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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.347 2006年4月25日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:「中国農民工調研報告」農民工の存在感】
●全国農民工平均年齢28.6歳
●第2次、第3次産業従事者の半数は農民工
●農村労働力の76.4%は技術研修を受けたことがない

┏【国内政策】
●発展改革委員会報告 中央・省・市(県)の行政レベルによる財政体制を提案
●上海は「二級市」運営モデル全面実施 浦東を手始めに

┏【金融】
●200億米ドルのホットマネーが中国に流入 流入抑制施策急務

┏【国内経済】
●「貧困」の蘇州 GDP成長の影で深刻な代償 下

┏【経済データ】
●外国為替(4月24日)

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……【特集:「中国農民工調研報告」農民工の存在感】……………………………
●全国農民工平均年齢28.6歳
 国務院研究室が発表した「中国農民工調研報告」によると、全国の農民工のう
ち16―30歳に占める割合が61%、31―40歳は23%、41歳以上が16%で、農民工の平
均年齢は28.6歳であることが明らかになった。
 「中国農民工調研報告」によると、中国における出稼ぎ農民工の平均年齢は比
較的若く、そしてまた彼らは農村労働力のうち、教育レベルの比較的高い層であ
り、思想的にも良好で、都市の生活にあこがれ、外に出て就職したいという強い
気持ちを持っていることから、現代的な工業生産現場におけるニーズに適応しや
すい。しかし、全体的に質は低く、多くは「青春飯」(若いときしかできない職
業)にしかつくことができず、単純肉体労働に従事している。

 調査によると、出稼ぎ労働者のうち、男性が66.3%、女性が33.7%を占める。
 最近、出稼ぎ農民工の平均年齢は上昇している。比較的はっきりしているのは、
16―20歳の農民工の占める割合は2001年では22.2%であったものが2004年には
18.3%となり、30歳以上の農民工の占める割合が3.8ポイント上昇したことである。

 「中国農民工調研報告」によると、中国の出稼ぎ農民工数は1.2億人前後であ
り、もし地元の郷鎮企業に就業している農村労働力も加えると、農民工の総数は
約2億人に達する。
 そのうち、初等中等教育程度の教育水準の者は66%を占める。目下、農民工は
普遍的に労働就業研修機会に乏しく、技能の質が労働力市場のニーズにマッチし
ない問題が際立ってあらわれている。一部の地域であらわれている「民工荒」
(労働力不足)問題は、農民工の低収入に対する不満を反映したものであるが、
それは専門技能研修を経た農民工が不足している問題としてもあらわれている。

 「中国農民工調研報告」によると、農民工は「青春飯」で働き、老後の問題に
ついてはそれほど敏感ではないが、重い負担は10数年後の政府、社会、過程に先
送りされている。例えば、東莞市は2004年の農民工の養老保険解約は40万人、平
均加入期間はわずか7カ月だった。
 農民の出稼ぎは中国の社会生産力の中で活発な層であるが、仮に彼らの収入が
低下し、権利が担保されていない状況が変化しなければ、仮に彼らが徐々に正規
の労働者として安穏と暮らす市民へと変化しなければ、中国の都市・農村格差、
地域格差、貧富の格差拡大の趨勢を根本的に変化することも、転換することもで
きないし、ひ弱な農業、立ちおくれた農村、弱者の農民という問題も解決するこ
ともできない。〔中央人民政府ウェブサイト4月16日〕

●第2次、第3次産業従事者の半数は農民工
 国務院研究室が発表した「中国農民工調研報告」によると、農民工が中国の第
二次産業の従事者に占める割合が58%、第三次産業に占める割合が52%と、既に中
国工業化発展を支える重要な力となっている。
 報告によると、農民工が伝統的な体制の外で、工業と農業の間、都市と農村の
間を移動し、第二次産業、第三次産業の発展のために絶え間なく安価な労働力を
提供し、製造業、建築業、飲食サービス業といった労働集約型産業の労働力不足
のあきを埋めている。
 例えば、農民工の加工製造業従事者に占める割合は68%に達し、建築業では80%
を占め、既に中国の産業労働者の重要な構成要素となっている。

 報告はまた、農民の出稼ぎ労働は既に、工業が農業を動かし、都市が農村を動
かし、発達した地域が立ちおくれている地域を動かす有効な方法になっていると
指摘している。
 2004年、農民工の毎月の平均収入は780元、月平均生活支出は290元、年収は3000
元前後である。農民工層は全体で1兆にも上る現金を農村に持ち帰っており、そ
れが農業生産資料の購入や生活条件改善の重要な資金源となっている。
 出稼ぎ労働は農民の非農業産業生産経営の才能を開花させ、生活様式や観念を
転換させている。専門家の推計では、目下100人の出稼ぎ農民当たり4人が起業の
道を歩んでいる。

 農民の出稼ぎは、彼らの就業を拡大し、収入増加の増加のルートとなっている。
統計によると、2004年の中国全国農民の一人当たり純収入は2936元で、1997年比
で846元増となった。そのうち、給与所得は998元で、1997年比で483元増となっ
た。1997年から2004年の給与所得の農民一人当たり純収入に占める割合は25%か
ら34%へと上昇した。
 このほか、農民出稼ぎ労働は中国の労働力市場の育成を促進し、労働雇用制度
の改革を促し、市場の合理的な配置を通じて労働力資源のメカニズムの形成を促
している。農民工問題を解決するに当たって、各レベル政府の役割、管理、執行
に変化をもたらしている。伝統的な戸籍制度、労働就業制度、社会保障制度はま
さに変革を起こしている。〔中央人民政府ウェブサイト4月16日〕

●農村労働力の76.4%は技術研修を受けたことがない
 国務院国研究室が最近公布した「中国農民工調研報告」では、目下、農村労働
力のうち、短期職業研修を受けた者は20%、初級職業技術研修または教育を受け
た者は3.4%、中等職業技術教育を受けた者は0.13%を占めたが、これに対して、
完全に技術研修を受けたことがない者が76.4%を占めているという。

 この報告では、農村労働力全体の技能レベルは高くなく、就業競争力は強くな
いと指摘されている。
 建設部の統計によると、建設業界の農民工は3200万人に達し、研修を受けた者
は10%を占めている。これに対し、アメリカ、カナダ、オランダ、ドイツ、日本
の農村労働力のうち職業研修を受けた者の割合は70%を占めているという。

 農民工の技能の高さは、就業の安定性、収入レベルを決める。
 現在、農民工の研修は主に次の問題が指摘される。
1) 政府投入の不足が深刻で、各地では、農民工に対する無料サービスが余り提
 供されていない。
2) 市場の仲介行為は規範的ではないため、農民工はだまされやすい。
3) 農民工に対する研修の時間が短く、質が悪い。研修の内容は実態と乖離して
 おり、企業の技術工に対する緊急需要を満たせない。
4) 既に就業している農民工の在職研修が足りず、企業は農民工に対する職業研
 修の法定義務を履行していないのが普通である。

 農業部調研チームは、農村労働力移転研修を強化するために、次のとおり提言
した。
1) 各レベルの財政予算では、農村労働力移転研修費用を財政の経常予算に組み
 入れ、農民の研修補助金をふやし、ある一定の条件を備えた企業は積極的に研
 修を行う。
2) 農村労働力移転研修を推進するインセンティブを制定する。関連の研修機構
 及び職業仲介機構に対して各種の優遇政策を提供する。
3) 社会各種の教育研修資源を統合し、農村労働力の移転のための就業体系を形
 成する。農村労働力移転研修に関する就業指導と追跡サービスなどを確実にす
 る。
〔中央人民政府ウェブサイト4月16日〕

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……【国内政策】…………………………………………………………………………
●発展改革委員会報告 中央・省・市(県)の行政レベルによる財政体制を提案
 「役割が間違っている!役割を超越している!役割が不足している!」。
 30日、発展改革委員会の経済体制総合改革局は、農村の政治体制について研究
報告を発表した。
 県政府及び郷政府が長期にわたって行ってきた役割の問題点を指摘すると同時
に、各レベルの政府間の権限の範囲を明確にして行政レベルを減らす提案をして
いる。
 また、報告の中で、県政府及び郷政府が、長期的に教育・衛生、農地水利、社
会保障、科学技術文化、農村社会の安定維持などに全く力を発揮できていないこ
とを指摘している。それどころか、県政府及び郷政府はミクロ経済を重視してさ
まざまなプロジェクト、ビジネスに力を入れているようだ。

 「必要のない事柄に熱心で、必要ある事柄はほったらかし」。この報告は、郷
鎮の役割の崩壊の一端を指摘している。
 多くの問題は、市場と農民がみずから解決すべき問題であるにもかかわらず、
郷鎮政府は、農村委員会における内部の事務に直接介入している。また、農民の
生産経営に干渉しながら、農民にかわって政策を決定している。それと同時に、
郷鎮政府の中には、いまだに粗暴なやり方で問題を解決するところもあるという。

〈主な原因は財源不足にある〉
 県政府及び郷政府が本来あるべき役割を発揮できない主な原因としては、それ
ら自身の財政負担が重過ぎるという問題が挙げられる。
 1994年、分税制の改革が行われた後、中央政府の構想を手本に、省と市は、県
政府及び郷政府の税配分を集中させる方針を採用した。それと同時に、支出責任
はすべて県と郷に移転できるようになった。
 これによって、財政収入は省や市の上部政府に集まり、県や郷の下部政府には
支出責任だけが集まるようになった。県と郷の財政自主権が欠落してしまったの
である。
 資料によると、2004年における全国のかなりの県行政部門が従業員に給料を払
えない状況もしくは給料の全額を払えない状況にある。約半数前後の郷鎮が赤字
状況にあるようだ。

 財源不足が県政府及び郷政府にもたらす影響としては次の側面が挙げられる。
 まず、県政府及び郷政府は税源の拡大を行政の主要目的とせざるを得なくなり、
経済発展ばかりを強化して、投資や促し、ミクロ経済活動に積極的に携わり、目
先の利益のために生態環境を破壊することになったのである。
 もう一つの側面は、県政府及び郷政府が民衆の「お腹を満たす」ニーズにこた
えるだけで精いっぱいの状況に陥り、それによって公共物の提供や社会管理を行
う余裕がなくなったことで、郷や村における公共物の供給不足が起きるようにな
ったことだ。
 また、社会経済の流れの中で、多くの不公平、不公正、非民主的な現象が表面
化している。
 さらには、経費を調達するために、法律や規定に構わず、農民や企業に対して
いいかげんな料金徴収や割り当てを行っている。

〈行政レベルの過多というシステム欠陥〉
 行政レベルの数が多過ぎて、行政コストの上昇と行政の効率低下を招いている。
 中国の行政システムの特徴の一つとして、政府間の権限の大小の区分ばかりを
重視し、権限の範囲に関してはなおざりにされることがある。このような体制下
では、県政府及び郷政府が本来発揮すべき公共サービスと社会管理の役割は、他
の役割によって埋もれてしまい、本来の役割が弱められることになる。
 また、行政レベル設定に当たっては、中国は行政単位を5つのレベルに分けて
管理体制を敷いている。省政府と市政府は多大な行政権を持っているが、県政府
の自主権はかなり小さいものである。また、市と県の利権をめぐる争いは厳しく、
県政府及び郷政府にとっては、地方の事情に応じた役割を発揮することが難しい。

 上記のような現象に対して、国立研究所センター農村経済部研究室の主任であ
る陳剣波は「第一財経日報」に対し、次のように述べている。
 「将来的には、県政府及び郷政府の存在は、省政府が決定できる。郷鎮政府が
関与する必要があると省政府が判断した場合は、省政府が財源を提供して郷鎮政
府を支える。一方で、省政府が不必要と判断した場合には、郷鎮政府の存在を取
り消すことになる。
 現在、一部の地域では、下部政府の財政的圧迫により、既に郷鎮政府の吸収合
併が行われている状況にある」

 報告の中では、財政運営に当たって、「省が県を管理」や「郷の財政を県が管
理」の試験的改革を一歩進めることを提案している。また、条件が整っている一
部の政府については、徐々に「市が県を管理する体制」を取りやめ「省の財政は
市及び県の財政のみを管理」とし、「市の行政と県の行政はレベルにおいて差は
あるが、財政の面においては同じレベルとすること」を提案している。
 そして、市の財政は市轄区のみを管理し、郷鎮の予算は県の財政管理のもとに
置き、郷鎮を県政府の出先機関にするための条件を整える。徐々に、中央・省・
市(県)の3政府による財政体制を形成することを提案している。
〔第一財経日報3月31日〕

●上海は「二級市」全面実施 浦東を手始めに
 上海市発展改革委員会の官僚は4月6日、本報記者に対して、上海全市において
区県という行政レベルにかわる「二級市」を実施の機は熟したと語った。

 早くも2年前には、上海市委員会と市政府指導組織の各区県関連部門が各区県
の役割と位置づけ、産業振興についての共同研究を行った際に、「二級市」を実
施しようとする考えはあった。

 「上海の単一区県の能力は中西部にある1省のそれを超えることもある」しか
し、さまざまな理由により「これらの区県の能力はうまく使われてこなかった」。
その中の最大の原因の一つに「区県の権限が弱過ぎて、発展に制約があった」こ
とがある。
 上海市発展改革研究所の汪勝洋副所長は、上海市は周囲600平方キロメートル
の発展を突破し、県を含む6000平方キロメートルまで発展空間を広げると述べて
いる。「まず行政の体制を突破しなければならない。突破することによって、や
っと郊外の経済が活発化できる」

〈浦東を手始めに〉
 上海市建設交通委員の孫建平副主任によると、今後、浦東が建設管理方面で
「二級市」を先行試行し、合理的に権限を配分する。
 具体例を挙げると、工事入札、工事の初期設計、工事の質と安全、資質資格な
どの関連する許認可及び管理事項をできるだけ浦東の新区に置くようにする。
 これを基本として、「二級市」が正式に浦東新区で実施される。

 浦東新区のある職員は本報記者に対し、「もともと市の関連部門を通さないと
いけなかった許認可項目が、「自分たちで判断できるようになり、市には報告す
ればいいだけになる」と語る。
 今年3月25日 浦東新区総合改革試行工作推進会で、浦東で「二級市」の正式
実施すべしとの提案がなされた。
 「浦東にとって、このニュースは強心剤を投与したようだ」ある専門家は興奮
して「浦東が「二級市」を実施することは、浦東新区の目下の改革のすぐれた点
が実現する」

 しかし、上海市開発改革委員会の官僚によると、浦東だけでなく、「松江、嘉
定、閔行といった区県も、このモデルの運営を望んでおり」、「区県の中には市
へ陳情を何度となく行っているところもある」という。
 「各区県の発展はアンバランスであり、我々はより大きな権限を得たい」、あ
る郊外区の副区長は語る。

〈上海全市で「時機が熟した」のか?〉
 実際のところ、ここ数年来、上海の各区県、特に郊外区では「二級市」システ
ムを導入しようとする声が、各界で高らかになっている。
 その中で、上海市委員会副秘書長兼上海市政府発展研究センター主任の王戦氏、
上海市発展委員副主任兼上海市体制改革研究所所長の浦再明氏、元上海市委員会
副秘書長の王維工氏の3名が中心となって動いている。
 今では、これらの人々の夢が現実に近づいている。今後上海の各区県は「浦東
モデル」を参考に、全面的に「二級市」が実施されるだろうと上海市政府のある
官僚は語る。

 汪勝洋氏は上海の「二級市」実施を非常に高く評価しており、これは権限移譲
であると述べた。
 例えば、ある項目の許認可権について、「科学的発展観に適合している」もの
の一定の投資金額を超えているプロジェクトは、もともと市政府の担当部門が許
認可を持っているが、新しい形式だと、各区県が各々で許認可を出すことができ
るようになり、市の担当部門に結果報告をすれば済むことになる。

 一般的に、権限が小さかったり、少なかったりすると、区県の機能として制約
を受け、政府の効率にも影響を受け、かえって政府の効率が上がることもあるか
もしれない。それは、権限を拡大すれば、それ相応の財政権と人事権を与えなけ
ればならないからだ。
 汪勝洋氏は大量の調査研究の後わかったことは、以前は、区県の中には「権限
があいまい」なために、「自発的に自分の地区の発展に参画できなかったし、す
る気持ちもなかった」ところもあり、このような状況が「末端政府になればなる
ほど、発展に困難が生じる」原因になっていることである。

 実際には現在上海にある区県は、行政レベル上で「二級市」と似ている、しか
し、機能上では「二級市」とは全く違い、大差がある。
 このため、上海市発展改革委員会の官僚は、上海の経済を発展、促進させてい
く上で、郊外区を「二級市」とし、それらの地区に「二級市」相応の独立した権
限を与えることは、政策転換のポイントになるだろうと述べた。
〔21世紀経済報道4月9日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●200億米ドルのホットマネーが中国に流入 流入抑制施策急務
 中国人民銀行が最近公表したデータによると、今年第1四半期に新しく増加し
た562億米ドルの外貨準備高のうち、貿易黒字と海外直接投資によるもののほか、
約186億米ドルの出所がはっきりしていない増加額が存在する。専門家は、これ
は人民元の強い切り上げ予想のもと、近ごろ中国に流れ込んだホットマネーでは
ないかと見ている。

 またスタンダード・チャータード・バンクの推計では、昨年中国に流れ込んだ
ホットマネーは約670億米ドルであった。シニアエコノミストのスティーブ・グ
リーン氏は、ここ数カ月以内でさらに2000億米ドルの国際資本が中国に入り、中
国の新規外貨準備高になったと予測している。
 今年3月末現在、中国の外貨準備残高は8751億米ドルで、既に日本を上回り外
貨準備高の世界一の国家になった。

 ホットマネーとは、すなわち短期的、速やかに移動できる資金のことである。
専門家の解釈によると、ホットマネーが中国に入る目的は、商売することでもな
く、工場をつくることでもなく、ドルを人民元に両替した後に何もせず、ただ人
民元切り上げ後の漁夫の利を待つだけで、再びドルに両替すれば立ち去るだけだ。
巨額なホットマネーの迅速な移動では、一国の貨幣価値の安定と経済システムの
安全に危害を及ぼす。

 昨年7月21日、中国人民銀行は人民元レートの対ドル固定から管理フロート制
へと改め、目下のところ、人民元はドルに対して既に3%を切り上げた。強い人民
元切り上げ予測のもと、国際資本があらゆる方法で人民元を買いだめし、結果的
にホットマネーが中国に流入することとなった。
 2003年の下半期から、ホットマネーは中国の外貨準備に対する挑戦的存在にな
った。多過ぎるホットマネーは外貨準備の安定性を損なう。
 今年第1四半期のデータを例にすれば、新たに増加した外貨準備のうち、33.2%
を占める「統計的にあいまいな額」は極めてホットマネーの可能性が高い。わず
か短期間での186億米ドルのホットマネーによる影響は絶対に軽く見てはいけな
い。

 巨額なホットマネーの流入は監視機関の高い警戒を引き起こしている。先日開
催した国務院常務会議では、短期的に流入する流動資本に対する監視管理を強化
し、金融の安定的な運営を維持すると明確に示した。
 外国為替管理局の胡暁煉局長は2006年度外国為替管理工作会議の席で、今年外
国為替資金の流出入のバランスの監視管理を強化して、短期資本の流入と為替決
済に対する検査を強め、引き続き各種の外国為替違法行為を取り締まり、そして
外国為替違法情報公開制度を全面的に広めると表明した。

 しかし、専門家は、ホットマネーの分散性と偽装の隠蔽性から、ホットマネー
の流入を監視して外貨準備上昇圧力を抑制するのは難しいと考えている。
 これに対して、外国為替管理局が先週末に発表した中国国民私用為替購入緩和
制度と企業に対する外国投資額緩和制度は、外貨流出に便宜を与えるという角度
から人民元切り上げ圧力を抑制させるだろうとしている。〔南方日報4月18日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●「貧困」の蘇州 GDP成長の影で深刻な代償 下
(前号より続く)
〈環境の代償〉
 環境保護で、蘇州は厳しい情勢に直面している。国務院経済発展研究所の劉奇
洪博士によると、蘇州は水面面積が総面積の42.5%を占めているが、工業の汚水
が無秩序に排出されているため、都市と農村の住民のうち約600万人は汚染され
ていない水が不足するという難題に直面している。

 県レベル市の大部分が「国家衛生的都市」または「国家庭園都市」などの称号
を得ているが、川沿いにある化学工業、冶金、製紙工業地区などが長江沿岸の百
数キロにもわたってずらっと並んでおり、工業地区の大部分が川沿いの都市の取
水口の上流や付近にある。
 蘇州市街区域、昆明、呉江などの地域は、冶金、化学工業、製紙などの産業を
重点産業とはしていないが、電子通信関連の製造業を重点的に発展させており、
排出している廃水には重金属、放射性元素を含んでおり、環境の汚染に対する影
響は最も大きい。
 鐘敏芬さんは、大量の外資導入の結果、例えば耕地面積の大幅な減少、環境汚
染などの資源の浪費が起こる可能性がある明言している。数年前、太湖の治水工
事の勢いはすさまじかったが、今では全く聞かれなくなっている。これには間違
いなく関連性がある。

 蘇州の多くの企業の生産ラインは、人体にかなり大きな害があるという。大学
を昨年卒業た蘇州出身の周厳さんは、「蘇州の台湾資本企業の社長は狡猾で、3
年で労働者を取りかえています。5年後になって体に影響が出始めることがほと
んどなので、このやり方をあれば作業環境による病状が露見しにくいからです」
 実際には多くの労働者がこのことをよく知っているのだが、生きていくために
は、他に方法がないのだ。周厳さんはもともと蘇州のシンガポール工業地区の会
社で働くつもりだったが、「蘇州のシンガポール工業地区を見てごらんなさい。
あんなに大きくて、緑もすばらしいのに、鳥1羽いません。こんな話を聞いても
まだあんなところで働くつもりですか?」というアドバイスで考えが変わった。
 ネット上で「蚊のいない蘇州工業地区」と「地区の罪悪10年」というぞっとす
る文章を見たことがある。蘇州工業パークの真実の状況はこの文章のいうほど深
刻ではないかもしれないが、ある程度の汚染が進んでいることは事実である。

 以前、このことに関連した調査を行ったメディアがあった。
 昨年9月、蘇州市環境保護局は、放射能発生源についての特別検査中に、3社が
安全放射許可証を未申請であったことを発見した。
 違法行為を停止させ、期限内に許可証を申請するよう行政罰としてそれぞれ1
万元から4万元の罰金を科している。
 こういった状況を知って、一般市民も当然心配しているが、一部メーカーでは
利潤追求を第一とし、運を天に任せ、検査の目をどうにかかいくぐり、電磁波の
放射能汚染の危害を考えようともしていないのである。

 経済のグローバル化で、蘇州は外向型工業化の道を進み、各種の内外の資源を
利用し、地域経済を急速に発展させてきた。しかしながら、「住民の富裕化」と
「持続可能な発展」を目指すべきで、「自己」をなくして方向性を見失ってはな
らない。

〈民族のブランドの消失〉
 郷鎮企業があらわれた1980年代、蘇州の名前は全国的に広がっていた。
 当時、蘇州でランキング上位に位置する全国的なブランドがあらわれている。
例えば、香雪海の冷蔵庫、孔雀のテレビ、春花の掃除機、長城の扇風機などで、
蘇州の「四大花形ブランド」と呼ばれていた。

 しかし、現在では、長城は倒産し、香雪海はサムスンに、孔雀はフィリップス
に併合され、そして唯一残っている春花も伝統的な掃除機業界にとどまり、この
何年間で特に大きく発展できているわけではない。
 これ以外にも、虎丘のカメラ、登月印の腕時計などの精密機械、かなり発達し
た絹織物業もあったが、次々と消えていった。

 蘇州の家庭を数軒訪問したが、日常的に使用している製品の中に蘇州当地ブラ
ンドは少なかった。
 冷蔵庫は大部分がハイアール、科竜などが使用されており、洗濯機は多くの家
庭で小天鵝、ハイアールなどである。
 カメラなどでは、蘇州当地生産の虎丘印はかなり少なく、ほとんどの人がニコ
ン、ソニーなどの外国ブランドや、海鴎、鳳凰などの国内ブランドを使っている。
 「うちでも以前は、香雪海の冷蔵庫を使っていましたが、それは十何年か前の
ことで、今は別のメーカーのものに変えました」と平江区に住んでる宋さんは言
う。「香雪海はつぶれたんですよね」

 歴史のあるブランドは消失しており、新しい有名ブランドは比較的少ない。こ
のような現象の背後に、蘇州人のブランド意識の問題が存在していると言えるだ
ろう。
 多くの人が同じような考え方を持っている。「ブランドが重要であることはわ
かっています。でも、今は生き残りをかけるときで、資源は不足しているのだか
ら、金ができたときにブランドを起こしても遅くないでしょう」
 頭のよい蘇州人でもブランド問題では愚かな行いをしているようだ。立派なブ
ランドの大量流失を蘇州企業は重視していないようである。

 蘇州の知的所有権の関連担当者によると、蘇州の400以上の期限切れブランド
商標のうち、70%近くがすたれていっている。
 1つの商標を登録するのに少なくとも12カ月から18カ月が必要である。さらに、
その前段階におけるデザイン、準備などで使われる資金は少ないとは言えない。
もし異議があって、再審ということになれば、さらに数年が必要である。
 しかし、400以上の商標はみな「母のいない子供」になってしまった。

 外資の導入による蘇州の民族ブランドへの影響について、ある蘇州経済の専門
家は言っている。
 「外国ブランドは蘇州の一部ブランドに確かに衝撃をもたらしています。結局
いつも「婿に迎えてひどくされた」という気持ちでもあり、優遇政策によってつ
くられた新しい不平等を再考しなければなりません。
 本題に戻りますが、現地企業の発展、ブランドの強大化は、やはり自身の競争
力を強め続けることしかありません。
 香雪海のような家電ブランドも、サムスンに吸収されていなかったら、ハイア
ールなどの強大な国内の競争相手が出てきたとき、結局は市場占有率を激減させ
ていたもかもしれません。それどころか、家電市場舞台から消えていたかもしれ
ないのです」

 江蘇の大手民間企業である沙鋼グループの沈文栄社長は、外資の牽引がなけれ
ば、今日の蘇州私営経済の飛躍と第3次産業の繁栄はなかったと思っている。
 「もし外資を導入しなかったら、沙鋼は国際市場に参入できなかったでしょう
し、今のようなよい局面を迎えられていたとは思えません。外資の導入で全く新
しく高度な段階へと踏み込むことができ、企業の技術装置、管理思想、マーケテ
ィングの市場などすべてに極めて重大な進歩があり、一般従業員や管理職の観念
にも大きな変化が起きたのです」

 蘇州当地のブランドが「貧困」なことは、確かに人々の関心を集めている。
 自身のブランド保護意識の薄さだけでなく、さらに外国ブランドにもある程度
の衝撃を与えており、すべての蘇州企業と政府が考慮し、対応していかなければ
ならない問題である。
 しかし、こういった現象に対して、過度にその重大性を誇張する必要性はない。
 2006年度の中央テレビ局コマーシャルに、蘇州の2大民営ブランドの隆力奇と
徳爾力がそれぞれ87億元、1億580万元を投じ、2業界で「コマーシャル王」とな
った。
 そのうち、隆力奇は「3連覇」を達成しており、連続3年間、中国の日用化学品
ブランドの広告「女王」となった。設立5年目の徳爾力は、初めて中央テレビ局
の「コマーシャル王」の座についた。

〈煮込まれた肉が鍋の中にいっぱいある〉
 蘇州モデルについて今流行している考え方は、最終的に蘇州が「世界の工場」
になるという「海外思考」の経済発展モデルである。
 しかし、外資企業はただ生産過程のローエンド部分、主に加工と組み立てを現
地で行うだけなので、これらのローエンド部分では労働力の消費が多く、労働集
約的で、しかも付加価値は低い。

 スイスとアメリカの合資会社のロジテックはマウスの製造メーカーで、生産工
場が蘇州にある。この会社は毎年アメリカに2000万個の「メード・イン・チャイ
ナ」のラベルが貼られたマウスを輸送している。
 ロジテックのマウスのアメリカでの販売価格はおよそ40米ドルである。この価
格のうち、ロジテックが8米ドル、販売代理店と小売が15米ドル、そのほかに部
品サプライヤーが14米ドルを受け取る。中国はマウス1つにたった3米ドルしかも
らっていない。しかも、労働者の給料、電力、交通とその他の支払いはすべてこ
の3米ドルの中に含まれている。

 このような現実と蘇州の1人当たり平均収入とGDP増加の不均衡という状況には
関連性があり、蘇州が「張子の虎」であることは間違いない。
 国家発展改革委員会のマクロ経済研究院の王一鳴副院長の見解は「核心技術が
なく、自主ブランドがないため、ほとんどの利益が国際資本に流れています。
 初めのころには、この方法しかなかったので、資源と労働力の比較優位を利用
してきました。しかし、中国はいつまでのこの方法を続けているわけにはいきま
せん。
 このままではもっと大きな経済規模さえも空洞化していまい、上辺は大きく見
えても核心部分はすべて外国人の手によるもので、中身がない状況になってしま
います」

 蘇州経済の急速な成長でも、1人当たりの平均収入の増大が緩慢だ。所得再分
配過程で公務員が利益を得ている以外、その他はどこへ行ったのだろうか?
 外資企業の利潤はかなり大きな割合を占めている。もちろん、この利潤の中に
は株主配当や拡大再生産、再投資資金が含まれる。その他、国家の外資企業の利
潤移転に対しても関連規定があることにも留意しなければならない。理論上では、
外資企業の税引後利益の一部は蘇州に残し、すべてを国外に流出させることはで
きないのである。

 ここ数年間の蘇州の税収の伸び幅は比較的大きい。
 蘇州市委員会宣伝部の1人の職員は以前「蘇州から毎年国家へ支払う税金、四
大銀行の利益、税関で直接徴収する税金は合計で1000億、ほかの都市ではこんな
に「見入り」は多くありません」と言っている。
 税収が成長するに伴い、公務員の収入が比較的高くなっていることは容易に理
解できる。

 そのほかに、蘇州のインフラはどんどん整備されており、ここ数年で交通はま
すます便利になり、環境保護の面でもかなりよくなっている。
 今年から、蘇州市政府に1000万元の資金を投入して、滄浪、平江、金〓の3つ
の旧地区に対し、4万戸の家庭の旧式蛇口、便器を無償で取りかえ、3年で蘇州市
全体の10万戸の節水器具をすべて改修する。
 政府が出資して住民に節水の器具を改修するのは全国でも初めての例である。
このような小さいことではあるが、都市建設方面に蘇州の投資力が見られる。

 以上のように、蘇州モデルは確かに「国は富むが民は弱い」などのさまざまな
問題が存在している。
 しかし、別の側面から見ると、煮込まれた肉は鍋の中にいっぱいあるのに、碗
の中にはまだ少ししか入っていないだけとも言える。〔財経文摘4月5日〕
注)〓は、もんがまえに「昌」

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行4月24日16:11)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.9298  801.85  103.41   990.67
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《編集者コラム――応募ありがとうございました》
 先週まで3週間翻訳者募集を出させてもらっていたのですが、2人の方に応募を
いただきまして、ありがとうございます。とても不思議なのですが、ボランティ
アの方は大体いつも中国人からも日本人からも応募をいただき、半々の陣容でや
っています。ボランティアですので時たま入れかわりはあるのですが、このよう
に定期的に陣容が変わりつつも継続していける編集チームでありたいです。
 来週はもうゴールデンウイークですね。黄金周に入ると中国側の報道も少なく
なるし、来週はメールマガジンを休載してもいいような気もしますが、ひとまず
来週も少し規模を縮小して発行を行う予定です。(ま)
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