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農業のWTO対応

中央農村工作会議、農民の増収を重点に 

 2日間の日程で北京で開かれていた中央農村工作会議は7日閉幕した。会議は、
農民の増収を農業と農村工作の重点任務とし、経済工作全体において、それを優先
させる方針を打ち出した。
 会議は以下の点を確認した。今年は中国がWTOに加盟してから迎える最初の年
であり、農業は大きな衝撃を受ける可能性が高く、農民の増収を実現することが一
段と難しくなる。新しい段階において農民の増収を実現するには、新しい構想を確
立し、総合的な措置を講じなければならない。基本的な指導思想は「投入を増やし、
徴収を少なくし、活性化をはかる」で、投入を増やすとは、農業と農村に対する資
金投入を増やし、農村のインフラ建設を加速し、退耕還林(農地を林地や草地に戻
すプロジェクト)の規模を拡大し、農民の収入を直接増やすこと、徴収を少なくす
るとは、農村の公租公課改革を推進し、農民の負担を着実に軽減し、生活の安定と
生産の発展をはかり、活力を回復させること、活性化をはかるとは、諸政策を真剣
に実行に移し、農民の積極性、主導性、創造性を十分に引き出し、農村経済を一段
と活性化し、農民の増収の方途を開拓することである。
 

WTO対応が今年の農業の重点 

 中国の杜青林農業相は10日、北京で開かれている全国農業工作会議で報告を行い、
「WTO加盟によって受ける挑戦に対応することを今年の農業工作の重要任務とし、
WTOルールに合致した政策手段を積極的に運用し、農業の総合生産能力を保護す
ると同時に、優位農産物を積極的に増やす」、「中国は食糧など大口農産物の生産を
安易に放棄しない。基本的国情から考え、大口農産物の生産能力を確実に保護する。
これは食糧安全保障問題であり、国の経済安全保障問題でもある」と指摘した。
 また「中国は小麦、大豆、トウモロコシ、綿花など大口農産物の主産地では一般
品種の栽培を引き続き減らし、良質、専用品種を大いに開発する。これら地域では
規模の優位性のある産業地帯の形成を図り、例えば、黄河、淮河流域地域には良質
専用小麦産業地帯を誕生させる」と述べた。
 中国はWTO加盟に際しての約束に基づき、小麦、トウモロコシ、綿花などの農
産物輸入について、割当管理を実施する。大豆の輸入は3%の単一関税を実施し、
同時に農産物の輸出補助金を廃止する。
 杜農業相は「農業省は民間が各種業種協会などの仲介組織を設立するよう奨励し、
協会や輸出企業が外国の差別的な反ダンピング、反補助金、セーフガード(輸入制
限措置)などに積極的に対応し、国内の農民と企業の合法的権益を確実に守るのを
支持する」と言明した。
 国務院発展研究センター農村部の専門家、程国強氏は次のように考えている。中
国の土地資源集約型の大口農産物は品質、単位面積当たり収量、生産規模、コスト
構成面で海外のものと比べ差があり、WTO加盟で、かなり大きな衝撃を受けると
みられる。同時に労働集約を特色とする農産物、例えば野菜、果物、花、肉類など
は国内政策が適切であれば、国際競争の中で一定の優位性を得る可能性がある。
 また程氏は「農産物はこれまで一貫して国内需要を満たすことを目標とし、国際
市場を考えることが少なかった。残留農薬など、農産物の品質、衛生、技術基準は
まだ輸出の要求を十分に満たしていない。労働力が廉価な優位性を生かし、また付
帯措置を整備する必要がある」と指摘した。
 農業省によると、野菜は栽培面積が1500万ヘクタール余り、輸出量が315万トン
前後、輸出額が20億元に達している。果物の生産量は世界全体の15%を占めてい
るが、輸出量は一昨年が180万トン余りで、国内生産量の2%にすぎなかった。
 農業省は今年、無公害食品行動計画の試行を北京、上海、天津、深センの4カ所
から各農産物の主産地と省都に拡大し、またグリーン食品、有機食品を積極的に拡
大するとしている。

市場需要を考慮し、農業構造最適化

 中国の杜青林農業相はこのほど、全国農業工作会議で、「農業と農村経済構造の戦
略的調整を加速するには、国内外の市場需要を方向とし、優位農産物の育成に取り
組み、農業優位地域と優位産業地帯を構築し、農業生産の配置を最適化しなければ
ならない」と強調し、次のように述べた。
 昨年、中国農業は安定した発展を続けた。主要農産物は食糧、油料作物が若干減
産となったが、綿花、糖料作物、野菜、水産物、畜産物は増産で、農業と農村経済
構造の戦略的調整は大きな成果を挙げた。栽培業の構造が一層最適化し、良質稲、
専用小麦、特用トウモロコシ、キャノーラ(エルカ酸、チオ・ブドウ糖グリコシド
の少ない良質油菜)、良質果物の栽培面積が一層拡大した。畜産業は特に乳業が大き
く成長し、新たな注目を浴びた。漁業の構造調整も加速し、水産養殖業が急速に発
展した。
 農業と農村経済構造の戦略的調整を速めるには、構造調整の戦略的重点を際立た
せ、優位農産物の生産配置計画と実施案の策定に力を入れ、良質、専用、無公害農
産物の発展と農業優位地域と優位産業地帯の構築を計画の重要な内容としなければ
ならない。重点を決め、良質で強力なものを支援する構想に基づき、農業省は中国
の農産物を国際市場競争において優位のものと劣位のものに分類し、主要な攻略方
向を決め、ブランド戦略を実施し、重点生産地で優位農産物と優位産業を育成する。
 当面、農業の総合生産能力を一層安定させ、高め、中国農業の競争の優位性を育
成し、生かし、積極的姿勢、実務的精神、臨機応変の戦略で、WTO加盟によって
受ける挑戦に対応しなければならない。WTO加盟と構造調整、農民の増収、農業
科学技術の進歩を緊密に結びつけなければならない。重点的、計画的に優位農産物
の育成から始め、優位産業、産業地帯を構築し、中国農業の国際競争力を絶えず高
め、輸出拡大に努力する。中国の基本的国情から出発し、食糧など大口農産物の生
産能力を確実に保護し、力を集中し、競争力に影響を与える重要な点で突破を図り、
優位産品と優位産業の大型化に取り組まなければならない。

農業GM生物輸入に安全性評価義務づけ

 中国農業省は8日、今後、海外の企業が中国に生産用農業遺伝子組み換え(GM)
生物を輸出する場合、中国政府の主管官庁に申請することを義務づけ、これを生産
に供するには農業GM生物安全証書を受領しなければならないと発表した。
 同日公布した「農業GM生物輸入安全管理規則」によると、海外の企業がGMの
植物種子や育種用家畜・家禽、水産物種苗、農薬、肥料など、生産に使用する産品
を中国に輸出する場合、国家農業GM生物安全管理弁公室に申請しなければならな
い。
 これら輸入産品の生物安全性検査は3つの段階に分ける。各産品は各段階の試験
に合格し、輸入許可書類、安全審査・承認証書、安全証書を受領しなければならな
い。
 管理規則によると、中国政府は研究実験用、生産用、加工原料用の3つの用途に
基づき、輸入した農業GM生物を分類管理する。
 農業省は「農業GM生物安全評価管理規則」も公布した。規則は、ヒト、動植物、
微生物、生態環境の危険度に基づき、農業GM生物を、危険なし、低危険度、中危
険度、高危険度の4つの等級に分類している。
 中国は国家農業GM生物安全委員会を設置する。委員会は農業遺GM生物の安全
評価を行う。農業GM生物の研究、生産、加工、検査・検疫、環境保護などに従事
する専門家で構成され、任期は3年。

GM農産物の表示制度、今年3月20日から実施ヘ

 中国は今年3月20日から、農業遺伝子組み換え(GM)生物の表示管理リストに
記載され、販売されるものはすべて、表示を義務づけ、表示のないものや規定通り
の表示がないものは、輸入あるいは販売はできない。農業省が8日発表した。
 同省が同日公布した「農業GM生物表示管理規則」によると、農業GM生物つい
て表示制度を実施する。表示管理を実施する農業GM生物リストは国務院農業行政
管理官庁と国務院のその他関係官庁が協議して決め、調整、発表する。
 GM動植物、微生物、その他産品、GM動植物や微生物あるいはその他産品の成
分を含む種子、農薬、肥料、添加剤などは包装に直接、遺伝子組み換えであること
を明示しなければならない。GM農産物の直接加工品はGM加工品あるいは加工原
料がGMであることを明示しなければならない。
 規定によると、農業GM生物あるいはその成分を含む産品を加工してできた産品
については、最終的販売段階でGMの成分が含まれなくても、あるいは検出されな
くても、事実を明示しなければならない。
 包装品あるいはラベルにGM農産物を表示することが難しい場合、例えば、各販
売商品に表示することが難しい飲食業や小売業の商品については、商品展示ケース
に表示することを認める。
 農業GM生物の表示は目立つようにし、特殊な販売範囲が求められる商品もその
販売範囲で明示しなければならない。
 このほか輸入農業GM生物の表示ラベルは農業省の審査・認可を受けて初めて使
用することができる。国内商品は生産、包装の業者、個人が所在する県レベル以
上の政府の農業部門に審査、認可を受けなければならない。
 農業省スポークスマンは、この管理規則は消費者の知る権利を保護し、農業GM
生物の販売を規範化し、国内のこうした商品の消費を指導するためのものであると
強調した。
 農業省は農業GM生物表示の審査と監督管理、地方政府は地域のこうした商品の
監督管理を担当し、国家品質検査検疫総局は輸入農業GM生物の表示について通関
港で検査する。