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第7回 価格の決め手

李 年古

「看人報価」~相手を見てから価格を決める中国人

ある中国人客がレストランで、店の最も得意な料理を推薦してくれと頼んだ。店員がいくつかの料理を紹介しているうちに、この客は怒り出した。「俺が金を払えない人間に見えるか」と怒鳴りながら、カバンから数万元を出してテーブルにばら撒いた。「安い料理ばかり推薦して、俺を見下しているのか」と。

これは筆者が北京の料理店で見た一幕だ。店員の好意の推薦にこのお客さんが怒り出した原因は、実に興味深いことだと考えさせられた。

中国には、「看客下菜」という熟語がある。「お客の社会地位を見定めながら、料理を選ぶ」といったような意味だ。この意味を拡大解釈してみると、商売人は来客の身分や生活レベルを計りながら、価格を提示すべきだということだ。

周知のように、中国は90年代まで外国人と中国人とを分けて、二重価格制を取ってきた。外国人は同じ動物園に行って同じ動物を見てもその入場券は一般の中国人より高かった。この徴収体制を批判して、「外国人に対する差別行為」だと出張する外国人はかなり多かった。

一方、同じ時期、金持ちになった私営企業の中国人社長の中には、わざわざ地元の最高ランクのホテルにやってきて、「プレジデンシャルスイート」に泊まりたいと言ってくる者が現れたと報道されている。その時、ホテル側はスイートルームの天文学的金額の宿泊料を支払う能力があるかどうか確認したというのだから、まったくナンセンスだ。こうした社長はむしろ高い価格を望んでいるだから心配ご無用である。昔、貧乏だった彼らはこのような所に泊まることなど夢の中でも想像できなかった。いや、たとえ金があってもホテルから断わられたに違わない。なぜなら、このような消費行為は、大金を使う権力のある社会的な資格がなければならなかったからだ。

中国人の商売観