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中国女性未婚・低出生率時代の嘆き

人生で1度もなければ、2人目以上を解禁しても出生率は上がらない

 「旅かえる」で、ゲームの中のカエルの子供の帰りを待つことが大いにはやった
とき、あるニュースが中国国内で報じたことは、このゲームは、実は日本の出産管
理部門がゲーム会社と共同で開発したもので、その目的は潜在的に出産意向の高い
若者を探すことであり、1週間連続でこのゲームを遊んでいる人には出産を奨励す
る長文のメールが届くということだった。
 もちろん、これはフェイクニュースであるが、このことは日本の若者がそんなに
子供を産まないことを反映している。2017年、日本国内の出生数は94.1万人で、こ
こ30年来の最低を更新した。
 低出生率で悩んでいるのは日本だけではなく、中国も同様に低出生率の危機を迎
えている。中国の出生率も既に2.1を下回っている。この数字は、世代交代に必要
な最低出生率と言われている。
 少年、少女たちは恋愛やゲームに熱中しているから、結局、結婚や出産といった
人生の一大事について余り興味を持っていないようである。
〈「二人っ子時代」は力強くあらわれない〉
 1971年から中国の出生率は一貫して下降傾向で、これはおのずと「計画出産」政
策の影響であるとされていたが、原因はこのことに限らない。2013年と2016年、中
国では人口増加を刺激するため、両親が一人っ子ならば2人目の出産可、2人目の出
産全面可の政策を相次いで出したが、出生率はいまだに上がっていない。
 2018年1月18日、国家統計局は中国の2017年の出生数データを発表した。それに
よると、2017年の中国の出生者数は1723万人、2016年比63万人減で、国家衛生計画
委員会による2261万人の予想をはるかに下回った。出生率は12.43‰、2016年比で
0.52‰下がった。
 問題はどこにあって、それは二人っ子政策の冷え込みによるものなんだろうか。
 事実上、二人っ子政策は社会のフィードバックを得ている。2017年の出生数デー
タで発表された1723万人の新生児うち、2人目は51%増加し、2016年より11ポイント
高かった。
 つまり、二人っ子政策の力は限定的ではあるが、この政策の推進がなければ、2017
年の出生人口は845万人少なかったことになり、この局面はもっと深刻なものにな
っていたはずだ。
 中国人女性の出産回数別出生率のデータがこの変化を反映している。2004年から
2016年までで、中国の2人目の出生率は約2‰、3人目は約0.5‰上がったが、同時期
の1人目の出生率は26.12‰から16.43‰にまで下がり、約10‰の下落となった。
 1人目の出生率が明らかに下がったことは、恐らく出生率が上昇しない重要な要
素なのかもしれない。
 人口学者は、1人目の出生率と全体の出生率との変化は正の相関関係があり、か
つ、政策の関与がない出産の現状を如実に反映していると見ている。
 このため、2人目解禁となったとしても、中国の1人目の出生率が安定水準を維持
できるかどうかが、かなりの程度において中国の人口数の今後を決定づける。
〈未婚率が下がり出生率が下がる〉
 1人目出生率の上下は出産意識の影響を受けているはずだ。
 衛生計画委員会によると、中国の20―44歳の既婚者層の理想的な子供の数は平均
1.93人だが、実際の子供数(全体の出生率)は出産意欲をはるかに下回り、2015年
はわずか1.05だった。このデータは、新中国建国初期の1955年には6.26だった。
 経済逼迫、就職差別、養育困難等が、子育て夫婦に産むことをためらわせている。
 このほか、中国女性の未婚比率がずっと上がり調子であることも、1人目出生率
が低い重要な原因である。
 中国の年齢別の女性未婚割合は、ここ20年間で、15―19歳の年齢の女性の未婚率
減少を除けば、19歳以上の全ての年齢層では明らかに上昇している。特に、20―24
歳と25―29歳では、未婚率は1999年の52.97%と8.15%から、2017年には73.48%と26.48%
へと、上昇幅はそれぞれ約20ポイントと18ポイントとなり、晩婚現象はますます普
通のことになっている。
 この2つの年齢層は女性の出産ピーク期にあり、未婚率の向上は1人目出生率を下
げる効果は明白で、その上、1人目出生率の減少は全体の出生率の減少に間違いな
く影響する。
 晩婚現象の原因はたくさんある。
 昨今の若者がより独立し、より整った生活や教育を経験することで、みずからの
価値追求を願うようになり、個人の自由をより重視し、婚姻をおくらせるか、婚姻
を望まない若者がますます多くなってきているということである。
 また、結婚や出産がもたらす一連の時間、金銭、労力は高コストであり、多くの
人に尻込みさせるのに十分なほどだということである。
 中国民政部が発表した統計によると、2015年、全国で計1213.4万組の青年男女が
法に基づいて結婚手続を行ったが、この数は2014年比で約100万組近く減少した。
 このことでわかることは、ますます多くの人が結婚という大きな扉の前でうろう
ろしており、出産という大事なことがおのずと放置される問題の一つになっている
ということである。
〈みんな一緒に高齢化していく社会〉
 出生率の低下は人口数の減少と人口の高齢化に直接影響する。
 国連の最新の基準によると、1つの国で65歳以上の高齢者率が7%を上回ると、そ
れは高齢化社会と呼ぶ。国家統計局の「中国統計年鑑」が発表する人口の年齢構造
と高齢者の扶養比率によると、2016年の中国の13.74億人口のうち、65歳以上人口
は既に10.8%を占める。
 時間軸をもう少し長くとって見ると、中国の65歳以上人口が総人口に占める割合
は、1982年にはわずか4.9%だったが、1990年に5.6%、2000年に7.1%、2010年に8.9%、
2016年に10.8%と、高齢化は右肩上がりである。
 30年以上にわたり、中国社会の高齢者の扶養比率は1982年の8%から15%に上がり、
一方、子供の養育比率は54.6%から22.9%に下がった。
 予想できることは、中国社会は今後、高齢化の加速、労働力不足、経済成長エン
ジン不足等のもろもろの問題に直面する必要があり、これらの問題は逆に、出産水
準を抑制し、人口問題を深刻化させる。
 学者のピエール・レーマン氏は、中国の人口の年齢の中央値は、既に1980年の22
歳から、2010年には34歳に上昇しており、この傾向では、2040年には44歳を上回る
かもしれないと見ている。
 今現在、若い男女が「仏系」「養生」などのラベリングに夢中になっているとき
には恐らく意識していないだろうが、自分の前途には、住宅価格の上昇、医療や教
育の高額化のほか、介護しなければならない高齢者がたくさんいる。
 いまだ未婚で子供がいないあなたは、1人、2人あるいは3人の生活のどれを願う
のだろうか。
▽中国女性出生率
1950年 5.81  1985年 2.2
1955年 6.26  1990年 2.31
1960年 4.02  1995年 1.56
1965年 6.08  2000年 1.22
1970年 5.81  2005年 1.33
1975年 3.57  2010年 1.18
1980年 2.24  2015年 1.05
▽中国女性の回数別出生率
 1人目 2人目 3人目以上 出生率
2004年 26.12 10.1 1.79 38.01
2005年 26.53 10.44 1.32 38.29
2006年 21.68 10.9 1.85 34.44
2007年 23.02 10.62 1.36 34.99
2008年 25.04 11.05 1.37 37.46
2009年 26.22 11.18 1.43 38.83
2010年 26.22 11.18 1.43 38.83
2011年 (データなし)
2012年 19.75 8.72 1.29 29.75
2013年 23.38 10.92 1.58 35.89
2014年 22.96 11.11 1.59 35.68
2015年 21.5 13.4 2.41 37.33
2016年 16.43 12.3 2.21 30.93
〔網易2018年2月4日〕
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