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中国人スタッフ大量離職問題の攻略法

李 年古

独資企業・合弁企業にとって、中国人スタッフの流動率が高いことは、管理上の大きな悩みの種である。

かつて独資企業で人事マネージャーを務めていた者の話によると、外資系企業の管理者は中国人最大の祭日である春節の到来を最も恐れていたという。なぜなら、長期休暇である春節休みが明けると、大量の中国人スタッフが連絡もないままいなくなってしまい、企業の運営を元の状態に引き戻すのに多大な労力を要するからである。一般に転職しようとする中国人は、翌月分の給料を繰り上げでもらった後の春節休み期間中を狙う。こうした難題は国有企業の管理者たちにも共通している。

独資企業・合弁企業の中国人スタッフの流動率はだいたい15%だと言われる。職種別ではセールスが20%と最も多く、次いで財務、人事担当者が15%。技術者は5%程度だが、企業に与える影響は最も大きい。身分では高、中級管理スタッフの方が流動性が大きい。年齢別では、若ければ若いほど流動性が大きい。地域別では、就業機会の大きい大都市ほど流動性が大きく、特に長江デルタ、珠江デルタ一帯が著しい。

離職の原因の多くが企業に対する不満で占められている。ある統計によれば、離職者のうち、原因をはっきり述べなかった者や企業側の事情で辞めた者は4分の1に過ぎず、残りの4分の3は本人の意志で離職している。

スタッフの流動率が余りにも高く、特に要職にある者の流動率が高いと、企業の正常な活動、発展に支障をきたす。この問題がいかに対処するかについては、いくつかの方法が考えられる。給与水準や家庭関係などで調節する純粋に西洋的な管理法。あるいは、企業が従業員の労働人事関係を掌握し、福祉住宅制度を重用して、政治思想教育を施す国有企業のやり方。ある関係者は、改革・開放20年来の外資企業の人事管理の経験からいって、両者を融合し、待遇、管理、研修の三方面から総合的に管理する方法が最善であると指摘する。

第一に、

企業内の地位と評価を科学的に見積もる(現在世界で流行しているへい氏の管理システム)。報酬は市場状況に照らして随時調整する。報酬構造の多元化を行い、可変部分を明確化する。従業員の給与水準はその結果と緊密に関わらせ、随時周期的に調整を行う。従業員の住宅問題、医療、生命保険制度を考慮する必要がある。

第二に、

従業員が意見をし、評価することが実を結ぶ制度を確立する必要がある。従業員、特に要職にある従業員が困難に遭遇した際、組織の制約を受けることなく、さらに上の地位にある者にその声が届くようなルートを作る。

第三に、

従業員が入社してからの体系的な研修制度を確立する必要がある。研修計画をさらに充実させるため、関連性のある教育機関(大学、研究所など)、政府機関、同業の他社との提携を考えてもよい。このようにすれば、従業員を辞めさせることなく、彼らのレベルアップを図ることが可能である。

このほか、早急に企業管理スタッフの上から下まで現地化する方法もある。現在、北米の在中企業の現地化度は、欧州の在中企業よりも進んでいて、また、ハイテクの生産、開発に携わる外資系企業の現地化度は他の業種よりも進んでいる。このことからわかるように、現地化の程度が高く、特に高級管理スタッフの現地化が進んでいる外資系企業ほど、中国人スタッフの安定性も良好なのである。