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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.723 2019年10月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:外資小売から見る中国小売の不足点】
●日中コンビニの7つの違い
●コストコ人気から中国小売業者に必要な5つの能力を探る

┏【李年古の日中異文化交流術】
●(その2)日本のグローバル人材の採用現状

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……【特集:外資小売から見る中国小売の不足点】…………………………………
●日中コンビニの7つの違い
 今年、コンビニ問題について、記者は日本の経営学部の教授や中国の業界の友人
と何度も交流することがあり、日中のコンビニの間に比較的大きな違いが存在する
と感じている。これはまた中国のコンビニの改善方向でもある。本文は主に7つの
側面について整理している。

1) 朝御飯の第一候補ではないこと
 日本人はコンビニを朝御飯の第一候補の店としているが、中国人はそうではない
だろう。中国人の伝統的な朝御飯は地域差が大きいもので、特定の環境や条件の下
で消費習慣が形成されてきた。例えば、上海の人は湯をかけた御飯を好んで食べる
が、それは、出勤時間に間に合わせるために、お湯で冷えた御飯をふやかすからで、
このような朝御飯は特に手早い。もし時間があれば、大餅、油条、豆乳を買いに行
くだろう。
 当節、消費が向上し、都市の消費者はパン+牛乳、あるいはトースト+豆乳の手
早い朝御飯にますます適応できるようになった。通勤途中にコンビニで朝食を購入
するのはサラリーマンの一部にすぎない。もし、コンビニが朝御飯の第一候補にな
ることができれば、業績は大幅に上昇するだろう。

2) プライベートブランドの占める割合が比較的低いこと
 コンビニのプライベートブランド商品は主にインスタント食品に集中している。
中国のコンビニが売っているインスタント食品の大部分はサプライヤーから提供さ
れており、商品の差別化に乏しい。日本ではセブンイレブンが1970年から導入を始
め、インスタント食品の研究開発に力を入れ、自社の弁当工場を建設した。その後、
サプライチェーンを買収、合併することで、コンビニは「内製型小売業」となった。
 中国の80%のコンビニ企業のプライベートブランドは10%に満たない。しかし、日
本のコンビニのプライベートブランド商品は30―40%を占める。この違いの要因は、
研究開発が足りないこと、経営規模が小さくプライベートブランド開発が不利なこ
とにある。
 ローソン中国の副総裁で上海ローソンの張董事総経理は、「いわばプライベート
ブランド商品とはうまみ調味料で、ブランド商品は塩、塩とうまみ調味料の配合を
間違えると料理ではなくなる。ローソンのプライベートブランドの割合は35%」で
あるとし、このことはコンビニ差別化の重要な手段であるとしている。

3) サービス事業の開拓に課題
 日本のコンビニの中には、証明書類の取り扱い事務、各種支払いなど、社会公共
サービス事業をふやしているところもある。中国のコンビニのサービス事業は依然
として従来の事業を主とし、それらの事業の大部分は電子商取引とぶつかっている。
しかし、各種の政策制限と都市管理制限により、新しいサービス事業を開始するこ
とができないでいる。
 今後、サービス事業を新たにふやせれば、コンビニをコミュニティー生活サービ
スステーションに転換させることができる。コンビニは今後、「サービスステーシ
ョン」に変わり、多様なサービス事業を迅速に提供できれば初めて活路を見いだせ
るだろう。

4) フランチャイズ加盟が占める割合が低い
 中国チェーンストア経営協会(CCFA)が2018年に発表した研究報告によると、日
本のセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3つのコンビニ企業の加盟店
が全体に占める割合は95%を超える一方、中国のコンビニの加盟店が全体に占める
割合はわずか40%強であった。サンプル企業のうち、加盟店の割合は50%を超えたが、
加盟店に発展しなかった割合は3割を占めた。
 実際上、多くの企業は当初は直営店舗の発展に力を入れる。規模がやや大きいと
きは委託加盟あるいはフランチャイズ加盟で、コントロールできない現象があらわ
れたらまた直営チェーンに戻す。フランチャイズ加盟の占める割合が比較的低いこ
とは、中国のコンビニの経営モデルと運営管理の標準化の向上がまたれることを反
映している。

5) 外部環境がコンビニの業績を制約
 中国の3つの外部環境がコンビニの経営業績の向上を制約している。
 一つ目は、レストランが多いことで、加えて、各種小売業態は皆「レストラン食
と出前」業務をふやしている。これに対し「インスタント食品中食」を特徴とする
コンビニが大きく侵食されている。
 二つ目は、ネットショッピングの売上高が依然として比較的速い成長を維持して
おり、コンビニを大きく侵食されている。2018年のネット上での商品売上高は前年
同期に比べて25.4%増加、消費財の小売売上高に占める割合は18.4%と昨年同時期よ
り3.5%上昇した。
 三つ目は、夫婦だけで経営する小さな店がコンビニの60倍ある。中国のコンビニ
チェーン店はわずか10万件余りだが、小型の夫妻雑貨屋は600余万件ある。多くの
小規模店舗は「雑然」としているが、住民に好まれ、雇用や支出を減らして利潤を
上げている。

6) 成長モデルの多様化
 主に3つある。
 一つ目は、経営モデルの多様化。現在、中国国内では社区の生鮮店さえもコンビ
ニと分類されており、各地で発展しているコンビニモデルには大きな違いがある。
国際的には、最も典型的なコンビニはガソリンスタンドコンビニと都市型コンビニ
の2つで、石油系と雑貨店系に分かれる。日本のコンビニは都市型コンビニである。
 二つ目は加盟モデル。一般的には個店の直接加盟とエリアライセンスの2モデル
に分かれる。例えば、ローソンは、武漢、北京、南京等ではエリアライセンスモデ
ルを実施している。中国は地域が広く、コンビニは潜在市場が大きいので、エリア
ライセンスモデルは今後主流モデルになっていきそうだ。
 三つ目は規模拡張モデル。日本のコンビニ3社は水平統合だけでなく、垂直統合
のサプライチェーン統合もほぼ完了している。中国のコンビニは依然として「地域
割拠」しており、今後、主導的な全国ブランドのコンビニ企業ができ、買収合併が
さらに多く行われるかもしれない。

7) 経営業績の落差が大きい
 中国のコンビニ10万店の年間売上高1900億元であり、1店舗1日当たりの売上高は
約5200元で、日本に比べ1店舗当たりの業績に4倍から5倍の開きがある。コンビニ
の売上は小売売上総額のわずか0.52%にすぎない。コンビニが発達した上海市でも、
コンビニの売上は小売売上総額のわずか1%強である。日本では、2008年にはコンビ
ニ売上高が百貨店業界の売上高を上回っている。
 日本の基準である2000人当たり1店舗に従えば、中国のコンビニの予想総規模は70
万店となる。しかし、現状では、コンビニが発達した上海でも、約6000人に1店舗
である。
 この2つのデータに基づけば、中国のコンビニの業績向上だけでなく、規模拡張
も大きな発展余地がある。しかし、業界にはコンビニがよいとは言えないとする人
も少なくない。
 高齢化が加速するにつれ、例えばコンビニとドラッグストア、コスメとのコラボ
等、コンビニの社会的機能を再定義する必要が出てくる。コンビニの経営実績の国
際比較を見ると、中国のコンビニ業績向上にはまだ大きな発展余地がある。
〔聯商網2019年8月12日〕

●コストコ人気から中国小売業者に必要な5つの能力を探る
 最近、上海に中国初のコストコがオープンした。爆発的な買い物客、超低価格商
品が世間から広い関心を集め議論を呼んでいる。最近のコストコの異常現象はどう
いうことなのか、この問題の本質と中国とはどう言う関係があるのか。
 皆が関心を持つこの問題をめぐり、最近、浪潮新消費は、銀河系の創刊パートナ
ー、蔡景鐘氏を取材した。蔡景鐘氏は、スーパーマーケット小売業界で20年以上の
経験を持ち、かつてはウォルマート中国区財務総監、華潤集団M&A責任者、五星控
フェンCFOを務め、康衆汽配、貝登医療の投資を主導、また孩子王や匯通達などの
投資にも参与した。
 取材中、蔡景鐘氏が特に強調したのは、コストコは、中国企業が、常にまねよう
としてきたがいまだまねできていない、中国小売企業に必要な5つの核となる能力
を実は持っているということだ。それは、以下のとおり。

1) 会員をふやす能力
 コストコの主な収入源は会費で、商品の粗利は運営コストをカバーするのみであ
る、当然裏では両方もうかっている可能性はある。
 例えば、今回コストコ上海店開業前に売り出された16万枚の会員カードはいずれ
も199元。つまり、3200万のお金で会員マーケティングが可能である。1996年、深
センのサムズクラブの開業前にも10万枚の会員カードが売り出され、当時は1枚50
元だったが、店は開業前に500万元を稼いでいだ。これは中国の多くの小売業者で
現在なし遂げていないことである。

2) 独特な品ぞろえ能力
 商品の品ぞろえにおいて、足し算は容易だが引き算は難しい。現在コストコでは
3800SKUしかなく、そのサプライチェーンは実用、精密、高資質、高消費、複製可
能性の能力の上に立っている。コストコブランドは世界的な枠組みであり、アメリ
カの数多くの差別化された商品や成熟した営業経験を中国にもたらすことができた。
 中国の多くのサプライヤーもコストコと商談に応じる意向を持ち、資源を相互に
共有している。例えば、コストコは茅台酒を、その売り方やどのような販売効果を
得られるかも含めてアメリカ市場に売り込んでいくことができるので、コストコの
商品単品ごとの営業能力は非常に強い。

3) コストコントロール能力
 他の地域の粗利率が20%程度であるのに対し、コストコは11―14%にコントロール
し、運営コストを半分に下げている。運営コストとして下げているのは賃貸料と人
件費である。
 コストコが倉庫型店舗を営む目的は、店舗兼倉庫であれば、倉庫のコストを店舗
経営に使い、売り切ったら倉庫から補充することができるためである。立地はよ過
ぎてもいけない。賃料コストが低く、面積当たりの利益を高くすれば、例えばフォ
ークリフトで作業したり、大型包装で売ったり、不要な人員を減らしたり、貨物輸
送の手順を減らしたりすることができる。

4) サプライチェーン管理能力の強さ
 コストコは粗利率が低いので回転を維持しなければならない。つまり、坪効率を
絶対に上げなければならず、薄利多売とも言える。深センのサムズクラブ店が1日
で数百万の営業収入を得たように、大量の在庫補充が必要となる。サプライヤーが
商品を届け、お客がそれを持ち出す、その中間が途切れないようにするにはとても
強いサプライチェーン管理能力が必要となる。サムズクラブとコストコの在庫回転
率レベルは20数日といずれも業界をリードしており、その右に出る者はいない。

5) 合理的な施設条件
 例えば、1店舗につき2000台駐車場があれば不動産要件は水準に達しているが、
このような適切な施設環境を見つけることはとても難しく、時間がかかる。できな
ければやらない。

 この5つの条件を有することで、コストコモデルの優位性が顕著にあらわれる。
これまで中国の多くのスーパーマーケットは学びたくともやってこなかったのは、
5つの条件の問題点、特に会員営業能力に不備があったからだと言える。
〔聯商網2019年9月2日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●日中人材の活用に新天地を切り拓く (その2)内なる国際化が足りない日本企業
 会社の制度的環境として挙げられるのが、長期雇用と社内労働市場を核とした雇
用システムである。大企業を中心に、数十年をその会社で過ごした人材が経営の中
核を占めることが現在においても一般的である。外部から、ましてや外国で学んだ
標準化された知識やスキルを日本の独特な会社の文脈の中で生かそうと思っても、
意外に壁は厚い。
 壁といえばもう一つ、そもそも現状、日本の企業においてグローバル化を進める
上で重要な役割を果たす日本人の経営管理人材が明らかにに不足している。

 米人事コンサルティング会社コーン・フェリーが世界の経営者や管理職など約15
万人を分析して選んだ「これからのグローバルリーダーに求められる5つのキーワ
ード」を参考にしてみよう。これを日本企業の経営管理者に当てはめ、あなたの会
社で検証してみればどうだろうか。

グローバル経営者に求められる5つのキーワード
1) アンティシペート(anticipate)――変化に俊敏に対応する
2) ドライブ(drive)――他者に活力を与えて物事を進める
3) アクセラレート(accelerate)――アイデアを素早く実行する
4) パートナー(partner)――他者と協力し、アイデアを交換する
5) トラスト(trust)――多様な力を結合する

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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《編集者コラム――台風》
 9月に引き続き10月にも大きな台風が通過しました。近所にほど近い川の河川敷
まで出向いたら、ゴルフやサッカーや野球の施設が水没していました。関連の地域
にお住まいの皆様は大丈夫でしたでしょうか。
 台風と関係ないのですが、前回のメールマガジンの書いたとおりの残念な結果と
なり、ここ数日はちょっとがっかりしていました。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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