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第5回 教育費と賭博費

李 年古

教育費
中国人の父母は日本人以上に子供の教育に熱心である。中国人は家族主義の意識が非常に強いから、子供に対する投資はもっとも価値があってリターンする確率が高いと思われている。だから、収入がどんなに少ない父母も、子供にだけは不自由な生活をさせたくないと考えている。

賭博費
2004年の旧正月頃、筆者は出張を兼ねて故郷に戻った。深夜着くと、寂しい空港で数台のタクシー運転手がお客を必死に誘っている。私が運転手に「なぜ、旧正月も働いているのですか」と聞くと、「マージャンで負けてしまったので、金が必要だから」とのとんでもない返事が返ってきた。いくら負けたのかと聞くと、四千元だという。彼らの二ヶ月分の給料に当たることはすぐ分かった。また、故郷での滞在期間中、ナイトクラブに招待された際、農村からやって来たホステスたちに、なぜ正月も帰省しなかったのかと聞くと、二人の小娘は「トランプで金がなくなって、帰省費用が足りなくなったから」と答えた。

また、弟の家に遊びに行っている最中、彼の友人から二回ほど電話を受けたこともある。いずれもマージャン現場からのSOS電話だった。直ちに万元単位の賭博借金を届けて欲しいとの頼みだった。

筆者は世界の大都市の賭博場所を回ってきたが、そこに限って一番金持ちに「見える」のは、華僑や中国人だった。中国に戻ると、失業した友人に何人か会ったが、彼らの文句が解雇した会社に対する不満よりも株の暴落への怒りであることにびっくりした。そう、皆貧乏であればあるほど、一夜の賭けで金持ちになることを夢見ているようだ。
悲しいかな、人生そのものを賭博場としてすべての金銭を賭ける、これが中国人の金銭観の一部と言えよう。

中国人の金銭観