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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.715 2019年5月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国の高度専門人材養成の課題】
●アメリカの低水準の基礎教育が世界一流の高等教育を支えられるのはなぜか
●成都にアリババビッグデータ学院 5年間で2000人の高度専門人材を養成

┏【李年古の日中異文化交流術】
●中国人のスピード感覚 「ゆっくり」と「速く」の使い分けのコツ

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……【特集:中国の高度専門人材養成の課題】………………………………………
●アメリカの低水準の基礎教育が世界一流の高等教育を支えられるのはなぜか
 中国の学生は基礎がしっかりしており、苦労に耐えながらも勤勉で、学習能力が
高いと一般に考えられている。しかし、中国の科学者は、国際的な学術舞台では、
全体的に地位が高くない。
 アメリカの基礎教育は世界でも競争力が低いと思われているが、アメリカの科学
者の革新的な成果は尽きない。

 実際、アメリカの学生の基礎が低いのは、アメリカの小中学校の教育方法と直接
に関係がある。
 アメリカの教育界は、ギリシャのソクラテスの「産婆術」教育思想の影響を深く
受けている。教育は「助産」過程であると力説され、教師は「助産婦」で、人々が
教育を受けるのは、「イド(自我)」を探して自身を完全なものにするためである。
 つまり、知識は他者が伝授できるものではなく、学生が思考と実践の過程でみず
から悟っていくものであると考えられている。
 そのため、大学、中学校あるいは小学校にかかわらず、アメリカの教室では、教
師は学生に知識のポイントを講釈することはめったになく、継続的にさまざまな課
題を出して、学生が自身で結論を出せるように導く。学生が読書し、思考し、レポ
ートを書く量はとても多いが、何かを暗唱するよう要求されることはめったにない。

 アメリカの学校教育は観察、発見、思考、弁論、体験と悟りの過程であり、学生
はこの過程で課題を発見し、課題を提起し、課題について思考し、資料を探し、結
論を得るスキルと知識を次第に身につけていく。
 学習する内容がたとえ深さ、難しさ、広さが十分でないとしても、学生が自身で
悟った知識のポイントは生涯忘れないばかりか、往々にして一を聞いて十を知るこ
とができるようになる。

 双方を比較すると、中国の学校教育は、孔子の「学びて時にこれを習う(学問を
して折にふれてこれを復習し身につける)」という思想の影響を深く受けている。
教師は知識のポイントを何度も何度も学生に教えて、学生は絶えず暗唱して復習す
ることで生涯忘れない記憶とするよう要求される。
 このような教育方法は伝統的な人文経典に対する教育には有効である。しかし、
現代の自然科学と社会科学の教育についていうと、その弊害は火を見るよりも明ら
かである。学生の基礎知識は一般に比較的しっかりしているが、これによって思想
と思考が束縛され、革新的な意識を育成する機会は失われている。

 教育の目的と教育方法について考えても、中国とアメリカの「教育の有効性」に
関する理解には相当大きな差異が存在する。

〈中国の教育が直面する挑戦〉
 現代の中国についていうと、教育の有効性を高める鍵は、いかに価値観の教育を
教育の全ての過程に自然に溶け込ませるかである。
 これは大きな挑戦である。なぜなら、統一的な大学入試システムは基礎教育への
制約と影響を与え、社会外部の環境変化によって、教育の過程が次第に入試訓練に
対処するための過程へと転換させられているからだ。
 現在、この過程は低年齢化に向かっている。「スタートラインで負けることがで
きない」という対抗心理のために、児童の早期の知的発達の開発に歴史上最も熱狂
的な段階に入っている。ますます多くの子供が教育から楽しみを享受できずに、楽
しくない時間だけは何度も前倒しされている。

 一枚の卒業証書以外に、教育から人々が精神的な楽しみと心の平和を得ることは
ますます難しくなっている。社会に反して行動するのはますます厳しくなっている。
 政府もこの問題の重要性に気がついており、大学入試による新入生募集制度の改
革を通じて、徐々にこの局面を転換しようと決意している。
 しかし、現下の世論、教育の公平に対する国民の理解と憂慮、及び信頼の欠乏と
いった社会的、文化的心理が、教育課程における「選抜過程の掌握と選抜結果の公
正性」といった非論理性の追求を更に強化し、改革への抵抗力が強まり、改革の効
果が弱まる可能性がある。

 ほかにも、直接、貯蓄を投資に転換できないのと同様に、登校しているからとい
って必ずしもよい教育を受けていることを意味しない。学生が持つしっかりした基
礎知識をいかにしてイノベーティブな思想の源泉と支えの提供へと転換するかは、
中国の教育界が直面する別の厳しい挑戦である。
〔2019年4月9日陳志武(著名な華人エコノミスト、イェール大学終身金融学教授、
香港大学経済学学者教授)〕

●成都にアリババビッグデータ学院 5年間で2000人の高度専門人材を養成
 2017年5月23日、成都信息工程大学とアリババクラウドは、「成都信息工程大
学・アリババビッグデータ学院」を共同で設立することを発表した。四川から、全
国、世界を見据えた新型モデルのビッグデータ学院をつくり上げる。
 アリババクラウドは、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI産業全体
の養成を重視している。全国で3カ所目のアリババと高等教育機関との連名による
ビッグデータ人材を育成する教育機関であり、全国初の、四大生と大学院生を養成
するビッグデータ学院でもある。

 アリババビッグデータ学院は、国家教育部の工学の新学科建設の呼びかけに反応
し、5年で2000人のクラウド、ビッグデータクラウドセキュリティー及びAI方面で
の高度専門人材を養成し、国内の一流の学校運営レベルに到達するよう、四川及び
中西部地域のビッグデータ、クラウドの産業発展のための知識を送り込む。
 同時に、アリババビッグデータ学院では、アリババクラウドのACF基礎認証とACP
専門認証を導入する。ACF基礎認証、ACP専門認証はアリババクラウドが進めるグロ
ーバルビッグデータ人材認証計画であり、業界内では比較的高い認知度がある。認
証を持った人材を雇用することで、企業は高効率、確実、熟練したアリババクラウ
ドでの創造的なビッグデータの応用構築が可能である。

 同学院の関係者によると、学院は2018年から四大生の募集を開始し、大学入試の
出願状況により合格ラインを定め、第1期生は同年9月に入学する。第1期の大学院
生も2018年秋に入学する。

 2015年に恵科教育とアリババクラウド大学協力計画(AUCP、Alibaba Cloud University
Cooperation Program)を開始して以来、アリババクラウドはクラウドビッグデー
タの人材養成を続けてきた。現在、既に浙江大学、復旦大学、上海交通大学等を含
む全国の200高等教育機関とコース、養成等のさまざまな方法での協力を展開して
いる。
 このほか、グローバルビッグデータ人材認証計画を推進し、ビッグデータ人材の
ステップアップの全プロセスをカバーし、広く企業の認知度を得ている。

 今後3―5年で、中国は180万人のビッグデータ人材が必要と予想され、目下まだ1
50万人不足している。
〔中国網2017年5月24日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●中国人のスピード感覚 「ゆっくり」と「速く」の使い分けのコツ
 深セン高級ホテルの屋上にある屋外の喫茶店。深夜11時になったというのに、僕
と教育ビジネスに携わる張社長との「飲みニケーション」は始まったばかりだった。
 その時間の前には、張社長から「ぜひ勧めたい広東料理の店がある」と言われ、
彼の泊まるホテルから車で1時間ほど離れた場所での夕食に招待されていた。そこ
では、円卓を挟んだ彼の会社幹部5人と僕との白酒(65度のキツイ酒)での乾杯が
繰り返され、2時間ほどで2本を空にした。

 二次会になって、やっとお茶に切りかわった。「このお茶は店のものではなく、
持ち込んた特別なものです」社長はやや興奮した口調で言いながら、木の箱からウ
ーロン茶の小袋を丁寧に取り出した。そして、みずから中国式の茶道作法を披露し
ながら、話を続けた。
 「このお茶は、雲南省の標高2000メートルの原始雨林に生長している野生木から
摘んだものです。専門家の推定では樹齢1800年以上とも言われています。このお茶
を入手できるのは毎年わずか10数人の特別会員しかいないから、このお茶を飲むた
めにわざわざ来社してくれるお客さんもいます」。

 僕はそれを聞き流しながら、心の中で苦笑をしていた。実は、友人からの紹介を
受け、張社長とはきょうが初対面なのだ。
 張社長の会社は日中の子ども教育事業に手がけているから、私たちとの提携関係
に興味を示してくれていた。そのため、僕は数日前にその提携案をまとめて提出し
たのだが、すると、彼はすぐでも会いたいと申し込んでくれた。
 近いうちに面会する予定はないので、翌日の朝一番、日本に戻るという理由でお
断りしたのだが、張社長は突然、ぜひ今夜でも会いましょうと言い、そして、会社
の経営陣5人を率いて3時間ほど高鉄に乗り、別の都市から深センに夕方やってきた
わけである。

 そんなに大急ぎで来たのだから、きっと会った途端いきなりビジネスの商談を始
めたいのだろうと僕は想像していたが、見事に外れた。夕食は往復時間を入れて4
時間、ようやく喫茶店に座っても、商談はなく、お茶の作法だけを見せるのに30分
が費やされた。
 人生は長いといっても、お互いにスケジュールをこれほど無理やり調整して、経
営陣を遠くから連れてきた目的は、まさかに絶品のお茶を楽しめる一時を過ごすた
めだったのだろうか。

 僕は、ひそかにそう思いながら、自分の疑問を隠そうとした。しかも、こちらか
らは決して本題の商談に持ち込もうとはしないと心に決めた。理由は単純である。
中国人は、このような雑談や食事会を通して、お互いに気が合うかどうかを試そう
としていることが多いからだ。
 雑談は決して無意味な前振りではなく、むしろ人間関係をつくる上で大切な意味
を持っているのだと僕は心得ている。初対面なのに、日本式でいきなり「早速です
が、用件のみお話を聞かせてください」という進め方は、中国人に嫌われるおそれ
が大いにあるからだ。

 1時間が経った。どんなに美味しいお茶を飲ませてくれても、僕の我慢の限界が
来た。お別れの言葉を言い出そうとしたそのとき、社長のつぶやきのように言い方
が聞こえた。
 「教育という事業は、茶樹の栽培と似ているかもしれません。美味しいお茶を摘
める樹が育つのは、何十年、何百年の年月がかかります。根気がないと、うまくや
っていけないのです」。
 やっと話の内容が本題の入口に近づいてきた。僕は、それを聞いた瞬間、なぜ張
社長はなかなか本題に入ろうとしないかの意図が少し読み取れた。そして、これま
でに費やされた時間で僕の根気強さを試そうとしているのだと悟った。

 「ところで、一度日本視察の機会を提供していただけませんか?昨年も行きまし
たが、あなたの案内をいただければ、違った発見ができるかもしれません」と張社
長。
 「それは大賛成ですよ。御都合はいつごろがよろしいですか?」と僕が聞いた相
手の答えに、耳を疑った。「1週間後ではいかがですか?」
 大慌てで僕が手帳で自分のスケジュールをチェックしている間、張社長は周りに
座った部下らを見回した。「どうかな?みんなも僕についてきてもらいたいんだけ
ど」。
 幹部らは、社長のこの突然の提案が予想できなかった表情を一斉に見せたものの、
すぐに社長の行動ぶりに慣れた様子に戻った。
 「李先生の都合さえ良ければ、10日後に出発したい。皆は忙しいとわかっている
が、日本との事業展開が我が社の上場後の戦略の一部だから、急いだ方がいい」
 「しかし、ビザを申請する時間もぎりぎりで、全員の航空券を入手できるかどう
かもわかりませんが」との声に、社長は、ほほ笑みまじりの表情を浮かべながら、
「それは何とかなるだろう。明日会社に戻ったら、みんなで出国の日程を調整して
みてください」。

 この中国的な物事の決め方には、僕にとっても、まるで意表を突く連続ドラマそ
のものなのだ。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を御紹介していきます。)
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【求人:保育士募集 中国で日本の保育を広めませんか?】
1 条件
 幼児保育経験5年以上。年齢30代前後希望だが、その限りではない。
 日本の育児カリキュラムをそのまま生かせる方。カリキュラム中「生活」「健
康」「躾」の部分は、完全に日本式の管理と方法で実践できる方。

2 待遇
 月約30万日本円。深センの住居は会社から無料提供。中国の就労ビザは会社が斡旋。

3 仕事内容
 経験により、保育の仕事、実行園長、あるいは現地人材育成の講師等。みずから
の経験を現地の保育士に伝えられ、日本の経験を講演できる方はなお歓迎。

4 その他
 中国では、0.5歳―1.5歳、1.5歳―2.5歳、3歳以上のクラスに分かれている。派
遣先保育園は園児30名規模で、場所は深セン市内。2―3人の赴任者を同時派遣希望。

☆☆★☆――問合:(株)日中ナレッジセンター info@jckc.com ――★☆★★

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《編集者コラム――令和》
 今回の特集、ちょっと過去過ぎる話題もあるので西暦に気をつけてください。ボ
スが選んだものなので、目下でもこれは十分通用している話なのかなと思います。
中国の《最新》の情報の難しさですね。
 さて、平成から令和の10連休、私も初日の出のようなものを見たいと考え、4月30
日は太平洋の海が一望できる浜通りの旅館?民宿?に泊まりました。本当に一望で
きる部屋に泊まれたのでですが、あいにく天気が悪くて何も見えずに終わってしま
いました。
 平成から令和というこの時代の変化は外国人にとってはフィクションだろうと思
いますが、日本国内ではそれなりに明るくわかりやすい時代のうねりができたこと
は、今後のいい前例になってよかったのだと思いました。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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