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第4回 中国人の金遣い道

李 年古

中国人の金遣いを知って、人脈作りにかかるコストを把握しよう

収入、年齢、家族の生活負担の有無などによって、中国人の金の使い道はかなり違ってくるが、いくつかの公約数をまとめ、または中国人の独特な金銭観が見られる現象を下記のようにまとめてみたい。

交際費
交際費の中でも、特に友人や親戚を招待するために使う費用はバカにならない。いま、人を招待するのはレストランで済むことがほとんどだから、食事代が交際費の主な使い道になっている。中国人は、たとえどんなに貧乏だとしても、友人を招待する時に金をケチることはしない。友たちにケチだという印象を与えると、面子を重んじる国においてはかなりのダメージになる。上海人が友人を招待する場合は、他地域の中国人の風習と違って、食べられる量しか出さないから、全国民に「ケチ」という印象を与えてしまい、上海人は中国のどこに行ってもあまり歓迎されないという見方もある。筆者は日本に来たばかりの時に日本人の友人に連れられて、「招待」という名義で立ち食いそばを「ご馳走になった」ことがある。馬鹿にされたという、大きなショックを受けた。その時の気持ちは今でも忘れられない。

食事招待費のほかに、冠婚葬祭費用も日本人の想像を越えている。人脈重視、人情深い中国の風土の中で、中国人は冠婚葬祭での費用を惜しまない。しかも、中国人がお土産を贈る場合は、「ほんの気持ち」という感覚では通用しない。気持ちを表したければ、その気持ちの重みに見合った金をかけたお土産を贈るのが常識だ。2000年頃、ある調査会社は武漢の農民を対象にお土産などの年間贈与費用を調べたら、純収入の4分の1を占めていることが明らかになった。

筆者も経験したことが一つある。母の70歳の誕生日に、大勢のお客さんがお祝いにいらした。地元で私営企業を経営している弟の友人らも25人ほどやって来た。食事を終えてお祝いの金を数えたら、12,000元(約15万円)だった(ちなみに、三つのテーブルの食事代は合計約25,000円)。母の誕生日に一人平均3000円の費用がかかるなんて、ずい分高いと驚いたら、弟は「私がお祝儀を出すときはいつももっと多い。これでは少ない方だ」と気にしない。

実は、この誕生日パーティは旧正月を過ぎたばかりのときに行った。旧正月にかかる、子供へのお年玉代もやはり馬鹿にならない。筆者の故郷・長沙市では、子供に会うたびに最低50元渡すのが礼儀で、親戚の子供には100元~200元が一般的だ。

中国では、ビジネスを含むあらゆることを成功させるのは人脈次第だが、人脈作りにどれほどの投資とコストがかかるかについては、知っておくべきであろう。

中国人の金銭観