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第5回 終わりのない日中戦争

李 年古

日中間における政府レベルの不信はさておき、ビジネスや民間レベルでの不信感はいったいどのように根付いてきたのだろう。中国人が日本人に対し根深い不信を抱くようになった根本的な原因はどこにあるのか。

やはり、私の体験の一つを語りたい。ある大手電機メーカーの依頼で本社に来た中国人研修生に中日異文化研修のトレーニングを行った際の体験だ。6人の中国人は修士課程を卒業したエリートばかりだった。その中には、大学副教授の女性もいた。日本に来てから中国人と接触する機会が少なかったせいか、面会してすぐに一種の親しみのある雰囲気で満たされた。中国で中国人を相手にする研修の場面よりずっと親近感があった。
「李先生、我々が最も知りたいのは、日本人は中国人のことをどのように見ているかということです。特に、彼らの目から見た中国人の許しがたい弱点は何でしょうか」。
「これについては、私に一番発言権がある。これまで企業内研修を通じて対中ビジネスに携わってきた日本人とたくさん接してきたが、彼らの中国人に対する不満はほぼ共通している」と私はすっかり意気投合した口ぶりで語った。研修に参加した中国人の表情も真剣そのものになった。

「つまり、よく責任逃れをすることだ。中国人は何か責任問題を引き起こすと、まず『私の責任ではない』と言い訳します。決して非を認めない、謝らないということを日本人から一番よく聞きます」

6人は私を見つめてしばらく沈黙を続けた。まるで私の言った意味を飲み込めなかったかのように。そして、次の一瞬はお互いに会釈を交わした。その妙な表情に私は一瞬戸惑いを感じた。「私は何か言い間違えましたか」。
「先生、おかしいと思わないのですか。だって、日本人こそ戦争の責任をいまだに認めていないのですよ」

「先生は中国人だから言っても構わないと思いますが、実は来日することで父から猛反対されました。どんな国に行っても構わないが、日本だけはやめて欲しいと言われました。日本人は信頼できないからと言われました。私の祖父が日本軍隊に殺されたから」。
私は心が重くなった。皆は私を見て、私の鈍さに寛容な微笑みを見せた。

この一幕を通じて、私は日中戦争が新しい世代の中国人にも、日本人に対しどれほど影を落としているのか改めて思い知らされた気がする。

中国人の対日観