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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.535 2011年6月21日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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★今週の読者数合計:6,052名(2011年6月20日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国国際競争力維持の闘い】
●東日本大震災後 生産機能を江蘇省へ移転する日系企業
●2010年 中国物流総費用がGDP18%を占める
●寧波の外資バイヤーが中国製品輸出を語る 価格優位は消滅

┏【労働】
●昨年30省の最低賃金が平均22.8%増加 今年は賃上げ継続困難
●香港が受け入れた優秀な人材の7割は中国大陸から

┏【国内政策】
●第12次五カ年計画 サービス輸入強化 総額1.25兆米ドル超を見込む
●2011中国で最も投資価値のある上位10都市等ランキング発表

┏【金融】
●今年末にも香港人民元預金残高が1兆元に
●深セン 中小企業の7割が融資難
●中国の百万長者の家庭は既に100万以上

┏【経済データ】
●外国為替(6月20日)

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……【特集:中国国際競争力維持の闘い】……………………………………………
●東日本大震災後 生産機能を江蘇省へ移転する日系企業
 日本の大地震と放射能漏れは、日本現地の製造業に重大な損害を与え、大量の
日本企業が加速度的に生産機能を海外に移すに至った。
 記者が8日、江蘇省工商局から得た情報によると、今年3月11日から5月31日ま
での間に、日本企業の江蘇省に対する投資額が大幅に増加し、生産機能移転の傾
向が初めて明らかになった。

 江蘇省工商局の統計によると、今年3月11日から5月31日までの間に、江蘇省に
新規設立した日系企業は80社で、前年同期比31.1%増となった。日系企業は1日1
社新規設立されており、この速度は前年同期比40.8%増となった。特に、登記資
本1000万米ドル以上の大型日系企業の駐在速度が顕著に増加している。

 江蘇省商務庁の公務員によれば、東日本大震災により日本現地の大量の注文が
移され、一部の日系企業の生産要請が急増し、部品供給問題が減産をも招いた。
そのため、数多くの日系企業がそれぞれ対中投資もしくは増資、生産拡大を計画
することで、地震後のリスクを分散させ、産業全体のサプライチェーンを保障し
ているという。

 現在、ブリヂストンは、約5000万元を投じて江蘇省に華東エリア本部をつくっ
た。シャープは、5月末に中国における50%の携帯営業案件の拠点を江蘇省無錫市
に構えた。

 新設日系企業数が大幅に増加すると同時に、日本資本の投入も倍増傾向である。
今年3月11日から5月31日にかけて、江蘇省の新設日系企業による投資額は21.4億
米ドル(前年同期2.5倍)、登記資本は11.8米億ドル(同2.7倍)となった。企業
当たりの投資額は2675万米ドルであり、これは昨年の1.9倍に当たる。
 新設日系企業は主に冶金、電子技術、新エネルギー、家電等の産業に集中して
おり、66.3%を占める。その他には、ホテル、レストラン等のサービス業も上昇
傾向を示している。

 業界専門家は、今回の東日本大震災は国内のエネルギー戦略や産業分布、企業
経営モデルに深刻な影響を与えており、江蘇省は地理的優位、優良な産業基盤を
よりどころに、主体的にチャンスをつかみ取り、日本の産業移転を迎えるべきだ
としている。〔新華網2011年6月8日〕

●2010年 中国物流総費用がGDP18%を占める
 中国人民銀行ポータルサイトによると、人民銀行は1日「2010中国区域金融運
行報告」を発表した。
 この報告の「価格展望調査分析」の中で、中国物流・調達連合会の統計による
と、2010年、中国全社会物流総費用の対GDP比は18%前後で、先進諸国の9%前後の
水準をはるかに上回り、中でも、運送費用が全社会物流総費用の50%を超えたこ
とが明らかになった。

 高原地帯の内陸部、外部からの物資が多い、輸送路が長いといった西部地域の
省が受ける物流コスト上昇の影響はさらに大きい。
 例えば、青海省の90%の生活資材は外部から持ち込む必要があり、90%の工業品
は周辺地域から購入していることから、物流費用の対GDP比は25%を超える。
 標準小麦粉を例にとると、山東省で1キロ当たり2.6元のものに輸送コストを加
えると、青海での販売価格は1キロ当たり3.6元となり、生産地より38%高い。

 このほか、報告では、今後のインフレを予測する声は依然として大変強い。調
査企業の93.1%と調査住民の76.6%は、今後の価格動向は上昇すると見ている。
 このうち調査企業の37.1%は2011年の主要原材料価格は5―10%上昇、43.4%は人
件費コストは5%以上上昇するとしており、この上昇圧力を緩和するために、調査
企業の79.4%は主要製品の値上げが必要だと考えている。
 一方、調査住民の63%は2011年の価格は3―10%上昇、8割は賃金引き上げを求め
るとしており、価格水準全体にさらなる圧力が加わるかもしれない。
〔中国財経報2011年6月2日〕

●寧波の外資バイヤーが中国製品輸出を語る 価格優位は消滅
 8日、第10回中国国際日用消費品博覧会(中国消博会)が浙江省寧波市で開幕
した。
 展示会場では、浙江省の対外貿易企業の、貿易展望が年々悪化し、利益が薄過
ぎるという嘆きの声が聞こえてくる。
 中国消博会の名誉会員でインド人のハリス氏も、輸出商売は難しく、寧波を含
む中国輸出製品の価格優位は消滅し、現在、多くの外資は一部の注文をベトナム
等東南アジア諸国に移しているが、昨年ハリス氏も30%の注文を価格競争力のあ
る他国に移したと語った。

 ハリス氏は、寧波の外資の成長を目にしてきただけでなく、最も発言権がある
外国人バイヤーの一人である。
 ハリス氏によると、労働力コストの上昇、原材料の高騰、人民元高等の影響を
受け、現在、中国輸出製品の調達価格は25%―30%上昇しているが、製品の中国国
外の販売価格が変動しているわけではないため、調達量を急激に減らしていると
いう。

 「以前は1カ月で売り終えられた商品が、現在は3カ月かかる。高い製品は売れ
ないし、私は極力安くてよい商品を仕入れるだけ」
 ハリス氏は駿力貿易香港有限公司に勤めており、通常業務は主に中国大陸から
調達した商品を北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、中東地域へ転売することで
ある。

 ハリス氏は、現在、中国の輸出製品の価格優位は既に消滅したと語る。
 これまでハリス氏は河北にコットンを調達しに行ったが、昨年からこの部分の
注文をインドに移した。インドの製品は、ハリス氏の見たところ、まだ価格競争
力があるからである。
 また、昨年、会社の30%の注文を中国からほかの価格優位な地域に移したこと
を明らかにした。

 バイヤーが調達価格上昇のために注文をほかに移されるとともに、貿易展望が
年々悪化し、浙江貿易企業は利益が薄くなっていくという嘆きの声が聞こえる。
利潤率は既に数年前の25%から5%に減少し、企業が維持している注文もあるが、
利益ゼロになっているものさえ存在する。
 中国消博会の現場では、企業が利潤に言及するたびに、心配そうにしているの
がほとんどである。
 浙江省金華市超佳五金塑料廠の黄立群総経理は、7年前、貿易を始めた当時は、
利潤率は25%以上であったが、現在、純利潤は5%あればよい方だと話す。

 企業が苦境に直面していることについて、寧波市対外経済貿易局の丁海浜副局
長は、企業は積極的なスタンスで、自主開発、自主ブランドの輸出を通して、自
己のマーケティング網構築等で競争力の比較優位を図るべきだと提案している。
〔中国新聞網2011年6月8日〕

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……【労働】………………………………………………………………………………
●昨年30省の最低賃金が平均22.8%増加 今年は賃上げ継続困難
 中国人民銀行が発表した最新の「2010中国区域金融運行報告」によると、2010
年、中国全国で合わせて30省が最低賃金標準を調整し、月最低賃金標準の平均増
加幅は22.8%であった。

 土地は広いが人口は少ない、労働力が相対的に不足、省外の労働力依存度が比
較的高い西部地域の省では、労働力価格の引き上げが相対的に大きくなっている。
 新疆ウイグル自治区のイリ・カザフ自治州の建設現場の大工、瓦師の賃金は20%
―50%増となった。トルファンの牧畜の大会社の昨年の男性労働者の賃金は前年
比40%前後に増加した。

 価格上昇が生活コスト増をもたらし、労働者の賃上げ要求も見られた。57.4%
の企業は労働者へ支払う賃金を10%以下を引き上げ、25.8%の企業は10%以上を引
き上げた。
 農林牧畜漁業、ホテル・レストラン業、中部地域の湖北、江西、河南の賃金上
昇幅が相対的に高くなった。

 国家統計局が5月3日に発表したデータによると、2010年、中国の都市私営企業
従業員の年間賃金は2万759元(前年比14.1%増)、非私営企業職員は3万7147元
(同13.5%増)であった。

 昨年、大幅に賃金調整があったことで、今年再度大幅引き上げとなる可能性は
大きくない。
 人力資源・社会保障部労働賃金研究所の劉軍勝研究員の試算によると、平均賃
金増加幅とGDP成長との関係で、もし今年の全国GDPの成長幅が8%であれば、今年
の都市労働者の平均賃金は8%―10%増となり、昨年の成長水準を下回る。

 昨年に賃金が広範囲で引き上げられたことを前提にすれば、今年の賃金が持続
的に急成長をするのは難しい。
 劉軍勝研究員は、今年、最低賃金標準は依然として引き上げ余地があり、相対
的に先進地域では、労働者の賃金引き上げが高く予想され、物価上昇の要素も加
わり、労働者不足緩和のためにも、最低賃金引き上げは依然としてあるはずだと
考えている。
 原則として、最低賃金標準は2年ごとに少なくとも1度調整されるもので、昨年
に全体的に調整がなされたという状況があり、今年は広範囲では引き上げられな
いはずである。〔財経2011年6月3日〕

●香港が受け入れた優秀な人材の7割は中国大陸から
 2006年6月の開始から4年余り、香港は「優秀人材入境計画」によって多くの専
門家を受け入れた。
 著名なピアニストである郎朗(ラン・ラン)、女優の章子怡(チャン・ツィ
ー)、胡軍(フー・ジュン)も、この計画を通して「香港人」となった。
 香港保安局の李少光局長は1日、香港特別行政区立法会会議において最新のデ
ータを引用し、ここ3年間、当該計画によって1486名の専門家を受け入れたと指
摘した。このうち、金融関係者が536名と大多数を占め、中国大陸からが全体の
ほぼ75%を占めた。

 2008年から2010年の3年間で、受け入れた男性は977名、女性は509名。このう
ち、中国大陸のからの人材が1136名と多数を占めた。
 「香港移住成功者」を年齢別に見れば、25―29歳が最多の25.6%、次いで30―34
歳が25%、35―39歳が23.6%。

〈大多数が金融系技術者〉
 この計画によって香港が最も多く受け入れたのが金融系技術者であり、次いで
多いのが情報科学技術業界の人材である。
 李少光局長は、優秀人材入境計画の業種分布から見て、当該計画は「6大優勢
産業」(検査計測・認証、医療サービス、イノベーション科学技術、文化クリエ
ーティブ産業、環境保護、教育サービス)への人材誘致に成功しており、多くの
科学技術、教育、医療等分野の専門人材を受け入れたと指摘した。
 出入境管理局スポークスマンは、「人材によって産業を向上させる」というの
が計画の趣旨であり、申請者が香港の経済発展に協力できさえすれば、諮問委員
会が考慮すること、階級を問わず、この計画で香港に移住するチャンスがあるこ
とを指摘した。

 しかしながら、2010年の申請者は329名と、2009年の593名に比べ半数近く減少
した。
 優秀人材入境計画の申請プロセスは期間を分けて行われており、香港への移住
には「業績得点制」(傑出した業績をポイント換算)、「綜合得点制」(年齢、
学歴、キャリア、語学力、家族関係等を考慮しポイント換算)における「ポイン
ト」が必要である。
 出入境管理局スポークスマンは、2010年多くの申請者の「ポイント」が基準に
達しておらず資格に見合わなかったことが、2010年香港移住者の「激減」を招い
たと語った。

〈東日本大震災後 香港就業許可取得申請204件〉
 このほか、3月11日の東日本大震災及び原発事故以降、一部の多国籍企業ハイ
レベル層が日本から撤退しており、出入境管理局は申請審査を早め、これら人材
のできるだけ早期の受け入れを図っている。
 李少光局長は、今年3月11日の東日本大震災発災後5月27日までに、多国籍企業
関係者計204名の香港における就業許可取得申請を受理、承認しており、このう
ち日本国籍保有者は56名であった。
〔香港商報2011年6月2日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●第12次五カ年計画 サービス輸入強化 総額1.25兆米ドル超を見込む
 商務部主催の第三期中国国際サービス貿易大会が1日、北京にて開幕した。
 商務部の陳徳銘部長は大会の席において「将来の国内消費の増加に伴い、中国
の輸入も急速に増加する」と述べ、サービス輸入は輸入増加の重要部分であり、
中国はより一層サービス業の対外開放レベルを引き上げることで、今後5年で中
国輸入サービス累計額を1.25兆米ドルとする見込みであると表明した。

 商務部の統計によると、2010年の中国サービス貿易輸出入総額は3624億ドルで
世界第4位であったが、対外貿易総額に占める割合はわずか10.9%であり、国際平
均レベル19%にはいまだ一定の開きがある。

 陳徳銘部長は、第12次五カ年計画期間において、中国は一層主導的な開放戦略
を実施し、サービス貿易を国際経済協力の新たな基盤とすると表明した。
 「全体的な発展の方向性としては、中国はサービス貿易のバランス・調和のと
れた発展を維持し、サービス貿易の対外貿易における比重を引き上げることで貨
物貿易及びサービス貿易の相乗効果を図る一方、サービス輸入とサービス輸出の
バランスのとれた発展を維持する」

 また、陳徳銘部長は「中国サービス業の発展の趨勢からいって、今後5年で中
国のサービス輸入累計額は1.25兆ドルを超える見込みである」と語り、以下のよ
うに表明した。
 サービス貿易の主要分野の育成において、情報、技術、金融、環境、販売物流
等分野の新興サービス貿易の育成に力を入れる。
 発展措置において、より一層サービス業の対外開放レベルを引き上げる。金融、
物流等サービス業の対外開放を引き続き拡大し、教育、医療、スポーツ等分野を
着実に開放する。
 中国サービス業の海外進出を推進を加速する。運輸、販売物流、金融、教育、
文化、放送、旅行等分野の海外投資において明確な進展をかち取るべく積極的に
努める。対外請負工事、建築、運輸、販売物流等のサービス企業を重点的に支援
し、発展途上国において直接投資及び現地化経営を行う。〔京華時報2011年6月2日〕

●2011中国で最も投資価値のある上位10都市等ランキング発表
 「2011両岸四地国際投資合作ハイレベルフォーラム・2011中国で最も投資価値
のある上位10都市等発表会」が5月31日、香港の黄金海岸酒店で盛大に開催された。
 発表されたランキングは以下のとおり。

▽2011中国で最も投資価値のある上位10都市――(香港、)福建省アモイ市、浙
江省寧波市、山東省青島市、四川省成都市、遼寧省大連市、湖北省武漢市、江蘇
省常州市、広西チワン族自治区玉林市、広東省深セン市
▽2011中国最も環境に配慮した発展をしている上位10都市――浙江省麗水市、江
蘇省揚中市、江蘇省金壇市、(屏東県(台湾)、)山東省日照市、福建省南平市、
四川省都江堰市、河南省洛陽市、海南省三亜市、安徽省池州市
▽2011中国で最も投資サービスがよい上位10都市――安徽省蕪湖市、寧夏回族自
治区銀川市、重慶市永川区、福建省福州市、河北省唐山市、浙江省紹興市、江蘇
省鎮江市、雲南省昆明市、江蘇省南京市、湖南省長沙市
▽2011中国で最も商業環境がいい上位10市街地区――重慶市渝中区、杭州市上城
区、北京市朝陽区、蘇州市金〓区、上海市浦東新区、寧波市江東区、成都市武侯
区、深セン市福田区、(マカオ、)合肥市廬陽区
▽2011中国で最も発展潜在力がある上位10園区――常州国家ハイテク産業開発区、
麗水経済開発区、江蘇徐州ハイテク産業開発区、唐山曹妃甸新区、重慶両江新区、
上海松江経済開発区、青島経済技術開発区、昆山花橋経済開発区、張家港経済開
発区、瀋陽瀋北新区
〔和訊より抜粋2001年6月3日〕
注)〓は、もんがまえに「昌」

……【金融】………………………………………………………………………………
●今年末にも香港人民元預金残高が1兆元に
 香港中通社の報道によると、香港匯豐銀行(HSBC)の王冬勝CEOは2日、香港に
おける人民元預金が現在、既に5000億元を超えており、今年度末には8000億から
1兆元に到達すると予測した。

 英語版「チャイナ・デイリー」は2日、「香港と人民元国際化」をテーマとす
る「アジアリーダー円卓フォーラム」を実施し、中国人民銀行貨幣委員会専門委
員の樊鋼氏を基調講演者として招待、また、王冬勝CEO、中銀香港の朱燕来CEO補
佐、香港取引所の李小加CEO、国際通貨基金(IMF)のR Sean Craig駐香港代表、
香港証券先物取引委員会の張灼華・副CEOらを専門フォーラムに招いた。

 樊鋼氏はスピーチの中で、以下のように述べた。
 人民元は昨年から今年にかけて約5%上昇しているが、もしインフレ要素を計算
に入れるならば、上昇幅は9%にも達する。この上昇速度をもってすれば、人民元
は2、3年内に上昇がとまる可能性もある。
 現在、人民元の国際化手順は、一般的な国家が貨幣を国際化する場合と異なり、
ある種の非常に特殊な手順である。そのため、特殊リスクを前に、政府は人民元
の国際化プロセスについての計画を試験的に、かつ段階的に行うべきであって、
性急過ぎることがあってはならない。

 王冬勝CEOは、以下のように述べた。
 香港は珠江デルタ地域経済において重要な役割を果たしている、人民元のオフ
ショアセンターとして、人民元の国際化推進を手助けし、中央の香港金融体系に
対する信任を反映している。
 人民元は香港で徐々に国際化が推進され、昨年から今年にかけて、多くの機構
が人民元建て債券を発行している。また同時に、人民元高傾向や香港における人
民元投資ルートは多くないことから、多くの香港市民は人民元をただ貯蓄貨幣と
して扱っている。香港における人民元預金は今年度末、恐らく8000億元から1万
億元に達するだろう。
 人民元は利率の高い貨幣で、人民元借り入れ意欲は大きくないが、もし、関連
投資ツールがもっと多くなれば、人民元の吸引力は増す。市民の間に人民元使用
に確信が生まれたとき、人民元は自由交換に向かって邁進するのだから、香港は
人民元の流通ルートをふやすべきである。もし、香港の人民元を中国内地に投資
することができれば、香港人民元商品の利率引き上げにもプラスに働くだろう。

 李小加CEOは、香港証券取引所が設立した「人民元証券・香港ドル交易通」
(俗称「人民元資金プール」)の人民元資金の資金調達先への関与に興味を持っ
ている銀行は少なくないと述べた。
 李小加CEOはどれだけの銀行が協力関係にあるかについての明言は避けたが、
今年9月末には制度インフラを整える可能性を伝えた。〔中国新聞網2011年6月3日〕

●深セン 中小企業の7割が融資難
 7日、深セン銀行業監督管理局(銀監局)から得た情報によると、先日発表さ
れた「第1回中小企業運営・金融サービス指数」で、今年第1四半期、深セン市の
500サンプルの中小企業で販売減、コスト上昇、粗利減少、融資ニーズと融資不
足の増大等の現象があらわれていることが明らかになった。

 2011年第1四半期、医薬製造を含む、深センGDPを稼ぎ出すのに最も貢献してい
る20産業には幾つかの特徴があらわれた。
 例えば、操業状況が安定している10産業の景況は前四半期比で上昇を保持し、
総合景気指数は昨年末よりも約1ポイント上昇した。

 しかし、第1四半期の中小企業の販売不振が顕著である。
 17産業において販売収入の前四半期比が平均で7ポイント減少していた。これ
と同時に、11産業でコストが上昇し、企業経営コストは前四半期比で7ポイント
上昇した。15産業で粗利が減少し、第1四半期の企業平均利潤率は16.35%で、前
四半期比で2ポイント減少した。
 「一部には、原材料費上昇が発生し、不動産、人件費増加にも波及している」
関係者はこのように語った。

 企業の再投資の意欲は高く、69%の企業は引き続き投資を拡大、30%は引き続き
投資規模を維持するとしており、投資規模を圧縮するとしたのはわずか1%だった。
昨今のインフレ展望のもとでは、再投資は目下の最良の選択なのかもしれない。

 このような状況下で、企業が銀行支援を求めるニーズが高くなっており、融資
難も広範囲であらわれている。企業の約13%は融資難の度合いが高く、57%は融資
難であるものの克服できる、30%は基本的に問題がないという。
 融資難の企業のうち、45%は有効な担保を持っていないことが主要因である。
第1四半期のサンプル企業の融資コストは前四半期比で21%増加した。

 「この指数の指標体系をつくった暁には、監督部門は管理政策の的確な制定、
調整に根拠を提供し、地方の政策立案を補佐したい」銀監局関係者はこのように
語った。〔南方報網―南方日報2011年6月8日〕

●中国の百万長者の家庭は既に100万以上
 ボストンコンサルティンググループが先日発表した最新の世界財産調査報告に
よると、中国ミリオネア家庭(家庭あたりの総財産が100万米ドル以上)の数は
既に111万を超えている。
 経済成長、貯蓄、人民元高等の要素において、中国ミリオネア数の世界ランキ
ングは急上昇している。

 2010年中国ミリオネア家庭数は前年比3分の1近く増加し、世界第3位となった。
アメリカは522万家庭で世界第1位、日本が153万家庭で第2位である。また、家庭
資産が1億米ドル以上の家庭数は、中国は世界第8位である。

 しかし、まさに中国大陸富豪の資産の主要部分である、個人が保有する企業及
び不動産は、この調査報告では計算に入っていない。また、芸術品、高級酒、ク
ルーザー等中国新貴族階層において日増しに増加している資産も含まれていない。
 「この統一基準は、中国富豪の本当の財産を厳格に低く見積もっている」この
調査報告の編集者の一人で、ボストンコンサルティンググループ香港駐在パート
ナーの〓俊豪氏は語った。
 また、中国大陸の富裕層はわずか5%の資産を域外に保有しているにすぎないが、
国際資産運用企業による中国の資産運用商品がまだまだ限定されているためと指
摘している。〔北京日報2011年6月3日〕
注)〓は、「登」におおざと

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行6月20日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     8.0663  646.96    83.01  922.56
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――ニュース》
 震災当時はなかなかメールマガジンをつくるという気持ちになれず、その状況
の中でリリースしていたのですが、ようやく3カ月たって、落ちついてきました。
何かあったらリリースが途切れると思っていたのですが、ここでは特に何の心配
も必要なく、おかげさまで順調です。
 震災以後、日々のニュース、新聞を見るのに妙に時間がかかっています。これ
までは毎日毎月毎年の世の中の大まかな流れや動向を予想しつつ自分なりに拾い
読みして、それで社会の動向がわかったつもりになっていたのですが、今は世の
中の展開が唐突で、自分の知らないことがますますふえたので、ネットや新聞や
雑誌などの情報媒体を見ていても本当にきりがないです。
 日本にいる私でさえそう思っているので、この間ずっと海外にいらっしゃる読
者様は、現在はインターネットなどで海外でも情報はとれているとは思いますが、
日本に戻られて、ますます浦島太郎の状態を実感することになるのかもしれませ
ん。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 リン
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