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金融包摂へ着々 中国キャッシュレス社会の推進

キャッシュレス連盟成立 アリペイが60億で推す「キャッシュレス社会」

 「4月18日は、前回提出した「中国は5年でキャッシュレス社会に入る」の提唱ま
であと1777日である。中国の経験が全世界のキャッシュレス社会をリードすること
を希望する」
 アント・フィナンシャル(〓蟻金服、アリババ傘下の金融グループ会社)の井賢
棟CEOは、キャッシュレスアライアンス(無現金連盟)の成立式にてこう述べた。
 キャッシュレスアライアンスとは、低炭素理念、イノベーション技術、成熟した
経験の提唱、キャッシュレス決済の普及のことで、キャッシュレス決済を通じてメ
ンバー機構とそのユーザの信用を蓄積し、金融包摂(FI)を推し進め、「全世界範
囲でキャッシュレス決済への転化を加速させる」ことを目標とする。
 アリペイ(支付宝)親会社のアント・フィナンシャルは発起人の一人として、将
来2年においてアライアンスメンバーのキャッシュレスプロセス推進の手助けとし
て60億元を提供することを宣言している。
 井賢棟CEOによると、キャッシュレス社会は商店、機構及び消費者に便宜をもた
らす一歩にすぎない。キャッシュレスは、金融のさらなる包摂化、商業のさらなる
スマート化、社会のさらなる高効率化を可能にする。
 「都市の小売店だけでなく、中国の西部地域、チベット、新疆ウイグル等の地域
でも携帯での支払いができ、モバイル決済は西部、東部都市間の差を最大限なくし、
各人が平等なサービスを受けることができる」
 キャッシュレスアライアンスは、キャッシュレス決済、データ、信用等の能力の
共有を通じて、商店のレジ効率が60%以上となり、かつ取引コストを節約でき、低
炭素排出を削減することができると見込んでいる。3580件の入金は、地球のために
1本の低木を植えることに相当する。
 国際連合環境計画(UNEP)在中国総代表の張世鋼氏は次のように述べる。
 「キャッシュレス社会の意義は、紙の節約だけにとどまらず、金融によるグリー
ン・インクルーシブな(包摂)経済における作用を推進するものである。キャッシ
ュレスアライアンスは、アント・フィナンシャルの社会的責任のあらわれであり、
また、現在の社会に対し低炭素、持続可能な生活、消費スタイルを提供するもので
ある」
 なぜアント・フィナンシャルを提携パートナーとして選んだかということについ
て、張世鋼氏は、医学界の用語を例にとり紹介した。
 「医学界には、微小循環、末梢神経、細胞の3つの概念がある。アント・フィナ
ンシャルの提供する金融サービスは社会の全ての細胞、末梢神経、微小循環に深く
入り込み、各人、各消費者、各零細企業が皆このような金融サービスを享受するこ
とができる」
 また、国連環境計画は、アント・フィナンシャルがグリーン金融の推進を承諾し
たことを特に重視しているとした。
 全国政協委員、杭州副市長の謝双成氏は次のように考える。
 1929年中国で世界博覧会があり、そこから88年後の今日、キャッシュレスアライ
アンスが成立し、新たな時代を開いた。これは生活スタイルの変化だけではなく、
ある種の生産方法の変化である。
 アライアンス初回メンバーとして、レンタサイクルのofo小黄車の連合創始者で
ある張巳丁氏は、キャッシュレスは社会全体の信用データ面におけるさらなる蓄積
を推し進めることができ、長期的な角度から、社会信用、美しい都市の建設を行い、
全ての都市の青空の日がふえ、都市建設に対する意義は非常に大きいとしている。
 現在、国連環境計画、アント・フィナンシャルが理事を務め、15社の初回アライ
アンスメンバーとともに低炭素運営、商業効率のアップを提唱し、現金からキャッ
シュレス決済への転化を加速させている。
 うち、キャッシュレスアライアンス初回メンバーには、アリペイ、カルフール中
国、首都空港、華強電子世界、ofo小黄車、良品舗子、上海ローソン、浙江省新華
書店等が含まれる。
 キャッシュレスアライアンスは既に全世界の商業機構及び組織に対し開放されて
おり、キャッシュレス決済の支持、奨励をし、継続可能な発展及び低炭素運営を提
唱する機構は全てこれに参加することができる。
注)〓は、むしへんに「馬」
〔聯商網2017年4月19日〕

ウィーチャットペイメント12か国進出 タイは全範囲カバー

 中国人海外旅行客は購買力が際立っており、かつて「移動する財布」と称されて
いた。現在、彼らはまさにこのレッテルを投げ捨て、キャッシュレスの「財布を持
たない」という新しいレッテルを掲げ、大海原へと乗り出している。
 ウィーチャットペイメント(微信支付)が提供する越境決済によって、中国観光
客は海外でもウィーチャットを通して人民元で支払うことができ、企業側は外貨を
受け取り、通貨を両替したり、現金で小銭を探したりする面倒はない。
 ウィーチャットペイメントが発表した最新データによると、中国観光客のタイで
の取引件数は、昨年の同時期と比較して6倍伸びていることが明らかになった。
 今年初めの著しいピークは春節で、春節前より104%上昇した。これは同時にタイ
に旅行した中国人数の増加と関連している。
 タイ旅行局の統計によると、毎年、中国からタイに旅行する観光客は年々増加し
ている。
 2016年上半期のタイへの中国観光客は既に470万人を超え、前年同時期と比較し
て約20%増加し、タイは2449億タイバーツ(約462億元)の収入を上げた。2016年12
月から2017年春節まで、タイへの中国観光客は同時期11月と比較して3倍以上増加
している。
 春節のピーク後、ウィーチャットペイメントの効果を企業が認め、主動的に推し
広めて規模の効果が出たため、春節後の取引件数は衰えなかったどころか、かえっ
て上昇している。
 4月の水かけ祭り前夜まで、1日当たり取引件数は春節と比較して最高で38%高く、
さらに別の次元に達した。
 現在タイでは、大きくはバンコクのチェーン免税店から、小さくはチェンマイ、
プーケット島の露店商人まで、既に大規模にウィーチャットペイメントを支持して
いる。2016年11月、タイ全国の9414店のセブンイレブンが全面的にウィーチャット
ペイメントを受け入れ、タイ全土にキャッシュレス体験が深く浸透することになった。
 今のところ、ウィーチャットペイメントはタイの辺鄙な片隅に至るまで中国観光
客の足跡に伴い、ユーザーのために手当たり次第にキャッシュレス体験を提供して
いる。
 現在、ウィーチャットペイメントは既に12カ国・地域に進出し、11の貨幣の直接
決済を支持し、海外旅行する中国観光客のために外貨に両替する面倒をなくしている。
〔聯商網2017年4月19日〕

昨年 中国デジタル決済規模3兆米ドル弱

 国連のベター・ザン・キャッシュ・アライアンスが先日発表したリポートによる
と、アリペイ(支付宝)とウィーチャットペイメント(微信支付)の普及が進み、
2016年、中国のSNS決済(アリペイ、ウィーチャット(微信))の市場規模は2.9兆
米ドルに達し、過去4年間で20倍増となった。
 このリポート「中国SNS、電子商取引プラットフォーム、デジタル決済エコシス
テムの成長――諸外国への影響」によると、既存のプラットフォーム及びネットワ
ークのデジタル決済方式によって、人々が広範なデジタル金融サービスを享受する
だけでなく、中国及びその周辺国家の金融包摂及び経済成長のチャンスが拡大する
と指摘する。
 このリポートには多くの重要な経験及び教訓が含まれており、諸外国がよりよく
現金決済からデジタル決済へと移行する助けとなるものである。
 マッキンゼーが発表した報告によると、2025年までに、支払い方法の転換で、発
展途上国のGDPは6%、3.7兆米ドル、9500万の就職機会が増加する。
 ベター・ザン・キャッシュ・アライアンスのルース・グッドウィン・グロエン総
裁はリポート中において以下のように述べている。
 「SNSと電子商取引は各国で急成長しつつある。中国では、これらのルート(SNS
や電子商取引)でデジタル決済が盛んに成長しており、数百万の消費者が利用して
いる。
 このことで重要なことは、特に女性消費者がモバイル決済で金融サービスを利用
する際、貯蓄、資産増、金融ショックへの対応ができ、それによりチャンスを得て
生活の質の改善が図られることである」
 アント・フィナンシャルの井賢棟CEOはリポート中において以下のように述べて
いる。
 「より多くの消費者に金融サービスを享受してもらうことが当社の核心的な使命
である。より多くの消費者に貯金、投資による資本獲得をしてもらえると誇らしく
感じる。
 これは現在進行中の静かな革命であり、我々のサービスは億を超える消費者に巨
大な影響を与えつつある。しかし、このリポートのいうように、この革命は始まっ
たばかりで、さらに大きな潜在力で、全世界のさらに多くの消費者をこの金融シス
テムに取り込むだろう」
 このリポートのその他の核心的な内容は以下のとおり。
1) より多くの人が貯蓄と投資の機会を得た。アリババや余額宝のようなプラット
フォームは、低所得者層に気楽に各種金融商品を購入させ、消費者が口座の中の残
金を投資に回すことを促し、長期貯蓄を推進する。
 2013年から2016年まで余額宝の取り扱いは飛躍を続け、現在、1170億米ドルの資
金を管理し、1.52億を超えるユーザーにサービスを提供している。
2) デジタル金融は大体において小企業の気軽な資金支援獲得を助けるものである。
 2016年9月現在、アリババ傘下のアント・フィナンシャルは411万社以上の零細企
業及び起業家に7400億元(約1073億元)の貸し出しを行った。
3) これらのプラットフォームで生成されるビッグデータは信用評価履歴記録に役
立ち、消費者、特にそれ以前には金融サービスを享受できなかった低所得者層が便
利に与信サービスを得られるようになった。
 例えば、芝麻信用は、ユーザーの信用記録、金融行動、契約履行能力、身分、SNS
の審査を通じて、別の信用評価方式を提供している。
 このほか、これらの報告書によると、アリペイとウィーチャットは既に海外進出
しており、国際的に幾つかの大型フィンテック及び決済代行業者に投資を行ってい
る。両社は幾つかの主要通信プラットフォームと連携し、既存のSNS及び電子商取
引プラットフォームを使って、デジタル決済や金融包摂の発展を推進している。
1) 南アフリカにおける78%のネット通信流量はモバイル端末からのもので、モバイ
ル流量比率が最も高い地域の一つである。
 モバイルによるネット接続普及率は急激に増加しているが、2016年の調査前1カ
月間にスマホを使って買い物をした消費者は15%にすぎなかった。
2) インドでは、新たな管理政策により、モバイル決済は急激に増加している。ア
ント・フィナンシャルとテンセント(騰訊)は買収によって同市場に参入している。
アント・フィナンシャルとアリババは既にPayTMに9億米ドル以上の投資を行い、技
術の共有を進めている。今現在、PayTMユーザー数は既に過去数年の500万人から2
億人へと増加した。
3) 2016年、インドネシアは世界モバイルECの成長が最も速い市場である。2016年1
月―2017年1月で市場規模は155%増となった。これはおおむね2015年にBBM Payが発
表したインスタントモバイルペイメント(IMP)によるもの。チャットアプリとし
て人気のブラックベリーメッセンジャーはインドネシアで5500万ユーザーを超え、
引き続き増加している。
4) 南米では、市場において既に中国と類似の決済エコシステム構築に必要なイン
フラ条件は整っている。中でも、南米消費者の59%はソーシャルメディアを使って
おり、52%はスマホで利用している。
 これに対し、南米のデジタル決済サービスは整っておらず、決済代行業者は自己
のサービスとこれらソーシャルプラットフォームとを結びつけられずにいるし、逆
も同様である。
〔聯商網2017年4月21日〕
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