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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.269 2004年7月27日
発行: 《中国最新情報》編集部 http://www.jckc.com
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:電子メール文化とネット接続の普及】
●中国大陸部 メール送受信は1億通
●上半期 ショートメール1000億通 前年同期比71%増
●中国インターネット発展状況統計報告 毎週12.3時間ネット接続
●台湾ネットワークユーザー 毎日5時間ネット接続 48%がネット友達に会う

┏【国内政策】
●中国の電子政府 ネットは問題ないが行政に問題あり

┏【国内経済】
●拡大珠江デルタ、ASEAN 上半期輸出入額185.2億ドルに
●日本のメーカーはEVD を軽視 中国の高精細DVD規格は古い技術?

┏【経済データ】
●外国為替(7月26日)
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……【特集:電子メール文化とネット接続の普及】…………………………………
●中国大陸部 メール送受信は1億通
 毎日ネット上で送受信される電子メールの数は一体どのぐらいなのだろうか?。
 賽迪顧問が最近発表した統計分析によると、中国大陸部のインターネットユー
ザーが毎日送る電子メールは4600万通を超え、毎日受け取る電子メールは6700万
通を超えている。電子メールの送受信は累計で1億通を超えている。
 昨年末における中国大陸部のネットワークユーザーは7950万戸に達し、ネット
に接続できるパソコンは3089万台に達し、そして、この二つの数字は安定的に急
成長している。

 賽迪顧問の統計によると、昨年末における中国大陸部ネットワークユーザーは
既にメールボックス1.11億個保有している。そのうち有料メールボックスは1500
万個である。
 ネットワークユーザーが使用する電子メールには、無料メールボックス、有料
メールボックス及びISPが提供するメールボックス等がある。
 現在、多くのポータルサイトは基本的に無料電子メールボックスサービスを行
っている。

 ネットワークユーザーが若干問題だと感じていることとしては、毎日ネット上
をやりとりされる1億通以上の電子メールのうち、受け取る約1割はスパムメール
であることである。
 現在、幾つかのウエブサイトではスパムメールの自動ブロックシステムを開発
している。

 なお、賽迪顧問の統計によると、昨年末における世界のインターネットユーザ
ーが毎日送る電子メールは350億通に達している。
 中国の人口は多いため、電子メールの数量はこれからも雪崩のように増加して
いくことになろう。〔新華網7月16日〕

●上半期 ショートメール1000億通 前年同期比71%増
 情報産業部が21日に発表した統計によると、6月末における全国通信業務収入は
2815.9億元で、そのうち電気通信が2536.1億元、郵政業務収入が279.8億元であっ
た。
 6月末における中国の電話ユーザーは6億戸を超えた。そのうち固定電話及び移
動電話の普及率は23.7%に達し、ブロードバンド接続ユーザーは1773.1万戸に達し
た。

 携帯電話のショートメール業務は累計で996.3億通に達し、前年同期比71%の増
となった。〔成都商報7月22日〕

●中国インターネット発展状況統計報告 毎週12.3時間ネット接続
 7月20日に中国インターネット情報センター(CNNIC)が発表した第14回「中国
インターネット発展状況統計報告」によると、2004年6月30日現在の中国のネット
接続ユーザー総数は8700万で前年同期比27.9%の増、ネット接続パソコンは3630万
台であった。
 ネットワークの国際接続帯域は飛躍的に増加しており、53.9Gに達し、前年同期
比190.3%の増となった。
 CNドメイン数、ウエブサイト数はそれぞれ38万、62.7万に達した。

〈接続場所 家か職場〉
 67%のネットワークユーザーは家でネット接続をしており、42.7%のネットワー
クユーザーは職場でネット接続をしている。そのほか、ネットカフェ、オンライ
ン学校、学校、モバイル等の方法で接続している。
 特徴としては、家で接続するネットワークユーザーの比率は安定的に成長傾向
にあり、職場で接続するネットワークユーザーの割合は減少している。しかし、
モバイルによる接続、接続場所が決まっていないネットワークユーザー割合も増
加している。

〈接続方式 ダイヤルアップが主流〉
 ネットワークユーザーのネット接続方法のうち、ダイヤルアップが主流を占め
た。
 中国の8700万のネット接続ユーザーのうち、ダイヤルアップによるネット接続
ユーザー数は5155万人であった。そのほかのネット接続方法は、専用線、ISDN、
ブロードバンド等があった。
 中国にある3630台のネット接続パソコンのうち、ダイヤルアップ方式によるイ
ンターネット接続をするパソコンは2097万台である。

〈接続設備 デスクトップが主流〉
 ユーザーがネットに接続する主要な設備はデスクトップパソコンで、デスクト
ップパソコンでネット接続をするネットワークユーザーは97.5%を占めた。
 一部のネットワークユーザーはパソコンでネット接続するとともに、モバイル
端末、情報家電等でネット接続をしている。

〈接続費用 毎月100元以内〉
 毎月のネット接続費用(ネット接続費及びネット電話費に限定しており、ネッ
トワークサービス費用は含まない)は、51―100元のネットワークユーザーが最
も多く38.9%を占めた。
 ネットワークユーザーの平均毎週ネット接続時間は4.2日、12.3時間で、半年
前に比べてネットワークユーザーの毎週のネット接続日数は増加している。
 ネットワークユーザーの毎週ネット接続時間から見ると、人々のインターネッ
トの使用がますます頻繁になり、そしてインターネットは人々の日常生活にます
ます浸透している。

〈受信メール 毎週平均4通〉
 ネットワークユーザーの毎週平均受信メール数は4.6通(スパムメールを含ま
ない)で、毎週平均送信メールは4.3通だった。しかし、ネットワークユーザー
が毎週受信しているスパムメール数はスパムメールではないメールの2倍に達し
ている。
 ユーザーが保有する電子メールアカウント数は平均1.5個で、そのうち無料メ
ールアカウントは1.3個となっている。これは半年前に比べて基本的に変化はな
い。
 これまでの調査結果を比べてみると、ネットワークユーザーは最初にメールア
カウントを多く持つという傾向にあり、その数は4個まで達したが、減少してき
ており、次第に安定して1人当たり1、2個になっている。
 このようにして見ると、ネットワークユーザーのメールボックスの使用は比較
的理性的になっており、常用している1、2個のメールボックスでユーザーの対外
連絡のニーズを満たすのに十分となっている。

〈接続目的 情報、娯楽〉
 情報を得ることをネット接続の最も主要な目的とするネットワークユーザーの
比率が最も多く42.3%に達した。その次が娯楽、学習であり、対外通信、連絡を
ネット接続の目的とするネットワークユーザーの割合は減少している。
 ネットワークユーザーのネット接続の目的の変化は、ネットワークユーザーの
インターネット使用に対する多元化、一つの活動や機能に集中しているわけでは
ないことを示唆している。

〈ネット接続時間 ピークは依然として夜〉
 ネットワークユーザーがインターネットを使用するピーク時間は依然として夜
である。
 早朝8時からネット接続を行う人が増加し始め、19時に激増し、夜の20時、21
時には1日のピークを迎え、それぞれ46.0%前後のネットワークユーザーがこの時
間にネット接続をし、それ以後はネット接続が減少する。未明の1時から早朝の7
時まではネット接続が最も少ない時間である。

〈ネットワークユーザーの特徴 低年齢、未婚、男性〉
 現在未婚のネットワークユーザーが60.1%を占め、依然として中国のネットワ
ークユーザーの主体となっている。また、未婚のネットワークユーザーの増加速
度は明らかに既婚者のネットワークユーザーを上回っている。
 ネットワークユーザーのうち、18―24歳の若者が最多の36.8%を占めた。35歳
以下のネットワークユーザーは82.0%を占め、ネットワークユーザーの構造は低
年令化している。
 これまでの調査結果と比較すると、ネットワークユーザーは18―24歳の若者が
最も多く、他の年齢層のネットワークユーザーに比べ絶対数を占めている。その
うち、男性の割合は59.3%で、依然としてネットワークユーザーの主体をなして
いる。

〈ネットワークユーザーの学歴 四大生以下が依然として多数〉
 四大生以下の教育程度のネットワークユーザーが依然として大多数で69.2%を
占めている。
 業界別調査では、ネットワークユーザーのうち、公共管理及び社会組織に従事
するネットワークユーザーは13.1%を占め最も多く、次が教育業、製造業、IT産
業だった。
 職業別調査では、高校生のネットワークユーザーの割合が最も多かった。

〈ネットワークユーザー収入 月収2000件以下〉
 低収入のネットワークユーザーが依然として主体を占めている。
 1人当たりの月収が500元以下(無収入を含む)のネットワークユーザーは39%に
達している。半年前と比べて月収500元以下のネットワークユーザーの割合は増加
している。
 1人当たり月収2000元以下のネットワークユーザーの割合は0.5%増の78.1%に達し
ている。
〔北京青年報7月21日〕

●台湾ネットワークユーザー 毎日5時間ネット接続 48%がネット友達に会う
 最新の調査によると、台湾のネットワークユーザーの1日当たりの平均ネット接
続時間は5.23時間で、平均3つのメールアカウントを持ち、48%がネット上の友人
に会ったことがあるという。

 台湾の1111人力銀行が作成した「ネットワークユーザーのネット行為」調査に
よると、平均ネット接続時間は5.23時間だった。29%のネットワークユーザーが毎
日2―4時間ネットに接続し、20%が4―6時間、6―8時間ネットに接続している人も
8%を占めた。
 業務行為を除き、ネットワークユーザーが多くを費やすプライベートな行為は、
35%が出勤時間におけるネット上のチャット、35%が個人的なメールの送信、28%
がアプリケーションソフトのダウンロード、22%がオンラインショッピング、16%
が交流サイトへの接続だった。

 調査によると、台湾のネットワークユーザーは1日平均21.56通のスパムメール
を受け取っており、3年前に比べて8.1通の2.7倍増となっている。
 ネットワークユーザーが最も欲しいメールは友人からの連絡メールであり、次
がネット上のコラム、科学技術情報であった。最もネットワークユーザーが反感
を持つメールはテレクラや出会い系サイトからの情報であった。

 この調査は、7月1日から7月14日までネット上でアンケート方式で行ったもので、
有効回答数は1078件だった。〔新華網7月16日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●中国の電子政府 ネットは問題ないが行政に問題あり
 1999年に中国の多くの政府部門、大型企業はすべてインターネットの利用を計
画し、この年は「IT政府元年」と呼ばれた。それから数年たった今では、「電子
政府」が「IT政府」にとってかわり、2004年は「電子政府元年」と呼ばれている。
 しかし、取材により、長期にわたる系統的な計画が不足しているため、電子政
府は既にITメーカーの派手な宣伝によってつくられたコンセプト、一部部門の経
費申請の口実となっていることがわかった。

〈「トップページのショー」は本当のサービスではない〉
 記者はサーチエンジンで4万以上の政府ホームページが検索できた。無作為に
抽出した中の90%以上のトップページは近ごろのニュース、情報であった。
 しかし、多くのデータや情報は非常に古いもので、ひどいものでは数年も更新
されておらず、多くのホームページが依然として「トップページのショー」であ
った。

 浙江省政府のホームページのトップページは更新されており、しかも基本的な
行政情報を公開している。しかし、ホームページは2001年の統計データがあるだ
けだ。
 浙江省政府のホームページを管理している職員によると、これらのデータはす
べて統計部門から提供されたもので、データの統計にはしばらくの時間が必要と
されるので、更新が少し遅い可能性があるという。

 「大豆浸油の郷」と呼ばれる黒龍江省集賢県の企業誘致・資金導入局のホーム
ページを開くと、トップページに「地方政府を代表する外来投資家サービスのた
めの専門窓口」という大きな字があらわれた。
 しかし、ホームページには企業誘致局の住所、電話を公表している以外、その
他に役に立つ情報がない。ホームページの最終更新日はなんと1970月1月1日とな
っている。
 「主に大豆加工を産業としており、サラダ油を生産しています。製品情報が必
要であれば、ホームページで探したり、伝言板に書き入れたりしないでください。
私たちのホームページはとっくに役に立たないものになっています」と集賢企業
誘致・資金導入局の事務職員は記者に釈明した。

 河南省〓城食糧局のホームページにある小麦、トウモロコシ、大豆のなどの作
物の需給の情報は2000年7月のものである。
 記者の、どうしてホームページの内容がずっと更新されていないのかという質
問は、河南省〓城の食糧局員には理解できないことのようであった。
 「ホームページ?ずっと前から管理する人はいません。何か御質問があれば、
直接事務室で聞いてください」

〈「1兆元プロジェクト」を叫ぶ〉
 電子政府については、ITメーカーと政府部門は熱くなっているが、一般民衆は
大して興味を持っていないというのが現状だ。
 ITメーカーの宣伝が最も派手なころ、電子政府は「1兆元プロジェクト」と呼
ばれていた。

 「2年前、電子政府はまだ発展初期段階であったが、中国の電子政府は「100億
元プロジェクト」であるとよく耳にしていた。1年前には、「1000億元級プロジ
ェクト」、最近では「1兆元プロジェクト」と言われている」
 中国電子商取引協会の電子政府専門委員会の主任委員である施雨農教授は、さ
らに客観的、現実的に電子政府を評価するべきだと考えている。

 中国の電子政府はただITメーカーと政府部門だけで盛り上がっていると北京大
学の電子政務研究院の楊鳳春常務副院長がさらに鋭く指摘している。
 電子政府は主にエレクトロニクス技術と政府管理が結合したものである。しか
し、今、中国国内の電子政府建設の舞台の上で踊っているのは、主に政府部門と
IT企業である。

 道理は誰もがわかっている。サービス観念、仕事の能率向上を変えないのだか
ら、さらに多くのものを投入しても、民衆には便利にならない。
 最も如実な例は、約1万元をかけた領収書の印刷システムを「ペンティアム4」
にアップグレードしても、手続きに来る民衆はそれでも笑顔で公務員がトランプ
をめくるのを見ていることだ。

 国家行政学院の杜鋼建教授は、現在の中国の電子政府建設の状況に対して、「む
だが効率を上回っている」、「コストと効率が比例していない。しかも、重複した
計画が多過ぎる。多くの地方で、電子政府プロジェクトはただ政治成績を上げるた
めのプロジェクト、またはイメージプロジェクトになっている」と語っている。
〔新華網北京7月13日〕
注)〓は、「堰」のつちへんを外し、おおざと

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●拡大珠江デルタ、ASEAN 上半期輸出入額185.2億ドルに
 拡大珠江デルタ地域はまさに中国とASEAN自由貿易地域の最前線と中心の地域で
ある。
 記者が税関から最近得た情報によると、この地域内の福建、江西、湖南、広東、
広西、海南、四川、雲南、貴州の9省はASEANとの貿易を急激に伸ばしており、中
国におけるASEAN貿易の重要地域、中堅としての役割を果たしている。

〈対ASEAN貿易の中堅〉
 税関の統計によると、今年上半期の9省の対ASEAN輸出入額は185.2億ドルに達し、
全国の38.7%を占めた。
 そのうち、対ASEAN輸出額は60.9億ドルで24.2%増、全国の32.9%を占めた。対
ASEAN輸入額は124.4億ドルで26.8%増、全国の42.4%を占めた。
 9省の対ASEAN貿易のうち、広東の貿易額は147.7億ドルで79.8%を占めた。次が
福建で10.6%、雲南3%となった。海南と貴州の対ASEAN貿易額はそれぞれわずか14
億ドルと1.2億ドルであったが、2倍増であり、明らかに成長する勢いを見せてい
る。

 9省の対ASEAN輸出品は、電気機械設備及び伝統的な紡績衣料、履物、農産品と
なっている。輸入品は、電気機械設備、精製油、プラスチック原料、木材、ボー
ル紙等の資源及び植物油等の農産品となっている。
 9省とASEANとの貿易構造について分析すると、双方には比較的強い補完性があ
る。拡大珠江デルタ地域は製造業基地であり、ASEAN地域から大量の資源と製造
業の原材料を求め、ASEAN地域は拡大珠江デルタの輸出製品の重要な消費市場と
なっている。

 「早期に方策をまとめる」とした農産品貿易は、9省の対ASEAN輸出額は3.2億
元で9.2%増である。主要な輸出品は、果物、野菜、水産物。
 ASEANから輸入される農産品は6.3億ドルで72.9%増である。主要な輸入品は食
用植物油、米及び果物。
 中国のASEANとの貿易は1990年から始まり、毎年20%の速度で増加している。
2003年の輸出入総額は782億ドルに達し、11年連続して中国の第5番目の貿易相手
地域となった。

〈ASEANとの往来を容易に〉
 そのほか、拡大珠江デルタの9省はCEPA(経済貿易緊密化協定)実施後、香港・
マカオを貿易をゲートウエーとするASEANとの貿易が容易になったことがデータ
から見てとれる。

 上半期の9省の対香港・マカオ地域への輸出は323.1億ドルで28.2%増、香港・マ
カオ地域からの輸入は29.7億ドルで5.3%増となった。
 9省の香港を中継とする輸出は238.5億ドルで12%増となり、9省の輸出総額の23.1%
を占めた。香港を中継した輸入は605.2億ドルで28.4%増となり、9省の輸入総額の
65.9%を占めた。
 そのうち、香港・マカオを中継したASEANへの輸出は20.2億ドルで21%の増とな
った。香港・マカオを中継したASEANの貨物輸入は86.2億ドルで23.5%増となった。
 上半期、9省の香港・マカオ地域を中継とするASEANへの輸出入貿易は既に106.4
億ドルに達し、9省の対ASEANの直接貿易の6割を占めている。
〔南方日報7月20日〕

●日本のメーカーはEVD を軽視 中国の高精細DVD規格は古い技術?
 中国の高精細DVDメーカーが共倒れ、内戦状態になれば、中国の次世代の高精
細規格は恐らく「生きるも辛い、死ぬも辛い」ことになる。
 世論を軽視してつくられた国家標準であるEVD、HDV、HVDの3規格による「規
格競争」はとまらない。
 この3規格の「内輪もめ」が続く中、中国国外メーカーは既に次世代DVDへと歩
を進めており、「内憂外患」の状態で、中国の高精細DVD規格は岐路に立たされ
ている。

〈新科電子は特許使用費用から逃れることができない>
 凱誠高清電子技術公司の許豊技術総監督は「あの2規格と協力することは不可
能だ」と答えている。「最初に開発したEVD、HVDの技術も私たちがHVD連盟に推
薦したもので、これではだめだと思って、HDVを開発した」HDVのその他の規格
であるEVD、HVDとの協力のチャンスは少ないという。

 新科電子北京支社の徐〓地域主管は、EVDは「国家が唯一承認している高精細
DVD規格で、唯一国際標準組織で認定された規格」であり、その他の2つの規格の
技術は米国シリコンバレーから買ったものだと再度強調している。

 許豊技術総監督によると、HDVの技術は外国から来たものだが、改良を重ね、
既に自前の技術となっているという。さらに、EVDには知的財産権がどのぐらい
含まれているのかただした上で、「実際はEVDとHVDの特許使用料はDVDより高い」
と答えている。
 実際は、新科電子はEVDの特許使用料について決して隠し立てをしていたわけ
ではなく、ただDVDよりかなり少ないということを述べたにすぎない。
 新科電子の腹づもりでは、EVDの自前の知的財産権を用いて、中国国外メーカ
ーとの交渉することで、DVD特許免除を獲得するつもりであるようだ。
 しかし、業界筋は、中国国外メーカーも自前の次世代DVD技術を研究開発して
おり、EVD特許を使用する可能性は比較的小さく、新科電子の目算は失敗するだ
ろうと考えている。

〈中国の高精細規格は古い技術?〉
 調査によると、EVDは米国のLSIロジック社のチップを使用しており、HVDは別
の米Amlogic社のチップを使っている。許豊技術総監督によると、2社の技術は5
年前の古い技術だという。

 LSI社は主にDVDチップのメーカーで、EVDはDVDのバックエンドを多少処理した
だけであり、DVDの支払っている特許使用料と同額の料金を払っている。高精細
規格にするためにサウンドとビデオを改造しており、特許使用料がさらにかかっ
ている。
 Amlogic社が米国市場で生き残っているのはAmlogic社のチップが外国DVD規格
に完全に合致しているからである。HVDはこのチップを使っており、必然的にDVD
特許使用料を払っている。

 アナリストは、「規格競争」は、将来の規格統一の生き残りと次世代DVD市場
の独占を目指すものと考えている。
 しかし、内輪もめは幾つかのメーカーが担いでいる中国という旗を堅持するの
には無益で、かえって敵のために役立ち、みずからに打撃を与えている。
 なぜなら、中国国内の高精細DVDメーカーの本当の敵は、既に 「超大容量の高
精細録画」の段階に発展している中国国外メーカーであるからだ。

〈日本では「ブルーレイディスク」と「HD DVD」との内戦
 高精細規格の争いは日本でも同じく激しく行われている。しかし、海を隔てて
眺めると、この規格の争いは明らかに中国より技術レベルの高い争いである。

 松下電器は、今年7月末から日本国内市場で、ブルーレイディスクを用いた次
世代家庭用デジタルディスクレコーダーをリリースするとを発表した。このこ
とは、全世界規模の次世代デジタルディスクレコーダー規格戦争が日本の電器
メーカーを代表する二大陣営で幕を開けたことを示している。
 次世代デジタルディスクレコーダーの国際規格を奪い合う二大陣営の、一方は
松下電器、ソニー、フィリップスなどの日本、米国、欧州、韓国の13社の家電生
産メーカーで構成されている「ブルーレイディスク」で、もう一方は、東芝、
NECを中心とする「HD DVD」である。両陣営はみずからが研究開発した規格が国
際規格になることを目指しており、全く譲歩していない。

 そこで、松下電器は「先んずれば人を制す」ということで、真っ先に市場にブ
ルーレイディスクを用いた次世代デジタルディスクレコーダーを正式に発表した。
 松下電器のメディア制御システム開発センターの田中伸一所長は、規格の不統
一は消費者や産業界にとっては「不幸」なことであるが、双方が譲歩することは
あり得ないので、最終的には市場によって決定されるしかないと述べている。

 松下電器は間もなくブルーレイディスクを発売するが、このディスクレコーダ
ーは、記録容量が大きく約50GBで、現在使用されているディスクの10倍に相当す
るのが最大の特徴だ。1枚のブルーレイディスクには30本分の2時間の普通画質の
映画または4.5時間の高精細映像を録画することができる。
 松下電器はさらに容量を200GBにまで引き上げる研究を進めており、1枚のブル
ーレイディスクでさらに多くの高精細映像を録画できるようになる。
 なお、このブルーレイディスクはハードディスクとしても使うことができると
いう。

〈日本メーカーは中国EVD を軽視〉
 日本の関係筋は、2004年の世界のデジタルディスクレコーダーの市場は350万
台で、日本メーカーによる製品が90%以上を占めると予測している。
 2005年は1000万台まで拡張し、コストダウンが実現し、日本メーカーがこの市
場シェアを維持するだろうと予測している。

 一方、「HD DVD」は放送規格が既に統一されており、ディスクの基本的な構造
は今のデジタルディスクと基本的に同じで、比較的低価格で映画などのソフトを
提供できるため、米国の映画会社の支持を得やすい。
 「HD DVD」陣営の東芝とNECは、来年の夏に「HD DVD」のデジタルレーザーレ
コーダーを発表する計画である。

 日本の電機メーカーのほとんどがデジタルディスクレコーダーのコア技術を持
っており、多少の覇権争いはあるかもしれないが、国際市場では依然として絶対
的優位を維持する自信を持っている。
 日本メーカーの中国市場における主要問題は、どのようにして早く生産コスト
を下げるか、できるだけ早く中国の広大な市場を占領できるかということである。
 日本メーカーは、中国独自で開発した高精細EVDを単なる脅しとしても見てい
ない。
〔国際先駆導報7月13日〕
注)〓は、「金」を3つ書く

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行7月26日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.5325  827.66  106.09   1013.66
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/info/qpindex.shtml
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《編集後記――101回発行》
 副編集長の前野です。私がメールマガジン「中国最新情報」の編集を2002年6月
4日から引き継いで、今回でメールマガジン発行101号目となりました。
 毎週続けることは、本当に大変な道のりでした。私は根性はある方なのですが、
もう既に2年以上続け、今後もやっていこうと思っているのですから、我ながらす
ごい執念だと思います。
 中国人にもあきれられるほどの中国語力である私がこのメールマガジンの編集
をやってこられたのは、編集長や翻訳者スタッフの助けと、読者の皆さんの支持
があったからだと思います。
 このメールマガジンは内容が内容であるだけに反響は全くないのですが、何よ
りも、この2年間、読者数が減らずに来たことが反響であると思います。ここで
改めまして「中国最新情報」読者の皆さんに感謝します。
 来週からは、記事の邪魔にならないように、最後に編集後記を掲載して、読者
へ声が伝わる作業をしたいと考えています。(前野) 
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●バックナンバーの入手
 http://www.jckc.com/nweek/view.php
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:陳振 劉志軍 杉下薫 荘小波
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