CI Image
携帯電話と公私混同

李 年古

日本でビジネスを行う場合、まずは、企業同士の仕事上の付き合いが始まり、その中から、人間同士の個人的な信頼が生まれてくることがあります。

中国では、反対に、人と人との信頼関係から、ビジネスの関係へと発展していくケースの方が多くなります。

日本では、ビジネスとプライベートな人間関係を切り離して考えることが多いと言えます。中国では、その逆にビジネスとプライベートな関係が密接です。このため、日本式のマネジメント方法では、上手くいかないことがあります。

例えば、日本では、仕事中に、携帯電話で、友人や家族と連絡を取る、などということは、「公私混同」であるとして、いい顔をされません。

会社から携帯電話を支給される際も、「会社用」「個人用」を分けて、「会社用」の携帯電話を私用で使わないよう、指導されます。中国では、「会社用」「個人用」の携帯電話を分ける、という認識が理解されにくい環境にあります。なぜなら、ビジネスで始まった関係を私的な関係へ発展させることで、相手との信用関係を築けると考えられているからです。

私的な関係と、ビジネスに役立つ人脈ネットワークとの間に、明確な線を引くことは非常に難しくなっています。

日本式な考え方で、マネジメントしようとすると、摩擦が起こる可能性もありますので、双方の携帯電話に関する認識を理解しあった上で、使い方について納得できる決まりを設けるなど、工夫が必要です。

例えば、携帯電話の使用料のうち、会社が負担する金額を定める、現地に合わせた新しい決まりを設けるなどの方法があるでしょう。