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中国新中産階級の消費動向を読み解く

新中産階級読解 1杯のミルクティーで分かる4大消費動向

 2018年9月20日、呉暁波チャンネルは「2018新中産階級白書」を正式に発表した。
 同チャンネルは、2015年から4年にわたり新中産階級の研究を続け、10万余名の
調査、500余名への詳しいインタビューを行い、また、京東ビッグデータ研究院、
脈脈データ研究院、艾瑞コンサルティング、易観等のデータプラットフォームのデ
ータを集結し、新中産階級の消費、投資、職業、家庭及び価値観等に対し全面的な
分析とまとめを行った。
〈消費アップとは一体どの方面か〉
 消費アップには以下の3方面がある。
1、買ったことのない新しいものに大金を払う
 白書は、直近3年で新たにふえてきた家電普及率を統計している。うち、浄水器、
加湿器、空気清浄機等は、以前は少数派の家電だったが、ここ3年で販売量はトッ
プ6に入り、新中産家庭への浸透率は50%を超えている。
 多くの家庭が浄水システムを購入しているといったようなことは日常生活の中か
らも感じ取れる。以前、私たちは飲用水を全て沸かしていたが、今は、飲用水どこ
ろか、シャワーの水さえもろ過したものになっている。
2、古いもののアップグレードに大金を払う
 過去2年、カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機の購入価格は明らかに上昇傾向にある。
以前、2000―4000元で購入していた従来家電と比べ、より多くの割増価格を払って、
より大きく、より品質の高い家電を求めるようになっている。プロジェクターを交
換しホームシアターをつくった家などもある。
3、同じ金額で、より獲得感の強いよいものを求める
 「2018新中産階級白書」は、ネット通販プラットフォームの使用頻度増加につい
ても統計を行った。
 確かに、ここ2年のタオバオと京東の勢いは健在だが、新中産グループにおける
タオバオと京東の使用頻度は下がっている。増加速度が最も早いのは、越境ECとOEM
高級ブランドネット通販プラットフォームである。
 消費レベルには3レベルある。必須消費、実益消費、娯楽消費である。
1、最低レベルは必須消費である。文字どおり、衣食住は日常生活における最も基
本的な支出であり、消費レベルアップ部分とはならない。
2、中間レベルは実益消費である。消費というよりは自己投資的な支出である。
 ここ数年、知識消費とフィットネスという2つの実益消費が突出してきている。50%
の新中産はオンライン知識商品を購入して自己の知識と技能アップを行い、41%の
新中産は毎年多額の金を払ってプライベートレッスン、フィットネスマンスリーカ
ードを買い、みずからをより健康にし、腹筋ラインを自慢しようとしている。
3、最高レベルは娯楽消費である。いかなるときも幸福感と心地よさをもたらして
くれる消費である。
 つまりは、金で楽しみを買うことであり、60%の新中産が年1回の旅行習慣を形成
し、24%の家庭がスマート便座を買っている。
〈新中産の消費特徴〉
 新中産の消費アップグレードにはどのような特徴があるかについて、「2018新中
産階級白書」の大型と小型関連データを抜き出して解説する。大型は新家電であり、
小型はミルクティー、コーヒーである。
 今年の白書の前期調査インタビューにおいて、新中産は家電が彼らの生活品質を
最もよくあらわす指標だと考えており、ミルクティー、コーヒーは毎日の必需品で
ある。家電とミルクティー、コーヒーは新中産のどのような消費傾向をあらわして
いるかについて見ていこう。
1、第一傾向
 スターバックス店舗の中国での増長は非常に早く、毎年30%増となっている。
「2018新中産階級白書」前期調査インタビューにおける、なぜスターバックスが好
きかという問いに対し、ほぼ全ての人が「雰囲気がよく、品がある」と回答した。
ここから、雰囲気の方がコーヒーの味より重要性が高いことがわかる。
 ここ数年、「ミルクティー店開業者は群れているのに、ミルクティーを買うのに
は行列」という奇妙な現象があらわれている。ネットでのミルクティー店の人気が
最も高まっていたときは、ミルクティーを買うのに7時間並ばなければならなかった。
 よく観察してみると、これらの列に並んだ人々がミルクティーを手にしたときの
初めの動作は、急いで一口飲むことではなく、写真を撮って微信のモーメンツにア
ップすることである。これはミルクティーの稀少性がより多くの体験付加価値を与
えたためである。
 ある小さな成果を祝うため、会社が社員に対し1人2杯までで2時間並んでやっと
手に入れることのできるミルクティーを100杯買ったとしたら、100杯のコーラを買
うよりも社員に対し栄誉感を与え、社員によるモーメンツでの会社広告となるので
はないだろうか。
 彼女に1杯15元のミルクティーを買ってあげたというのは安上がりな感じがする
が、3時間並んでやっと手に入れたミルクティーを贈った場合、その値段は重要で
はなくなるのではないだろうか。
 これはミルクティーのもたらす体験であり、ミルクティーの味や値段は重要では
ない。
 新中産への調査の中で、その消費増加が最も顕著だった10方面において、衣服の
みが実物商品であり、それもランクは低く第9位である。その他9つは全て体験型消
費であり、うち第1位は学習、第2位は旅行である。
 新中産は物質が不足している時代を既に通り過ぎ、消費に対するより高い需要が
出てきている。体験型需要はその傾向となっている。
2、第二傾向
 15年前のミルクティーを注文するときを思い出してほしい。「済みません、ミル
クティー1杯」。せいぜい、これに加えて「タピオカ抜きで」の一言を加える程度
で、それ以上の第三の選択はなかった。
 今は、紅茶、緑茶又はジュース、甘さの程度、アイス又はホット、タピオカ・プ
リン・もち米・ナタデココなど、理論上、ミルクティー店には組み合わせにより3000
以上の異なるミルクティーができることになる。
 私たちの生活において、小さなものではミルクティー、大きなものでは家具、自
動車まで、オーダーメイド需要と技術進歩によりより多くのソフト化生産が出現し
てきている。70%の新中産が、消費において商品が自己の個性を体現できることを
希望している。
 将来の新中産は、消費者は少なくなっていき、より多くの産消者が出現する可能
性がある。産消者とは、自己設計能力を備え、また商品の詳細を選択する権利を持
ち、商品の生産段階にまで参加することのできる消費者である。今後、産消者が傾
向となると思われる。
3、第三傾向
 1990年代、毎月数百元の給与しかなかったのに、1万元のオーディオ、1万元の輸
入テレビを買い、家に置いたが、聞かないし見ないで、布をかぶせておいていたこ
とを皆さんは覚えているだろうか。皆が好んだのはインテリア感であり、自分も持
っているということを証明するためであり、使わなくとも見ているだけで気持ちが
よかったのだ。
 しかし、現在の新中産の追求は実用性であり、買ってくるのは目的のためであり、
できるだけ使い、壊れたら引き続き交代アップグレードする。
 新中産の家電浸透率のトップ10家電の実用性について、新中産は以下のような回
答を与えている。
 白書は家電についての細分化を行い、以下の3種類に大まかに分けている。
1) 美食関連
 炊飯ジャー、オーブン、蒸し器の比率はそれぞれ50%以上となっている。美食へ
の追求が高まったのだろうか。それも一部の原因ではあるが、考えてみてほしい。
1人でオーブンや蒸し器を使ってテーブルいっぱいの料理をつくるだろうか。否。
出前をとれば、より簡単だ。家族又は友人との集まりで使うのである。新中産は親
しい人に対し和やかで美しい交流場面を提供する意欲があり、人との関係をより重
視する。
2) 健康関連
 浄水器、浄化機、掃除機。掃除機は床の掃除だけでなく、ソファー、ベッド、カ
ーテンも掃除でき、ダニ退治もできる。環境と自己の関係をより重視するようにな
り、日常的に宣伝されている環境保護のほか、既存の環境下での自己の生活の質の
向上の仕方も知っている。
3) 掃除ロボ、コーヒーマシン、スマート便座、ランニングマシン等
 これらは直接的な関係が内容に見えるが、2つの需要をカバーしている。コーヒ
ーマシン、スマート便座は享受型であり、より心地よくさせるためのものである。
掃除ロボは私たちを労働から解放し、より多くの時間を生活の享受のために利用さ
せてくれるものである。
 新中産は家電を買う際に必ず実用性を追求する。実用性は主に人と人との関係を
最適化させ、人と自然の関係を解決し、人と自己の関係に配慮するものである。
〔呉暁波チャンネル2018年09月22日〕

中国に特徴的な「消費レベルダウン」 日米とは異なる

 「高いものはいいものだ。いいものは安くない、安いものはいいものではない」
というような認識は覆されつつある。
 話題のピンドゥドゥについて、ピンドゥドゥのサイトに行くと20年前に戻った感
じがすると言う人もいる。パクリ取締り等の問題を投げ出し、ピンドゥドゥ人気は
国内の消費構造の問題が背景にある。消費されるものと消費者の構造の変化である。
 消費されるものとは、製品サービスであり、供給側では、新技術、新小売、川上
川下の産業チェーン、サプライチェーンマネジメント等が関連要素である。需要側
では、人に対する認知と洞察であり、感性と理性の合わさったものである。
〈国内外の消費レベルダウンのありよう〉
 無印良品やユニクロから、断捨離や草食まで、日系のシンプルな生活理念は多く
の若い人から好まれている。しかし、国外の消費のレベルダウンと国内消費とのそ
れとは、一緒くたにはできない。
 バブル崩壊を経た日本には経済成長の力はない。高齢化がますます深刻になり、
高齢者の介護施設を整備する一方で、若者の介護や住宅購入に対するあつれきがあ
り、不景気を背景に賃金は伸びず、消費減退に陥っている。
 アメリカは、人口年齢構造では、ミレニアム世代が2030年までは主要な消費者層
になる。ミレニアム世代(1984―2000)は8000万人いる。多くの米国のミレニアム
世代は、2008年のリーマン・ショック後に卒業し、多くが学生ローンを抱え、ロー
ン償還に15年かかる。さらに、ミレニアム世代の卒業後の年収は、彼らの両親の当
時に比べ2000ドル少ない。収入が高くなく、経済的負担も大きく、商品価格に敏感
である。
 インターネットネーティブである彼らは、コストパフォーマンスのよい商品を見
つけられる。安い価格を求め、商品のサービスの品質をも重視する。マズローの欲
求の段階でも、物質的な満足から、品質、感情に訴える満足へと進んでいく。
 主要な消費者層の消費レベルダウン傾向のもとで、米国でのベンチャーも低価格
を打ち出すものが次々と出現している。例えば、日用品を中心とするBrandless(3
ドルショップ、パッケージがおしゃれ)、WarbyParker(95ドルの眼鏡ショップ、
米国市場の価格の3分の1)。
 類似のものとして、中国国内市場にも、コストパフォーマンスのいい日用品小売
店舗や、99元の眼鏡ショップ等である。ブランド力と商品力が物足りないだけで、
あとは十分である。
 2017年の中国GDPは6.9%成長となり、米国の2.3%、ドイツの2.5%、日本の1.7%を
はるかに上回り、インドの6.74%をも上回った。6.5%―7%は世界的にも依然として
中高速成長に入り、中国経済社会は依然として生き生きとしていると言える。経済
は短い周期での落ち込みがある。マクロ環境下で、国内の一線、二線都市の消費の
レベルダウンは国外の経済社会の消費のレベルダウンと似ているが、こういう消費
構造は地域別に考える必要がある。
〈不動産を買いまくった成功体験〉
 一線、二線都市の消費は理性を取り戻し、商品やサービスの質やコストパフォー
マンスを更に重視してきている。三線、四線都市の消費熱は上昇し、商品は商品の
改良に出費を惜しまない。
 一線、二線都市では住宅価格が高どまりし、住宅消費は住民の総消費の中の主要
な部分となり、資金需要が抑制されている。三線、四線都市は、所得が上昇し、可
処分所得が増加し、購買力がアップし、資産効果を生んでいる。
 このほか、国内外の初めての不動産購入の平均年齢を比較すると、北京は、米国、
日本よりも8―14歳若い。国内での不動産ローン期間は一般的に20―30年である。
若い人は早い段階でローンを背負っている。
 不動産の利息上昇が進む今日、消費の選別がますますはっきりしている。ミレニ
アム世代とZ世代の消費が台頭し、商品の特徴や、スマート化、コストパフォーマ
ンスが更に重視されている。より望まないのは、ブランドの価格プレミアムであり、
コストパフォーマンスが確かな商品が好まれる。
〈理性消費の回帰線〉
 住宅価格がこうも高くなると、不動産賃貸市場へ流れる。双11にネット通販で衝
動買いを幾らしても、引っ越しのときには物が多くて疲れる。
 家は小さくても、買いまくってしまうと、余り必要ではないものが多くなり、か
といって、価値はなくても捨てるにはもったいなく、限られた空間を占拠する。
 Windと華泰証券研究所のデータによると、中国の国民消費構造のうち、生活必需
品の占める割合が徐々に下がり、耐久品やサービス消費の割合が高くなっている。
 居住、自動車、教育、文化娯楽等での支出が多くなるに従って、総収入が一定で
ある状況下では、生活必需品消費の圧縮で消費構造の調整となるが、その本質は消
費のレベルアップである。
 消費形態では、アメリカあるいは国内の低価格で高性能を打ち出す商品は、商品
機能に着目し、実用主義で、使うのには十分である。購買意欲では、使用権と所有
権では、若い人は使用権を選択する傾向がある。このような理性に回帰した消費観
念は、シェアリングエコノミー、レンタル市場、中古市場の発展を推進している。
 日本の東京の中古品ショップは日本のショッピングで必ず行く場所である。ここ
1、2年で、中国ではplum、寺庫を代表とするブランド品の中古取引サイトが台頭し、
若い人の好感を集めている。彼らは他人が使ったブランド品を選択肢として排除し
なければ、原価の10分の1の価格で手に入れられる。
 中国の特色ある社会主義も新時代に入り、中国の社会の主要な矛盾は、既に人民
が日々成長するすばらしい生活需要とアンバランスで不十分な発展との間の矛盾へ
と転換している。
 小米は高性能で低廉な電気製品をつくったが、小米のエコシステムの中でも、も
ともとの高性能でコストパフォーマンスのいいものを残すと同時に、ハイエンドで
高価格な路線も研究開発し、さまざまなユーザーに対応している。
 ピンドゥドゥの消費市場は主に三線、四線都市である。都市化プロセスの中で、
人口が流動し、三線、四線都市の消費者の行動習慣は一線、二線都市の影響を受け、
更に品質に注意するはずである。
 このほか、消費者の学歴や認知も向上し、技術的なフォローによる製品の真贋選
別、更に高い教育水準と更に多くの認知をもたらし、仮にパクリの低価格でユーザ
ーを引き寄せても、長続きすることは難しく、結局、消費者の好み、購買力も変化
することになる。
〔毎日頭條2018年8月8日〕