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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.586 2013年8月5日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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★今週の読者数合計:5,554名(2013年8月5日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国製造業のインテリジェント化】
●中国製造業にロボット時代が到来 関連上場企業収益に期待
●中国インテリジェント製造市場は1兆元 70%を外資が握る

┏【国内経済】
●2012年中国のデジタル出版額は1935.49億元
●中国経済の世界経済に対する貢献率は20%を上回る
●中山市 消費財小売額 都市で9割以上
●義烏は中国最もリッチな県級都市に

┏【社会】
●上海タクシー業界が損失に直面し「脱公益化」の声、再び

┏【経済データ】
●外国為替(8月5日)

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……【特集:中国製造業のインテリジェント化】……………………………………
●中国製造業にロボット時代が到来 関連上場企業収益に期待
 「ロボット及びオートメーション化技術は、世界の今後の発展を左右する」ビ
ル・ゲイツは2013年初め、このように予測した。
 ロボットはいまだ世界を席巻するに至っていないが、産業用ロボットの応用は日
々拡大しており、A株市場では機械化旋風が巻き起こっている。

 2012年の年次報告によれば、ロボットにおける3大ビジネス、及びそれら2012年
の売上高、前年比成長率は以下のとおりである。
1) 産業用ロボット――(売上高)3億元 (成長率)35.13%
2) 組立、検査、計測のオートメーション化――(売上高)3.54億元 (成長率)48.91%
3) 梱包、物流のオートメーション化――(売上高)3.17億元 (成長率)43.04%

 ロボットと一口に言っても、いまだ多くの人々が思い浮かべるのはSF映画や自動
車製造ラインのアームであり、ロボットが人々の生活からは遠い存在であることが
うかがえる。しかし、現実にロボットは工業生産分野において既に多く活用されて
いる。
 工業情報化部装備工業司の王衛明副司長は2013年中国ロボット産業振興会議のフ
ォーラムにおいて、製造業のデジタル化、インテリジェント化は産業革命の重要な
指標であり、それらの産業分野を代表するものとして、先進国は産業用ロボットの
導入を製造業再生の主な手段としていると語った。

 2013年、世界のロボット販売台数の7割は日、中、米、韓、独の5カ国に集中し、
中国は日本に次ぐ世界第2のロボット市場となった。
 工作機械の業界規模は中国製造業のファクトリーオートメーションに対する需要
の大きさを示しており、中国のロボット使用密度はいまだ最低ラインにある、した
がって、中国のロボット使用密度の向上がロボット需要の拡大につながるという分
析もある。
 「中国の市場規模は2014年日本を抜き、世界最大となる見込み」(王衛明副司長)

 データによれば、中国の産業用ロボットの新規設置台数は年間40%の伸びをキー
プしており、2008年以降はさらに成長が加速している。
 王衛明副司長によれば、産業用ロボット50年の発展の歴史において、このような
短期間でこれほど膨大な需要のあった国は、中国をおいてほかに存在しない。2012
年、中国の産業用ロボットの販売台数は前年比51%増であった。
 「幸いにも、中国製産業用ロボットのコストは年に4%の割合で減少している」
(王衛明副司長)

 生産と生活のオートメーション化が、今後の産業発展の主な方向性であることか
ら、ロボットを代表とするインテリジェンス・オートメーション化分野の上場企業
は市場の熱狂的支持を受けている。
 その例を挙げれば、2013年以降、ロボットの株価は絶えず上昇トレンドにあり、
市場の株価調整に伴って短期的に反落しても、早期に回復し、上昇を続けている。
最近、市場は一度暴落したが、当該株価は大きく反発し、次々と新高値を更新した。
このことからも、市場のこの種の株に対する絶大な支持の一端がうかがえる。

 市場関係者によれば、A株市場には、江蘇天奇物流系統工程股フェン有限公司、
瀋陽藍英工業自動化装備股フェン有限公司、湖北三豊智能輸送装備、軟控股フェン
有限公司、北京金自天正智能控制股フェン有限公司等、ロボット及びオートメーシ
ョン化との関連の強い上場企業が多数ある。
 一部企業の事業分野はロボットに特化したものではないものの、資料によれば、
それら企業もロボットの関連分野に多く携わっており、ファンドの注目をさらに集
めることが見込まれる。〔海南特区報2013年7月15日〕

●中国インテリジェント製造市場は1兆元 70%を外資が握る
 労働力コストの上昇がまさに中国製造業に今までにない圧力をもたらし、オート
メーション化を代表とするインテリジェント製造が中国製造業の多少の救いになっ
ていることは間違いない。
 とはいえ、このことが気まずく語られてしまうのは、今後、1兆元を超える新市
場において、外資企業が既に70%以上のシェアを占めているからである。

 「政府の政策誘導と財政支援、さらに企業の研究開発投入の増加から見れば、中
国のインテリジェント製造業の発展は強化され、業界水準も上昇し続ける。しかし、
中国企業は初期条件の弱さが深刻で、今後、国内市場シェアが30%になるかどうか
わからないのに、50%が目標なんてとても言えない」慧聡研究ICT事業部の担当者の
張本厚さんは、中国企業報記者にこのように述べた。

〈製造業の「危機」〉
 2010年には、中国製造業の生産額は1.955兆米ドルに達していた。これは世界の
製造業総生産額の19.8%を占め、また米国の1.952兆米ドルの総生産額、19.4%の世
界シェアを上回る。政府側はこれを、アヘン戦争後、1世紀半を経て、中国は再び
世界一の工業国の位置を奪回したとしていた。

 しかし、中国製造業は大きくても強くないというのは公認の事実である。
 中国機械科学研究総院の屈賢明前副院長は、中国の機械設備製造業には自主革新
能力が弱く、高度な製造工程を主に国外企業に握られている等の問題が存在すると
指摘する。
 例えば、製造業のうち比較的中核となる計器では、中国の技術レベルは国際的に
は1990年代初めから中期のレベルである。

 特に重要なことは、工業情報化部の蘇波副部長が先日言ったように、30年余の高
度発展を経て、中国製造業が主に低コスト、廉価な労働力に依存していた時代が終
わり、外部的な国際経済、産業発展の環境変化に関係なく、経済発展の内部環境に
よって深刻な挑戦に直面していることである。

 発表されたばかりの6月期のPMI指数によると、政府発表のPMIは50.1%まで下落し、
前年比0.7ポイント減であった。民間発表のPMIは48.2しかなく、ここ9カ月で最低
水準となった。
 この2つのPMIがともに下落局面を見せたことで、今後の経済がさらに鈍化し、中
国の製造業が直面する内需と外需は弱体化していることがはっきりした。

 「まさに内憂外患で、中国の世界の工場としての地位には危険が至るところにあ
り、製造業の転換は焦眉の急である。そして、インテリジェント機械設備が、従来
型産業の高度化改造、戦略性新興産業の発展需要に直面しているのは、中国製造業
転換という広範な市場の先行きにおいて決定的な役割があるからである」(張本厚
さん)

〈兆元の市場規模〉
 「従来型の機械は通常、不変のコントロールシステムで、主に人間によるオン・
オフによる機械操作である。インテリジェント製造は、各種製造プロセスのオート
メーション化、インテリジェント化を実現するだけなく、高速、高精度等といった
特徴もあり、機械設備製造業全体の技術水準向上をもたらし、市場の先行きは広
い」(あるインテリジェント製造企業の関係者)

 開発途上のロボット製造を例にとると、2009年、中国の新規の産業用機械はわず
か約9000台だった。近年来、中国の製造業の発展と高度化に伴い、産業用ロボット
の設置台数は安定的に上昇している。
 今後3年で、中国の産業用ロボット市場の年平均成長率は30%に達する可能性があ
り、2014年には世界最大の産業用ロボット消費国となることが予想されている。

 「第12次五カ年計画 国家戦略性新興産業発展規画」が打ち出すインテリジェン
ト製造機械設備産業の発展工程表によると、2015年には、重点分野の製造プロセス
のインテリジェント化水準を著しく上昇させ、2020年には、インテリジェント製造
の国際競争力を持つ産業集積区、企業集団を形成するとされている。

 「政策支援があって、今後少なくとも5年以内にインテリジェント機械設備業界
は高度成長を保持し、第12次五カ年計画期間におけるインテリジェント機械設備の
主管業務収入の年平均成長率を25%超、2015年までに市場規模を1兆元超にする」
(前述の企業関係者)

〈70%は外資が支配〉
 政府がインテリジェント製造業界の発展の青写真をよくつくり、業界全体もこの
1兆元という大きな市場のパイを手ぐすねを引いて待っている。
 にもかかわらず、例えば気まずいこととしては、中国のインテリジェント製造業
界の平均70%以上のシェアは外資企業の手中に握られ、中国企業は基本的に隅に追
いやられている状態だということだ。

 公開されているデータによると、中国市場のハイエンド自動制御システムの95%、
高級数値制御工作機械の90%、高級数値制御システムの95%の市場シェアは国外製品
が握っている。
 核心部品、デバイスにおいても、高級数値制御工作機械セットの高級機能部品の
70%は輸入する必要があり、大型工作機械で30Mpa以上の油圧のものでは外資が独占
している。

 この局面に対し「第12次五カ年計画 国家戦略性新興産業発展規画」では、2015
年、インテリジェント製造機械設備の国内市場シェア30%到達に努め、2020年まで
に国内市場シェアをさらに50%までに向上させることを提案している。

 張本厚さんは、近年来、中国政府と企業はハイテク研究開発力を日々強めてきて
おり、2011年、中国の研究開発投入は世界の13.1%を占め、米国に次ぐ世界の研究
開発投入第2位となっていることから、研究開発への高い投入を続けることは、中
国のハイエンドインテリジェント製造分野の競争力を必ず押し上げると見ている。
 「とはいえ、否定できないのは、核心技術の総量、企業のイノベーション能力、
さらに市場需要等の方面では、中国のインテリジェント製造業は国外に比べ依然と
して大きなギャップがあることである。結局、先進国の目下の水準は数十年の蓄積
を経ているのに対し、中国はスタートしたばかりであり、中国が自然をも超越でき
るような強さを持っているわけではなく、まだ時間がかかる」
[中国企業報2013年7月23日]
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……【国内経済】…………………………………………………………………………
●2012年中国のデジタル出版額は1935.49億元
 7月8日、第5回中国デジタル出版博覧会が北京で開幕した。
 2012年、中国のデジタル出版は引き続き強い成長の勢いを維持し、年間総生産量
は1935.49億元に達し、2011年の1377.9億元に比べて40.47%増加した。インターネ
ット広告、携帯電話出版とネットゲームは依然として収入のトップ3を占める。

 8日発表された「2012―2013中国デジタル出版産業年度報告書」によると、2012
年の中国デジタル出版産業全体の収入のうち、インターネット定期刊行物の収入は
10.83億元、電子書籍(ネットオリジナルの出版物を含む)は31億元、デジタル新
聞(携帯電話新聞は含まない)は15.9億元、オンライン音楽は18.2億元、ネットア
ニメは10.36億元、携帯電話出版(携帯電話のリングバックトーン、リングトーン、
携帯電話ゲームなどを含む)は486.5億元、ネットゲームは569.6億元、インターネ
ット広告は753.1億元に達する。また、2012年の年末までで、中国のデジタル産業
の累計ユーザー規模は 11.82億件に達する。

 報告書はさらに、この先1年でデジタル出版産業の発展の勢いは以下の分野にあ
らわれると予測している。
1) 管理機構の合併により、メディアの融合がさらに推し進められる。
2) 科学技術と新聞出版が融合する傾向はさらに強まる。
3) 伝統的な新聞出版組織のデジタル化へのモデルチェンジはさらに深まる。
4) ソーシャルメディアはデジタル出版の重要な方法となる。
5) ビッグデータの分析と掘り起こしがより一層デジタル出版に使用される。
6) マイクロメディアの役割と地位はますます高まる。
〔証券時報網2013年7月9日〕

●中国経済の世界経済に対する貢献率は20%を上回る
 7月8日―10日、WTO第4次「貿易促進援助」国際大会がスイスのジュネーブで開催
された。
 中国商務部の李金早副部長は団体を率いて出席し、中国側の立場を詳しく述べる
際に以下のように説明した。

 過去10年のおいて、中国は年間平均輸入額は7500億ドルで、これは貿易相手国の
ために1400万もの雇用を創出したのに相当し、中国経済の世界経済に対する貢献率
は20%を上回る。

 また、世界で人口が最も多い発展途上国として、中国は貧困人口を減らす努力を
行う一方、自身の発展を通じて世界経済の発展のために貢献している。
 「今後、中国経済が「内需拡張、消費促進」方向に向ってモデルチェンジするに
従い、世界各国のためにさらに多くの貿易、投資、及び発展のチャンスを提供する
だろう」

 数年来、中国の「貿易援助」は内容が豊富で、形式が多様で、援助国のために誠
実な援助を提供している。
1) WTO「貿易援助の促進」に向け、寄付を提案したり、「中国プロジェクト」を設
 立したり、後発発展途上国が多角的な貿易体制に参与できるように助けている。
2) 中国と国交を樹立した後発発展途上国に97%の租税種目の製品のゼロ関税待遇を
 与えることを承諾し、これらの国が輸出を拡大できるよう助けている。
3) 投資金額を増加し投資領域を広く開拓するよう企業に奨励し、援助国の生産能
 力を高めることから貿易発展の促進に着手している。同時に、援助国に対し、各
 種生産プロジェクトの建設を支援することを通じて、援助国が生産能力を高め、
 貿易規模を拡大し、貿易構造を合理化することを助けている。
4) 貿易に関連したインフラ建設を強化し、援助国の交通運輸と貿易を円滑化する
 条件を改善している。
〔証券日報2013年7月12日〕

●中山市 消費財小売額 都市で9割以上
 マクロ経済運営が減速した影響を受け、上半期の中山市における消費財市場成長
率も明らかに減速した。
 中山市統計局が先日発布したデータによると、中山は上半期において社会消費財
小売総額431.63億元を実現し、前年同時期と比較し9.1%の成長となった。物価要素
控除後の実質成長は8.6%であった。

 そのうち、都市消費財市場小売額は394.9億元で全体の91.5%を占めており、農村
消費市場小売額36.73億元の10倍余りとなっているが、両者の成長はどちらも9.1%
であった。
 小売業は社会消費財市場成長押し上げの主導力であり、381.05億元の小売額は中
山市全体の消費財小売総額の88.3%を占める。
 卸売業、ホテル業の小売額は下降し、飲食業小売額は38.87億元で7.4%の成長と
なった。25種類の商品のうち、小売額の前年同時期比成長が最速なのは家具類で110%
増、下降幅が比較的大きいのはニュース雑誌類で22.9%減であった。

 市統計局分析によると、物価上昇、ネットショッピングにおける衝撃などが社会
消費財小売市場に影響を与える主要要素となっている。
 食品類、家具類の価格上昇は明らかで、住民の生活コストを上昇させ、消費意欲
の減退を引き起こしている。ネットショッピングが伝統的な入店消費モデルに与え
た衝撃もはっきりしており、衣料・靴・帽子やニュース雑誌類が比較的大きな影響
を受けている。
 また、高級ホテルの飲食市場は中央の「八項規定」、倹約励行、三公経費制限な
どの政策による巨大な衝撃を受け、中山市全市のホテル飲食小売業は1.6%下降した。

 しかしながら、自動車類、通信機材類といった商品の小売額は今年上半期におけ
る成長が比較的早い。市街地よりほど近いところでの自動車4S店(自動車の販売、
スペアパーツ、アフターサービス、情報フィードバックを扱う店舗)の新規開店が
少なくないため、自動車消費の成長を刺激しており、上半期の小売額は53.94億元
を記録し16.7%の成長率であった。
 メーカーは携帯電話の新機種を次々と売り出し、消費者の買いかえを促し、一定
規模以上の企業の通信機材類商品の小売額を15.6%増加させた。
〔南方報網―南方日報2013年7月25日〕

●義烏は中国最もリッチな県級都市に
 23日、フォーブス中国語ホームページの「2013中国最もリッチな県級都市」ラン
キングにおいて、義烏が4万78元の1人当たり可処分所得をもって、中国国内で最も
リッチな県級都市としてランクインした。

 フォーブス中国ホームページでは、都市住民の1人当たり平均可処分所得が県級
都市の富裕レベルの基準とされているが、今回の最もリッチな十大県級都市は、義
烏、諸曁、崑山、張家港、常熟、江陰、太倉、楽清、慈渓、上虞だった。

 そのうち、トップの義烏は小商品市場として名が知られており、全国の小商品流
通センターと国際小商品の仕入れ拠点として成長した。
 ランクインした県級都市のうち、義烏の1人当たり平均可処分所得が4万元だった
ほか、他の県級都市も3.5万元前後で、それぞれの差は大きくなく、ランキング第2
位の諸曁は3万5697元で第10位ランキングの上虞も3万4011元であった。

 地域分布から見ると、この10県級都市は5都市が浙江省に属し、5都市が江蘇省に
属している。これは江浙地区の県域経済の発展レベルを示してもいる。
〔京華時報2013年7月24日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●上海タクシー業界が損失に直面し「脱公益化」の声、再び
 14元!上海タクシーは全国で最も高い初乗り運賃であるが、それでも業界の冬の
時代到来を阻止することはできない。
 上海タクシー業界協会の試算によると、2015年、上海タクシー業界は全面的に赤
字になり、上海市タクシー会社は1台当たり毎月平均130元の赤字となる見込み。

 上海タクシー・レンタカー協会の石景明秘書長は次のように述べる。
 「この統計データは、現行のタクシー営業状況から弾き出した数字である。同時
期に上海市監査部門も試算していたが、業界協会の統計と50銭も差がない結果とな
った」
 これが意味していることは、業界協会から政府部門に至るまで、上海市タクシー
業界の全面的赤字を予想し、上海タクシー業界は厳しい冬の時代に入るということだ。

〈タクシー業界の不当な利益稼ぎは終わった〉
 乗客に運賃も高いしすぐにつかまらないと文句を言われる、タクシー運転手には
労働がきついと不満を言われる。しかし、実際にはタクシー会社はもうかっていない。

 大衆交通の趙思淵社長秘書は次のように述べる。
 「現在、上海市では公共交通体系のほかにも、2012年末には上海全市の自動車や
オートバイ保有台数が260万台に達し、そのうち140万台が自家用車で、このほかに
取り締まりしてもあらわれる白タクがある。このような状況から、タクシー会社の
価格交渉能力が弱まってしまった。社会の世論の圧力も加わり、タクシー業界は既
に経営困難を極めている」

 大衆にとり、タクシー業界は不当な利益を得、独占的な業界である。
 しかし、上海市タクシー協会の統計によると、2011年、タクシー会社の1台当た
りの毎月平均利潤は892元で、2012年には654元にまで落ち込み、今年は417元にま
で落ち込む見込みで、来年の利潤はわずか156元、2015年には毎月130元の赤字にな
るとの予想である。

 「現在の協会の試算は、ただ単に人件費コストの上昇(主な要因は運転手の社会
保険金の値上がり)を考慮しただけであり、仮に、電気・水道・ガソリン価格の上
昇や、タクシー会社の事務方の賃金上昇などの要因も考慮に入れると、予測はさら
にひどい結果になるだろう」(石景明秘書長)

 タクシー会社の少ない利益をさらに詳しく知るために、タクシー協会は記者のた
めに、タクシー会社の項目別のコストと試算方法を解析してくれた。
 その中で最もコストのかかるのが車両である。1台の価格は10万から12万元、使
用期間は4年間、廃車後の下取り価格はわずか1万元余りである。
 次に、運転手の費用である。社会保険や服装など、現在、運転手1人につき、毎
月平均1700―1800元の支出となる。かつまた上海市の規定により、社会保険支出は
毎年10%ずつ上昇する。
 3つ目は、営業許可書の費用である。
 4つ目は、各種の税金である。企業の営業税、付加税、維持費(自賠責保険、車
検などの費用)、必要な財務費用、電気代、管理費など。
 しかも、肝心なことは、これらの費用は上がることはあっても下がることはない
ということだ。

 特に注目すべき点として、タクシー会社への「上納金」がこれまでずっと攻撃の
ターゲットとされていたことだ。
 石景明秘書長によると、事実上、上海タクシー業界の上納金は7年間で5度も下方
調整され、1.02万元から現在の8200元に下がっているという。タクシー会社の現在
の上納金は、タクシー業界に影響を与えるほどの主要な原因ではなくなっている。

 このほか、石景明秘書長は、タクシー会社の最も重要な資産であると思われてい
るタクシー営業許可書ですらも、外部の人が想像しているような会社に巨大な資産
価値をもたらすものではないと考えている。現在、上海のタクシー営業許可書の市
場価格は20万―50万元である。
 「営業許可書無料化の声は、政策立案をミスリードした。タクシー営業許可書は
会社のM&Aなどを経て、既に市場でいろいろなことがあった。現在、企業のタクシ
ー営業許可書の80%は有料のものだ」(石景明秘書長)

〈業界の位置づけの転換を阻むもの〉
 タクシー協会及び大衆タクシー、強生タクシーによると、上海市の規定に基づき、
タクシー運転手に一般に求められる条件は中卒の学歴、上海戸籍であって、参入ハ
ードルがとても低い。
 収入水準や技術ハードルから見て、タクシー運転手は依然として比較的よい職業
の一つである。現在のタクシー運転手の月収は5000―8000元で、よいときには1.2
万元に達する。

 タスクー運転手は、目下、上海市で全体の中の上の水準の収入であるが、今後こ
のような収入を保障するのは難しい。
 経営は身動きがとれず、問題が続出している。そのため、タクシー業界内部では
変革のための準備を始めており、業界の位置づけに批判を向けている。

 2009年「上海市タクシー業界の健全で持続的な発展のさらなる促進に関する意
見」では、タクシーは都市の総合旅客輸送体系の重要な構成要素として、大衆の個
別の外出ニーズを満たす重要な交通輸送方式の一つで、都市の総合サービス能力を
体現する重要な主体で、都市公共交通の必要な強化部分であるとしている。
 これに対し、石景明秘書長は、もしタクシーが公共交通であるのならば、特に財
政補助といった相応の政策があるべきだと考えている。
 「現在、タクシー会社には何らの財政補助はない。いわゆる「燃料サーチャー
ジ」は運転手が受け取っており、タクシー会社にはそこからの収益はない」(趙思
淵社長)

 タクシー会社は、現在、公共交通業界と見られているが、実際には独立的な市場
としての動きを考えている。
 もし、公共交通でないことがはっきりすれば、企業は合理的な利益獲得ルートを
持つべきだとして、タクシー業界内部は位置づけの転換、発展構想を検討し始めて
いるのだ。
 有名な弁護士の呉家平氏は、タクシー業界は公共交通の政策補助があるべきだと
しているが、石景明秘書長は協会代表として、タクシーの位置づけは非公共交通機
関へと向かうだろうと見ている。
 すなわち、タクシー業界は徐々に公共交通体系から離れ、都市の総合イメージを
体現する構成要素であり、総合旅客輸送体系の組成部分であり、大衆の個別の交通
方式であると考えている。簡単に言えば、タクシーは一般人の特殊ニーズ、特殊な
人の一般的なニーズを満たすべきものということである。

 しかし、一旦公益性をなくすと、タクシー業界の運賃が上昇するほか、政府は公
共交通に対する投入をふやす等、その他の方面での支出がふえることは間違いない。
しかし、どのような政策であっても企業を持続的に発展させる持続性が必要である。
〔証券時報2013年7月8日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行8月5日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.2265  617.67    79.64  819.68
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――アンケート》
 直近の言論NPOが行ったアンケートによると、日本人の中国に対する「良くない
印象」は90.1%(中国人の日本に対する「良くない印象」は92.8%)だそうですね。
昨秋の内閣府調査(「(中国に)親しみを感じない」が80.6%)も高いと思いまし
たが、数字としては行くところまで行きつつあり、いよいよ100%まであと数%のと
ころまで来たようです。こういう世論を形成して何かしたいのでしょうか。
 個人的にはこういう数字が高かろうが低かろうがもとからどうでもいいのですが、
こういう数になってくると、日本国内で中国と全く関係ない日常を送っていても、
それほど親しくないけれども見知っているという人間関係の中では、日中関係を言
いわけや理由にした面倒が起きることがあります。余りリアクションの仕方に困る
ことが起きなければいいなと思います。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 楊桃
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