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第7回 金に無関心な北京人と商売に情熱をかける広州人

李 年古

金に無関心な北京人

北京人は上海人と対極的にいると思われる。彼らは、おそらく中国人の中でもっとも金に無関心な人種だ。彼らは金銭と権力とでは、圧倒的に権力の方に大きな関心を寄せている。なぜなら、伝統的な価値観の中では、権力が社会的に高い地位を意味するのに対し、金は商人の追いかける最終目標であり、商人は伝統的な価値観の中では社会的身分がもっとも低い人種に属しているからだ。

したがって北京人は、自分の社会的地位を落としてまで金儲けをするのはみっともないことだと考えている。逆に、政治家になれば金が自然に集まってくるものだと考えている。だから、おしゃべりが大好きな普通の北京人は儲かる話にはあまり興味がない。彼らの興味ある話題はなんと言っても政治だ。

彼らは、金銭に困っても金を儲けることに興味がない。ケチケチしてまで金を貯めることはむしろ皮肉な対象になりやすい。

商売に情熱をかける広州人

「広東人は永遠に金を追いかけている人種だ」

これは私が広州に初めて行った時に広州人から語られたことだ。確かにその通りだ。中国では、誰でも上記三都市の人の特徴を語る言葉を聞いたことがある。「北京人はどんな政治的な話題も喜んでしゃべる。上海人はどんな外国でも喜んで出て行く。広東人はどんなお金も喜んで稼ぐ」。

広東人は総じて話をするのが苦手だ(そんな彼らでも、金儲けの話題となると話は別だが)。話す時間があればコツコツ働いた方が金になると考える。だから、広東人は北京人や上海人よりも勤勉である。残業については、北京人は大嫌い、上海人もできるだけ避けたいと考える。しかし、広東人だけは残業代さえ良ければ喜んでやるという人が多いのだ。

中国人の金銭観