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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.328 2005年11月8日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国消費者意識の顕在化】
●中国薬品副作用問題メカニズム欠陥 米国に追随
●広州ではタクシー燃油付加費を徴収
●毎年9000トンのPVCラップが市場に
●PVCラップ 各スーパーの対応

┏【金融】
●ネット上で個人の電子取引使用上限額1日当たり5000元
●金融資産管理会社4社の不良債権処理額は7300億元

┏【国内政策】
●「黄宗羲の悪循環」を断つ 河南省の郷鎮機構改革
●北京外来人口が徐々に市内を出て、郊外と都市周辺部に流入

┏【社会】
●中国臓器移植立法へ 移植ドナーネットワーク設立
●ソウルの訳語「漢城」を「首爾」に改称

┏【経済データ】
●外国為替(11月7日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:中国消費者意識の顕在化】………………………………………………
●中国薬品副作用問題メカニズム欠陥 米国に追随
 中国では、依然として薬品副作用問題メカニズムが不完全で他国に苦々しく追
随しているようだ。
 米国食品医薬品局 (FDA)の「ペモリン(pemoline)」の致死性警告の後、北
京市薬監局では26日、「ペモリン」に関心を持っているが、具体的な推移を見き
わめるという態度を表明した。

 米国食品医薬品局は26日、全米に薬品副作用警告を再度発した。
 肝臓機能の衰弱と死亡を引き起こす可能があるため、米国食品医薬品局は「ペ
モリン」の市場販売許可を撤回した。今までこの薬は注意欠陥多動性障害の治療
に使われていた。

 米国食品医薬品局は「ペモリン」に生産停止の通牒を出したが、「ペモリン」
が有害かどうかについては中国ではまだ確たる結論が出ていない。
 26日記者が北京市薬監局の関係責任者にインタビューをしたところ、「ペモリ
ン事件」に関してはまだよくわからないとの認識を表明した。しかし、その後す
ぐ、「ペモリン」は中国においては幼児多動症及び皮膚病の治療に使う薬品であ
り、パッケージにも肝臓に副作用があるとはっきり表示してあると指摘した。
 現在、中国ではアメリカの「ペモリン事件」と類似する事件がまだ発生してお
らず、「ペモリン」対策に関しては、より一層の研究をし、上級レベルからの通
知を待つ必要があるという。

 薬品副作用問題の発生はどの国でも命にかかわる問題である。同じ薬品で同じ
危険があり、どうしてアメリカの関連部門はすぐ施策を講じたのに、どうして中
国の関連部門はいつも「推移を待つ」と言うのだろうか。
 今年の初めの「バイオックス(Vioxx)致死事件」は全世界を震撼させた。し
かし、中国では、国家薬監局から最後まで国内の具体的な使用数量情報がなかっ
た。
 これと類似する例として「龍胆潟肝丸事件」があった。「龍胆潟肝丸」は有害
物質の生薬「関木通」が含まれているため、中国において副作用事件が多発した。
しかし、その間、国家薬監局からの患者への警告や注意は何もなかった。

 国家薬監局は一貫して監督管理をアピールしている。しかし、現在、薬品副作
用事件が不断に発生しているにもかかわらず、中国の薬品反応メカニズムの確立
ではまだ具体的なタイムテーブルもつくられていない。
 国家薬監局からのデータによれば、中国で毎年薬品副作用で死亡する人数は20
万人である。この数字を決してないがしろにはできない。〔北京現代報10月27日〕

●広州ではタクシー燃油付加費を徴収
 11月15日より、広州では毎回タクシーに乗る際に1元の燃油付加費を徴収され
る予定。これは広州市物価局が1日実施したガソリン値上げに対応する、タクシ
ー業界を補助する措置の一つである。

 また、11月15日より、タクシー経営企業はタクシー運転手に対して、徴収した
請負費、総合サービス費等のうち、車両ごとに毎月100―200元を返還する予定。
この措置を実施することで、タクシー1台の営業コストは毎月100―200元減少す
る。
 この費用返還はタクシー料金とは別枠で徴収する燃油付加費徴収と同時に実施
する。燃油付加費措置が取りやめられた場合、費用返還措置も停止される。
 7月1日より、広東省では既に都市タクシーには道路乗客運輸付加費の徴収を停
止し、タクシー1台の営業コストが毎月200元減少した。

 広州市物価局の関連責任者は、政府関連部門及びタクシー経営企業は近いうち
に新規の徴収項目の追加や徴収料金基準を高めざるを得ないのではないかと指摘
する。
 また、広州市物価局の関連責任者は、タクシー燃油付加費は臨時的措置であり、
今後ガソリン価格の変動によって調整または取りやめられるとの認識を示してい
る。
 例えば93号ガソリン小売り価格(燃料システムクリーナーを除く)は、2004年
と2005年上半期の平均価格は1リットル当たり3.7元を下回れば、臨時措置は取り
やめとなる。
 国際ガソリン値段が、長期的には高めに推移されるのであれば、初乗り運賃を
高める等の方式がタクシー燃油付加費徴収の臨時措置にかわるかもしれないとい
う。

 運転手の「付加費徴収は難しい」との声に対し、広州市物価局は運転手の乗客
との誤解を避けるため、中英文対照の明記した値段シートを作成してタクシーの
目立つ場所に張って乗客に通知する。
 また、タクシー経営企業は税務部門の監督において作成された領収書を使用す
る。〔中華工商時報11月2日〕

●毎年9000トンのPVCラップが市場に
 25日、国家質検総局がPVC食品ラップ使用安全問題に対して記者会見を開いた。
 国家質検総局スポークスマンによると、目下市場に存在する44種類の食品ラッ
プのサンプリング調査で、PVC(塩化ビニール)ラップの中に、人体に有害な可
塑剤であるDEHA(アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル)が含まれているものがあっ
たという。
 国家質検総局では、PVCラップを直接肉や調理済みの食品や油のある食品にか
けることを禁じる公告を発した。
 スポークスマンは、国家質検総局は食品ラップの規格整備に着手しており、関
連部門では現在、25の食品包装衛生国家規格修正作業が計画され、比較的短時間
で修正業務が完了するよう努めることを明らかにした。

〈PVCラップ問題の経緯〉
 9月2日、中国包装ネットが「アメリカ ラップに包まれた食品は健康に害」と
いう文章を掲載し、PVCの含まれた有害物質は人体に入り込みやすいと紹介した。
 10月13日、上海の「第一財経日報」の報道は、本国では禁じられている日本や
韓国のPVC食品ラップが大挙して中国に入り込んでいると報道した。目下中国の
スーパーの生鮮食品の野菜、果物、調理済みの食品の包装には大量のPVCラップ
が使用されている。
 このことによって、PVCラップは公衆の注目されるところとなった。

〈サンプリング結果 12種類のPVCラップに有害な可塑剤〉
 10月14日より国家質検総局が中国で生産されている44種類の食品ラップについ
て調査を行った。
 サンプリング調査の結果、44サンプルの塩化ビニールの含有量は1キログラム
当たり1ミリグラム未満であり、国家規格及び1991年コーデックス委員会が発表
した要求に合致している。
 しかし、サンプリング結果によると、幾つかの包装用PVCラップには可塑剤で
あるDEHAが含まれている。DEHAが含まれるラップに油または熱(摂氏100度以
上)が加わると、DEHAは溶解されやすくなり、食物に入ってそれが人体に摂取さ
れた後、健康に影響を及ぼす。DEHAは中国で規定されている使用可能な加工剤で
はない。
 DEHAが検出されたPVCラップは12種類であるが、国家質検総局はこれらのPVCラ
ップの名称や生産企業を公表していない。

〈措置 DEHAを含むPVCラップを回収〉
 サンプリング結果に対し、国家質検総局は25日に公告を発した。
1) 25日より、DEHA等が含まれ国家規格に合致しないもの、あるいはPVC含有量が
 基準を超えているPVC食品ラップの輸入、輸出を禁止する。
2) DEHAが含まれているもの、あるいは塩化ビニールの含有量が基準を超えてい
 るPVCラップの企業の生産、販売の禁止と、PVCラップで直接肉や調理済みの食
 品、油のある食品を包装することを禁止する。

 国家質検総局はまた、DEHAを加工剤として使用したPVCラップ企業を見つけた
場合、直ちに生産を停止し、差し押さえることとし、かつ出荷と販売を停止し、
出荷した製品を回収する責任を負わせ、該当企業を処罰するとしている。
 国家質検総局輸出入食品安全局の李元平局長は、輸出入の検査、測定において
も、PVCラップを法律で定めた「目録」に加えると表明している。

〈生産 毎年9000トンのPVCラップが市場出荷〉
 国家質検総局スポークスマンの劉兆彬氏によると、現在食品ラップの材質は、
ポリエチレン(PE)、塩化ビニール(PVC)、塩化ビニリデン(PVDC)等に分類
されている。材質としては、ポリエチレンや塩化ビニリデンが安全である。
 国家質検総局の統計によると、中国国内で生産されている食品ラップの企業は
47社あり、そのうち、PE食品ラップを生産している企業は41社、PVC食品ラップ
を生産している企業は6社である。PVC食品ラップ生産企業の多くは中国と外国の
合資あるいは外国独資企業である。

 PVC食品ラップの年間生産量は約1万トンで、そのうち10%は輸出され、90%は中
国国内で消費される。PVCラップの多くは食品や野菜の包装に用いられる。
 人体への潜在的な危険性は主に2つある。一つは、製品の中にあるPVCの体内蓄
積、もう一つは、加工プロセスで使用されている加工補助剤の種類とその含有量
である。

〈消費者への啓蒙 安心して使えるラップ3表示〉
 国家質検総局製品品質監督司の紀正昆司長は、消費者が商品を選ぶときには、
ラップに「PE」「PVC不使用」「電子レンジで加熱できます」という表示のある
ものを選べば、安心して使えると述べている。
 国家質検総局によると、食品ラップ生産企業は製品の包装に必ず製品の材質と
用途範囲を表示しなければならない。表示されていない場合には販売を禁止され、
企業は既に出荷した表示のないラップを回収しなければならない。

 紀正昆司長によると、販売企業は自主的に調査をして、「DEHA不使用」といっ
た表示がないものあるいは電子レンジで加熱できることを表示していないものは
生産と使用を停止するべきあると話している。
 「消費者に対していえば、たとえPVC食品ラップは国家規格に合致していると
いえども、直接肉や調理済みの食品や油のある食品を包むことや、電子レンジで
加熱することはすべきではない」
〔京華時報10月26日〕

●PVCラップ 各スーパーの対応
 国家質検総局はこのほど、PVC(塩化ビニール)ラップで肉類、調理済み食品
を包装しないよう指示を出した。
 26日午前中に美廉美の徳勝門店、東直門の東方銀座などのスーパーを訪れたと
ころ、トレーをラップで包んだものに一連の説明書きがあるだけで、肉類、調理
済み食品、油脂食品、惣菜などに使用しているラップには説明がついておらず、
消費者はそのラップがPVC製品なのか否かを判断しようがない。
 買い物客数人に尋ねたところ、ラップについての事情を了解している人はごく
少数で、食品を選ぶ際にラップを細かく見ている人も見当たらなかった。

〈スーパー側の反応〉
▼カルフール 通知の推移待ち、依然としてPVCを利用
 カルフールスーパーの生肉売場、調理食品売場を26日、訪れたところ、生肉や
調理食品の包装に日本製の「Fancy Soft M」というブランドのラップが使用され
ていた。スーパーの店員は、そのラップは上海本店が一括購入しているものだと
述べた。カルフールは従来よりこのブランドのものを使用しており、国の基準を
満たしていることは間違いないという。
 その後、カルフール上海本店に電話取材したところ、担当者は、カルフールは
1週間前から新しいラップメーカーと商談を始めていると話した。「お客様に安
心してお買い物いただけるよう、できる限り速やかにラップを変えたい」としな
がらも、現在のところ、カルフールの各チェーン店では、生肉や調理済み食品の
包装にPCVラップを使用していることも認めた。
 国家質検総局の「禁止令」については、この従業員は、禁止令の後、明確な行
政指導がなく、具体的な対応方法や期限も出されていないので、正式な通知を待
つ必要があると語った。

▼物美 生肉は包装せず販売
 物美集団の呉家宜・広報マネージャーは26日、物美は調理済み食品や肉類など
の包装に使用するPVCラップにかわる製品を懸命に探していると話した。
 呉家宜・経理によると、PE(ポリエステル)ラップは弾力性が欠けるため、自
然に外れてしまうことがあるが、2重以上に包むと見た目が悪い。また、PEラッ
プはサイズが小さく、大ぶりな肉類を包むのには無理がある。このため他の代替
品を探しているという。
 物美スーパーの恵新店では、従業員は通知を受け取ったばかりだった。使用し
ていたPVCラップを取り外したものの、新しいラップを入荷していないため、当
面は生肉はラップで包装せずに販売するという。

▼美廉美 ポリ袋で代用
 美廉美スーパー仕入部の喬・経理は、メーカーにPVCラップを交換するよう要
求したが、PEラップは品質で劣ると話す。
 美廉美スーパーでは、調理済み食品を直接ポリ袋に入れていた。喬・経理は、
ポリ袋や紙製品については規定があり、調理済み食品が触れても構わないが、材
質についてはやはり厳格に基準が定められていると話す。

 しにせである天福号の田エンジニアは、肉や調理済み食品を包装しているラッ
プはすべてPVDC(塩化ビニリデン)ではなく、ラップ以外にも、アルミホイルや
透明のパック袋の2タイプで包装していると話す。
 田エンジニアは、トレーとラップの使用を完全に取りやめ、真空パックのポリ
袋で商品を小さく包装し、食品の安全を保証できるよう研究しているところだと
語った。
〔北京晨報10月27日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●ネット上で個人の電子取引使用上限額1日当たり5000元
 30日実施し始まった「電子取引心得(第一号)」では、第三者のサービス機構
が原因で個人に損失をもたらした場合、銀行側はその損失を弁済しなければなら
ず、第三者サービス機構と協議し補償請求を行うと規定された。

 「これはかなり大きな変化だ」専門的に電子取引業務に従事する北京雲網公司
広報担当の駱鵬氏は本紙に語った。
 以前の業界の規約によると、一たんデータが盗難、改ざんされて損失が発生し
た場合、通常は個人が警察に通報し、銀行と支払い会社側は警察側に協力する形
だった。
 そして、責任者を探し当てた後、責任者が弁済するが、検挙することができな
い幾つかの盗難事件については、銀行側は弁済責任を引き受けなかった。
 そこで、銀行側に先に弁済責任を負わせることによって、紛争を回避し、個人
の信用力を高めることとなった。

 また、規定では、銀行側は個人が原因による電子取引コマンドの未実行、不適
切な実行、実行遅延を見つけた場合、自発的に個人に改めるように通知するか、
個人の救済措置に協力しなければならないとしている。

 そのほか、個人個人の電子取引種類、1回の支払い金額と1日累計支払い金額な
どについての制限が設けられる。
 規定によると、銀行側はインターネットを通じて個人が電子取引業務を行うと
き、デジタル証明書、電子署名などのセキュリティー認証方式を採用するほか、
1回の支払い金額が1000元、1日累計金額は5000元を上回ってはならないとしてい
る。

 専門家によると、現在、個人電子取引金額は通常1000元以下であり、影響はそ
れほど大きくない。しかし、航空券のオンライン予約、電子報告のオンライン売
買などでは通常1000元以上となるため、ある程度不便をもたらしている。
 しかし、デジタル証明書、電子署名を使用した場合、金額の制限がなくなるた
め、規定の公表はこれらの認証の普及を促進すると分析している。
〔毎日経済新聞10月31日〕

●金融資産管理会社4社の不良債権処理額は7300億元
 2005年9月末までの中国の金融資産管理会社4社の累計不良債権処理額は7366.6
億元で、累計現金回収額は1550.3億元で、不良債権回収率は21.04%だった。

〈4社の不良債権回収額等〉
 華融資産管理公司の累計不良債権処理額は2238.0億元で、現金回収額は455.2
億元で、不良債権回収率は21.04%だった。
 長城資産管理公司の累計不良債権処理額は2350.3億元で、現金回収額は247.7
億元で、不良債権回収率は10.54%だった。
 東方資産管理公司の累計不良債権処理額は1134.7億元で、現金回収額は277.7
億元で、不良債権回収率は24.48%だった。
 信達資産管理公司の累計不良債権処理額は1643.6億元で、現金回収額は569.7
億元で、不良債権回収率は34.66%だった。
〔銀監会10月25日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●「黄宗羲の悪循環」を断つ 河南省の郷鎮機構改革
 2005年12月の21日で、中国共産党の河南省委員会の徐光春書記が農業税を廃止
してからちょうど1年になり、今年9月から始まった河南省の郷鎮の合併もゴール
に近づいている。
 河南省にある470以上の郷鎮は合併で約200となり、河南省は全国でも郷鎮の合
併が最も多い省となった。

 少し前に行われた河南省の郷鎮機構改革会議で、徐光春書記は「黄宗羲の悪循
環」に言及している。
 歴史的に見ると、いつも税制改革をした後しばらくの間は農民の負担は減るが、
結局は改革以前よりさらに負担がふえ、さらにひどくなってしまうのはなぜだろ
うか?
 「重要な原因の一つに、税制改革後、さらに進んだ経済社会管理体制の改革が
不足しているからです」。

 そのため、農業税の廃止後、郷鎮の合併を徐光春書記が河南省で始めたのは、
「三農(農業・農村・農民)」にとっては2つ目の見事な一手である。
 しかし、現在改革が直面している問題は農業税の廃止よりずっと困難である。
郷鎮機関の幹部14万人にも波及しており、郷鎮レベル政府から徐々に配置転換が
行われている。

〈郷鎮の余剰人員〉
 「この日が来ることはずっと前からわかっていました」10月24日、40歳の呉紅
軍さん(仮名)は電話取材に答えている。
 呉紅軍さんは豫南信陽市のある郷の党委員会書記で、勤めている郷は国家レベ
ルの貧困扶助重点開発県の貧困扶助重点開発郷で、郷の人口は2万数人である。
約4万ムーの耕地を持つ農業が主な産業で、その他の産業はほとんどない。郷鎮
合併政策の推進により、呉紅軍さんの郷は合併された。
 呉紅軍さんの記憶では、昨年末の農業税廃止により、郷政府の二百数人の「財
源」が急に打ち切られ、資金が足らなくなった。たった十数人の定員オーバー分
の給料が大変な問題になり、さらにこれまでの毎期の指導者たちが蓄積してきた
数十万元の借金も……。

 郷鎮で勤務しているとき、呉紅軍さんは「余剰人員」が最も頭が痛い問題だと
いつも思っていた。正・副書記、正・副郷長、正・副郷人大主席と、普通に食事
をするのにも、大きい丸テーブル1つでは足らないのである。それ以外にも、一
部に副郷レベルの待遇を受けている幹部がいて、ほとんどすべての村に1人の郷
長がいるような状況であったという。
 郷レベルの「役人」が多いという現象は、河南では珍しいことではない。郷長
が1人、副郷長が数人、執務機関が十数カ所、事務室には数人の職員がいる――
これがほとんどの郷鎮機関の状況である。

 取材によると、郷鎮の幹部が肥大化したのは、すべてが郷鎮の政府の責任とい
うわけではない。
 数年も前から、河南の北のある県では、県の下部組織の郷鎮の年間勤務評価の
うち、財政収入、計画生育、社会安定の三大項目は「千点制度」で評価されてい
る。
 県に所属する工業、社会事業、社会治安維持などの総合政策などの10項目は
「百点制度」で評価されている。この10項目はさらに69項目に分けられている。
 郷鎮の「プロジェクト」業務に対する県レベル部門の評価は23もあり、連続2
年間最下位であった場合、郷鎮の指導グループを調整するとしている。
 上級の審査をパスするため、郷鎮の政府は評価に対応する機関や人員を投入し
ている。
 しかし、農村の税収改革後は、郷鎮の税金と費用は減少しており、管理するべ
きでないことは管理しないことになったため、郷鎮の役人は急にすることがなく
なってしまったのである。

 多くの地方では、組織、人事、民政、教育、労働保障、衛生などの部門の人事
権がある。河南では、郷鎮レベルの事業機関、各出先機関には十数個の看板がか
かっており、上級部門の各種検査に専門に対処している。
 河南省は2001年に郷鎮の機構改革を始めてから著しい成果を挙げているが、依
然として一連の問題が存在している。
 2004年末の河南全省の2100の郷鎮の役人数は16.21万人であるが、実際の人員
は30.23万人で、86.5%も定員を超えている。平均すると、1郷鎮での定員超過人
数は66.8人で、一部の郷鎮では300数人にもなっている。それ以外にも、河南省
の郷鎮には1.25万人の臨時職員がいる。

〈「黄宗羲の悪循環」の打開〉
 郷鎮の職員編成の定員超過、仕事の割に人が多過ぎる状況の改革が必要である。
2005年9月9日、河南省郷鎮機構改革の推進と達成のためのテレビ電話会議が鄭州
で開催された。
 河南の省、市、県、郷の4レベルの幹部がこの会議に参加している。会議に参
加した県レベルの指導者は、当時の省レベルの指導者は「年末前に改革任務を基
本的に完成させなければならない」「過渡期でとどまらず、遅れてはならない」
と明確に語っていたという。

 この会議で、中国共産党の河南省委員会の徐光春書記は、改革の重要性と緊迫
性について語っており、「黄宗羲の悪循環」についても言及している。そして、
農業税が廃止された後、郷鎮の合併が農村改革推進の最も重要な仕事になると指
摘している。
 2004年12月、徐光春書記が河南省委員会の書記に転任した後すぐに、省委員会
経済工作会議で2005年1月1日から、河南省で全面的な農業税の徴収免除すること
を宣言し、河南省農村の税制改革はこれにより「重要な段階の成果」を挙げてい
る。

 その後間もなく、徐光春書記は公の場所で指摘している。「定員を超過してい
る人員はとても多く、農業税の廃止により郷鎮の財政収入が大幅に減少しており、
一部地方では借金や使用名目を変更して給料を支払っている状況です。財政支出
と農民負担の減少は、短期的には減少したとしても、長期的な減少は大変に困難
です」
 徐光春書記によると、現在、郷鎮の政府機能には「欠員」と「定員配置の間違
い」が共存し、郷鎮では多くが管理できなくなったり、うまく管理でなくなった
りしている。そして、、必要な社会管理と公共サービス機能の位置づけが整って
おらず、「三農」のサービス能力が比較的に弱くなっていると指摘している。

 今回の郷鎮合併で、河南省内の平原、丘陵地区では原則的に人口3万人以下、
山岳地帯では原則的に100平方キロ以下の面積、3万人以下の人口の郷鎮は残さな
い方針である。
 廃止された郷鎮は制度を整えた後、隣接している郷鎮に合併される。合併され
た郷鎮の資産、債権、債務はすべて無条件に接収される。郷鎮の合併後は、関連
する職員は当該県の範囲内で調整され、それぞれの職場に配置転換することにな
る。

 郷鎮の党政機関はもともと存在する3つの機関の定数を維持し、機関の名称を
党政事務室、社会事務室、経済発展事務室に統一する。郷鎮の行政編成と事業編
成はもともとの定数を維持し、5年間は減少はできるが増加できないこととする。
郷鎮の各類の非公式職員はすべて退職とする。
 河南省編成事務室の関係者によると、郷鎮の行政と事業編成は、省レベルのマ
クロ管理と総量コントロールにより郷鎮の指導者数を確定すると変更できなくな
るという。人事編成管理台帳をつくり、実名での管理と機関編成申請通知書制度
が実行する。郷鎮の党政指導者数は9―12名から7―9名に減らされる。
 以上のような基準で、河南省全体で470以上の郷鎮が合併されることになる。2
カ所、3カ所を一つにするという原則で計算すると、河南省の郷鎮は200以上減る
ことになり、同時に定員を超過している14万人の「郷の役人」は徐々に配置がえ
されることになる。

 河南は税制改革の後、引き続いて郷鎮政府機構改革の始め、郷鎮政府機能を再
構築する。仕事の重点を直接的な企業誘致と資金導入、生産経営、督促などの具
体的な事務から、農家と各種所有形態済に対して主体的な模範を示し、政策サー
ビスの提供と発展環境の建設に移す。

 10月9日、河南省郷鎮合併業務進捗状況報告会が洛陽市で開催され、計画が確
定段階に入っていることが宣言された。鄭州、南陽などの市は、既にメディアに
具体的な独自の合併スケジュールを公表している。

〈河南省上層部の決心〉
 河南省政府政策研究室の王永蘇副主任は、合併業務を「年末前に基本的に完
成」としており、改革が「成熟」した後に、自分に関係する仕事が来ると思って
いる。「過渡期でとどまらず、おくれてはならない」ということを実際に実行す
るのはハードな任務であるが、駆け引きはしないと河南省上層部は改革の決心を
発表している。

 「過去のこのような改革は、過渡期の時間がもっと長く、もっと変数の幅があ
ることが普通でした」河南省事務室に勤務する呂万鋼さんは取材に対して答えて
いる。
 呂万鋼さんによると、河南の今回の郷鎮の合併では、合併される郷鎮を分割す
ることはできないので、郷鎮全体を合併しなければならないという。合併後は、
新しい郷鎮は地域の経済文化センターとして率先的な役割を発揮するだろうとい
う。

 河南省社会科学院の農村経済研究所の呉海峰所長は、「適切な郷鎮の合併は、
郷鎮の建設と調整、協調、調和ができるので、集積効果があります」と考えてい
る。
 「郷鎮の合併では、役人が減り、行政関与が少なくなり、市場の運営空間が広
がります。間違いなく生産環境の改善に役立ち、資金が集中することにより、郷
鎮のインフラ建設が改善されます」と呉海峰所長は言う。
 河南省では2001年にも郷鎮の合併が行われたが、職員の配置がうまくいかなか
ったためすぐに中止となった。例えば、商丘市虞城県では、合併後に郷鎮を再編
成し、人員再配置がされたこともあった。

 今回の郷鎮の合併では職員の配置が保証されるため、河南省は関連政策を制定
する。
 今年末の時点で、郷鎮の機関に勤務する職員で、男性は満55歳、女性は満50歳
で勤務年限が20年か30年の者は、早期退職の手続をして定年退職と同じ待遇を受
けることができる。
 郷鎮の行政機関の正式な職員は、準公務員的管理の人員ということに基づき、
配置転換後再就職ができなかった場合、退職順序の編成により、2005年に国家が
規定する標準月給の70%が基本生活費などとして支給される。
 配置転換になったフルタイム労働者は1人につき、省財政から県レベルの財政
に対して5000元が補助される。配置転換になったパートタイム労働者は1人につ
き、省財政から県レベルの財政に対して3000元が補助される。合併した郷鎮は1
カ所につき、省財政から県レベルへ50万元が財政補助として1回限り支給される。
 「配置転換されても了承しない」という現象については、「今回はさらに実名
制の管理編成を実行しなければならないので、河南省全体のデータベースを構築
し、ネットワーク化して監督が行われます」と呂万鋼さんは言う。
〔第一財経日報10月26日〕

●北京外来人口が徐々に市内を出て、郊外と都市周辺部に流入
 北京外来人口の大部分は郊外と都市周辺部に分布しており、市街地の外来人口
の数量は徐々に減少している。
 20日、中国人民大学に開催された「改革開放における農村青年人口問題」の学
術セミナーで北京市公安局外来人口管理処の宋春生処長が指摘した。

 今年、北京外来人口の総量は引き続き増加しているが、市街地における外来人
口の数は減っている傾向がある。これに対し、宋処長は「郊外と都市周辺部の都
市化進度と経済発展のスピードが加速しており、就業需要が大きく、もともと大
量の農民賃貸住宅として建設された経済型不動産、分譲住宅団地が、各レベルの
流動人口の北京における居住ニーズを満たすものとなっており、北京に流入者が
居住する主要地域となった」と解釈した。

 宋春生処長は「今年9月に北京市公安局の統計に基づくと、北京市には359.9万
の外来人口がおり、市内には3.7万が分布し、郊外と都市周辺部では210万人がい
る。そのうち、朝陽、海淀、豊台の3区で193.9万人、大興、通州、順義、昌平、
房山等区では101.1万人がおり、10年前に比べ10%を上昇した。
 郊外と都市周辺部では、現在既に61万人以上の流動人口が集まるコミュニティ
ーが形成された」と指摘した。

 なお、この359.9万人の暫定住居人口では、男性が227.1万人を占め、女性が
132.8万人を占めた。
 また、16―59歳の労働人口は353.4万人、うち16―45歳の中青年は332.5万人を
占めた。〔新京報10月21日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●中国臓器移植立法へ 移植ドナーネットワーク設立
 衛生部の黄潔夫副部長は23日、中国は臓器移植立法化に着手し、日増しに発展
する臓器移植以上を整とんして規範化することを明らかにした。
 黄潔夫副部長は、中国の臓器移植が近年来技術的な進歩が見えたとしても、問
題は山積し「立法化が待ったなしの状況にある」と指摘する。

 黄潔夫副部長は臓器移植市場の混乱した状況を中国政府が高度に重視している
と紹介した。中国は臓器移植委員会を設立し、臓器移植に関連する法規と技術導
入について定める。移植ドナーネットワークを設立し、ドナーの透明性を担保す
る。

 臓器移植は近年来急速に発展している。黄潔夫副部長によると、2004年だけで
中国では2600例の肝臓移植、6000例の腎臓移植が行われ、臓器移植の数量におい
ては米国に次ぐ第2位の位置にあるという。〔京華時報10月25日〕

●ソウルの訳語「漢城」を「首爾」に改称
 関連部門の情報によると23日、中国は近日より韓国の首都であるソウル市の中
国語における訳語を「首爾」に改める。
 ソウル市は今年1月、ソウル市の中国語の訳語を「首爾」に改めることを発表
しており、韓国側は中国にこの訳語を用いることを希望していた。
 専門家によると、韓国の首都の中国語の訳語を「首爾」にすることは、国際的
な慣習にかない、中国の外国地名翻訳使用規定にも合致しているという。

 ソウルの歴史は古く、漢江の北に位置する漢陽という都市であった。14世紀末、
朝鮮王朝が漢城に都を定めた後、「漢城」に改称された。
 近代に入り、朝鮮半島が日本の植民地であった期間、漢城は「京城」と改称さ
れた。1945年に朝鮮半島がみずからの地位を返還した後、韓国語の「首都」の意
味を持つ言葉であるSEOULに改称された。〔新京報10月24日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行11月8日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.8675  808.56  104.25   965.6
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
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《編集者コラム――地味な連載》
 金融記事というのは翻訳自体が難しいし、どれが時節に合致しているのかが読
みにくいところもあって掲載が難しいのですが、それでも実物経済だけではない
状況を御紹介したくていつも無謀にもいつもトピックの中に入れています。
 その中でも、地味に載せているのが「金融資産管理会社4社の不良債権処理
額」です。前回は2005年3月末、前々回は2004年9月末、その前が2004年6月末、
2004年3月末と行いました。
 この掲載で半期ごとにまとめてみると、4社の不良債権回収率の推移はこんな
ふうになります。

〈不良債権の回収率の推移〉
年月 華融 長城 東方 信達 全体
2004年3月 21.44% 10.08% 19.95% 31.78% 19.95%
2004年9月 20.34% 10.55% 21.89% 33.20% 19.20%
2005年3月 19.85% 10.41% 22.82% 33.64% 20.46%
2005年9月 20.34% 10.54% 24.47% 34.66% 21.04%
(出典:《中国最新情報》2004年5月11日、2004年10月26日、2005年4月26日、本
号をもとに作成)

 グラフは後ほど《中国最新情報》ブログに張っておくので、興味がある方は見
てくださいね。(ま)

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●バックナンバーの入手(記事検索も行えます)
(200号以降 2003/2/18―)
 http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
(199号まで)
 http://www.jckc.com/nweek/view.php?no=1
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:劉志軍 戴小芳 アヤ 平井玲子 郭暁楠 奥谷道弘
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