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中国人海外遊学に潜む落とし穴

海外遊学体験 内容乏しく

 中国之声「新聞縦横」の報道によると、今日の小学生は、冬休みに入ると、自分
の興味のある各種活動を申し込むほかに、家族が研学遊や冬キャンプ等の旅行商品
にお金を投じ、海外遊学が冬休み旅行の新たなトレンドになっている。
 今の夏キャンプは、かつてどの学校でも数学オリンピッククラスをしていたかの
ごとく、トレンドになっている。子供を夏キャンプに連れていくのはましの親なす
ることの気が何となくするからである。
 このような背景のもとで、さまざまな組織が多数出現し、各種遊学、クラス編入
プログラムがふえて、夏キャンプについて中途半端な知識しかない家族を困惑させ、
大金をどぶに捨てさせている。
 小中学生の遊学商品は「研学遊」と呼ばれる。内容は大きく4種類に分類される。
海外の有名校の見学と交流、クラス編入して学べる遊学、学びと旅行が半々の体験
型遊学、夏キャンプと冬キャンプ型の遊学である。
 2016年末、教育部等11部門は、研学旅行を小中学校の教育カリキュラムに組み入
れ、研学旅行と学校課程の有機的な融合を促進することを提案している。
 しかし、記者の取材によれば、人気がある海外遊学に比べると、多くの団体旅行
では「旅行だけで学びがない」状態になっている。高額な海外遊学にはどのような
不正行為があるのだろうか。これらの遊学商品はどのように管理監督すべきなのだ
ろうか。
 携程旅行網のビッグデータによると、今年冬休みの研学旅行は、前年同期比80%
以上増と予想されている。
 国内旅行では、博物館、北方でのスキー教室等に人気がある。海外旅行では、ス
イス、北欧での氷と雪の文化体験を主体とするプログラムから、オーストラリア、
ニュージーランドでの自然体験、屋外探検、牧場生活等に人気がある。
 携程旅行網の田飛氏によると、遊学旅行コースの価格は高どまりしており、一般
旅行コースの2倍に達するものもある。
 「海外遊学の1人当たり支出は約2.1万元で、ほぼ前年度同水準。イギリス、アメ
リカ、オーストラリアといった長距離路線では平均3.5万元、アジアの短距離は1人
当たり1.1万元。人気が最も高い遊学先は、オーストラリア、アメリカ、シンガポ
ール、タイ、ニュージーランド」
 このほか、有名大学への研学遊はいつも人気プログラムとなっている。国内大学
旅行では主に、北京、上海、南京、武漢等の大学密集都市に集中している。海外大
学旅行の主要国は、主にイギリス、アメリカ、オーストラリア等に集中している。
 途牛旅遊網のサービススタッフによると、12―18歳の高校生の予約数(延べ)は
71%を占め、冬休みの研学旅の主力である。
 「ここ数年の発展を経て、遊学旅行市場はますます重視され、商品が豊富になっ
てきている。最も人気のある海外大学旅行先は、イギリス、アメリカ、オーストラ
リア、ニュージーランド、フランス等。体験内容は、ホームステイ、現地名門校で
の編入学習、文化体験等」
 研学遊の目的は、子供に旅の途中で体験をさせ、実践の中で学ばせることだが、
目下、市場には、研学遊のプログラムは「ざっと見るだけのもの」、あるいは、名
門校や豪華であることをうたっておきながら実質的な内容は乏しいものが少なくない。
 このブームの裏では、旅行であって学びがなかったり、価格が割高であったり、
内容が水増しされていたり等の遊学商品があるという状況があり、遊学市場の発展
状況を楽観視できなくさせている。
 例えば、高い利益が見込まれる中、幾つかの企業では、一般旅行商品に「遊学」
のラベルを張り、中身はそのままの高額な旅行商品にしている。しかし、このよう
な「遊学」は、海外の大学めぐりに数万元を使うだけで、人々と失望させ、学習効
果などありようがない。
 専門家は、遊学は学びの深さを重視すべきであり、ざっと見るだけの旅行ではな
い、遊学商品は単なる旅行商品ではなく、教育商品に属するものであると指摘する。
 「旅行だけで学びがない」「高人気高価格」等の状況について、文化・観光部資
源開発司の張吉林氏は、研学遊商品の基準づくりを研究し、市場秩序を規範化する
とした。
 「まず市場の商品の規範化から始め、更に市場秩序の規範化し、比較的健全な旅
行環境にする。特に、文化と旅行を融合し、博物館、文化施設等の多くの文化施設
は研学遊のためにさらに広範な空間を提供する。これまで供給は不足しているが、
今後供給は更に拡大できるはずで、各段階、各レベル、各年齢層のさまざまな遊学
ニーズに対応する」(張吉林氏)〔中央テレビ台2019年5月9日〕

海外遊学の混乱をどのようにして管理するか

〈現状の海外遊学に存在する主な問題点〉
 子供をスタートラインで負けさせないために、子供の知識を広げ、子供の見聞を
深めるのに、海外遊学は多くの家庭教育での必修科目となったが、懸案は、海外遊
学市場の隆盛の中に隠れたいいかげんさである。
 新東方「2018中国国際遊学業界発展報告」によると、2017年国際遊学者数は86万
人に達し、2018年には105万人に達すると予想され、人数は引き続き拡大傾向にあ
り、年市場規模は200億元に達する可能性がある。1回当たりの遊学費用は3―5万元
の割合が56.8%を占めた。
 しかし、このような盛んな成長とは相反して、海外遊学の学生はよく何度も再委
託にされ、サービスは頻繁に削られ、市場での監督も弱く、遊学組織の混乱があら
われ、学生から返金を求められたり、苦情が出されたり、暴力事件が起きたりして
いる。
〈海外遊学の混乱はどうして続出しているか〉
 実は、小中学生の「遊学」については、国家は専門に規定している。具体的な管
理規範があるのは、主に、教育部、国家観光局などの11部門が制定する「小中学生
研学旅行の意見について」、国家観光局「研学旅行サービス規範」、教育部、外交
部、公安部、国家観光局「小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動参加管
理のさらなる強化に関する通知」である。
 小中学生の遊学の管理規範は多いが、では、なぜ海外遊学の混乱は依然として続
出するのか。
 専門家は、主な原因を3つ挙げている。
1 関連法律法規等制度規定のおくれ
 前述の遊学関連の管理規範は、行政規範性文書や業界手引きのみであり、法律法
規での強制執行力は有しておらず、違反しても厳重な法律の効果はない。
 例えば、「研学旅行サービス規範」では、受け入れ側の人員を「少なくとも研学
旅行団体当たり1人の担当教師を置くべきで、研学教師の責任は研学旅行教育工作
計画に制定し、引率教師、ガイド等のスタッフが連携して研学旅行の教育サービス
を提供する」とされている。実際には、受入れ側が研学教師を置いていない場合に
どのように管理し処罰するのかという制度の空白が生じている。
2 業界の参入障壁規定が明確ではない
 「小中学生研学旅行推進についての意見」によると、「小中学生の研学旅行は、
教育部門と学校により計画性を持って組織的に準備し、集団旅行、集団宿泊方式で
展開される研究的な学びと旅行体験が結びついた校外教育活動である」とされ、
「小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動参加管理のさらなる強化に関す
る通知」では、小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動を組織する組織主
体は小中学校、教育行政部門に所属する対外教育交流組織あるいは共産主義青年団、
少年先鋒隊と婦人連合会の組織であり、国家観光局が海外旅行業務の経営許可する
旅行会社に運営を委託できるとしている。国際(あるいは相手国)非政府組織との
交流の展開に関して、上級外事主管部門に許可及び届け出を提出しなければならない。
 このように見ると、前述規定の研学活動は教育部門と学校組織による校外教育活
動であるが、では、その他の訓練養成組織やコンサルタント会社等の主体は組織に
なるのだろうか。明確な規定が足りないことがはっきりしている。
3 政府の統一的な監督欠如
 海外遊学は、教育、観光、工商、公安等の多くの監督部門に関連しているが、目
下のところ、依然として明確な監督主体がなく、各部門には統一した有力な監督メ
カニズムが欠如しており、監督の「空白」があり、取り締まりが十分ではない状態
になっている。
〔検察日報2019年5月9日〕