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中国人省民性-温州人

李 年古

中国では、「温州人ビジネスブーム」がすでに起きています。「温州経営モデル」を研究している学者も少なくありません。現在、温州の人口は750万に過ぎないですが、そのうち200万人が温州を離れて、全国各地で企業を経営したり商売をやったりしています。一昨年、外地で商売している温州人が故郷に仕送りした金は100億人民元を超えています。

彼らはまた、国内から海外へ進出し始め、ビジネスチャンスを探し回っています。今、海外で商売を行っている温州人は50万人余りいます。最近、温州人が北朝鮮最大の百貨店で投資と経営を行っていることも、その好例の一つです。一方、温州銀行管理支局の調査によると、温州人の民間資本金は1500億元にのぼっています。うち投資用の流動資金として市場に回っている金額だけでも370億元ほどあります。

筆者の知っている限り、温州人の経営コツは、下記のいくつかにまとめられます。

小さいビジネスチャンスを大きく育てること。利益が少なく、一般の経営者が目もくれない製品を低コストで量産し、圧倒的なシェアを確実に手に入れています。

温州人は、政府の経済政策を先に読み取る力を備えているばかりか、市場洞察力も優れています。温州人の間には「先行政策半歩」(国の政策を先に読み取って行動するとの意味)という言い方があります。彼らは一般の経営常識に反した発想でビジネスチャンスを掴もうとしています。例えば沿海部ばかりが注目されている際、彼らはこぞって内陸部に進出し始めました。中国マーケットに対する彼らの眼は、外資とはまるで違います。日本企業は、もし彼らの投資方向と動向を把握すれば、中国のビジネスチャンスを先制できるかもしれません。

全国各地で民間商会を設立し、地縁的性格をもつ集団の力で大きな資金を集め、同時に全国的な情報ネットワークを構築する。

温州商会の歴史は90年前に遡ります。1906年に最初の温州人商会が設立されました。

新中国誕生してから、民間の経済団体の設立は禁止されました。しかし、温州人は全国各地域に集団進出することにより、その強い経済パワーをテコに民間商会を復活させました。1995年8月、雲南省の昆明市にて温州商会が設立された。これは中国で政府の許可を得た民間商会の第一号です。最新の情報によると、2004年までに全国の各地域に設立された温州商会は74と数えられます。
 
しかも、こうした商会は、温州人の企業を強固な商売軍団に成長させました。商会の内部通報による指名批判は、面子を重視する温州人経営者にとって、政府の行政処罰より重いといいます。小集団の信頼を裏切る行為と見られているからです。外地の温州人は夫婦喧嘩からビジネス契約のトラブルまで、何でも地元の温州商会に仲介を頼んできます。

こうした温州人の経営軍団は、各地域の政府にとっても無視できない存在となっています。ある都市の市長が地方政府部門にこう指示しています。「温州人経営者から頼まれたことは何でも、翌日まで持ち越さず速やかに解決しなければならない」。
 
また、各地方の温州商会は全国的な情報ネットを張っています。ビジネスチャンスがあれば直ちにキャッチし、温州人の間に流します。ある温州人経営者によると、こうした独特な情報ネットを生かすことで、新疆で7千万元を上る企業買収プロジェクトの契約も、飛行機で現地に着陸してからわずか数日間でまとめたそうです。

温州人の資金調達力も凄いです。2003年、四川省の各地の温州商会が年会を行うため、100万元の会議経費の捻出が必要になったところ、そこの会長何必奨氏はメンバー企業に寄付金を求めました。「私がオフィスで20分の時間を使い、6本の電話をかけただけであっさりと金が集まりました」と彼は語っています。

いつか、温州人の狙いは日本市場になるかもしれませんね。彼らの投資方向は今、中国人経営者の注目の的となっています。