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経済と都市化に影響される人口流動

過去5年の人口変化 広東の増加が最多、東北は伸びが最低

 地域経済の変化も人口の流動に影響を与えている。過去5年間、広東の人口増加
数は最も多く、天津の人口増加の伸びが最も高かった。一方、東北の遼寧、吉林は
人口増加数、人口増加の伸びとも最も低かった。
 記者は30省の2015年中国全国の人口1%のサンプリング調査データを分析し、2010
年の第6回全国人口センサスと比較し、以上の結論を得た。なお、黒龍江のデータ
は未発表のため、統計に入れていない。
〈広東は5年で418万人増〉
 人口センサスは10年に1回、全国の13億の人口を対象に行ってきているが、家庭
ごとに人数を調べるというのは容易なことではない。人口の状況は絶えず変化して
おり、このような変化の状況を小まめに把握するには、人口センサスと人口センサ
スの間にやや大規模な人口調査を行う必要があり、これは人口小センサスと言われる。
 それによると、過去5年の人口増加数が100万を上回った17省のうち、200万を上
回った7省は広東、山東、天津、河北、重慶、北京、湖南だった。
 広東は人口総数が全国トップであるだけでなく増加数も全国最多で、5年で418万
増加し、人口総数は1億849万に達した。広東省の各市では、深センの人口増加が最
も多く5年で102万、広州は80万増加した。なお、製造業で有名な大都市である仏山
は23.63万、東莞は3.41万増加と比較的少なかった。
 広東を除くと、他省の過去5年の人口増加はどこも300万以下だった。2位の山東
は267.8万増加したが、山東の人口基数を考慮すれば、人口増加の伸びは大きいと
は言えない。3位は直轄市の天津で、5年で247万増加した。このほか、河北、重慶、
北京、湖南は5年で200万を上回った。
 人口増加数、人口増加の伸びは各地の人口成長率の変化を反映している。人口成
長率が4%を上回る11省は天津、北京、重慶、上海の四大直轄市を含み、やはり大都
市は人口が集まる重点地域である。
 人口成長率が最も高い天津は、5年で19.15%増に達した。天津の人口増加数が3位
であることを考慮すると、天津は過去5年の人口増加が最も速い省と言える。
 その主な原因は、2006年から天津が「大スター」になったからである。一連の大
プロジェクト、大型投資により、2007年以降天津では高成長が始まった。2010年以
降、天津は内モンゴルにかわり4年連続人口成長率が全国トップとなった。だが、
2014年以降、人口成長率トップは重慶にかわった。経済の高度成長も大量の人材と
産業労働者を引きつけた。
 直轄市のほか、人口成長率が上位にあるのは、新疆ウイグル、チベット、寧夏、
海南、青海、広西といった西部、南部の辺境地域である。これらの省の大部分は少
数民族地域で、人口密度が小さく、計画出産政策が緩く、人口の成長が速い。
 このほか、広東の人口成長率も4.01%に達し、増加の伸びは11位だった。広東に
は一線都市が2都市あり、人口流入の重点地域である。このほか、広東の多くの地
域の出生率は一貫して高い。類似の状況は福建にもあり、福建の過去5年間の人口
成長率も3.93%に達した。
 一方、同様に沿海の経済が発達している省である江蘇・浙江は福建・広東とかけ
離れ、過去5年の浙江の人口成長率は1.77%、江蘇は1.36%にすぎず、下から4番目で
ある。江蘇・浙江の人口の増加の伸びが鈍化しているのは、ここ数年来の産業の構
造転換、高度化のほか、教育水準が高く、都市化率が高く、計画出産政策の執行が
徹底されていたことに起因する。
 1つの省の内部でも、それぞれの都市の人口成長率の違いも大きくなっている。
 福建を例にとると、省の過去5年の人口は3.93%だが、沿海の厦門、福州、泉州の
人口成長率は速く、省全体の率を引き上げている。一方、山間部の市、三明、南平
等の人口成長率は緩慢で、減少が鮮明である。
〈長江上流、中流の人口回帰はっきり〉
 注目すべき点として、長江上流、中流の省、湖南、湖北、重慶、貴州、安徽、隣
接する広東、広西では、過去5年の人口の増加数や人口成長率は2000年代の10年よ
り大きい。つまり、2008年以降、沿海地域の産業が中西部に移転し、これらの地方
の人口の回帰もはっきり見られる。
 例えば、重慶の2000年代の10年の常住人口はマイナス6.67%成長だったが、過去5
年は7.7%増だった。この大きな原因は、重慶が直轄市となっても、総面積は8.24万
平方キロメートル、人口は3000万強、中規模の省に相当し、郊県の人口が少なくと
も3分の2を占めたからである。
 これまでの郊県の人口は、中心市街地へ向かうほか、多くは東南の沿海の経済が
発達した地域へと流動した。しかし、ここ数年、一連の電子大手の立地、重慶経済
の高度成長に伴い、郊区、郊県の人口は沿海部に流れなくなり、重慶にとどまり、
重慶の中心市街地で働くようになった。
 重慶との類似で、湖北は2000年代の常住人口はマイナス5%成長だったが、過去5
年は2.23%増だった。四川は2000年代はマイナス3.45%成長で、過去5年は2.01%増だ
った。貴州、安徽、湖南の過去5年の人口の増加の伸びもほとんど2000年代より多
くなった。
 東北、華北、西北等の地域はエネルギー、重化学工業等の従来型産業に依存し、
産業構造が古くなっているが、長江上流、中流地域の産業構造は多様で、エネルギ
ーは経済システムに組み込まれ、エネルギー価格の下落の打撃も比較的小さい。
 特に、交通・運輸の条件が改善し、2008年以降、これらの地域は珠江デルタ、長
江デルタの大量の企業移転の立地を引きつけた。例えば、製造業では、設備製造、
電子情報、ハイテクが良好に発展している。したがって、多くの出稼ぎ人口も郷里
の省にとどまることを選択し、近くで就業している。
 過去5年の常住人口の増加の伸びが最も低い省は吉林、遼寧、河南等だった。特
に、東北の遼寧と吉林は過去5年の人口の増加数はわずか10.8万、8万しかなく、人
口成長率はわずか0.24%、0.29%だった。
 ここ数年はエネルギー価格の下落により、これらの省の経済は大きな影響を受け
ている。東北地域の産業構造は重工業が多く、軽工業が少なく不合理で、このこと
が就業不足を招き、人口は南下している。
 事実上2012年から遼寧の常住人口の増加の伸びは減少傾向があらわれ、その後の
3年間、毎年の新規増加人口数は1―1.4万を維持していた。2014年比で2015年の遼
寧の常住人口は9万人減り、過去17年で初めてマイナス成長となった。
〔第一財経日報2016年8月30日〕

広東の人口流動に重大な変化 人口密度世界最多

 人類の歴史上最大規模の都市化が中国で発生中だ。しかも、広東省は目下、事実
上中国で生活人口が最も多く、外来人口も最も多い。広東の人口流動を研究するこ
とは都市発展の趨勢を判断する材料として極めて有益である。
 政府の居住人口統計に食い違いが存在するために、制約はあるがいまだ人口変動
の研究に小学生数を使っている。小学生数を使った統計は、例えば大都市の実際の
人口の伸びが縮小すれば、農村や小都市の人口の流出速度が縮小したとする。その
原因は簡単で、人口の流出と増加は青年、壮年の労働力が主、先で、高齢者や子供
は従、後だからである。
 以下は、広東省の21(以下、原文まま)の地級市の2015年の小学生数を2010年と
比較したものであり、表の単位は万人である。関連データが見つからないため、清
遠のデータは2009年と2014年で、潮州の2010年の欄のデータは2013年のものである。
▽広東省の21の地級市の小学生数の推移(万人)(2010年降順)
  2010年  2015年  増加の伸び
1 深セン市 61.9  86.5  40%   11 韶関市  20.7  21.8  5%
2 東莞市  55.2  71.9  30%   12 雲浮市  19.7  20.7  5%
3 恵州市  39.8  50.4  27%   13 江門市  30.2  30.6  1%
4 珠海市  12.6  14.9  18%   14 潮州市  18.4  19.3  -5%
5 陽江市  17.5  20.7  18%   15 肇慶市  36.8  34.3  -7%
6 中山市  23.8  27.7  16%   16 汕頭市  56.8  50  -12%
7 広州市  82.5  93.8  14%   17 茂名市  66.7  57.7  -13%
8 仏山市  43.8  49   12%   18 湛江市  75.4  57  -24%
9 河源市  25.5  27.8  9%    19 掲陽市  65.4  49.1  -25%
10 清遠市  29.7  28.2  5%    20 汕尾市  35.4  24.5  -31%
 この表は5年間の小学生の増加率をランキングしたもので、以下の問題を見出せる。
1) 深セン、隣り合わせる東莞と恵州は、広東省全体の人口増が最も良好な3都市で
ある。
 広東の21の地級市のうち、9都市は経済が進んでいる珠江デルタに属し、残り12
都市も珠江デルタの周辺部である。珠江デルタ9都市を広東省はさらに「深莞恵」
(深セン、東莞、恵州)、「広仏肇」(広州、仏山、肇慶)、「珠中江」(珠江、
中山、江門)の3グループに区分し、3つの小都市圏としている。
 以下を踏まえると、「深莞恵」が人口競争力が最も高い都市圏である。
2) 「珠中江」珠海、中山、江門グループは、「広仏肇」広州、佛山、肇慶グルー
プより強い。言いかえれば、「広仏肇」という地理的位置のうち、行政レベルが最
も高い場所は既に非主流となっている。しかも、広州は人口の伸びが8位まで下が
り、専門家の予想を覆す結果となっている。
3) 陽江の人口競争力がこんなに高いのは意外である。ほかにも、韶関、清遠、雲
浮がずっと成長していることも想定外である。特に、雲浮の経済力は広東の21の地
級市の最下位である。
4) 人口の流出が著しい7都市は、基本的に広東の東西両端に位置する。そのうち、
東部の「大潮汕地区」(掲陽、汕頭、潮州)は人口流出地域にある。広東の人口流
出が最も深刻なのは、汕尾、掲陽、湛江である。これらの地域の転出人口の圧倒的
多数は珠江デルタに向かった。広東省内部にも著しい人口流動、人口集中現象が存
在する。
▽広東省の21の地級市の小学生数の推移(万人)(2015年降順)
  2010年  2015年  増加の伸び
1 広州市  82.5  93.8  14%   11 江門市  30.2  30.6  1%
2 深セン市 61.9  86.5  40%   12 清遠市  29.7  28.2  5%
3 東莞市  55.2  71.9  30%   13 河源市  25.5  27.8  9%
4 茂名市  66.7  57.7  -13%   14 中山市  23.8  27.7  16%
5 湛江市  75.4  57   -24%   15 汕尾市  35.4  24.5  -31%
6 恵州市  39.8  50.4  27%   16 韶関市  20.7  21.8  5%
7 汕頭市  56.8  50   -12%   17 陽江市  17.5  20.7  18%
8 掲陽市  65.4  49.1  -25%   18 雲浮市  19.7  20.7  5%
9 仏山市  43.8  49   12%   19 潮州市  18.4  19.3  -5%
10 肇慶市  36.8  34.3  -7%   20 珠海市  12.6  14.9  18%
 上の図の2015年の小学生数ランキングから幾つかの問題に気づかされる。
5) 小学生数では、広州で実際に生活する人口は深センを上回るはずで、深セン政
府は「実際の管理人口は2000万を上回った」としている以上、広州でもしかりであ
ろう。
6) 東莞で実際に生活する人口も政府が発表する常住人口数(825万)を上回る。住
宅価格が比較的低いことを考慮すれば、外来人口の生活コストは低く、子供を近く
に置いておきやすい等の要素があり、東莞で生活する人口は大体1200―1500万前後
(携帯電話のユーザー数が1757万)と推測できる。
7) 深セン、香港、東莞の総面積は5600平方キロメートルで、上海の面積の89%、北
京の面積の34%に相当するが、香港・深セン・東莞の実際の生活総人口は4000万を
上回り、北京・上海を大きく上回る。
 だから、香港・深セン・東莞は中国第一の都市で、基本的に世界の人口密度が最
も高い地域である。
8) 香港・深セン・東莞の今年6月までに集めた資金総量はそれぞれ10兆、6.2兆、1
兆と総量は17.2兆で、北京の13.8兆、上海の10.5兆を上回り中国の資金量が最も集
中する地域である。
9) 恵州の実際の生活人口は数年後に広東省の第4位にまではね上がり、仏山は第5
位にまではね上がるだろう。
10) 珠海の住宅価格は現在広東省の3位で、東莞、仏山を上回る。しかし、表で見
るところ、珠海の人口は最も少ない。
11) 不動産市場の投資価値では深セン、広州という2副省級都市は最も前途がある。
次が東莞、恵州、仏山、珠海、中山の一部地域である。人口が明らかに流出してい
る幾つかの都市では軽々に投資住宅を購入しない方がいい。
〔和訊名家2016年8月25日〕
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