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中国自動車市場は依然として供給が需要を上回る

2005年の中国自動車市場は、昨年のように急激な起伏はなく、ゆるやかな増加傾向が続くものと思われる。中国国家情報センターの予測によれば、今年の自動車総需要量は580万台(前年比12%増)に到達する。その中の乗用車の需要量は275万台で、前年比17%増となる。国内自動車市場の競争は更に白熱化、表面化が進み、2005年の自動車市場のパイがどのように分けられるのか、業界では関心が高まっている。以下は、中国の主要自動車メーカーの2005年における生産販売計画である。


上海大衆汽車

2004年は35.5万台を販売して、市場シェアは14.2%だった。同社では今年の販売目標を37万台としている。上海大衆汽車は、今年1年のうちに販売ネットワークの優良化を計画しており、同時にPOLO、TOURAN、PASSAT、SANTANA3000のモデルチェンジを発売する。また今年の年末には上海大衆汽車五廠を竣工し、主に中・高級乗用車を生産する計画だ。

一汽大衆汽車

2004年の販売台数は30万台を突破した。2005年の年度販売計画はすでに理事会で討議されたが、しかし現在まだ対外には公表されていない。年間販売台数はおよそ25万台と予想され、2004年実績の30万台に対しては約17%減となるだろう。2005年の下半期に新型アウディA6を市場投入するための生産ラインの切り換えと、アウディの価格上昇の影響を受けて、上半期のアウディの販売台数は1.5万台から2万台の間になると予想される。下半期には新型A6の発売にともなって、アウディシリーズの総販売台数は5万台に達すると見込まれている。

上海GM

2004年の販売は25.2万台で、25%を超える伸び幅となり、市場シェアも10.1%になった。今年の生産販売目標は31万台で、2005年の業績は業界の平均水準を上回る。今年上海GMでは、H-CAR、VCAR、T-CAR、キャデラックSRXの新型4車種と、君威、凱越、GL8、セイルの各モデルチェンジ4車種を発売する予定。

一汽豊田

2004年の販売8.6万台に対して、2005年には53%増の13万台を販売する計画。そのうち3月前に天津でラインアウトする新型クラウンの販売は2万台を予定している。その他の販売台数は、最近大幅に値下げしたばかりのヴィオス、カローラ、そして今年下半期に市場投入されるプリウス、MarkXなどの車種で分担する。また一汽豊田の傘下にあるSUVプラド、ランドクルーザー、MPVコースターなども販売1万台を実現する見込みだ。

重慶長安

長安グループは2004年に58.2万台を生産して前年比42.9%増、販売台数は57.9万台で前年比40.3%増となった。工業総生産額は264.9億元で前年比37.2%増、販売収入は282.5億元で前年比35.3%増となった。これにより市場シェアは12%を上回っている。長安グループでは、2005年の販売計画を60万台とし、2008年には年間の生産販売量を100万台の大台に乗せ、2010年には収入1000億元を上回る計画を立てている。

神龍汽車

2005年における全体の年間生産目標はおよそ11.5万台。そのうち東風シトロエンの商用車は7.5万台、東風プジョーは4万台だ。東風シトロエンの生産計画は、2004年の生産実績7.7万台と比較すると若干減少している。これは、東風シトロエンの今年の計画値を7.5万台で固定し、同一の生産ライン上で生産されている2車種の生産能力を調整して、重点をプジョーブランドに移行するためである。

広州本田

2005年の生産販売計画は前年比15%増の23万台を達成し、販売収入を360億元と予測している。同時に21億元を新たに追加投資して第2工場の建設を重点的に進める計画だ。広州モーターショーで発表されたばかりの新型オデュッセイアは、2005年上半期に市場投入される予定。

東風日産

2005年の生産は約20万台を予想している。ティアナの導入後、今年も東風では少なくとも3種類の新型車を出す予定で、そのうち経済型Tiddaの2ボックスおよび3ボックスバージョンは東風・日産の中期事業計画でも中堅となる位置付けだ。その中期計画によれば、2007年には乗用車と商用車の合計販売台数を62万台とする予定で、そのうち乗用車は30万台に達する。このため現在、広州花都と湖北襄樊に位置する2つの生産基地の建設に着工している。

北京現代

北京現代は去年、自動車業界のダークホースとなり、生産販売は15万台、そのうちelantraの増加が急激だった。北京現代の中期計画によれば、2008年に乗用車の年間販売60万台規模を実現する予定だ。今年の重点目標は30万台生産を目的とする第3期改造工事の完成で、併せて第2工場の建設を準備する。

一汽轎車

2005年の計画では販売台数6.2万台の達成。そのうちマツダの6車種で前年比40%増の5万台を販売し、紅旗シリーズは前年比20%減の1.2万台とする予定。

南京フィアット

2005年の販売目標は5万台で、今年はDobloと「中級車市場で競争力を持つ新車型(価格は10万~15万元)」を市場投入する。今年の南京フィアットは乗用車市場で全面的な競争を展開することになる。

哈飛汽車

2005年の計画は23万台で、マイクロバスとその他の商用車製品が大部分を占める。東安との統合を実現した後、哈飛は航天二集団系列の自動車企業統合に対して足並みを揃えるべく活動中で、さらに哈飛では深センの第2工場も実質的な操業段階に入っている。

奇瑞汽車

2004年の年間販売台数は約9万台で、年初目標の18万台を大きく下回った。2005年の販売目標は最低14万台で前年比50%増、そのうち国内販売は10万台を目標としている。

東風悦達起亜

2005年の年間生産販売計画は12万台以上としている。そのうち新千里馬の販売目標は6万台で、OPTIMAは3.6万台、CARNIVALは年間3万台を販売目標としている。そのほか、今年下半期にはCERATOを市場発売することを決定している。

吉利汽車

昨年は生産販売目標を達成したものの、今年も依然として慎重な見方をしており、2005年の生産販売計画は12万台で20%増としている。

天津一汽

2004年に年間13万台販売という史上新記録の樹立を受け、2005年には13万台の販売台数を維持する計画である。

長城汽車

2005年は長城汽車の三大車種であるピックアップトラック、SUV、CUVで販売目標8万台を確保する。今年長城が発売に力を入れている哈弗CUVシリーズも3万台の販売目標完遂を目指している。それ以外に長城客車、長城専用車シリーズ、長城大脚獣シリーズも一定の販売量で貢献する。

長豊汽車

2004年は約2.5万台を販売した。長豊パジェロは少なくとも1万台の販売計画を実現し、さらに長豊固有の獵豹や黒金剛シリーズなどを加えて、2005年の販売台数は3万台を超える可能性がある。

以上、わずか18社の企業だけで今年の生産情況を見ても、2005年の中国乗用車市場では供給が需要を上回る局面が継続するだろう。

非乗用車のデータを取り除いてみても、乗用車生産は国家情報センターが予測している需要275万台を大幅に超過して300万台に達する。すなわち、もし直ちに調整をおこなわなければ、今年の在庫は25万台となる。統計が完全でないことを考慮すれば、実際の在庫圧力はさらに大きくなるだろう。さらに昨年に残った50万台の在庫が加わり、今年年末には75万台以上の在庫になるだろう。

このように高い在庫量は、必然的に自動車産業全体から自動車部品や附属品企業にまで波及し、さらに自動車販売店まで影響する。これらすべての業界で調整が必要となるため、有効的に需供バランスをとらなければ、恐ろしい結果を招くことになる。

翻訳:ニュースダイジェスト社/黒田嘉幸