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中国有識者から学ぶ環境保護意識

万科創始者の王石氏 インタビュー その2

(前号より続く)
▽環境保護や生命・健康について
 王石氏は、2003年チョモランマ初登頂後、5年間で七大陸最高峰征服、南極、北
極を徒歩で横断、世界で11番目に探検家グランドスラムを達成した。
 2004年に北極に旅立つ際には、空港で、北京大学生物学部の潘文石教授から北京
大学崇左生物多様性保護基地の旗を贈られ、「探検は大自然の尊重であり、環境保
護、生態保護という考えと一致する」とメッセージを受け取った。
 王石氏は、公的な立場、自分の影響力で、それぞれの探検活動は公益的な意義を
持つと感じたという。
 2007年、2回目にチョモランマに登った際には、隊員と約束し、全行程で一切ご
みを残さなかった。毎日隊員が出すごみを運ぶための輸送チームにお金を費やし、
排泄物も残さなかった。
 結局、隊員が発生したごみを全て持ち帰っただけでなく、沿道にあった200人以
上が捨てた酸素ボンベと2トンのごみも掃除し、ごみの分別も行った。2010年8月に
は、そのごみ処理装置を上海万博に展示した。
 2009年から年1回行われている国連気候変動サミットでは、産業界の代表として
欠席したことがない。2018年、王石氏が遠大科学技術集団の共同董事長に就任した
ことも、遠大の張躍総裁との環境保護に対する認識が合致しているからだ。
 今日、王石氏の訪問するところでは、アシスタントがこっそりと呼びかけ、ボト
ルの水を回収し、ティーカップを用意する。料理の注文は食べ切って余らせない適
量にしている。長年にわたり環境保護を実践し、王石氏はボトルの水を飲まない。
 周囲の関係者もそのような習慣になり、喉が渇いても、我慢ができるようであれ
ばボトルの水は飲まないようになった。
 環境保護のほか、王石氏は、生命と健康、自然保護、災害救助、児童保護、農村
発展等の公益テーマにも関心を持つ。現在、王石氏には40もの公益組織の肩書きが
ある。つまり、各組織が年3回会議を開いたら、毎年120回もの会議が参加しなけれ
ばならないということだ。
▽王石氏が語る日本
 長年の国際的な経験からわかったことがある。
 まず、日本は非常に気にかける存在である。理由は簡単で、第一に、私たちの隣
人であること。第二に、文化が近く、人種も近いこと。第三に、日本は伝統社会か
ら現代社会へと移行して成功した最初の先進国であること。もちろん、かつては帝
国主義に向かったことは、教訓であり、私たちも被害を受けている。
 次に、現代社会は西洋から端を発しているため、ヨーロッパ、アメリカから学ば
なければならないが、欧米に比べ、直接日本から学ぶ方がより参考になる。日本か
ら学ぶことは、私たちが近代化を進む手っ取り早い方法である。
 1980年代から現在まで、我々と日本との関係は、学生と先生の関係だった。深セ
ンと香港もまたそうで、香港は先生、深センは学生だった。しかし、ほぼ10年前か
ら、深センの香港に対する依存度は下がり続け、徐々に同じ目線の高さ、今では深
センは香港を少し越えているところもあるような気がしており、同時に、日本に対
しても既に同じ目線の高さになったと感じている。
 現在のヨーロッパとアメリカは明らかにまだそうではなく、特にアメリカはまだ
我々を見下ろしている。我々はヨーロッパを仰ぎ見ていたが、目線が同じ高さとな
り、アメリカもいつかは同じ目線の高さになるはずである。私はこのようなプロセ
スだと思っている。
(次号に続く)
〔ニューフォーチュン2020年6月4日〕