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中国人の環境意識の向上と行動力

1人当たり年間100キロ以上 生活ごみはどこへ行った?

 誰もごみが好きではないが、ごみをつくらない人はいない。小包をビリビリとあ
けることの快感、物を捨てることも一種の楽しみである。ここ数年、高度経済成長
が消費増を押し上げるとともに、生活ごみが爆発的な速度で激増している。
 国家統計局の関連統計によると、中国の生活ごみ搬出量は1979年の2508万トンか
ら2016年の2万362万トンに増加し、中国の人口増加速度をはるかに上回るペースで
ある。1人当たり平均でも増加していて、2016年、中国の1人当たり生活ごみ搬出量
は147.3キログラムと30年前の3.2倍だった。
 2010年に上映した記録映画「ごみが都市を包囲する」で、王久良監督は北京周辺
の大小400余りごみ処理場を視察した。外縁のごみ処理場はドーナツ状になり、当
時、北京の「七環路」を構成していた。
 「2017年全国大中都市固形廃棄物汚染環境予防年報」によると、2016年、生活ご
み発生量の上位10都市が5651.2万トンの生活ごみをつくり、全国214の大中都市の
生活ごみ発生量の30%を占めた。そのうち、第1位は上海で879.9万トン、その次が
北京、重慶、広州、深センだった。
 7月2日、国家発展改革委員会は「グリーン発展価格システム促進の革新及び整備
についての意見」を発表し、全国の都市で2020年末までに生活ごみ処理費用徴収制
度を創設することを提案した。具体的には、分類されたごみに対し低い費用徴収を
実施し、分類されていないごみに対し高い費用徴収を実施する。
 価格政策でごみ分類を促進するという、この施策を行う背景には、中国のごみ分
類が意のままにならないという現状がある。2000年、北京、上海、広州、深セン等
8都市を生活ごみ分類収集実験都市とし、中国のごみ分類収集の幕が切って落とさ
れた。しかし、10数年がたっても、分類の普及は生活の中に深く入り込んでいない。
 人民日報の先日の報道によると、中国住民のごみ分類の認知度は90%にも達する
が、分類を比較的正確にできる人は全体の約20%にすぎない。住民が捨てたごみを
ちゃんと分類したとしても、最後に清掃員が車1台で運んでしまっている。
 専門家によると、ごみの分類はごみ処理前の重要なプロセスであり、根本からご
みの減量化や環境汚染削減を実現するための鍵である。現在、中国の生活ごみの無
害化処理率は97%に達し、衛生埋立てや焼却が最も主要な処理方式である。
 ごみ分類を徹底できるかどうかは、ごみ処理に直接的に影響する。例えば、廃プ
ラスチックは溶解しにくく、地下水を汚染するだけでなく、永久的に大量の土地資
源を占用する。ごみを一緒くたに燃焼すれば、有害ガスが排出され、大気汚染をも
たらす。
 この点を踏まえ、大都市では法的整備によりごみ分類推進を次々と始めている。
ちょっと前に「上海市生活ごみ管理条例(草案)」が市の人民代表大会常務委員会
に提出されたが、そこにはごみの4分類という分類基準が明確化され、一般ごみと
生ごみを一緒に捨てることを禁じている。
 しかし、もっと広大な農村地域では、約4分の1の生活ごみは収集や処理がされて
いないどころか、ごみ分類以前の問題となっている。
 住建部が発表した「2016年都市・農村建設統計年鑑」では、都市や県政府所在都
市から郷や鎮へと、生活ごみの処理率と無害化処理率はだんだん下がっていくのが
わかる。村にまで至ると状況は楽観できない。黒龍江や吉林では、3割未満の行政
村が生活ごみの処理を行っているにすぎない。
 「農村の人の居住環境整備は、郷村振興実現の第一の難関」先日、農業農村部の
余欣栄副部長は国務院新聞弁公室の記者会見でこのように述べた。
▽最もごみが多い省(万トン)
上海 880  杭州 366
北京 873  武漢 357
重慶 693  西安 347
広州 688  仏山 341
深セン 572 合計 5651
成都 535
▽1人当たり生活ごみ搬出量(キログラム)
(多い順)         (少ない順)
北京 402  海南 206   貴州 83  河南 96
上海 260  吉林 195   広西 85  河北 97
浙江 256  江蘇 195   江西 87  甘粛 99
広東 217  天津 172   安徽 87  湖南 100
遼寧 213  福建 170   雲南 91  四川 107
▽無害化処理、埋立て割合減少 焼却割合増加
 無害化処理割合(%) 衛生埋立て割合(%) 燃焼割合(%)
2007年 62 81 15  2012年 85 73 25
2008年 67 53 15  2013年 89 68 30
2009年 71 79 18  2014年 92 66 33
2010年 78 78 19  2015年 94 64 34
2011年 80 77 20  2016年 97 60 38
▽黒龍江 生活ごみ管理割合
 生活ごみ処理率(%) 無害化処理率(%)
都市 98.45 96.62
県政府所在地 93.01 85.22
建制鎮 86.03 46.94
郷 70.37 17.03
▽生活ごみ処理を実施している村の割合(%)
北京 90  浙江 93  海南 90
天津 91  安徽 69  重慶 47
河北 52  福建 82  四川 83
山西 48  江西 68  貴州 33
内モンゴル 33  山東 97  雲南 38
遼寧 58  河南 45  陝西 50
吉林 29  湖北 71  甘粛 33
黒龍江 22  湖南 49  青海 35
上海 96  広東 83  寧夏 50
江蘇 96  広西 77  新疆 43
〔新京報新媒体2018年10月12日〕

環境保護通報「12369」 昨年60万件以上の通報

 前月、全国環境保護通報プラットフォームが約7万件の環境保護通報を受けた。
これはわずか1カ月分の通報件数である。2015年には、年間の環境保護通報件数は
わずか1.5万件にすぎなかった。
 2015年から2017年までの3年間で、環境汚染通報件数は40倍になった。社会の環
境保護意識が深まったことは明らかだ。データによると、環境保護通報がより多く
なり、「青空」もより多く見られるようになった。
1. ここ3年で環境保護通報件数が40倍
 2011年、中国では「環境保護通報ホットライン工作管理弁法」が施行された。2014
年まで、全国から「12369」ホットラインに寄せられた環境汚染通報件数は毎年約
1000件余だった。
 その後、「12369環境保護通報」微信プラットフォームが2015年に開通した。こ
の年、環境汚染通報件数は1.5万件まで急増し、前の年の通報件数の10倍増になっ
た。中でも、微信による通報は92.2%を占めた。
 「環境保護微信通報はインターフェースがよく、操作が簡単で、受理速度も速く、
処理プロセスが公開されているといったメリットがあり、導入により人々の愛好と
認知を得た」
 環境保護部のデータによると、導入1年で「12369環境保護通報」の微信公式アカ
ウントのフォロー件数は8.5万人に達した。
 昨年、全国約62万件の環境保護通報のうち、電話通報が6割を超え、微信通報は2
割を占めた。電話とネット通報の前期比の増加率は120%、773%だった。
2. 6省の環境保護通報が最多
 総合的には、江蘇、遼寧、広東、河南、山東、河北の6省の環境保護通報が最も
多かった。しかし、各地住民が選択した通報方式にははっきりと違いがあった。
 直近の8月を例にとると、江蘇での7246件の環境保護通報のうち、7割が電話によ
るものだった。一方、広東の5734件の通報のうち、84%が微信によるものだった。
 データ分析によると、北京、上海、重慶等の直轄市の住民は電話通報を好み、広
東は微信のみを愛する。「12369環境保護通報」微信が開通して以降、広東省の微
信通信件数はトップを維持している。
3. 空気、空気、空気――大気汚染が最多続く
 大気汚染は各種汚染タイプの通報のトップを維持している。次は騒音、水質汚濁
である。昨年の全国環境保護通報のうち、大気汚染の通報が56.7%を占めた。
 大気汚染に関連する通報のうち、悪臭や異臭問題の対応が最も多く、次に粉じん
や工業廃棄ガス汚染である。
 季節により人々が通報する環境問題も異なる。7、8月には、特に南方地区で、夏
のために気温が高く、悪臭や異臭の通報が際立ってあらわれる。一方、11、12月は、
冬の暖房の排出する煙や粉じんにより、北方地域の粉じんやほこりの通報数量が上
昇している。
 建設業界、ホテルレストラン娯楽業は一貫して通報件数が多い業界である。主に
通報される問題は、夜間施工による騒音、レストランの油煙、娯楽施設の騒音である。
 ごみ処理業界の通報が少ないのは予想外で、昨年約62万件の環境保護通報のうち、
ごみ処理業界の占める割合はわずか3%だった。件数は少ないが、他の業界に比べる
とごみ処理業界の重複通報率は最も高かった。
4. 環境保護通報が多くなり、青空も多くなる
 汚染問題はずっと存在し、通報件数が増加し続けている根本原因は、人々の環境
意識が高まっていることがある。
 人々の通報や環境保護部門の確認や検査により、各地の環境汚染は明らかによく
なった。大気汚染を例にとると、過去3年間、全国の平均優良日数は76.7%から79.4%
に上昇し、中でも重度汚染日数の割合はそれぞれ1.3%と1.7%下がった。
 中国環境モニタリングステーションの昨年8月と今年8月のデータによると、全国
の重点地域のうち、京津冀、長江デルタ、珠江デルタ地域の平均大気品質優良日数
は65%以上だったが、汾渭平原の平均大気品質優良日数は相対的に低く、50%未満だ
った。
 環境保護部のデータによると、全ての通報案件のうち、確認に属するものが約7
割を占め、約1割の通報は手がかりが不明か環境管理範囲に属さずに未受理になった。
 「陳情条例」によると、「陳情事項は受理してから60日以内に処理しなければな
らない」と規定されている。環境保護通報の処理状況では、昨年、通報された平均
受理時間は3.7日、平均処理終了時間は22.8日だった。
 「期限内に改善」「現場の是正」は環境保護部門の通報状況確認後の主な処理方
法で、それぞれ33%、29.4%だった。さらに約20%の通報された企業は生産停止の管
理、取締り、閉鎖となり、また経済的な処罰が全体の通報案件の5%占めた。
▽全国12369環境通報処理状況件数
 電話 ネット 微信
2015年   1145   13719
2016年 185919 11208 65882
2017年 409548 97885 129423
2018年1―8月 212909 56003 161128
 電話 ネット 微信
江蘇 5093 631 1522
遼寧 4243 310 1800
広東 104 793 4837
河南 2048 538 2098
山東 1843 767 1699
河北 1332 546 1955
▽環境保護通報の内訳
 2017年 2018年1―8月
大気汚染 56.7% 53.1%
騒音 34.6% 37.7%
水質汚濁 10.7% 13.8%
固形廃棄物 2.0% 6.9%
放射能 0.8% 3.6%
自然破壊 0.4% 1.2%
▽重点地域の平均大気品質優良日数の割合
 2017年8月 2018年8月
京津冀 74.2% 64.5%
北京 67.5% 52.7%
長江デルタ 67.5% 90.3%
上海 61.3% 53.7%
珠江デルタ 88.4% 83.9%
広州 87.1% 82.8%
〔新京報新媒体2018年9月26日〕
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