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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.345 2006年4月11日
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:住宅不動産問題をめぐる道筋】
●4年連続上昇の不動産価格も曲がり角
●建設部 40都市データ調査 分譲住宅未販売率再設定
●70都市に廉価賃貸住宅制度未整備 建設部年内創設を求める

┏【金融】
●短期外債残高比率55.56% 人民元切り上げ圧力は依然として存在する

┏【国内経済】
●統計範囲によってこれだけの差 国有企業の損益
●「改革村第1号」の停滞 小崗村が目指す合作の道 下

┏【社会】
●治安管理処罰法実施 私立探偵業者、業務内容の切りかえを迫られる

┏【経済データ】
●外国為替(4月10日)

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……【特集:住宅不動産問題をめぐる道筋】…………………………………………
●4年連続上昇の不動産価格も曲がり角
 今年上半期から、不動産価格の4年連続上昇局面ががらっと転換するかもしれ
ない。
 3月31日、「都市観点フォーラム―南京」において、北京師範大学金融研究セ
ンターが発表した「中国住宅不動産金融安全評価報告」でこのような考え方が指
摘された。
 この評価報告ではさらに、都市住民のうち70%には新築不動産の購入能力がな
いこと、今後数年で80%―90%の不動産ディベロッパーが消滅すると試算されるこ
とが指摘されている。
 さらに、未販売不動産が目下主に沿海都市等に主に集中している。

 評価報告では、2002年前後に中国の住宅不動産業の分岐点がある。2002年以降、
住宅不動産の販売速度は投資の成長速度に追いつかなくなった。このことは、大
量の資金が住宅不動産産業に入ったものの、住宅不動産販売の勢いは同時並行的
に進まなかったことを意味しており、業界に変化があらわれ始めた。
 住宅不動産の建設周期と販売周期はなお周回おくれで、ここ数年の住宅不動産
建設周期は数年おくれともなっている。

 中国住宅不動産の未販売の状況は、2003年は1.28億平方メートル、2004年は1.23
億平方メートルとなった。そのうち、未販売不動産は沿海都市に主に集中してい
る。2004年には4236億元の資金が使われずに蓄積された。
 評価報告では、さらに、全国の各地の大中都市における販売最終時期の資金の
蓄積状況を調査したところ、開発が済んでいるプロジェクトで、1年以上経過し
て売られていないものが5―8%あった。このことは、目下の未販売不動産事情は
やはり深刻な問題にはなっていないことを意味している。

 評価報告では、過去3年の状況を見ると、東部地域の分譲住宅の価格は現在単
位当たり4000元前後であり、北京、上海、南京はそれより若干高い。
 しかし、この分譲住宅価格が住民に対してどのようなものなのか?。
 中国の2005年都市世帯当たり収入は1.5万―1.7万である、仮に70平方メートル
の新築不動産を購入すると、不動産価格は収入の13倍であって、このことは、都
市住民にとって、少なくとも70%は新築分譲住宅を購入する能力がないというこ
とを意味する。

 北京師範大学金融研究センターの鐘偉主任は記者に対し、評価報告によれば、
中国の70%の都市住民は現在の収入状況では分譲住宅を購入するに適していない。
しかし、不動産価格の動向、ディベロッパーの利益状況にかかわらず、やはり競
争が激しくなっている状況から見て、現在、不動産業の重大な岐路に立っている
と考えている。

 鐘偉主任は、マクロコントロールはまだ終息する状況にはなく、そのため、今
年年末から、連続4年にもなる不動産価格の急速な上昇局面は、曲がり角に来る
かもしれないという。不動産価格の上昇幅も明らかに緩慢になり、住宅不動産業
が莫大な利益を得る時代は終息し、重大な岐路にあると指摘している。
 そのほか、今年、住宅不動産業で外資企業の設立が許可される見込みで、内外
のディベロッパーの競争を引き起こし、90%の中小ディベロッパーは今後数年で
相次いで淘汰されることになり、これも一つの重大な岐路にあると指摘する。

 鐘偉主任は、中国の大多数の都市住民が新築不動産を購入するのに適さないと
いう結果を受けて、政府は都市及び一部の農村住民の住宅購入の道筋をつけるべ
きであると考えている。例えば、廉価賃貸住宅、低・中所得者向けの経済適用住
宅、中古不動産取引市場、そして新築不動産市場である。
 政府が道筋をつけ、それぞれの住民がこの道筋をたどらなければ、目標が達成
できない。大部分の人の住宅ニーズが廉価賃貸住宅から始まり、少しずつ生活環
境が改善されていけば、どんな人でも平和に過ごせることになるだろう。
〔経済参考報4月3日〕

●建設部 40都市データ調査 分譲住宅未販売率再設定
 3月31日、建設部が緊急に発した通知で、北京、上海、天津等40都市に分譲住
宅供給と未販売不動産状況の関連データ提供を求めた。このことは、昨今話題と
なっている分譲住宅の未販売率問題に対する回答だろう。
 「我々は、各地に一定の時間内に未販売不動産状況を建設部へ報告することを
求める。そして、専門の分析を行って、建設部は未販売不動産状況の初めての調
査研究として系統的に把握したい」建設部住宅不動産業司の侯淅〓副司長は述べ
た。

 建設部は、40都市の分譲住宅の供給構造と分譲住宅の未販売不動産状況に対し
て、調査、分析、評価を進め、それによって現下の住宅不動産市場の情勢を正確
に判断し、中央の政策立案の用に供すると語っている。
 しかし、現在、住宅不動産情報システムが既に稼働し、各地では、月ごとに関
連住宅不動産取引状況が建設部に通報されている。なぜ今回、さらに専門の研究
を行う必要があるのか。これについて、アナリストは、このことは主に国家統計
局の分譲住宅未販売不動産面積に関する数字の発表による影響であると指摘する。

 2005年12月、国家統計局は、2005年10月末までの全国分譲住宅未販売不動産面
積は1.12億平方メートルに達したと発表した。さらに、多くのメディアで分譲住
宅未販売率は26%と報じられた。このことが、未販売不動産及び未販売率につい
ての熾烈な論争を引き起こした。

 「システム建設時には、未販売不動産や未販売率という概念が全くなかった。
北京市も未販売不動産に対する専門統計研究を行ったこともなかった。国家統計
局の数字が出された後、我々はこのことに対するいかなる発表も難しくなった」
北京市建設会の責任者は述べている。
 事実上、建設システムと統計システムの未販売不動産と未販売率の概念の理解
は統一しているわけではなかったのである。

 1995年8月の国家統計局が発行した「固定資産投資統計発表制度」の定義によ
れば、未販売不動産面積は、期末において既に竣工された分譲住宅の建築面積の
うち、いまだに販売あるいは賃貸されていない部分を指す。過去の年度に竣工及
び今期に竣工され、販売及び賃貸に出されたものの、販売及び賃貸されていない
住宅面積も含まれる。
 2003年、建設部の劉志峰副司長は、建設部は国家統計局と合同で、2003年末前
に、住宅不動産業の発表する統計数字の調整を行うと示していた。そのうち、未
販売率指標においては、竣工1年以内の販売を待機している分譲住宅、1年以上3
年以内の販売が停滞している分譲住宅、3年以上の未販売不動産としていた。

 しかし、建設部住宅不動産業司の沈建忠司長は、今になっても、未販売不動産
の概念はいまだに調整がなされておらず、ただ、内部では分析を行っていたとい
う。「目下未販売不動産及び未販売率の論争について、我々は今回初めてのシス
テム調査研究を行うことを決定した」
 「未販売不動産問題は既に国務院政策研究部門も重視しており、建設主管部門
によって未販売不動産問題に対して専門の研究を行い、中央の政策立案の用に供
するものにしたい」住宅不動産問題専門家である董藩氏は述べた。
 侯淅〓副司長によると、どのような未販売率の定義が市場の特徴に合致するの
かを把握すべく、目下、幾つかの部門で研究を急いでいるという。
〔第一財経日報4月3日〕
注)〓は、おうへんに「民」

●70都市に廉価賃貸住宅制度未整備 建設部年内創設を求める
 建設部は2日、現在全国で地レベル以上の70都市で依然として廉価賃貸住宅制
度が実施されていないことを発表した。
 建設部は、廉価賃貸住宅制度が未整備の市及び県は年内に創設し、かつ、省レ
ベルの人民政府は市(区)、県人民政府工作に対する目標責任制管理に組み入れ
るよう求めた。

 統計によると、2005年末現在、既に北京、上海、天津等の18の省、自治区、直
轄市では目標責任書等を締結し、廉価賃貸住宅制度建設を市(区)、県政府に対
する目標責任制管理に組み入れている。地レベル以上の291都市のうち、既に221
都市で廉価賃貸住宅制度を実施しており、それは地レベル都市の75.9%を占めて
いる。

 全国都市廉価賃貸住宅制度建設と実施には依然として4つの目立った問題が存
在している。
 現在、依然として13の省(自治区)において廉価賃貸住宅制度建設が省レベル
人民政府の市(区)、県人民政府工作に対する目標責任制管理に組み入れておら
ず、地レベル以上の70都市は廉価賃貸住宅制度がない。かつ、一部の都市の廉価
賃貸住宅制度は不完全で、122ある地レベル以上の都市には厳格な手続手順が存
在しない。〔上海証券報4月3日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●短期外債残高比率55.56% 人民元切り上げ圧力は依然として存在する
 2005年、中国の外債残高は2810.45億ドルで(香港、マカオを除く)、そのうち
短期外債残高は1561.43億ドル、外債総残高の55.56%を占め、史上最高水準に達
した。
 これについて専門家は、短期外債の比率が持続的に上昇し、特に第4四半期の
貿易信用額が大幅に増大したことを指摘し、人民元切り上げ圧力が依然として存
在することは明らかだと示した。

 外国為替管理局の統計によると、2001年末時点での短期外債残高は外債総残高
の35.3%に占めたが、2003年末にその比率は44.1%まで上昇して、さらに2004年4
月末に初めて50%を上回り50.2%に達した。
 対外経済貿易大学金融学院の丁志傑教授によると、2005年は短期外債の外債総
残高に占める比率の上昇スピードが加速したが、政府債務、中国資本金融機関債
務、中国資本企業債務などの項目の変化が余り大きくなく、甚だしくはマイナス
成長となった。急激に成長したのは外商投資企業債務と中国国内にある外資金融
機関債務であり、これは人民元切り上げ予想と関係があるという。

 統計によると、外商投資企業債務は2004年末の446.46億ドルから2005年末の
505.13億ドルまで増加し、中国国内にある外資金融機関債務は316.34億ドルから
昨年末の408.09億ドルに大幅に増大した。
 丁志傑教授は、中国国内にある外資金融機関の債務増加は主に第4四半期にあ
ったと示した。人民元は昨年7月に為替レートの体制改革を行ったことで、人民
元切り上げ予想の不確定な状況だった状況が変化し、為替レートの体制改革後に
は、人民元が市場で徐々に切り上がるのではないかと予想された。
 「為替レートの体制改革は会社の運営に対して大きな影響があったので、財務
面からいえば大量の外貨負債が発生した」。これは第4四半期に大幅に上昇した
貿易信用データからある程度見ることができる。

 外国為替管理局が公表したデータによると、昨年第4四半期に貿易信用額は128
億ドルにまで激増した。その前3つの四半期にはそれぞれ50億ドル、51億ドル、25
億ドル増加しただけであったが、第4四半期の増加水準は年間水準の半分以上と
なった。
 丁教授によると、貿易信用を通じた人民元切り上げへの投機資金の動きは、主
に輸出入貿易の中の「輸入延べ払い」「輸出前払い金」からもたらされたと考え
ている。それは資金の支払いと貨幣所有権移転の時間差を利用するものだ。しか
し、貿易の実情からいえば、貿易信用が伝統的に資本管理を逃れるのに最も都合
がよく、コストの最も安いルートであるという。

 2005年に中国の外債償還率は3.07%、債務率は33.59%、負債率は12.63%。短期
外債の外貨準備高に占める比率は19.07%で、外国為替管理局によると、いずれも
国際基準安全警戒ライン内にある。〔第一財経日報4月3日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●統計範囲によってこれだけの差 国有企業の損益
 最近注目されていた「国有企業損失1026億元」というデータについて30日、国
家統計局が正式に発表した。
 最近の「2005年中国国有企業の損失額1026億元」という報道に対し、工交統計
司の関連責任者は、2005年の国有工業企業の利益の基本状況について、年間の中
国全国国有持ち株工業企業の利潤は6447億元で前年比17.4%増、うち損失企業の
損失額は1026億元で前年同期比56.7%増となったと述べていた。
 「国有企業及び国有持ち株工業企業の利潤6447億元とは、利益を得た企業の利
益額から損をした企業の損失額を差し引いたものであり、利益と損失が相殺した
後のもので、すなわち、利益を得た企業の利益額7473億元と損をした企業の損失
額1026億を相殺した後の差額である」。

 国家統計局が発表した2005年統計公報では、「2005年国有企業の利益6447億
元」とあり、それは年末に財政部が発表したデータ9047億元にほど遠いというこ
とに対して、この責任者は次のように説明している。
 「国家統計局データの統計範囲は、2005年の2.9万社の国有企業及び国有持ち
株工業企業であり、すべての国有企業ではない。それに対して、最近、財政部が
発表した2005年の国有企業の利潤9047億元、前年同期比25%増とは、金融企業を
除く12万以上のすべての国有企業の利益と損失を相殺した後の利潤であり、すな
わち、国有工業企業だけでなく、建築、卸売小売等のその他の分野の業界の国有
企業を含むものである」。

 30日、「第一財経日報」の取材を受けた中国企業家協会研究部の胡遅副主任に
よると、今日、国有企業で損失を出しているのは製造業であるという。それは、
原材料とエネルギー価格が上昇する一方、市場における消費が伸び悩んでいるこ
とにより、コストが上がっているものの価格に転嫁することができないからであ
る。このことは、業界の利益獲得能力を低下させることとなるため、速やかな調
整が待たれるという。〔第一財経日報3月31日〕

●「改革村第1号」の停滞 小崗村が目指す合作の道 下
(前号より続く)
〈「赤色旅行」で「方向」を模索〉
 沈浩書記は安徽省財政庁から小崗村に派遣され、村支部の書記を担当している。
1993年に厳俊昌さんが辞職してから、小崗村の書記は全部省から派遣されていて、
現在で5代目の書記になる。小崗村を担当した書記は任期満了後に皆出世してお
り、小崗村の「ブランドの力」はまだある。
 「上から派遣されてくる書記は小崗村の発展に大きな影響を及ぼしています。
派遣されてくる書記は2、3年ですぐに交代になるので、数年の任期では計画を実
施できないうちに転勤してしまいます。小崗村出身の人が書記だったら、こんな
ことにはなっていなかったでしょう」厳宏昌さんは言う。

 厳宏昌さんは県政協委員であるが、今年「小崗村の人による小崗村の管理」は
提案せず、小崗村から北に向かう省道307号線の修理を提言した。省道307号線は、
1998年に江沢民氏が小崗村の視察に来たときにつくられた小渓河から小崗村まで
のアスファルトで舗装された道路である。
 厳俊昌さんは外から来る書記では発展の効果が少ないと考えている。「彼らが
現地で正確な判断ができるのでしょうか?、彼らは何をしに来たのでしょうか?、
何ができるのでしょうか?」
 厳俊昌さんと厳宏昌さんの兄弟は村の中では「対立」しているが、この問題で
は意見が一致している。

 沈浩氏は2004年に小崗村の書記となった。沈浩書記は2004年10月に赴任し、小
崗村の新しい発展の道を求めるために、村の幹部などの13人と一緒に「赤色旅
行」(革命に関係する場所を観光する旅行)」を行い、集体経済によって富裕に
なったということで有名な大寨、耿庄、赤旗渠、南街村の4カ所を集中的に見学
し、彼らの経験を学ぶことによって、自分たちの発展の道を改めて考えた。

 南街村の指導的人物の王宏斌さんは「小崗村は歴史に逆行しています」と語る。
 小崗村の指導者が南街村に来て見学したときのことを、南街村の刊行物ではこ
のように描写されている。
 南街村書類保存館の張天順副館長が「南街村の精神を学習し、再び集体化に向
かい、合作社を組織している村落がとても多い、例えば山西壷関県小善村、洛陽
新安県土洞村、開封蘭考県、山東済寧魚台県、吉林四平梨樹県などは農民が自発
的に合作社を組織し、既に集体経済を始めています」と話すと、小崗村の人はこ
れを聞いて大いに鼓舞され「南街村に学んで、固い信念、正確な方向を探求し、
集体経済の発展へ努力し、共同富裕化の実現を図っていこう」と表明したという。
そして、小崗村党支部の沈浩書記は非常に感激し、書類保存館のゲストブックに
「南街村に学び、集体経済を拡大し、共同富裕化の実現に向かおう」という文字
を残した。

 南街村の報道によると、これは小崗村の人が初めてのこのような感慨を受けた
わけではなく、沈浩書記の前にも小崗村の人が南街村を見学しており、「全面請
負制の発祥地の人間として、南街村の変化を見て、私たちのための発展モデルが
わかり、私たちの党組織が前進する方向を見出だせました」と感想を述べている。
 この感慨の言葉と伝言によって、小崗村は「全面請負制」を終結して、再び集
体化モデルへと向かうのではないかとメディアで報じられている。

〈新しい合作概念は「協力」することではない〉
 2006年1月25日の午後、沈浩書記は、小崗村全体村民大会で、旧正月が明けた
ら小崗村のその年に各戸に割り当てられていた土地を再び村に集中させ開発利用
すると発表した。
 沈浩書記がこの日の発言した「協力」とは南街村の合作方式とは異なるもので
ある。集中した土地を「小崗村発展合作社」に提供するという方法である。
 この「合作社」は上海大龍畜禽養殖有限公司、小崗村、〓州市食糧局が共同で
つくったもので、大龍が85%の株式を独占している。

 この会社は2004年から小崗村での豚の飼育を始めているが、小崗村の村民は豚
の飼育をそれほどよいと考えていない。この種の豚は普通の豚より高価で、販路
が少ないことから、この養豚場に対して疑問を持っており、土地の出資をしたく
ないと思っている。
 沈浩書記は2004年10月に自由市場の開設の意見書を出している。小崗村の村民
は肉や野菜を買うのに、10里も離れた小渓河まで行かなければならない。近くの
村落も同様な状況に直面している。小崗村に自由市場ができれば、周囲の人を小
崗村に呼び込むことができ、小崗村経済にとって大きな促進になるだろうと考え
ている。少なくとも、厳留昌さんの宿泊所では閑古鳥が鳴かなくなるだろう。
 土地を集めるときに、村民が15ムーの自由市場を建てるための土地の提供を望
んでいなかったというというトラブルが起こっていたが、沈浩書記の努力により、
今年初めに村では土地の測量が始まった。自由市場は、もしかすると小崗村で初
めての集団経済プロジェクトになるかもしれない

 2006年には自動車部品工場、銅線の錫めっき工場、製粉工場の3つの工場がす
ぐにつくられる。これらの工場をつくるためには、土地が必要である。現在、小
崗村には1800ムーの土地があり、400数ムーにブドウが栽培されているほかは、
すべての土地を「合作社」に組み入れようと沈浩書記は考えている。

 これらすべての行動がとても速かったので、沈浩書記すらも戸惑った。
 「私たちは南街に行きました。南街の献身精神と創業精神を学ばなければなり
ません」。沈浩書記は昨年10月に「経済観察報」の取材を受け、南街モデルは個
人の自由の一部を剥奪することを基礎としており、小崗村がこのやり方はしない
だろうと答えている。
 「南街モデルがみんなの注目を集めていますが、では南街出身の大学生はどう
して帰ってこないのでしょうか?」沈浩書記は当時こう問い返している。
 しかし、沈浩書記に残された時間はもうわずかしかない。慣例によって、1年
後には彼は小崗村を離れなければならないのだ。

〈これからどのような道筋を歩むのか?〉
 厳俊昌さんも「赤色旅行」に参加した。そのときの参加の収穫について、厳俊
昌さんは次のように述べている。
1) リーダーの存在がいて、一つの村をよく運営をしていること。かぎはリーダ
 ーにあり。
2) 小崗村の全面請負制は南街村にも影響を与え、南街でも土地を分割したが、
 南街の土地は少なく、分けてもうまくできなくて回収したことでうまくできた。
3) 全面請負制とは、温飽問題を解決するだけのものであり、それ以上のレベル
 を求めるのであれば、企業を興すことだ。

 安徽省政策研究室の戴培昆副主任は、厳俊昌さんとほぼ同じ意味のことを表明
している。
 つまり、成功している華西村、南街村には、工業化、集体化、リーダーという
3つの共通点がある。「彼らには広く認められた強いリーダーがいます。集体化
がリーダーを生むのではなくて、先にリーダーがいて、集体化するのです。華西
村、南街村は外に厳しく内に甘いという精神があり、外部には原則を重んじ内部
には献身的です」この点から言っても、華西村と南街村は小崗村をコピー、発展
したものではない。

 小崗村はかつてその当時の普遍的問題であった温飽問題を解決した。これは今
日から見ると正しい選択であり、歴史的な功績がある。それに対して、華西村と
南街村が解決したものは富裕問題で、自分のやり方を堅持したのでやり遂げるこ
とができた。
 「今肝心なことは、我々が今後どのような道に歩むのかにあります」戴培昆副
主任は語る。小規模生産方式は需要に対応することができず、生産力の条件は既
に大規模経営へと移っている。1家庭で2000ムーの土地を経営ができ、機械化の
程度は既にとても高いものになっている。
 農村には、いわゆる「386199」部隊(「38」は女性、「61」は児童、「99」は
老人)しかおらず、大部分の人は都市へ出稼ぎに行き、土地は又貸しされ、2000
ムー、5000ムーの土地が集中する。安徽の進むべき道ははっきりしている。

 40キロ離れた安徽省鳳陽県劉府鎮趙庄村では、12年で民営企業家の趙世さんが、
趙庄村の1万数ムーの土地を総投資額3000数万元に上る金額で賃借している。
 このような土地集約的経営と都市化への道筋が、WTO加盟後の中国農業のとる
べき施策の一つと考えられている。
 「これを基礎としてどのように歩んでいけばいいのでしょうか?。依然として
中央は30年間変わらない精神によっているのです。30年間変わらないということ
は、つまり責任制も変わらないということですが、合理的な規模の経営を推進し
なくてはなりません。私たちのしなければならないことは、農民に多元化した生
産様式を認めることです」と戴培昆副主任は言う。
 「今中央が提唱している社会主義の新農村建設の意義は、小崗村が行った全面
請負制に劣らないものです」

 最新のメディアによる報道では、小崗村の108家庭のうち圧倒的多数は、既に
村民委員会の計画に賛成している。
 すなわち、その年に請け負っている1400ムーの土地を、集体名義で1ムー当た
り500元で大龍公司に貸し、養豚基地を建設して、村民は養豚業の配当を受けら
れる。出稼ぎするときには、その企業に勤めることもでき、毎月600元ぐらいの
給料を受け取ることができる。
 このプロジェクトは「集体経済へ帰る」と宣伝され、恐らく3月下旬に実施さ
れることになると見られている。

 小崗村の今回の改革は、以前のように食べる物がなかったのでやったというよ
うな悲壮さや激烈さはなく、血判などは昔のことである。小崗村は中国によくあ
る村落と似たようなもので、ただ碑が1つ余計にあるだけである。
 ある村の幹部は言う。「小崗村は政治意義上で重要なだけで、経済意義上では
重要ではないのです」。
〔南方都市報3月7日〕
注)〓はさんずいに「除」

……【社会】………………………………………………………………………………
●治安管理処罰法実施 私立探偵業者、業務内容の切りかえを迫られる
 今月正式に始まった「治安管理処罰法」によって、「調査事務所」(私立探
偵)の一部の行為が違法行為に当たることになる。
 第42条2項の規定では、のぞき、盗撮、盗聴、他人のプライバシーの公表行為
は、5日間以下の拘留、500元の治安罰金に科せられる。盗撮と盗聴は「調査事務
所」で現在メジャーとなっている調査方法である。
 2001年「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干の規定」の中で「合法的な
盗撮盗映は証拠として使うことができる」という規定が打ち出されて以来、「浮
気調査」を行う「調査事務所」には、依頼が殺到していた。

 「治安管理処罰法」の明確な規定により、「私立探偵」市場である「浮気調
査」業務が法律の枠外から対象内になる。これは現在大部分の「調査事務所」の
主要な業務を直撃する。
 「治安管理処罰法」によって、これらの会社は個人のプライバシーにかかわら
ない範囲の調査業務に切りかえざるを得ないだろう。

 いわゆる調査市場があらわれ、少なくとも13年がたつ。
 世界的に有名な警備会社ピンカートンが1992年中国市場に進入した。1999年よ
り、P&Gが依頼し、中国での模倣品排除業務をピンカートンが独占代理している。
 現在、「調査事務所」の主要な業務は、浮気調査、詐欺摘発、窃盗摘発、情報
摘発、商標侵害摘発、企業危機管理摘発、マネーロンダリング摘発、知的財産の
保護、信用調査など多岐にわたる内容で、経済事件など証拠を取るための事前調
査をすることもある。

 前述のピンカートン以外にも、現在中国で代表所を設立している英米で著名な
探偵会社が2つある。ラウス&カンパニー・インターナショナル(イギリス)は著
作権保護を主に扱っている、クロール・アソシエイツは世界的に有名な探偵会社
で、主に詐欺摘発、窃盗摘発、商標侵害と企業危機管理摘発、マネーロンダリン
グ摘発などを扱っている。

 これらの分野においては、市場は時として政府よりいい仕事をする。
 一部の地方政府が行っている地方保護主義は、これらの会社に盗聴や知識権保
護などでのいい仕事をさせなくしている。
 海賊版の商品摘発事件でよく地方保護主義の影がちらつく。地方政府官僚は自
分自身の業績のため、税収を増徴させるため、模倣品を黙認し、模倣品排除を一
瞬で終わらせ、再び黙認し続けている。
 しかし、市場側から見れば、企業の利益を保護するために、これらの会社の実
行力や頻度は政府を上回ることは言うまでもない。企業が自身の利益のために摘
発行為を行うと同時に、広大な消費者の利益を維持されることから、公共利益に
対するウイン・ウインの関係が実現される。

 現在存在する「私立探偵」市場の安易な禁止政策は市場の発展の需要にはそぐ
わない。このような市場の存在は「公共利益」の保護に対しては有益である。
 「浮気調査」は良好な「社会道徳」を推し進めるのに寄与するし、「模倣品排
除調査」は市場の平等や消費者利益に寄与するし、「信用調査」は公民の信用意
識を高めるのに寄与するだろう。
 このため、この市場を見えないところに追いやっても、さまざまな違法行為が
発生するかもしれない。市場を開放し、取り締まりを強化して、健全な分野の発
展を担保していく方が「公共利益」の保護が実現できるだろう。

 市民の立場からより重要なことは、選択肢が一つふえることによって、政府と
市場の間でサービスの高い方を選ぶことができるということだ。政府にとっても、
これらの市場を顕在化させることは、もっとよい業界をつくることになるし、公
共サービスの実施と監督をよりよく担えるようになる。〔経済観察報3月25日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行4月10日17:12)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.775   800.4   103.19   969.59
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
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《編集者コラム――梅と桜》
 東北より北の方に住んでいる人であれば当然のことなのかもしれませんが、ふ
と梅と桜が咲いているのを一緒に見てみたいという欲望に駆られました。たまた
まですが、私がここ1年ぐらい続いているブログ、そのタイトルを「梅と桜」と
いうのにしていたからか、この2つの花を同時にという気持ちが深くなったのだ
と思います。
 ニュースによれば、ことしは2月ぐらいの気温が寒かったために梅の開花時期
がおくれたのに対して、桜は通常どおり咲いているので、梅と桜が一緒に咲く現
象が見られるとあったそうなんですね。ということは、私が住む関東近辺でも場
所によっては写真のアングルにおさまる程度に近い距離で梅と桜が同時に見られ
るところがあるかもしれないと思いついたのです。
 しかし、観梅と花見の観光地というのは基本的に別々なんですね。梅を観光資
源としているまち、桜を観光資源とするまちはそれぞれ別個に存在しているんだ
なということがわかっただけで、結局、梅と桜が同時に咲いていることが売りの
観光スポットは見つかりませんでした。
 今回はにわかに思いついただけだったのですが、来年以降の参考のため、こう
いう観光スポットを探したいなと思います。お近くにある方、御存じの方はぜひ
教えてください。(ま)
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●バックナンバーの入手(記事検索も行えます)
(200号以降 2003/2/18―)
 http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
(199号まで)
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:劉志軍 戴小芳 アヤ 郭暁楠 奥谷道弘 リン
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