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第2回 商人のタイプと特徴

李 年古

中国の商人は、経営者の特徴、経営スタイル、出身地などによっていくつかのタイプに分けられる。ここでは中国色が強く見られるタイプのみ紹介しておこう。

「官商」タイプ

「官商」とは、政府の官僚という身分を持ちながら商売している人を指す。または官僚出身者、もしくは官僚の親戚や官僚の強いサポートがある商売人がこの部類に属する。
「官商」の特徴と言えば、何よりも官僚の「権力」を生かして、商売資源を独占的、もしくはかなり有利な立場で経営することにある。官商は金と権力と結託して商売するため、高い利潤が保証されている。

中国の「官商」は、この十数年の間に社会的な資源不足の分野が減っていることや官僚に対する政府の制約がますます厳しくなってきたことなどによって下火になりつつあるものの、依然として暗躍している。特に国土開発など国家権力が深く介入する分野では官商の牙城になっている。ここ十数年の間、中国に一晩で大金を手に入れる資産家が現れていることも、その一例だ。彼らには共通する特徴が一つある。不動産開発に手をつけている人の比率が異常なほど高い。2000年度の個人財産上位100位にランクインした資産家のうち、4割ほどが不動産業界に進出している。これに対して、フォーブスが公布した世界上位500人の資産家のうち、不動産に関わっている資産家はわずか30人ほどだった。このデータを見ると、官商が大金持ちを最も量産していることが分かる。

ここで特に問題になってくるのは、幹部の子女などの親戚が会社を経営するケースだ。これらの会社は、権力のバッグブランドがあるため、何を商売するにしても必ず儲かる仕組みになっている。

80年代に入り、中国共産党中央政府は一定地位の幹部らに子女による企業経営を禁止する通達を公布した。だが、すぐに反発の声が上がり、幹部子女に対する同情論すら聞こえてきた。以来、指導幹部の子女の商売行為は野離し状態となっている。

最近の一つ例を取り上げよう。瀋陽市元市長の慕綏新氏の長女・程慕陽は、地元に広告会社を創設した。瀋陽市の都市建設が進む中、彼女は同市の主要な大通りの明かり箱の広告をほぼ独占した。毎回スポンサー探しのために大企業を訪問する度に、彼女はぬけぬけとこう言った。「私は慕市長の娘だ。あなた達に広告を作ってあげるから、小切手を切ってください」。企業の経営者はおとなしく数十万、数百万の広告費を支払うことを余儀なくされた。金を受け取りながら、広告を出していない企業もあるという。

中国人の商売観