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経済社会の進展に伴う春節の伝統の希薄化

農民工「故郷に帰ったら戻らない」 大都市でのチャンス減

 中国の近代都市で一旗上げようという考えは捨て、張志浩(音訳)はこの春節に
農村に戻った。そこは彼が「家」と言える場所であり、もう故郷から離れないだろ
う。経済成長が減速し、数千人以上の中国人が大都市から立ち去って戻らない。張
志浩もその1人である。
 中国経済の繁栄は張志浩のような農民工によってつくられたものである。張志浩
が2015年に北京に来たときには21歳、貧しい故郷を離れ、自信にあふれていたし、
努力すれば財産を築けると思っていた。
 しかし、賃金未払いや工場の海外移転は多くの農民工にも不安定さを感じさせ、
張志浩も御多分に漏れず大工を廃業し、自分の生まれ故郷の村で農業の仕事を探す
ことにしている。
 「家具工場で仕事をしていたが1日200元しか稼げないし、何日も仕事がなければ
給料は入らない」このとき既に張志浩は故郷に帰る列車に乗っていた。彼の故郷は
中部地域の河南省にあり、片道10時間かかる。
 約2.8億人の中国人が農村から近代的な都市へと出稼ぎに向かった。彼らは子供
を故郷に残し、より過酷な労働にたえ、より高い給料を求めていた。
 厳格な居住登記規定により、6000万人を超える「留守児童」が彼らの祖父母や親
戚とともに生活している。農民工はこれらの代償を払ってでも明るい未来に賭けて
いる。
 しかし、これらの未来には現在、不確実性があふれている。
 中国の2016年の経済成長率は6.7%にすぎず、2015年の6.9%よりさらに低く、加え
て2015年の経済成長率は25年ぶりの最低の記録となった。
 政府データによると、農民工の平均賃金は毎月約3000元だが、賃金の伸びは減速
しており、2011年には21%だったが、2015年は7.2%でしかない。ブルームバーグが
以前実施した専門家調査結果でも、2016年の農民工の賃金の伸びはさらに一段と下
がっていた。
 多くの工場は生産ラインを既に人件費が低い国、例えばカンボジアやベトナムに
移している。
 繁栄し発展している沿海都市の生活コストはますます上がり、このことも農民工
が故郷に戻って仕事をすることを考えさせている。〔参考消息2017年2月1日〕

春節の雰囲気が薄れたのか 社会が多元化したのか

 きょうは春節の6日目、2017年の春節休暇も終わりに近づいた。ネットで年越し
用品を選ぶ人もいれば、旅行することを選ぶ人もいれば、微信で新年の挨拶をする
人もいた。
 今日、中国の伝統的な文化において最も重要なこの祝日において、伝統的な風俗
習慣を守ることは本当に薄れてしまったのか、春節の雰囲気はどこに行ってしまっ
たのだろうか。
〈ネットで年越し用品 伝統的な春節の雰囲気が薄れる〉
 インターネットは中国人の消費方法を変え、人々の年越し用品を購入するルート
を広げた。先日発表された第39回「中国インターネット発展状況統計報告」による
と、2016年、中国のモバイル決済ユーザー数は4.69億人に急増し、年間成長率は
31.2%だった。
 山東省煙台に住む張建は、一部の年越し用品をネットで購入した。「私にとって
のネットと実体店の最大の違いは、スーパーを見て回るのは時間がかかるし、商品
を自分で運ぶ必要があるということだ」
 ここ数年、張建は春節前に仕事が忙しく、年越し用品を購入する時間に忙殺され
ていたため、ネットでの購入で時間短縮を図った。
 しかし、率直に言えば、ネットでの購入では、例年の年越し用品市場やスーパー
でたばこ、酒、あめ、お茶を買うという春節の雰囲気が薄れてしまう。「結局、家
族で年越し用品を選びに行けば、スーパーの飾り物も見えるし、人出も多い、この
感覚とは違うということだ」
〈年越しにお見合いさせられ仕方なく旅行を選ぶ〉
 年越しの方式の変遷は年越し用品のネット購入から始まるが、これだけではない。
現在、春節休暇を使っての旅行は多くの人あるいは家族の選択肢になっている。
 国家観光局のサイトのデータによると、2017年1月30日、中国の観光客総数は延
べ6310万人で前期比15.1%増だった。春節休暇の前半4日間では、中国の観光客総数
は累計2.58億人で前期比14.2%増だった。
 しかし、仕方なく旅行に行く人もいた。湖南省株洲に住む陳威は、春節2日目に
「タイに逃げた」。
 北京で働く陳威は30歳で、年越しで帰省するたびに家族からお見合いをセットさ
れるので、海外旅行がそれを打破する突破口となった。
 「春節自救指南」という歌が今年春節直前にネットで人気になったが、この歌詞
は、帰省して年越しする青年が親戚による「拷問」にさらされるときの愛情観や仕
事観を描いている。
 多くのネットユーザーはこの歌を自分の心の声として歌っており、結婚やお見合
いへの嫌悪感が既にコンセンサスになっている。
 「タイの景色は美しいし、海風はきれい、塩臭くないし、見合いもない」陳威は
年越し旅行を選んでよかったと言い、異国の春節の雰囲気は薄いが、ちっとも気に
ならないという。
 「毎年見合いさせられるようになってから、春節の雰囲気はとうになくなってい
る」
〈流動で春節の雰囲気が薄れる どこから流れてきたのか?〉
 陳威と同じように故郷から離れて働く中国人は2.4億人を上回る。
 2016年の国家衛生計画出産委員会が発表した「中国流動人口発展報告」によると、
2015年の中国の流動人口規模は総人口の18%を占め、6人中1人が「漂って」いるこ
とになる。
 今年1月13日から始まった年に1度の春運では、数億もの流動人口が年越しのため
に家路に向ったが、安定しない心理状態は春節休暇でも完全に癒やせない。
 河北省石家荘に住む李峰は、春節の雰囲気で最も重要なのは春節前日夜のための
準備だと考えるが、北京で仕事をしているとなると、往々にしてその1日前にしか
家に帰れない。
 「私が帰省するのを待って、家は既にきれいに掃除されているし、買うべき年越
し用品は既に買われているし、仕込むべきぎょうざも既に仕込まれている、年越し
は短い休みにすぎない」李峰は言う。
 華中師範大学社会学院の金小紅副教授は、この帰結は一種の「根なし草」という
心理状態で、社会の経済水準が向上しても自己の文化が必要であり、みずからの故
郷文化に対する帰属感が足りなければこのような心理状態になるかもしれないと見
ている。
〈春節の雰囲気が薄れたのか、社会が多元化したのか〉
 アリペイの五福を集めるキャンペーン、微信での新年の挨拶や紅包の取り合いな
ど、幾つかの古い習慣は経済社会の発展に伴って徐々に薄れており、一方で幾つか
の新しい新年の挨拶方法が徐々に習慣となってきている。
 北京民俗学会の高巍秘書長は以前、社会の転換時期では、幾つかの春節の雰囲気
は薄れるか風俗習慣が変化するが、これはとても正常なことであるとしていた。
 金小紅副教授によると、以前、年越しといえば、親しい友人と飲み食いし、マー
ジャンをしたものだが、経済条件が改善するにつれ、現在多くが旅行等で年越しす
ることを選び、集団で集まって一緒に祝日を祝うという割合は下がっている。
 「都市での生活にはさらに多元化した選択肢がある。これは消費レベルの向上の
あらわれで、社会自身が発展し、年越しの文化形式と内容の表現もそれにつれて変
化している」(金小紅副教授)
 しかし、現代人は春節休暇で精神的な豊かさを築く必要がある。
 「春節には休みの期間があり、どこに行っても真っ赤なちょうちんがかかってい
るが、春節の雰囲気が薄れていると感じる」金小紅副教授は、人が物質的な価値観
の追求のほか、さらに多くの楽しさの追求があるべきだと見ている。
 例えば年越しの見合いが生み出す衝突などは、多元化した価値観がもたらした避
けがたい世代間の対立である。年越しをきっかけに、完全に異なる人が相対して相
互に意思疎通を行うことから、往々にして気まずさと対立が一緒に爆発することに
なる。
 「小都市あるいは農村から外部で働く青年について、家族や親戚は役割と社会へ
の期待を持つ。しかし、このような若者は大都市に流動し、さらに多元的な価値観
を知り、伝統的な生活要素がとても重要だと考えなくなる」(金小紅副教授)
 しかし、一方で、親類関係では、若者は年長者や家族の彼らに対する期待に同調
しないわけにはいかず、都市化のプロセスの中で、結婚、消費や個人的な志向など
避けがたい文化の衝突があらわれている。
(文中の人名は仮名)
〔中国新聞網2017年2月2日〕

春節期間 全国観光客数は延べ3.44億人、収入は4233億元

 国家観光局から得た情報によると、2017年の春節期間、全国観光客数は延べ3.44
億人、観光総収入は4233億元だった。中国公民の海外旅行者数は約615万人で前期
比7%増だった。
〈観光キャンペーンが多彩で豊富 総合収入は引き続き増加〉
 春節休暇7日間の観光市場の状況は、休日観光需要が増加、キャンペーンは豊富
で多彩、全国各地で外出熱がアップし、旅行者数、旅行収入はどちらも上昇し、旅
行先で年越しすることが流行になってきている。
 国家観光局データセンターの推計を総合すると、2017年の春節休暇期間の全国観
光客数は延べ3.44億人で前期比13.8%増、観光総収入は4233億元で前期比15.9%増だ
った。
 2022年冬季オリンピックが中国で開催されることから、氷と雪の旅行が人気があ
ったことを受け、大部分の北方地域は2桁成長となった。
 大部分の南方地域の気象条件は外出によく、暖かさを求める旅行は海南から西南
地域の各省区に広がっている。
〈一家で年越し旅行 春節前日にピーク〉
 年越しで家族旅行を選ぶ人が多くなっている。春節の前日、全国では旅行の出発
のピークが到来し、観光客総数は延べ5050万人で前期比10.4%増、観光収入590億元
で前期比13.3%増だった。
 各地の景勝地は、例年の春節休暇初日の寂しい光景から、好調な滑り出しとなった。
 1月27日当日、甘粛省の国内外からの観光客数は延べ86.05万人で、観光収入は5.2
億元、それぞれ前年同期比22.1%増、25.9%増だった。
 湖南省が全省休日モニタリングを行っている72の重点景勝地での観光客数は延べ
56.04万人で、観光収入は4666万元、それぞれ前期比48.5%増、66.49%増だった。
 海南省のこの日の入島者数は延べ15万人で前期比25%増だった。
〈家族と世界へ 世界にチャイナウイーク到来〉
 「全国観光団体サービス管理システム」によると、春節期間において、中国公民
の出国観光客数は約615万人で前期比約7%増だった。そのうち団体ツアー客は37.4
万人で前期比2.5%増だった。
 香港入境事務処が発表したデータによると、春節休暇期間に香港を訪れた中国大
陸の観光客数は69.7万人で前期比3.7%増だった。
 マカオ観光局が発表した入境観光客統計データによると、春節期間にマカオを訪
れた中国大陸の観光客数は53.3万人で前期比8.5%増だった。
 海外への自由旅行客は増加し、高級な海外旅行も急成長している。
 海外旅行客の出身都市は、沿海の経済発達した地域、北京、上海、広州、深セン
等の一線都市から、二、三線都市の内陸部に延伸している。例えば広西で海外旅行
をする人も増加しており、出身省別ランキング上でも上昇している。
〔中国新聞網2017年2月3日〕

春節 東莞が全国トップの空っぽ都市 広東省で4都市

 とり年が到来し、年に1度の春運(旧正月の帰省ラッシュ)もピークに入った。
 先日、360ビッグデータセンターが、9億人のユーザーの春運開始の直前から春節
前日夜までの移動をもとにして、2017年の春節の「空っぽ都市指数」を発表した。
春節十大空っぽ都市ランキングのうち、広東省の4都市が上位5都市に入った。
 春節期間において全国の空っぽ都市率が最も高い十大都市は、東莞、佛山、広州、
深セン、長沙、上海、蘇州、北京、武漢、鄭州。
 東莞は7割(69.26%)の人が帰省で都市を離れ、春節期間における最も空っぽな
都市となった。佛山、広州、深センも6割以上の人が帰省して年越しする。
 北京、上海、広州、深セン等の一線都市、経済が発達している珠江デルタ、長江
デルタ地域は空っぽ都市率が最も高い地域となった。
 広州(61.36%)、深セン(60.76%)、上海(56.76%)、北京(52.01%)は半数以
上の人が帰省して年越しする。
 空っぽ都市のデータによると、これらの一線都市は依然として就業機会、手厚い
給料、便利な公共施設が全国各地の人を引きつけている。
 どのような地域の人が外で働くことを好むのだろうか?
 江西、湖南、河南、安徽、山東などが、外に働きに行く人の主要な出身地である。
 江西は最も懸命に働く省とも言える。外に働きに行く農民工が省全体の人口に占
める割合は7.25%で、全国トップとなった。
 2位から5位は、湖南(7.16%)、河南(6.30%)、安徽(6.27%)、山東(6.05%)
だった。
 全体的に中部地域は外に働きに行く人が多く、人の流れも主に北京、上海、広州、
深セン等の沿海の経済が発達した地域に向かう。
 一線都市では北京が全国の政治の中心であり、最も広範な地域から働きにやって
くる。
 山東、河北、内モンゴル等が北京外からの労働者の主要な出身地である。中でも
山東省の割合が高く、約20%を占める。このほかにも、河南、浙江等の省からも少
なくない。
 北京に対応する経済の中心は上海で、上海外からの労働者は長江デルタから来る。
 安徽、江蘇、浙江の3省で全体の半分を占める。
 広州と深センでは珠江デルタ地域にあり、外からの労働者の人口構成は非常に似
通っていて、大多数は南方地域の省から来る。
 広州では、外からの労働者で最も多いのは広西で、湖南、江西、四川、湖北が上
位5省である。
 深センでは、湖南が最も多く、広西、江西、湖北、四川と続く。
 全体としては、広州と深センは南方出身者が働きに出ようと真っ先に選ぶ都市で
ある。〔南方網2017年2月2日〕
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