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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.302 2005年4月19日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:黄金周 過渡期とねじれ】
●国家観光局 黄金周制度を継続
●香港ツアーに不平等な実態 差別的旅行料金上乗せ
●北京 黄金周国内旅行価格40%前後
●48元香港1日ツアーを体験

┏【国内政策】
●北京市統計局報告 北京常住人口1500万人に迫る
●北京の知識人 平均寿命53歳

┏【環境】
●天津の西堤頭鎮 工業汚染でがん患者大量発生 3

┏【経済データ】
●外国為替(4月18日)

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……【特集:黄金周 過渡期とねじれ】………………………………………………
●国家観光局 黄金周制度を継続
 「黄金周制度」を改革すべきか否かについての議論に、ついに回答が出た。国
家主管部門は近日、政協委員の関連提案に対して、「黄金周制度」を引き続き実
施すると回答した。

 昨年から、黄金周制度の改革を求める声がますます高くなってきている。
 そのような背景のもと、今年初め、北京市政協委員の李暁松氏は「「黄金周」
がもたらす一連の問題を解決する提案」を提出した。

 提案では、長年実施されてきた「黄金周制度」は経済的効果をもたらすと同時
に、国民にかなり大きい「幸せな悩み」をもたらしていると指摘している。
 すなわち、観光名所は人が押し寄せ、交通業界は人口移動ラッシュになるだけ
ではなく、物流の巨大な圧力も背負っている。そして、人口の大量移動はサービ
ス産業の持つ資源能力を上回り、その結果安全問題も心配されている。
 「そのため、関連部門はこれに対する研究を行うよう提案する。まさに発展途
上の中国にとって、休暇は生活構成の一部分に組み込まれ、生活の「特殊な時
間」ではない。問題解決する長期計画を必要だ」

 しかし、国家観光局は李暁松氏の提案に対して、現状では黄金周制度を引き続
き実施した方が利益が大きいと答えた。
 国家観光局の紹介によると、黄金周休暇制度は、国務院が確定した法定休暇期
間を基礎として、飛び石となっている土日連休日と組み合わせて形成されたもの
だ。この長期休暇制度の実施は、国民の休暇取得の権利を十分保障し、効果的に
運用され、公共の福祉に資するものであるという。
 そして、「黄金周休暇制度は、国民の旅行、レジャーに時間的保障を与え、国
民の日に日に増してくる多種多様な消費需要を満たす条件をつくり出し、国民に
ひとしく歓迎されている」と説明している。

 国務院は1999年に「全国祝日及び紀年日に関する休暇弁法」を発表し、国民の
法定休暇日をふやした。
 この制度は社会生産、国民生活、中長距離旅行への利便を図るため、2000年の
5月1日から始まり、飛び石となっている連休日と法定休日とを組み合わせて、春
節、メーデー、国慶節の3つの時期に7日間連続する長期休暇がつくられた。

 長期休暇がもたらす多くの圧力について、国家観光局は、黄金周協調メカニズ
ムの構築と不断の改善が、黄金周旅行秩序の好転に強力な力となるとしている。
 事実、黄金周関係組織間の協調レベルと旅行サービスの質が徐々に高まり、
「安全、秩序、品質、効率」の4つの統一目標の見通しはますますよくなってい
る。
 黄金周休暇制度の実施初期にあらわれた交通渋滞、観光地区の秩序混乱などの
問題は緩和する傾向にあり、観光客の満足度調査結果も年々よくなってきたとい
う。

 国家観光局は、中国は人口大国で、人口飽和による悩みは黄金周に特有な問題
ではなく、黄金周休暇制度に存在するまざまな問題を根本的に解決するには、速
やかに観光業と交通運輸業を発展させ、全面的に有効供給を増加させることであ
ると表明している。〔北京青年報4月4日〕

●香港ツアーに不平等な実態 差別的旅行料金上乗せ
 丁氏は、香港旅行に行きたくなって、幾つかの旅行会社に問い合わせた。
 しかし、60歳以上の高齢者は団体ツアー費以外に400元を上乗せ、子供はその
半分の料金を上乗せすると通告された。また、教師にも類似の措置があるという。
旅行会社から「香港方面からの要求」という釈明があった。
 わけがわからないと、丁氏が北京青年報のホットラインに電話してきた。

 香港に旅行に行きたくなって、最近北京市の幾つかの旅行会社に電話をしたと
ころ、旅行会社は、旅客に対して「不平等政策を実施しています」として、「ほ
とんどの旅行会社は60歳以上の高齢者が香港の団体ツアーに参加する際に、団体
ツアー費として400元を上乗せします。子供連れの場合は、子供に対し200元を上
乗せします」と答え、ある旅行会社では、教師といった職についている人にも同
様な方法で400元上乗せを通告してきたという。

 丁氏によると、彼の疑問に対し、旅行会社は「これは香港からの要求です」と
答え、「香港に着いた後、余り買い物をしない、つまりこれらの人の消費能力が
低過ぎるためです」とわけを話されたという。
 その後、記者は客として幾つかの旅行会社に問い合わせたが、同様な答えを得
た。
 「このやり方は、結構前から実施されています」とある旅行会社の業界者は正
直に言う。「その理由は、低い団体ツアー費にあります」

 いわく、競争が激しいから、ある旅行会社が募集した香港行きの普通団体ツア
ーの価格は、深セン発香港・マカオをめぐる5日間の団体ツアーで、食費、宿泊
費、入場料込みで1000元を上回るほどの価格で、コスト割れになっている。
 タイ行きの「ツアー代ゼロ」の団体ツアーと同様、旅行会社と香港の現地会社
が合同で展開する香港低価格団体ツアーがあてにするツアー客とは、香港に着い
てから、旅行会社が指定する商店に連れていき、何とか買い物をさせ、それから
商店から高い比率のリベートを得て、低い団体ツアー費用を埋め合わせることが
できる人たちである。
 そのため、高齢者、子供及び買い物に積極的でない教師等の人たちが、旅行会
社の団体ツアー費を上乗せするリストに入ることになる。

 「私はかつて世界の多くの地域に旅行に行きましたが、ある先進国では、高齢
者や教師といった人たちに優遇政策を実施しています。費用追加なんか聞いたこ
とがありません」。
 丁氏は香港旅行発展局に電子メールで連絡をとり、その日のうちに「香港旅行
発展局のアシスタント旅客サービス主任 鄭碧芝」と署名の入った返事を受け取
った。
 それによると、「香港の旅行会社は香港旅行業議会所により監督、管理され、
その議会の規定では、香港旅行会社が入国観光客に離団費、年齢差別費及び職業
付加費等の費用を請求してはならないとなっています」と書かれていた。
〔北京青年報4月5日〕

●北京 黄金周国内旅行価格40%前後値上げ
 記者が12日、北京の旅行会社に取材したところによると、主要な旅行コースの
価格はそれぞれ値上がり、国内旅行の申し込み人数は既に半分埋まっている。例
年に比べても、昆明大理、麗江、桂林、九賽溝、武威山、黄山といった地域は依
然として人気がある。
 現在、幾つかの地域の予約率は既に30―40%に達している。

 港中旅国内旅行センターの馮雅静副マネージャーによると、航空券及びホテル
の値上がりの影響を受けて、各コースの価格は大体30%―50%上昇している。
 また、自由旅行、ドライブ、赤い観光旅行(中国革命の史跡を巡るパックツア
ー)といった新しいコンセプトへの申し込みも多く、今年の黄金周旅行では新た
に人気を博している。

 海外旅行については、欧州、オーストラリアが依然として人気があり、アフリ
カも新たに注目されている。
 多くの欧州の航空会社が観光客を取り込もうと航空券を値下げしていることも
あり、幾つかの欧州路線の価格は普段と同じ水準になっている。〔央視4月12日〕

●48元香港1日ツアーを体験
 広州のある旅行会社が最近、たったの48元の香港1日ツアーを発表し、香港ツ
アーの最安値を更新した。しかし、このツアーは早くも広州市旅行局に中断させ
られてしまった。

 48元では香港行きのバスの切符すら買うこともできない金額である。ツアー客
はどうやって遊ぶことができるのだろうか?
 このことを確かめるため、記者は4月10日、わざわざ最後の超低価格1日団体ツ
アーを追跡し、48元で一体どうやって遊ぶのかを見ることにした。

 早朝8時半、団体ツアーの大型バスは定刻に広州から出発し、深セン皇崗税関
を通関して、そこで香港現地のバスに乗りかえ、香港市街の食事会場へと向かっ
た。48元の旅行代金の中には昼食1回が含まれている。

 ツアー客「おなかいっぱいになるし、料理も普通だ」

 この香港のレストランの支配人によると、一般の旅行会社の団体ツアーの食事
は最低レベルのものであり、仮にこのレベルより低くすると、商売が成り立たな
いという。
 昼食が済むと、ツアー客を連れ、ショッピング地点3カ所を見学する。それぞ
れのショッピング地点では大体30分。見学が終わるころには既に午後4時になっ
ており、このときになってやっとガイドが観光地を案内する。案内する観光地は、
山頂、金紫荊広場、星光大道の3カ所、どれも入場料がかからないところである。
 それらを観光し終わると、香港1日旅行が終わった。

 このような旅程で、ツアー客はどう思ったんだろうか?
 ツアー客「お得感がある」
 ツアー客「ショッピング地点が多く、似たような場所で、時間も短い」

 ある人は、現在広州から香港への直通バスは100元前後かかることから、旅行
会社のこんなに低い価格での団体ツアーは、コスト割れをして、旅行会社の首を
絞めるだけだと考えている。
 このような考え方に対して、この旅行者の関係責任者は記者に教えてくれた。
それによると、団体ツアーに頼るだけでは確かにもうからないのだが、このよう
な低価格の団体ツアーの利益は、ツアー客のチケット手配代行あるいはホテル予
約といった付加的なサービス、またツアー客を連れてのショッピング地点のリベ
ートで得られるという。
 しかし、現在、48元香港1日ツアーは既に広州市旅行局が不正競争防止法違反
とツアー客の誤解によって中断させられてしまった。

 業界関係者によると、50元前後の香港1日ツアーの参加者のうち、ツアーに参
加するだけの客は3割にすぎず、5割のツアー客は帰りの交通手段を必要とし、残
りの2割強のツアー客はホテルや飛行機の予約等多くのサービスを必要としたと
いう。
 つまり、各大旅行会社は、7割のツアー客が付随サービスを利用することで、
旅行会社に利益をもたらすと見ているのだ。〔央視4月13日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●北京市統計局報告 北京常住人口1500万人に迫る
 12日、統計局が発表した最新人口統計報告により、常住人口が1949年の420.1
万人から昨年1492.7万人に達したことが明らかになった。
 このことは、平均毎年20万人近くが北京に流入し、55年間で北京市の常住人口
は2.6倍に増加したことを意味している。

 市統計局人口・就業処の責任者によると、北京の常住人口の規模の変化につい
て、スピードが速く、波があり、各世代間人口の増加量の差が比較的顕著である
という特徴がある。
 全体的に見ると、1960年代以前の人口成長幅は大きく、1960年代以降の成長幅
は小さくなっている。
 1990年代以前、常住人口成長は自然増及び戸籍移動による増加が主体であった
が、1990年代以降は、外来人口の増加が北京市常住人口増の主要な要素になった。
1990年代の北京の平均戸籍移動人口は毎年約6万人であったが、2001年からは13
万人前後に達した。

 現在、人口成長速度は比較的安定しているが、人口の基数はますます多くなっ
ていて、人口増の絶対量は無視できない状態になっている。1949年の常住人口を
基数とすると、北京市常住人口が倍になったのは1975年で26年かかった。3倍に
なったのは1995年で20年へと短縮し、4倍になるのは2010年前後でわずか15年で
到達すると予測されている。
 巨大な人口圧力は、北京市の水資源及び土地資源使用をさらに逼迫させ、交通
を渋滞させ、環境問題をますます悪化させる。

 このように、市場の規律を尊重しながら、市場に頼った非行政的手法で人口規
模をコントロールするか、もっと言えば、外来人口と戸籍移動人口の増加をコン
トロールするかは喫緊の課題となっている。

〈北京常住人口発展の5段階〉
1) 1950年―1960年
 人口高度成長段階。11年間で北京市常住人口は319.5万人、毎年平均29万人増
加し、1960年に739.6万人に達した。
2) 1961年―1970年
 人口成長に波がある段階。この段階では北京市人口の成長はもっとも緩慢とな
った。10年間で毎年平均4.5万人増加し、1970年の北京市常住人口は784.3万人に
なった。
3) 1971年―1978年
 人口成長の再上昇段階。優秀な子供を少なく産むことが奨励され、多産制限政
策が発表されるに伴い、北京市人口の自然増加率は明らかに減少した。1978年の
北京市常住人口は871.5万人となった。
4) 1979年―1990年
 人口安定成長段階。北京市常住人口が1086万人となった。
5) 1991年―2004年
 外来人口が大量に増加する段階。2004年までの北京市常住人口は1492.7万人に
達し、北京市増加人口のうち外来人口は63%を占めることになった。
〔北京日報4月13日〕

●北京の知識人 平均寿命53歳
 昨年最新の「知識人健康調査」によると、知識人が最も集中している北京で、
この層の平均死亡年齢は10年前の59歳から53歳に下がっていることが明らかにな
った。
 中国都市住民のうち、運動することに積極性がそこそこある人は全体で25%に
すぎず、そのうち青年から中年では17%に達しなかった。

 武警総病院健康診断センターの王春秋主任によると、事業に心を燃やす人は特
に「ワーカーホリック」と呼ばれ、時間を超過して仕事をし、夜勤など多くの仕
事時間が不規則な人、長時間の睡眠をとっていない人、自分の理想が高く緊張し
やすい人が過労死になりやすい人たちだ。
 王春秋主任は、40歳以降の人は毎年2回の身体検査を行うことがよいと提案す
る。そのほか、仮に体に不調を感じたら、たとえ単なる頭痛や目まい、動悸や息
切れ、胃腸の不調といった普通の症状であったとしても、真剣に取り扱うべきだ
という。〔華夏時報4月13日〕

……【環境】………………………………………………………………………………
●天津の西堤頭鎮 工業汚染でがん患者大量発生 3
(前号より続く)
〈汚水が流れ、毒ガスが充満し、廃棄物が一面に〉
 権威ある鑑定によると、劉快庄の飲用水のフェノール、弗化物、細菌総計と総
大腸菌は「生活飲用水の衛生基準」を超えている。天津市環境保護局は検査測定
した結論では、化学工業工場の排水、排煙はともに国家標準を超えている。
 専門家によると、飲用水のフェノール、弗化物の含有量が基準を超えると、人
体に対して極めて大きな影響をもたらし、がんになりやすくなるという。

〈科学的鑑定でがん高発生率の原因を探る〉
 がんの高発病率が村民に強烈な不安を引き起こす中、ある人を通じて、村人は
中国政法大学の環境資源法研究とサービスセンター(以下政法資源所)を紹介され
た。
 2004年3月2日、政法資源所の職員と中国疾病予防コントロールセンターの環境
健康関連製品安全所(以下検査測定機関と略称)の職員は劉快庄村を訪れ、この村
の飲用水のサンプルを採取し検査測定した。2004年3月29日に出た検査測定の結
果、揮発フェノール、弗素化合物、細菌総数、総大腸菌群の4項目の数値が「生
活飲用水の衛生基準」の基準値外であった。

 基準に照らし合わせると、揮発フェノール類(フェノールで計算)、弗素化合物、
細菌総計の3項目は国家標準値の1.5、2.49、6.1×104倍である。また、国家基準
では総大腸菌群の検出がないことを求めているが、検査測定の結果は100ミリリ
ットル当たり2MPNであった。
 飲料水として使われている地下水も汚染されていることは、化学工場によって
汚水と排煙が垂れ流されていることからも想像できることである。

 天津市環境局の〓振網局長の2004年8月22日の談話によれば、天津市環境局が
まとめた西堤頭の一部の企業の排水、排煙の検査状況では、水質指標の色度は帝
吉化学工場の外の排水溝が最もひどく、基準の3200倍に達していた。ほかは8―80
倍の間であった。また、国家の地表水の環境基準では、CODの数値はすべて基準
値を超えており、ひどいものは38倍にもなっている。また、国家の農業灌漑基準
では、CODの最高地は基準の10倍近くのものもあった。
 12社の化学工場に対し無作為に臭気濃度の抽出検査を行った結果、すべて国家
標準を上回っており、ひどいものは12倍にもなっていた。〓振網局長は「今の西
堤頭では、水はすべて汚れ、空気も汚れ、土地は退化している。生存環境は深刻
な破壊を受けている」と強調している。

〈水産物や米の豊かさは過去のことに〉
 汚染は地元の人の生命を奪うと同時に、村民の経済的基盤――野菜生産業は徹
底的に打ちのめしている。
 天津市街区から10数キロ余りのにある西堤頭は、以前は自然と野菜生産地域と
なっていたが、「今は全くだめだ!」野菜農家の劉立軍さんは西堤頭の野菜農家
のあきらめを身をもって体得している。

 「集団所有制のころから野菜をつくり始めた。あのころは、西堤頭産の白菜と
いえば特によく売れた」と以前のことを劉立軍さんはとても誇らしげに語った。
「今では趙沽里(天津の野菜市場)で白菜を売ろうとしても、西堤頭産と聞くだけ
で、野菜を買う人がないだけではなく、となりの野菜売りまで違う場所に売り場
を変える」
 「みんな西堤頭の野菜には毒があると言うんです。見てください、これは売れ
なかった白菜です。年を越しても、ここに置いておくしかないです」劉立軍さん
はむしろをめくって積み上げられた白菜を見せてくれた。

 西堤頭村の野菜畑で水をやっていた農民は、以前は、西堤頭の米はとてもおい
しくて、小站の米に匹敵するぐらいだった、しかし今は、水が汚染され、二度と
稲を植えられないという。「ここに綿を植えるつもりです。綿は毒性に対する抵
抗力がは強いから。それに、綿は食品じゃないので、だれも何も言わないでしょ
う」。
 自分の果樹園について、村民の劉義敏さんはとても怒っている。「汚染が原因
で私の25ムーの果樹園では1粒も収穫がなく、数十万元の損害をこうむっている。
向かいにある吉帝化学工場は毎日毒ガスや毒水を流しているけれども、私は1円
の賠償もしてもらっていない。どこに弁償してもらえばいいと思いますか?」

〈渤海に深刻な脅威〉
 西堤頭の化学工場は現地の生態環境に対して深刻な破壊をもたらすと同時に、
その垂れ流した排水が既に周辺地域の安全も脅かし始めている。

 村民によると、ここの化学工場の排水は永定新河に直接排出されるほか、小紅
河の排水も最終的には永定新河に流れ込み、永定新河は渤海に流れ込むという。
 永定新河の下流に、この汚染によって深刻な影響を受けている村民がいる。天
津塘沽区北塘街車沽村はエビの養殖で有名な村である。しかし、2004年6月から
村のエビは大量に死に始め、直接の経済損失は1360万にもなっている。
 関連部門は、エビの養殖池の水源である永定新河の水質を検査し、汚染物の含
有量が大きく基準を超えていることがエビが死んだ主な原因であると発表してい
る。

 資料によると、天津の目と鼻の先の渤海湾は渤海四大構成部分の1つで、永定
新河を含めて40数本の河川が注ぎ込む。大量の陸を汚染源とする汚水も海に流れ
込んでいる。
 統計によると、ここ数年来、渤海に流れ込む年間汚水量は28億トンに達し、全
国の海水汚水量の32%を占めている。その中でも天津市の海水汚水量は10―11億
トンで、渤海を人口の汚水のため池、天然のごみばこにしている。
 専門家は、渤海の自己浄化能力は有限で、海水の循環周期は約40―200年を要
するとして、このような状況で汚水から排出され続けると、その結果は想像もし
たくないものになると警告している。

〈すばらしい故郷を返せ!〉
 深刻な環境破壊で人の居住に適さなくなることが明らかになると、化学工場の
経営者ははっきりこの点を意識して、次々と西堤頭から引っ越している。
 しかし、ここの村民は逃げようにも逃げられず、引っ越す望みもなく、現地政
府に汚染対策に望みを託すことしかできない。

〈だれがもうかり、だれが苦労しているか〉
 「見てください。この両側はみんな私のものなんです!」野菜農家の劉立軍さ
んは大きな畑を指して言った。市街区に続く6ムー以上の畑を持ち、この地域で
はない人が見れば、劉立軍さんは標準的な中流家庭のはずである。
 「実際は私は2万元以上の借金がある!。ちょっとその辺で聞けば、貯金なん
かないってすぐわかるよ」
 集団所有制のころからの野菜農家には、到底理解できないことなのだ。十数年
前は年間に4000数元を稼ぎ、6、7年たつと2万元の貯金ができた。しかし、今は
畑も大きくなって、野菜の価格も高くなっているにもかかわらず、預金はなくな
ってしまい、借金はふえている。

 「すべて化学工場の汚染のせいだ!」。どうして貧しくなってしまったのか、
その原因を聞くと、とても興奮しながら「ちょうど今200数元の診察代を払った
ところだ、腎臓がとんでもなく痛い」という。
 取材の中で、西堤頭、劉快庄、東堤頭村の村民が、病気で貧しくなってしまう
ことはよくあることだということがわかった。
 がん患者の家庭の借金額は、驚異的である。がんの患者は「借りることができ
るところからはすべて借りて、今はだれ貸してくれなくなった!」という。古い
家具、乱れた部屋、あきらめ顔にさらに巨額の借金が加わる――これが、この地
のがん患者の家庭の真実の姿だ。

〈優良中流村の地獄〉
 西堤頭鎮政府のホームページでは、経済発展に関して以下のように書かれてい
る。
 2003年、鎮全体の工業による販売収入は41億6200万元、粗利5億3750万元、工
業生産額8億3070万元。外国輸出商品額1億5600万元、輸出による外貨獲得800万
米ドル。
 西堤頭村は1995年に区レベルでの優良中流村、1997年に市レベル優良中流村に
ランクインした。2002年までの、村全体の工業企業は65社で、固定資産は1500万
元。
 劉快庄村は83社の企業があり、年間売上高は10億元以上。主な企業は9社で光
輝集団、現代化学工場、振興製鋼所、光明香料工場、華隆油脂工場、永明油脂製
造工場、津鴿化学工業有限公司、津北ペンキ工場、吉帝化学工場。

 以上の劉快庄村の9社の主要企業のうち8社が化学工業の企業で、記者が深刻な
汚染物質排出を直接確認した企業でもある。

 年間800万ドルの外貨獲得は確かに誇るべき数字であるが、村民はこの数字に
対して違う考えを持っている。「外国では製造を許可されていない化学製品をつ
くっているので、輸出製品は汚染がさらに深刻だ」「お金は彼らが稼いで、その
代償として私たちは生命を支払っている」
 早くも1997年に市レベルの優良中流村にランクインした西堤頭村の村民は、
「優良中流村」の生活は余りに苦しいという。「この汚染を見ればわかるでしょ
う。優良中流村?現世の地獄じゃないですか!」

〈社長は逃げる 村民の苦しみは残る〉
 汚染を引き起こしている化学工場の社長は、この地に住み続けるとどうなるか
をだれよりもよく知っている。西堤頭から引っ越すことは、彼ら共通の選択であ
る。

 村民に案内されて、ある民家に行った。
 普通の民家と比較して、この何軒かの家は目立っている。2階建ての小さい建
物の壁は白色のタイルが全面に貼られ、垣根の鉄柵も赤色に塗られて、この屋敷
の外観をさらに立派にしている。丈夫な防犯ドアはこの家の主人のこだわりが感
じられる。
 しかし、この家は空家だ。村民は順を追って紹介してくれた。これは永明化学
工場の社長の家、これは吉帝化学工場の社長の家……
 「金のある人たちは、市内に家を買って引っ越していったんです」と村民は教
えてくれた。

 現在、村に住んでいる化学工場の社長はいない。社長の親戚や引越しができる
人は、みんな既に西堤頭を離れている。「だれがまだここに住みたいものですか。
死ぬのを待つだけじゃないですか」。村民は、今のここの環境が既に深刻な破壊
に遭っていることをよくわかっている。

 しかし、大多数の村民には他の道はない。
 がん患者の劉義芳さんは「金がある人は、他のところに家を買うことができる。
私たちはどうやって家を買ったらいいんですか?」「家を買うことについてはも
う言わないでください。私たちはすべて借金して生活しているのに、ましてや引
っ越しなんて!」
 がん患者の家族の田洪樹さんは、引っ越しの望みを全く持っていない。
 「政府が汚染対策に力を入れてくれるのが私たちの唯一の道だ!」これは村民
たちが、生存本能を渇望していることだ。

 2001年から、村民は絶えず政府に問題を訴えている。初めは鎮、そして北辰区、
天津市、さらに北京へと。場所が変わり、ときは変わって、2004年になって、よ
うやく転機が訪れた。

 2004年8月20日、天津市の戴相竜市長が西堤頭を訪れた。「数十億のGDPを捨て
ることになったとしても、このような汚染は要らない。少数の就業のために、大
多数の人を汚染にさらすことはできない」この汚染された土地で、戴市長は高ら
かに声明を発表した。
 その後9月12日に、天津市人民政府の第85号文書が発表された。この中で西堤
頭は環境の汚染対策の重点地域となった。
 村民は希望を見出した。しかし、すぐにその希望はまた水泡に帰してしまった。
〔中国質量万里行雑誌社3月1日〕
注)〓は、「刑」の右側の部首がおおざと
(連載全4回を予定 次号に続く)

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行4月18日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.6344  827.65  106.9    1060.1
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
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《編集者コラム――黄金周で中国の人口の多さを知る》
 日の並びがいいということもあり、ゴールデンウイークにどこかへ行こうかと
海外旅行のパンフレットを見ていたら、そのパンフレットに中国のツアー紹介が
なかったことに驚いたんですが、賢明だと思ったのです。
 以前、中国の黄金周に観光旅行をしたことがあるのですが、名所旧跡の人出の
多いこと多いこと――どこも行列が続き、どこにカメラを構えても人が写らない
ところはないぐらい、さながら人見の様相を呈していました。
 中国は人口が多いと言いますが、その人口の多さを身をもって体験したような
出来事でした。あの印象は強烈で、ただでさえ航空券が高いもう5月の連休に、
人見のために中国旅行するのはもったいないからよそうと教訓を得たのでした。
 黄金周に限らないのかもしれませんが、交通インフラを向上するとか、新しい
観光資源を開発するとか、レジャーを楽しむ恐ろしく多くの人たちをうまく吸収
する方法はたくさんあると思いますが、結局、人々が休日の過ごし方を同じよう
に考え、娯楽が多様化していない間は、しばらくはこんな状況が続くのかなとい
うふうに思います。(ま)
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●バックナンバーの入手(記事検索も行えます)
(200号以降 2003/2/18―)
 http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
(199号まで)
 http://www.jckc.com/nweek/view.php?no=1
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:劉志軍 杉下薫 戴小芳 アヤ
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