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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.804 2023年11月4週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:アフターコロナの日本人と中国人の往来】
●中国の黄金周に海外旅行した観光客数は感染前の85%に回復
●中国在住の日本人が約20年で最低水準に減少

┏【国際】
●反グローバリズムに対処するための「一帯一路」の共同建設とは
●黄河文明はなぜ唯一無二なのか
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……【特集:アフターコロナの日本人と中国人の往来】……………………………
●中国の黄金周に海外旅行した観光客数は感染前の85%に回復
 中国の「双節」(中秋節と国慶節)黄金周が終わった。
 公式データによると、海外旅行者数は2019年の新型コロナウイルス流行前の同時
期の85%に回復したが、公式の予想を下回った。
 中国人消費者の多くは国内観光にシフトしており、中華人民共和国文化観光部の
推計によると、国内観光者数は延べ8.26億人(前年比71.3%増)で、2019年比4.1%
増だった。

 取材を受けた学者によると、このことは中国の旅行産業の回復の兆しを反映した
ものだが、現在、経済、雇用状況、アフターコロナの旅行サービスが整っておらず、
より高コストの海外旅行が全面回復するにはしばらく時間がかかると見ている。

 中国では9月29日から8日間の大型休暇である。国家移民管理局の10月7日の発表
によると、黄金周期間中の1日当たりの平均出入国者数は147.7万人に達し、前年同
期比約2.9倍、2019年同期の85.1%だった。この数字は、公式が予想していた158万
人を5ポイント下回った。

 シートリップや同程などの旅行プラットフォームの統計によると、タイ、日本、
韓国などのアジアの短距離目的地が黄金周休暇中の中国人観光客の最初の選択肢と
なっている。〔聯合早報2023年10月7日〕

●中国在住の日本人がここ20年で最低水準に
 中国に住む日本人の数が減少し続けている。2012年の15万人をピークを打った後、
現在約10万人と過去20年間で最低の水準となった。中国と日本の政治経済関係の緊
迫化などが影響し、人数は今後も減少傾向の可能性がある。

 日本外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2022年の中国で生活する在
留邦人数は2021年比5%減の10万2066人だった。仮に、2023年の対前年比が2%減を上
回ると、中国における在留邦人数は2005年に10万人を超えて以来、約20年ぶりに初
めて10万人を切る。

 近年、コロナウイルスの流行により多くの日本人が帰国し、多くの日本企業では、
正常に戻った後も中国への人員派遣を減らしている。
 また、中国において日系自動車メーカーの経営が不振となっていることから、将
来的には中国における在留邦人数が更に減少する可能性もある。トヨタ自動車と三
菱自動車工業は今年、中国合弁会社で従業員の人員削減を決定している。

 今後、中国における日本車の販売不振が関連業界にも影響を与える可能性がある。
自動車関連工場の建設を請け負う日系大手建設会社の担当者は「中国での事業拡大
を本気で続ける自動車サプライヤーは10社に1社程度」と語る。
〔聯合早報2023年10月6日〕
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……【国際】………………………………………………………………………………
●反グローバリズムに対処するための「一帯一路」の共同建設とは
 「一帯一路」構想の共同建設は、人類運命共同体の構築という理念に基づき、中
国が世界に提供する公共財である。提唱から10年、その重要な成果の一つは、共同
で建設している国や地域のインフラ整備などの発展に効果的に貢献し、世界経済に
エネルギーを注入したことである。しかし、この開発プロセスを「新植民地主義」
になぞらえた批判的、否定的な声もある。

 香港中文大学(深セン)前海国際問題研究院院長及び華南理工大学公共政策研究
院学術委員会委員長の鄭永年氏は、先ごろ中新社の「東西問」の独占インタビュー
に応じ、同氏から見た「一帯一路」構想の世界的貢献について詳しく語ってくれた。

 インタビューの概要は以下のとおり。

中新社記者:キッシンジャー元米国国務長官はかつて、中国と中央アジア、ヨーロ
ッパを結ぶ中国の「一帯一路」構想は奥深い意味を持つと語りました。「一帯一
路」構想が10周年を迎え、国際政治にどのような影響を与えましたか。

鄭永年:2008年の世界金融危機以来、世界経済の発展は、特に発展途上国において
勢いを欠いています。西側諸国は自国のことで手いっぱいで、発展途上国を支援す
る能力も意欲もありません。中国の「一帯一路」構想は、金融危機後の世界経済発
展を促進するための重要な構想、プロジェクトであり、多くの国が参加しています。

 初期のインフラ整備から、現在提唱されているデジタル経済やグリーン経済まで、
中国が国際社会に提供するこの国際公共財は、常に内容を充実させ、変化しています。
 その意義は、まず世界の経済成長を促進させることです。例えば「一帯一路」を
共同建設する国々は他の地域に比べて貧困対策ですぐれた取り組みを行っており、
インフラを核とした建設が地域の経済成長の原動力となっています。

 それから、この10年間、「一帯一路」構想は、西側の一部が主張するような地政
学や世界のリーダーシップを争うのではなく、地域経済の共同発展を追求してきま
した。中国と欧州や中央アジアを結ぶ国際貨物列車の中欧班列、中国ラオス鉄道、
ジャカルタ・バンドン高速鉄道などのどれも、中国は沿線地域の開発を支援し、地
元の経済発展と貧困対策を推進しています。


中新社記者:「一帯一路」構想が提案されて以来、米国や一部の欧州諸国の人々は
これを批判、反対し、さらには中傷や悪者扱いさえしていますが、なぜ「一帯一
路」構想をこれほど拒むのでしょうか。

鄭永年:西側諸国では「一帯一路」構想を「新植民地主義」「債務帝国主義」「新
帝国主義」などと中傷する声があり、これは中国に西側の論理を押しつけているの
です。近代以降、「国は強くなれば必ず覇を唱える」は西側諸国では暗黙のルール
となっていいますが、中国は常にこれに公然と反対してきました。「国は強くなれ
ば必ず覇を唱える」と、やがて滅亡の一途をたどることは数千年の歴史が証明して
います。

 「一帯一路」構想はオープンで包括的な構想であり、中国の一貫した姿勢は、現
地の発展を推進するあらゆるものは、どの国の計画であれ、歓迎されるべきです。
近年、西側諸国も「一帯一路」構想に対抗するため、いわゆる公共財プログラムや
構想を立ち上げていますが、いずれも実行には至っていません。

 第二次世界大戦後、ほとんどの発展途上国は西側諸国との緊密な関係を維持し、
西側諸国に追随してきました。しかし、現在、多くの国、特に発展途上国は西側モ
デルの導入に成功していません。「一帯一路」構想は中国の解決策を他国に提供す
るだけです。西側諸国における悪者扱いの声は今後も存在すると思いますが、中国
は証拠を示し、冷静に対処しなければなりません。


中新社記者:米国や欧州が現在提案しているような「一帯一路」構想にかわる公共
財プログラムが、実際には立ち上げられず、実施できないのはなぜでしょうか。

鄭永年:理由はたくさんあります。
 第一に、それは西側諸国自身の発展が抑制されたからです。2008年の世界金融危
機後、西側諸国の多くは持続的な経済発展の実現が困難となり、国内問題が次々に
発生して、対外問題に対処できませんでした。

 第二に、計画の実施を促進するためのツールが不足していました。米国や西側諸
国は資本を通じて世界に進出しており、政府は補助的役割を果たしていますが、現
在の「一帯一路」構想の代替案は全て政府主導であり、資本はそれほど関心を持っ
ていません。関連する計画が強力な政府によって推進できず、資本の利益と矛盾す
る場合、失敗は避けられません。

 第三に、追加条件が多過ぎることです。「一帯一路」構想と比較すると、西側諸
国が提供するこれらの代替投資は、現地では政治的、イデオロギー的な負担が重過
ぎるため、大多数の途上国の発展を促進することはできません。

 長年にわたり、これら三つの状況は変化していないだけでなく、激化しています。
米国や西側諸国は発展途上国向けの融資計画を繰り返し提案してきましたが、その
ほとんどはうやむやにされてきました。これらの取り組みはむしろキャッチフレー
ズのようです。もちろん、本当に発展途上国の経済を助けるものであれば、中国も
これらの計画が発展途上国で円滑に実施されることを期待し、歓迎します。中国は
西側諸国を排除したり、取ってかわったりしません。


中新社記者:最近、米国や西側諸国が提案する開発計画は新興市場国や発展途上国
の真のニーズに応えられていないという指摘もあります。BRICSの歴史的な拡大か
ら見て、新興市場国や発展途上国のニーズは何だと思いますか。「一帯一路」構想
はニーズに応えられますか。

鄭永年:ニーズが発展を決定します。米国や欧州を含む先進国が直面している問題
は発展であり、膨大な数の発展途上国は更に発展を必要としています。

 中国は過去40年間で、8億人以上の人々を絶対的貧困から救い出してきました。
一方、世界の多くの発展途上国では、貧困層の数は減少するどころか増加し、多く
の発展途上国の経済はスタグフレーションの状態にあります。

 発展が最も重要であり、だからこそ多くの国々が発展志向の「一帯一路」構想に
関心を寄せています。多くの発展途上国は、発展が政治的安定への第一歩であるこ
とを認識しています。中国には「安定した収入や財産がある者が常に定まっている
正しい心を持つ」という言い伝えがあります。経済は基礎であり、政治は上部構造
であり、安定した政治体制の前提条件は経済発展なのです。


中新社記者:アジアやアフリカの一部の国々は、歴史的に西側諸国の植民地主義の
影響を深く受けてきました。「一帯一路」構想が深化するにつれ、西側諸国では
「新植民地主義」などと「一帯一路」構想を悪者扱いする論調が台頭していますが、
どのようにお考えですか。

鄭永年:中国は、「一帯一路」を共同建設する発展途上国に対し、これらの国の経
済発展のニーズを満たす道路、橋、高速鉄道、病院、学校、体育館などのインフラ
整備を支援しています。完全なインフラがあってこそ、国の比較優位を生かして雇
用機会を創出し、税収をふやすことができます。これは中国自身の経験でもあります。

 「植民地主義」とは何か。簡単に言えば、自国の制度を他国に押しつけ、他国の
国民を自国に服従させたり奴隷にしたり、あるいは現地住民を直接絶滅させること
です。例えば、オセアニアの先住民やアメリカ大陸の先住民は、いずれも「ジェノ
サイド」という災難に直面してきました。中国はそのようなことは一度もしていま
せんし、西側諸国は自国の残酷な歴史を他国に押しつけるべきではありません。

 中国人の文化は平和な文化です。中国にはゼロサムゲームの概念はなく、ウイ
ン・ウインの関係を実現したいと考えています。近隣諸国に対して、中国は善隣、
平和、豊かであることを望んでいます。経済的な観点からは、近隣諸国が貧しいま
までは、一国が豊かになっても、持続可能な発展は望めません。国内での共同富裕
と国際レベルでの共同発展という中国の論理は、西側諸国の個人主義の論理とは異
なります。

 マレーシアのマハティール・モハマド元首相はかつて、「中国は何千年も東南ア
ジア諸国と共存しており、東南アジア諸国を植民地にしたことはないが、西洋人は
到来して間もなく、東南アジア全体を西洋の植民地にしてしまった」と語りました。

 なぜ中国の「一帯一路」は世界に広がることができるのでしょうか。肝心なのは
やはり現地の国々がそれを歓迎することです。欧米の植民地主義者が過去に軍隊を
使って他国の門戸を強制的に開放したのとは異なり、「一帯一路」を共同建設して
いる国々は、率先して中国に門戸を開いています。いわゆる「新植民地主義」を信
じる人は誰もいないでしょうし、特に「一帯一路」を共同建設している国々の人々
はそうではないでしょう。


中新社記者:グローバリゼーションが逆流に遭遇する中、「一帯一路」構想は何が
できるでしょうか。

鄭永年:「一帯一路」構想は誰もが議論しやすい構想です。中国は他国に参加を強
制しませんし、「一帯一路」構想を受け入れる国はますますふえると信じています。

 反グローバリズムは米国から先進国にまで広がり、世界経済に悪影響を及ぼし続
けています。このような状況下で、経済のグローバル化の流れに合わせて中国が提
案した解決策が「一帯一路」の共同建設なのです。世界の勢力は多様であり、地球
規模の問題は1つの勢力だけで解決することはできず、発展を促進するには、より
多くの地域的及び世界的な組織が必要です。


中新社記者:「一帯一路」構想の建設の発展の見通しについてどのようにお考えで
しょうか。

鄭永年:「一帯一路」構想は提唱されて以来、多くの経験と実績を積んできました。
例えばインフラ面では、中国ラオス鉄道やジャカルタ・バンドン高速鉄道がデモン
ストレーション効果となりました。当初はラオスやインドネシアでも懐疑的な声が
ありましたが、プロジェクトが完了すると地元に多大な利益をもたらし、よい成果
を上げたため、こうした懐疑的な声はなくなりました。

 当初、この構想を推進する主力は中国だけでした。しかし、「一帯一路」構想に
参加した国や地域、特にその過程でインフラ整備を改善し、発展の勢いを増した加
盟国も一緒に推進することになりました。現在の世界経済の成長は低迷しているが、
「一帯一路」建設は今後も前進し、発展は更に加速するでしょう。インフラ整備は
最初の数年間は投資を続け、その後は収穫期を迎えます。

 もちろん、中国は今後もこれまでの経験を総括し、将来的にはよりよい行動をと
らなければなりません。例えば、債務問題は真剣に取り組む必要があり、基準の問
題も例に挙げられ、実際、「一帯一路」建設における環境保護基準と技術基準は非
常に高くなっています。


中新社記者:「一帯一路」構想を共同建設する国の長期的な発展を活発化させるた
めに、全ての関係者が守るべき精神とはどのようなものだと思いますか。

鄭永年:現実的であることが重要だと思います。それは西側諸国が求めるものでは
なく、現地社会のニーズを満たさなければなりません。「一帯一路」構想は西側の
ためではなく、現地の発展を促進するためのものです。各国にはさまざまなニーズ
があって、それらのニーズを満たすことによってのみ、「一帯一路」構想は持続可
能な発展を達成することができます。したがって、私たちはプラグマティズム、協
力、ウイン・ウインの精神を守るべきだと思います。(鄭永年氏)
〔中国新聞網2023年10月15日〕

●黄河文明はなぜ唯一無二なのか
 黄河は中華民族の母なる川である。新しい形の人類文明の創造という視点に立つ
と、中国文明が「河図洛書」から「礼楽文明」そして「礼法文明」へ連続性と紆余
曲折(転換、移動、変化を含む)というプロセスを経たことを黄河文化、黄河文明
から読み取ることができる。

〈黄河文化から黄河文明への飛躍をどう認識するのか〉
 「漢書・溝洫志」には「中国の河川は数百あるが、四涜(黄河、済水、淮河、長
江)ほど目立つものはなく、その中でも黄河が宗主である」とある。水は生命の源
であり、川は文明の母であり、川の特性は文明の特性を形成する。「四大古代文
明」である古代メソポタミア文明、古代エジプト文明、古代インダス文明、中国文
明は、それぞれチグリス・ユーフラテス川、ナイル川、インダス川、黄河によって
生まれはぐくまれた。

 文明が始まって以来、夏から北宋に至るまで、多くの王朝が黄河流域に都を築い
てきた。古代から現代まで、黄河流域は長い間中華民族の政治、経済及び文化の中
心地であった。黄河を国運、国家の命脈という観点から見ると、中華民族の命運が
黄河の栄枯盛衰と密接に関係しており、過去、現在、未来を完全に理解することに
よって初めて中華民族にとって黄河が持つ独特で特徴的な意味を深く理解すること
ができるのである。

 歴史発展の長い流れの中で、黄河流域において東西の文化が交流、融合し、多民
族が長期にわたって融合発展する中華民族を形成しはぐくんだ。それは、「全ての
姓は同根、全ての氏族は同源」という民族文化的アイデンティティーと、大団結を
尊ぶ社会意識の主流を形成し、「和を尊ぶ」「大同を求む」という中華民族独自の
精神的アイデンティティーを明示するとともに、中華民族の深い文化的遺伝子を蓄
積し、中国の子供たちの文化的自信のあらわれを示すものである。

〈異なる黄河の文化体系をどう認識するか〉
 中原文化や河洛文化は地域文化であり、黄河文化は流域文化である。しかし、中
華民族にとって黄河文化は、流域文化であるばかりでなく、民族文化及び国家文化
でもある。黄河文化体系については、歴史的進化の次元、地域的調和の次元、地勢
的な次元、制度及び法的な次元、人文思想の次元という5つの側面から理解する必
要がある。

 黄河文化体系は、時間的、空間的に生み出された思想、制度、ものであると言え
る。言うまでもなく、この複雑な文化体系は、複雑な「凝集」と「輻射」というプ
ロセスを経ている。以天為則(天をもって則となす)、以民為本(民をもって本と
なす)、以史為鑒(史をもって鏡となす)、以文載道(文をもって道を記す)を含
む凝集のプロセスは、礼楽文明から礼法文明への価値変遷のプロセスである。輻射
のプロセスは、以文化人(文をもって人を化す)、以理服人(理をもって人を服
す)、以情動人(情をもって人を動かす)、以美育人(美をもって人を育む)こと
であり、中原から中部へ、中部から中華へ、中華から中国へと空間的に展開される
プロセスを体現することである。

 黄河文化体系は、羲皇、炎帝、黄帝を起点とし、長安―洛陽―開封を軸とする。
その連続性と紆余曲折を経た進化発展の過程には、礎の1万年前、始動の8000年前、
加速の6000年前、進出の5000年前、過渡的な4000年前、強化の3000年前、転換の2000
年前、移動の1000年前、変化の200年前という段階があるということができる。

〈複雑な黄河文明体系をどのように理解するのか〉
 黄河文明は中国文明の骨格であり主体である。早期の中国が集落から国家へ、統
一された多民族国家が世界へ、滅亡の危機から再生へ変化する中国、勃興から復興
へ革新する中国の全過程を記録したものである。その最大かつ最も本質的な特徴は、
「断裂していない」ことであり、世界文明史上において類を見ないことである。

 黄河文明は、中国文明の複雑な構造を体現しており、中華民族の動力源である。
中国文明の複雑な構造を新たに分析するためには、黄河文明体系を認識し、理解す
るための思考の枠組みを確立することが必要である。そのためには、文明に対する
理解を体系的に系統化し、黄河文明に関する多次元的かつ大規模な体系的研究の強
化が必要である。ここでは、黄河文化の「根、源、幹、魂、家」という位置づけを
重点的に把握しなければならない。

 根には祖先、同族、ルーツが含まれる。源には地球の起源、生物の起源、人類の
起源が含まれ、更に農業の起源、文化の起源、文明の起源及び国家の起源が含まれ
る。中国文明を大樹に例えるなら、根と魂である黄河文化は、主体であり幹である。
いわゆる家は、発祥の地、中核地、ハブを指し、精神的な家、心の故郷という意味
でもある。

 黄河文化は強い結束力と求心力を持つ。特に天下為公(天下をもって公となす)、
天人合一(てんじんごういつ)、為政以徳(政をなすには徳をもってする)、民為
邦本(民は邦の本をなす)、任人唯賢(任命は唯才覚に由る)、革故鼎新(故きを
革め新しきを鼎る)、自強自息(自勉して息まず)、厚徳載物(こうとくさいぶ
つ)、講信修睦(信を講じ睦を修める)、親仁善隣(仁に親しみ隣に善くする)等
の中国文化の十大遺伝子を有している。中華民族の5000年にわたる深遠な思想創造
を支えているのは、こうした思想の本質である。

〈黄河文明と世界文明との交流・相互学習をどう理解するのか〉
 新時代、黄河文明と世界文明の交流と相互学習を実現するためには、中華民族共
同体の建設と人類運命共同体の建設を一致させ、中華民族の現代文明を築き、和し
て同ぜず、多文化共生のすばらしい世界を築く必要がある。

 大禹の治水以来、中華民族は偉大な河川文明を形成し、四大古代文明の中で重要
な位置を占めている。秦、漢から明、清にかけて、黄河流域では農耕文明を主体に、
遊牧文明、海洋文明(海あり洋なし)などの地域横断的な多文化共生の状況が形成
された。上古の時代から、夏、殷、周の文化と西アジアとの交流、後漢時代以降の
中国とインド文化の交流、さらには鄭和の西域訪問など、黄河文明は常に世界の文
明と好循環を続けてきたのである。

 黄河文明の5000年の歴史と西欧列強が台頭した500年の歴史を比較すると、「生
産の社会化」が黄河文明の新しい発展の基礎とならなければならないことがわかる。
そのためには、新時代の黄河文明を新しい発展パターンに統合する必要がある。こ
のため、新時代の黄河学の建設は、核心価値を使って人々の心を一つにし、力を集
めるだけでなく、共通価値を使って各国の人々がお互いを知ることを促進し、個人
の価値と核心価値、核心価値と共通価値の二重サイクルを実現するために努力する
ことが必要である。
 同時に、世界文明の多様性を尊重し、文明の交流で文明の壁を越え、文明の相互
評価で文明の衝突を越え、文明の共存で文明の優劣を越え、「歴史終結論」「文明
衝突論」「普遍的価値論」「西欧優越論」を効果的に分析し、世界の諸問題に取り
組み、100年に一度の大きな変化の世紀の中で黄河から始まる世界文明史を書き記
す。(李庚香氏)
〔中国新聞網2023年2月1日〕
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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