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第3回 金に無関心な一人っ子

李 年古

今の若者は、流行に敏感だから、流行っている物事(生活スタイル)にどんどん金を突っ込む。筆者は上海の六本木のような大人の町「新天地」に何度も行ったことがあるが、そこでよく中学生や大学生らしき若者に出会う。故郷の長沙でも若者が集まっている有名なバーやディスコをいくつか訪ねたことがあったが、どこよりも賑やかで大学生以下の年齢層の若者が半数以上を占めている。中国には未成年者のアルコール飲酒を禁止する条例はないから、若者の見事なビールの飲みっぷりも見ることができる。

筆者は深せんで友人一家を日本料理店に招待したことがある。彼らの高校一年生の一人っ子は日本酒に一目惚れ、その飲食量は私を愕然させた。ようやく店を出たときの清算金額は、日本円で4万円にのぼった。その四分の一は子供が飲んだ酒代だった。
中国では「三分の一が三分の二を使っている」という言い方がある。これは、子供の数は家族の中で三分の一しか占めていないが、その使っている金は世帯収入の三分の二を上回っているという意味だ。

彼らはまったく金銭意識を持っていない。金に困ったことがないから、金にも無関心。デパートで洋服を試着する際、姪はいつも同じ台詞を言う。「試着したものを全部買っちゃったらいいでしょう。私なら、全部買っちゃうよ」

農村では、これほど恵まれている子はまだ少なく、子供たちは贅沢な金銭観を持っていない。だが、一つ気になることがある。最近中国では、農村の子が大学に受かったものの、父母がどうしても学費を工面できないことを知って自殺してしまったというニュースがよく紙面に取り上げられているのだ。

中国人の金銭観