぐは心」これはた
だの貧困地区の標語ではなく、貧困にあえぐ人々の心の声であり、交通が貧困から
人々を救うという真実の描写なのである。
 第12次五カ年計画期間、全国で改装された農村道路は107万キロメートル。車両
通行可能距離は全長398万キロメートルに達し、新設された村道は全国で5000本、
840もの郷鎮及び7.8万もの行政村でコンクリートの道路が敷かれた。
 しかし、いまだ4つの郷鎮及び826の村では道路が開通しておらず、西部地区の行
政村におけるコンクリート道路開通率は81.6%である。
 交通運輸部の関係者によれば、第13次五カ年計画期間、貧困地区の交通運輸ネッ
トワーク建設を推進加速させ、「交通+」という形をもって、「村の内外が相互に
連絡し、村へのアクセスがスムーズで、バスは村まで運行し、安全便利」とう交通
運輸ネットワークを構築すること、また全面的に運輸サービスの能力を引き上げる
ことを目標として、交通による脱貧困の効果を高める。
 2016年、貧困地区の7000の行政村にコンクリート道路が開通する見込みである。
注)〓は、「ノ」の下に山
〔新華網2016年7月3日〕
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