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第3回 現代商人のタイプ分類

李 年古

「儒商」タイプ

商人と儒学とミックスした名前はまさにイメージ通りで、高いレベルの学歴を持ちながらビジネスに取り組んでいる人を指している。この呼び方の最新対象と言えば、海外留学し、ビジネス経験をもつ帰国者や大学以上の学歴を持つ経営者、まだはIT業界などの先端技術に取り組んでいる経営者。独自の経営倫理をもつ商人もこのカテゴリに属している。

これらの商人は何と言っても、伝統的な知識人が商売に転じるケースが多い。彼らは、儒教的な価値観を持って、まず義理を重んじている。商売を通じて、国の経済振興や地域の貢献、または社員の福祉向上などを理念としているのが特徴である。

「儒商」と自称する経営者は、30~40歳の若さで業界の大手企業トップの座に就き、エリート意識が非常に高いというのが、顕著な特徴である。中国の電子情報産業のトップ企業には、30代の重役が珍しくない。例えば、2003年の時点で、IT業界を牛耳する聯想グレープの総裁楊元慶氏が38歳、携帯電話なでの通信分野でトップに立つTCL移動通信のCEO万明堅氏は37歳、ハイアール集団の副総裁柴永森氏は39歳。いずれも将来の中国IT産業をリードする企業家である。

その重役を担うゆえに、彼らのエリート意識は並はずれている。例えば万明堅氏がよく口にするのは「優秀というものは、僕の習慣だ」というものだ。儒教の思想に共感している「儒商」は利益を求めるだけではなく、儲ける手段を常に問う。最も代表的な理念と言えば、下記の二点であろう。

  • 「君子愛財、取之有道」。

    つまり君子のように高尚の人間も財産を築くことを望んでいるが、その築き方は社会の公理に適わなければならない。
  • 「義中求利」

    利益を求める方法は、義理を求めることを通じて実現していかなければならない。

「皮包商」タイプ

この言葉を直訳すると、「カバン商人」となる。皮包商人の特徴はその呼び方の通り、会社の全財産を社長のカバンに収めている、いわば中身のない会社だ。この手の商人が何を売るかというと、智恵そのもの。いわゆるサービス会社だ。

中国人はこのような会社の設立に非常に興味がある。なぜなら、出資が要らず、自分の頭や口を売ることでおいしい商売になるからだ。

中国人が自分の弁舌で商売をすることには、長い伝統がある。戦国時代、多くの「策士」がいわゆる交渉人として雇われた。彼らは各国の高官の門下に身を寄せ、普段はコンサルタントのように謀略を出すことを仕事としてやっているが、いざ官僚が危険な状況にさらされたら、政治の敵や敵対国の王などを説得することが最大限の力を発揮する機会になる。その際、勝つための武器は他ならず、その弁舌の術だ。一国の存続運命が策士の弁舌の智恵と力にかかっていることも決して少なくなかった。

「史記」には、このような策士の大河ドラマが多く記されているから、中国人の知識人は商売に憧れている。そのため、改革開放時代以降、営業マンやコンサルタントなどの職種が誕生すると、このような弁舌家は才能を発揮するチャンスに恵まれた。

中国人の商売観