CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子マガジン《中国最新情報》  No.504 2010年4月6日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
登録/解除:http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎「ビジネス企業研修@中国」http://www.bizchina.jp/
★今週の読者数合計:5,956名(2010年4月5日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:西南地域の干ばつと一次産品被害】
●国家統計局雲南調査チーム 干ばつはインフレを招かない
●貴州 マオタイ 干ばつ被害はマオタイ酒生産における取水に影響なし
●雲南 プーアル茶畑 64万ムーが被害 1.04億の損失

┏【交通】
●高速鉄道が押し出し 鄭州西安航空路線運航全面停止

┏【労働】
●農民工は合計2.3億人 昨年より1.9%の増加
●「蟻族」が二、三線都市へ 彼らの運命やいかに

┏【社会】
●一線都市で仕事、二線都市で不動産購入 二都市生活モデルあらわる

┏【経済データ】
●外国為替(4月5日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎◎◎ メールマガジン「中国最新情報」のボランティア翻訳者募集 ◎◎◎
-----------------------------------------------------------------
 弊誌は、1999年創刊以来11年間、500回に及ぶ中国関連の情報を送信し続け、
「まぐまぐ殿堂」「中国情報源」にも紹介された無料メールマガジンです。翻訳、
編集はすべてボランティアによって運営されています。
 今後とも、より高い質の記事・編集を維持するため、中国語の翻訳ボランティア
を募集します。経験不問、未経験者大歓迎です。
 応募希望の方は、簡単な履歴書を下記のアドレスまで御送付ください。
                  中国最新情報編集部 hotnews@jckc.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:西南地域の干ばつと一次産品被害】……………………………………
●国家統計局雲南調査チーム 干ばつはインフレを招かない
 雲南省が歴史上まれに見る超大型の干ばつに見舞われ、一部の穀物、野菜等品目
の価格に上昇があらわれている。
 しかし、国家統計局雲南調査チームは記者の取材に対し、干ばつは確実に雲南の
物価に対し一定の上昇圧力となっているが、全体的に見ると、インフレがあらわれ
る可能性は大きくないと示した。

 また、国土部、鉄道部等の部門は、各方面を通じて西南地域の干ばつ被害の緩和
に努めている。

〈雲南の穀物の充足を3方面から保証〉
 国家統計局雲南調査チームによると、インフレかどうかの判断は、消費者物価指
数(CPI)の上昇幅を見た上で、その持続期間も見る。
 2月の雲南の月間消費者物価指数は前年比3.2%増で、これは深刻な干ばつが持続
している条件であらわれた構造的な上昇であるが、単月で3%上昇に達したにすぎず、
持続可能性は小さいため、インフレ発生と見ることができない。また、干ばつ被害
が緩和するに従って、消費者物価指数が急激に下落する可能性も大きい。

 需給状況から見ると、目下干ばつの主要な影響は雲南の春作物の生産量であるが、
3つの点から、雲南の穀物の十分な供給が保障でき、大幅な価格上昇局面はあらわ
れない。
1) 雲南省は連続7年間穀物が豊作で、備蓄も十分である。主要農作物の供給にも余
裕があり、消費市場における需給バランスあるいは供給が需要を上回る局面は変わ
らない。
2) 雲南の春穀物の生産が年間生産に占める割合は高くなく、たとえ減産となった
としても、全体の穀物供給に対する影響は限られている。
3) 雲南ないし西南地域全体は中国の穀物生産地域ではなく、したがって、西南地
域の干ばつが全国の穀物需給に与える影響は基本的にない。

 そのほか、雲南省委員会政府は物価問題を重視しており、仮に物価が高騰すれば、
政府関連部門は相当の調整措置を講ずるはずであり、物価は穏やかな調整可能な範
囲を保持するため、消費者は物価の大幅上昇を心配する必要はなく、大規模な穀物
の買いだめをする必要もない。

〈国土部が井戸掘り運動へ〉
 国土資源部は25日、雲南省昆明で南方干ばつ対応緊急行動意見交換会を開催し、
国土資源組織が南方干ばつ地域の地下水干ばつ対策井戸掘り行動をさらに進めて行う。

 3月初めに国土資源組織が干ばつ対策モデル井戸掘り行動を展開して以降、既に4
省区市に20余の専門知識チーム、組織技術者1000人以上を派遣し、掘削機400基余
を400余の干ばつ対策井戸掘り突貫チームに分けた。
 3月24日現在、既に井戸は100近くつくられ、出水量は1日当たり1万立方メートル
を上回り、11万人以上及び1万等近い家畜の飲料水問題を緩和した。雲南省には294
台の掘削機が702カ所に配置され、既に井戸は56カ所つくられ、出水量は1日当たり
4188立方メートルに達し、8万人以上の飲料水問題を直接的に解決した。

〈鉄道部門は干ばつ対策重点物資を急ピッチで運ぶ〉
 25日、鉄道部は、各関連鉄道局に地方政府と重点企業との連携協調を強化し、石
油製品、穀物及び化学肥料等運輸業務を統一的に行い、成都、昆明鉄道局等に到着
する逼迫している方面の重点物質に対し、組織強化、需要充足を確保するよう求め
ている。
 石油精製品の輸送では、関連鉄道局は四川、貴州、雲南等省の石油精製品の備蓄
状況に対する調整を強化し、随時情報交換を図り、備蓄庫への集中による過剰及び
備蓄不足がもたらす市場供給逼迫を防ぐ。

 干ばつ被害が進めば、雲南省の干ばつ対策救援物資は引き続き増加し、救援物資
の積みおろし作業は厳しい挑戦に直面する。
 昆明局は随時適切な措置を講じ、鉄道、地方、企業の三者会議の役割を十分用い
て、救援物資が集中的に到着しあふれてしまうという問題を有効的に解決し、救援
物資が被災地域に入ったら、受け渡し地点で積みおろしし、積みおろし後にはすぐ
輸送できる輸送秩序を形成する。

 3月22日現在、昆明局では干ばつ対策救援穀物を累計で40.2万トン積みおろした。
 そのうち、3月1日から22日までの昆明局全体の穀物積みおろしは計3161車両19万
トン、石油精製品は90.6万トン、前年比24.3トン増、36.7%増となり、雲南の穀物、
石油精製品市場の供給は安定している。
〔上海証券報2010年3月26日〕

●貴州 マオタイ 干ばつ被害はマオタイ酒生産における取水に影響なし
 25日、貴州マオタイ酒股フェン有限公司によると、生産経営は正常で、現在、マ
オタイ酒生産は干ばつの影響を全く受けていない。

 あるメディアによると、西南地区の干ばつの影響を受け、仁懷市マオタイ鎮にあ
る幾つかの小酒工場は深刻な水不足が影響して生産をとめているとのことだ。
 25日、貴州マオタイの関係責任者が述べたところでは、マオタイ酒の生産水源と
なる赤水河は今年、干ばつによって流れが絶たれるということは全くなく、マオタ
イ酒生産における取水にも影響を与えていないという。

 貴州マオタイ公司は、相次いで数億元を投資し企業取水設備をつくり、企業の水
源や水質を特に重点保護すると同時に、関係設備等の技術改良やバージョンアップ
を行い、生産用水の水量と水質を担保している。
 マオタイ酒の生産は既にシステム化と大量生産化を実現済みで、万全の自然災害
緊急枠組みを備え、マオタイ酒醸造に当たって必要となる水源の赤水河は、中央か
ら地方までの各レベルの政府とマオタイ公司よりかなり重視され、各種の措置を講
じて重点的に保護されている。

 貴州省と現地気象部門からの情報によると、ここ1週間、貴州北部、東部地区で
降雨が見られ、上述地区でも干ばつ被害が徐々に緩和されつつある。この降雨は、
貴州マオタイのある貴州北部地区で多く見られている。

 マオタイ酒の生産は特殊な工程フローを持っている。原料は1年前に仕入れ、2年
目に生産開始、完全なる生産周期は5年に及ぶ。現在市場で販売されるマオタイ酒
のおおもとは少なくとも5年前に生産されたものである。
 現在まで、干ばつはマオタイ酒の生産用水、物流、配送に全く影響を及ぼしてお
 らず、マオタイ酒の価格も干ばつによって変化はしていない。
〔新華網2010年3月26日〕

●雲南 プーアル茶畑 64万ムーが被害 1.04億の損失
 中国の声「央広新聞」11時11分の報道によると、西南で続く干ばつは雲南の米価
格を上昇させたほか、雲南の茶葉の価格にも大きな影響を及ぼした。
 プーアル市の茶園広場、プーアル市最大の茶葉卸売市場のある店主によると、毛
尖(緑茶の一種)の卸値は1キロ当たり35元。昨年の卸値は1キロ当たり25元であっ
た。また、碧螺春(ピールオチュン)は、昨年の卸値が1キロ当たり70―80元であ
るのに対し、今年の卸値は1キロ当たり140元となっている。

 プーアル市茶産業弁公室情報統計科の張雁科長は、今年の春茶は20―30%生産が
減ると予測されていると述べた。生産量の減少が茶葉の価格を押し上げることで、
茶葉市場における一級茶の価格は1キロ当たり50から65元、前年比8―10元の増加と
なる。そのほかのランクの茶葉も皆1キロ当たり5元前後の上げ幅である。
 価格面で影響を受けたほか、干ばつにより黄色い春茶が比較的多くあらわれ、見
た目がよくない一方、茶葉の香りと渋みはさらに増したという。

 100年に1度の特大干ばつは春茶生産に大きな影響を与えた。
 プーアル市の茶葉発展事務所によると、今年3月16日までに、プーアル市の6つの
県や郷の11の古茶山に対し行われた調査では、春茶が産出された古茶山はわずか3
つで、そのほかの8つの山の古茶樹は干ばつの影響を受け、芽が出ていない。
 10区県の茶畑総面積は135万ムーに達するが、そのうち64万ムーが干ばつ被害を
受け、1.04億元の経済損失をこうむっている。〔中国広播網2010年3月24日〕

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【交通】………………………………………………………………………………
●高速鉄道が押し出し 鄭州西安航空路線運航全面停止
 鄭州―西安高速鉄道の影響により、23日より河南航空有限公司の鄭州―西安便は
すべて運航を停止した。3月25日、幸福航空が運営する鄭州―西安便もまた運航停
止を発表した。
 航空事業が高速鉄道の「伏兵」に遭遇することとなり、中国民用空港協会は緊急
に対応案を協議した。上記中国民航局では、鉄道と航空とがハブ機能を総合的に連
携することで、現状の高速鉄道が勝ち、航空が負ける状況を解決する提案をしている。

〈地方航空路線は押し出され、疲弊はっきり〉
 全長484.5キロメートルの鄭州―西安高速鉄道が開通後、鄭州から西安まではわ
ずか2―2.5時間を要するのみで、1等切符は390元、2等は240元である。これに対し
て、空路は70分だけであるものの、500元であることに加え、空港までの往復の時
間が加わる。
 むろん時間のみが価格の大勢を占めるわけではないが、最近の空路の運航停止に
おける重要な要素ではあろう。

 高速鉄道と航空との激突に対して、かつて東方航空の劉紹勇総経理は、高速旅客
鉄道はほとんど中国の経済的に最も先進的な人口過密地域をカバーしており、国内
の60%以上の民間航空市場が影響を受け、中には甚大な影響を受けるものもいるは
ずで、中国航空会社の発展に直接かつ持続的な圧力となると認めていた。

 運行(運航)コストでいえば、高速鉄道は毎キロ4角―4角5分、航空のそれは4角
5分―5角となり、航空コストがやや高い。しかし、1200キロメートル以上の距離で
は空路が相当優勢となる。中国の旅客運輸量は毎年15―20%伸びており、総量がマ
イナスを補てんしている。

 昨年9月成都―重慶高速鉄道開通後5カ月にならないうちに、四川航空は19年にわ
たる成都―重慶路線の運航を停止した。
 石太高速鉄道(石家荘―太原)の開通前、太原から北京までの航空便は毎日20便
を超えており、平均搭乗率は7割を超えていた。石太高速鉄道が開通すると、太原
から北京への朝晩の便は高速鉄道にとってかわった。さらには太北航空路線のチケ
ット価格はもともとの価格から4―5割引となっている。一度は8割引のチケットも
出る始末で、顧客獲得状況は悲惨である。

 中国国内線では最多の南方航空でも高速鉄道の深刻な影響を受けている。その主
な路線は中南部及び東北等エリアに存在する。既に開通した北京―瀋陽、北京―太
原、上海―武漢の3鉄道路線は南方航空の上記エリアのフライトに直接の脅威とな
っている。

〈高速鉄道時代が到来しようとしている〉
 鄭州―西安高速鉄道は鉄道建設の口火にすぎないようである。鄭州鉄路局の業務
計画によれば、今後5―10年で河南地域での鉄道建設は高速化し、建設の黄金期を
迎える。
 国家鉄道部のデータによれば、2009年、高速鉄道は発展を早め、全国の新規鉄道
路線5557キロメートル中、旅客専用線は2319キロメートルである。重点建設プロジ
ェクトである寧波―台州―温州、温州―福州、福州―アモイ等の旅客専用線が相次
ぎ開通した。
 昨年末には世界最長、時速350キロメートル、全長1068.6キロメートルの武漢―
広州高速鉄道が開通し、それは中国高速鉄道の幕開けを飾るものであった。

 2012年、「四縦四横」の高速鉄道網が開通すると、中国民間航空市場の58%をカ
バーする。
 概算によれば、高速鉄道が500キロメートル以内にある場合は鉄道が有利となり、
800キロメートルであれば重大な影響、すなわち民間航空に対して20―30%の影響を
与え、1000―1200キロメートルの場合には15―20%の影響を与える。

 中国の中長期鉄道網計画によれば、2020年の鉄道営業距離は12万キロメートルを
超え、そのうち時速200キロ以上の高速鉄道は1.8万キロメートルを超える。これは
世界の高速鉄道の半分以上を占めるものである。
 中国経済がより発達し、人口過密都市がすべて高速鉄道網で結ばれると、80%以
上の民間旅客航空市場が打撃を受けることとなる。

〈1時間交通圏を形成へ〉
 現在、中国の高速鉄道の営業距離数は6552営業キロに及んでいる。そのうち、新
規に建設される時速250―350キロメートルの鉄道は3676営業キロあり、既に建設さ
れているもののスピードアップを図る時速200―250キロメートルの鉄道は2876営業
キロある。
 この中で、京津高速鉄道(北京―天津)は時速350キロメートルに達する。石太
高速鉄道(石家荘―太原)では、北京西から太原までの時間が以前の10時間から3
時間に短縮されている。続いて、寧波―台州―温州、温州―福州、福州―アモイな
どの旅客専用線も相次いで開通した。

 2010年全国鉄道作業報告会議上、鉄道部の劉志軍部長はかつて、2010年から2012
年に至るまでで、新線操業は2.6万キロメートルに達し、そのうち旅客専用線は9200
キロメートルとなると表明した。
 2012年末には中国の鉄道営業距離数は11万キロメートル以上となり、そのうち旅
客専用線及び都市間鉄道は1.3万キロメートルとなる。
 その際には、近隣省都は1―2時間の交通圏となり、省都と周辺都市は30分から1
時間圏内となる。北京から全国の大部分の省都までは8時間以内の交通圏となる。

〈資料リンク 鉄道部の「四縦四横」全国鉄道網将来計画〉
▽「四縦」旅客専用線
 北京―上海旅客専用線――北京、天津から、長江デルタの東部沿海の先進地域を
貫く。
 北京―武漢―広州―深セン旅客専用線――華北と華南地域を結ぶ。
 北京―瀋陽―ハルピン(大連)旅客専用線――東北と関内地域を結ぶ。
 杭州―寧波―福州―深セン旅客専用線――長江、珠江デルタと東南沿海地域を結ぶ。

▽「四横」旅客専用線
 徐州―鄭州―蘭州旅客専用線――西北と華北地域を結ぶ。
 杭州―南昌―長沙旅客専用線――華中と華東地域を結ぶ。
 青島―石家荘―太原旅客専用線――華北と華東地域を結ぶ。
 南京―武漢―重慶―成都旅客専用線――西南と華東地域を結ぶ。
〔北京青年報2010年3月24日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●農民工は合計2.3億人 昨年より1.9%の増加
 23日、国家統計局によると、2009年度の中国全国農民工の合計は2万2978万人で、
前年度より1.9%増加していることがわかった。

 国家統計局農村司のモニタリング調査報告によると、2009年内に中国で6カ月以
上の就業に出た出稼ぎ農民工は1万4533万人で、地元の郷鎮内で就業した農民工は8
445万人であった。

 2009年、中国における出稼ぎ農民工の1カ月の平均収入は1417元で、前年度より
5.7%増加している。〔人民日報海外版2010年3月24日〕

●「蟻族」が二、三線都市へ 彼らの運命やいかに
 今年の両会(全国人民代表大会、全国政治協商会議)において、「蟻族」が二、
三線都市に下り生活をすることを提案する委員がいた。
 この提案は波紋を広げ、人々が疑問に思ったことは、下っていったら「蟻族」の
運命はどうなるんだろうかということである。

 周知のところであるが、「蟻族」はなぜ葛藤しているのか、なぜ孤独と立場の低
さに耐えて大都市に集まっているのかといえば、大都市の華やかさにひかれている
のではなく、大都市の林立する高層ビルを目指しているのでもない。
 彼らは知っているのだ、大都市の生活コストは高く、不動産価格も高いが、全体
的に言えば、仕事につくチャンスは多いし、もっと言えば賃金待遇や教育訓練の条
件もいいということを。

 筆者の周りにいる「蟻族」は、大学卒業し広州で仕事探しで3年間点々とした後、
故郷の小都市で仕事を探すことを決めた。しかし、故郷に帰った後、彼はすべてが
思うがままにならないことにやっと気づいた。
 まず、たくさんのルートより就職するための裏の手段を探した。宴会で数回盛り
上がった後、相手は事業部門での仕事の手伝いをさせる約束したが、その経費は10
万元もかかる。家が貧乏な彼がこんな経費を払えるわけもなく、仕事の話も御破算
になった。
 「実力を生かし」小都市のパソコン会社で仕事を見つけたが、月給はわずか1000
元でしかない。周囲には気のおけない友人がいるわけもなく、両親はぶつぶつと言
い、近所では「どうして戻ってきたのか」と皮肉ることも、彼の立場を悪くさせた。
 最後、彼はやはり広州に「蟻族」として戻ってきた。

 実際には、「蟻族」はもともと彼らが大都市を選択したという悲劇ではないので、
蟻族にとって重要な活路が二、三線都市に下るということではない。
 いかに良好な政治環境と就業機会を創造するか、いかにして蟻族が幸福で満たさ
れた生活を送れるようにバランスのとれた資源配分するか、これは政治の施政能力
が試される重要な試金石である。
 政府は「蟻族」のために道を指し示すよう努めることを願うが、それは彼らを二、
三線都市へと下ることのみということではないことを願う。
〔2010年3月25日 南方報網―南方日報〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●一線都市で仕事、二線都市で不動産購入 二都市生活モデルあらわる
 2009年の不動産価格の逆行で、中国一線都市の不動産価格は引き続き史上最高を
更新している。
 2009年末、北京の環状四号線内における不動産価格は既に1平方メートル当たり2
万元という時代に突入している。

 不動産価格が引き続き上昇し、中国の一線都市の生活コストは若者1人の負担能
力をはるかに上回ってしまった。2008年の北京市都市住民の1人当たり年収は5万6328
元で、日常的な消費を除くと、毎年の貯蓄では1―2平方メートルの不動産しか取得
できないことになる。
 北京人的資源部門の調査によると、新規に就職する新卒学生、例えば広告デザイ
ン等知識や創造性が必要な仕事に従事する人の年収の中央値はわずか2万8000元に
すぎない。
 住宅という価格弾力性が低い商品のニーズと、負担し切れないほどの高額な不動
産価格の形成という大きな衝突があり、高額な不動産価格と生活コストはますます
多くの人たちに郊外での住宅購入を検討させている。
 大興、房山等の郊外地域は地下鉄の開通に伴い、若い世代が不動産を購入するト
ップとなった。一線都市の仕事を考慮しつつ、二線都市で不動産購入という2都市
生活モデルがあらわれ始めている。

 北京、上海等一線都市の不動産価格の大幅上昇は、二線都市の不動産価格の上昇
を招いている。
 現代版「二都物語」はどのような社会問題を引き起こし、我々にどのような発展
のきっかけをもたらすのであろうか?

〈さまざまな要因から二都市生活モデルが生まれた〉
 中国の結婚の伝統的な思想の影響が、若い世代に狭い家のために奮闘させること
となっている。
 中国数千年の伝統的な思想においては、結婚することは人にとっての根本的なこ
とで、結婚の最も重要な条件は、安定的な居場所があることである。
 80後の一人っ子は今20―30歳という結婚、出産のピークに入っている。結婚後の
独立した住居を持つことは若者の結婚の最も重要な条件となっており、男女双方の
両親が一生の貯金をはたいて子供のために結婚後の住居を購入するに至っている。
 都市市街区の不動産価格高騰は既に一般家庭の負担できる程度をはるかに上回り、
住居を持つことで初めて楽しく暮らせるという伝統的な思想が、また若い世代を不
動産がないので結婚が難しくなる状況に追い討ちをかけている。
 若い世代は、市街地から遠く離れ、相対的に価格が低い郊外地域で不動産を購入
し始めた。

 そればかりではなく、高速鉄道の発展は、一線都市で仕事、二線都市で不動産購
入という生活モデルも可能にさせた。京津高速鉄道の開通が天津から北京までを片
道わずか1時間へとさせた。これは多くの北京市内の住民が出勤するときにかかる
時間よりも短い。
 京広高速鉄道の武漢―広州間は2009年12月26日に正式に開通したが、全長1068キ
ロメートルの距離を3時間で結ぶ。
 高速鉄道の発展が、北京を中心に大部分の省都まで1―8時間交通圏、上海、鄭州、
武漢等中心都市と周辺都市を30分―1時間の交通圏を形成する。
 二線都市に住居があることは、基本的に100万元以上の不動産取得費用を節約で
き、これらの費用は日常生活に充てて生活レベルを向上させ、ローン返済で苦しむ
「房奴」を解決する活路となる。

 80後の「蟻族」も二都物語の別の形である。
 ここ10年来、大学卒業者数は年々増加し、2010年の中国全国の大学生卒業者数は
630万人に達し、2011年には758万人のピークに達する。大学卒業者数の激増により、
就職市場は一貫して飽和状態にあり、4分の1は失業か半失業状態にある。
 都市内で生活をしていくために、これらの大学生は都市と農村の境界あるいは近
郊農村にまとまって住み、独特の「蟻族集住村」を形成している。
 蟻族たちは、郊外地域の廉価な賃貸不動産費用、通勤の4時間と引きかえに、都
市生活における最低コストを実現している。

〈二都市生活モデルがもたらした変化〉
 まず、都市で仕事し、郊外で不動産を買うことが、都市賃貸住宅という流れも生
んでいる。
 往復の通勤ピーク時間の路上交通の渋滞は、北京、上海等都市住民の交通所要時
間の延長を招き、1日当たり平均の交通所要時間は2―4時間である。
 例えば、北京の天通苑小区では、比較的安価な不動産価格に中間所得層が集まっ
た。往復の出勤ピーク時間の主要幹線はいつも渋滞し、基本的に定刻での出勤が保
障できないことから、天通苑の住民は週末に寝るために帰ることを選択してしまい、
有名な「眠りの城」となった。
 高額な不動産価格に比べ、都市の80平方メートル以下の不動産賃貸費用は2000元
以下で比較的安価である。

 第二に、二都市生活モデルは、一線都市の過剰(過飽和)をもたらすかもしれない。
 北京、上海等一線都市の社会公共資源は、基本的には飽和あるいは過剰状態にあ
る。交通においては、北京1号線地下鉄のピーク時の発車間隔は2分15秒に短縮し、
既に上限に達している。たとえ上限に達していたとしても、ピーク時には多くの人
たちが地下鉄構内に滞留している。
 教育においては、北京の有名小学校の定員は少なく、家長の中には数十万もの賛
助費を納めて定員を得る人もいる。
 医療においては、北京病院で診察がとても大変であるという問題は一向に改善し
ない社会問題になっており、病院での受付及び診察の待ち時間等は平均で4時間以
上である。
 二都市生活モデルは、さらに多くの人たちがただでさえ込み合っている一線都市
に入ることを招き、生活を都市の中で行うおのおのの住民たちに不便を感じさせる
だろう。

 最後に、二都市生活モデルは二線都市の発展をもたらしている。
 歴史地理的な学説では、文明の発展はかなりの程度においてその地理的位置によ
って決まり、南北を貫く大動脈が走る交通の要衝に位置する都市はほかの都市に比
べて発展のチャンスはさらに大きいとしている。
 中国の都市と農村の格差、一線都市と二線都市との都市格差は大きい。マタイ効
果(金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になる二極化構造)に
より、都市住民は農村住民、一線都市住民は二線都市住民に比べてチャンスが多い。
 二都市生活は地理的要素がもたらした発展見通しの大きなギャップを弱めており、
例えば、天津市塘沽等濱海新区では、便利な交通機関により多くの輸出企業、製造
企業が北京の工場設置のコストダウンを図るために最も選ばれた土地となった。

〈二都市生活モデルがビジネスチャンスに〉
 日本の都市発展の変遷と比べ、二都市生活はまず4G技術の登場を生んだ。日本は
早くも2000年に3G技術の発展を始めており、目下3G技術浸透率が最も高い国の一つ
である。
 日本の通信技術の急速な発展の原因の大部分は、その速い生活リズムが通勤時間
のネット利用、メール送受信、業務連絡を促しているからである。
 中国の目下の高速鉄道の急速な発展は、通信の発展が伴っていないことがはっき
りしていて、目下の3G技術では高速鉄道における持続的なネット利用、通信さえま
だできない。4G技術は、今後最も必要な技術となると予想されている。

 二都市生活は相応のサービス業を生み出す。
 二都市生活とは、多くの人たちが2つの都市を頻繁に往来し、「カプセル式」の
賃貸居住が支持されよう。
 日本の「カプセルホテル」は利用者に小型で狭いが廉価な一時居住空間を提供す
る。このような一時的な居住が二都市生活の人たちのまさに住居の外での休息場所
の問題を解決する。現在の人々の通勤時間は2―4時間を占め、休息時間の価格はと
ても貴重であることははっきりしている。
 コンシェルジュサービスは、二都市生活者の貴重な休息時間を節約する。郵便の
輸送、列に並ぶことが必要な公共事務等、コンシェルジュサービスには大きな市場
がある。

 いかにして交通時間を生かすかが、二都市生活モデルのもたらす消費の新しいポ
イントである。
 二都市生活は空間的な距離を徐々に拡大させ、はるか遠方のオフィスで家の中の
ことすべてを決められる人々の新しい生活様式である。
 スマートフォンは電話として使うことができるが、任意の地点でインターネット
にログインすれば、家の湯沸かし器、電気炊飯器を動かし、家のすべての電気機器
等をコントロールする機能があり、市場の前途は明るい。
 アマゾンが発売するネット接続できる電子書籍端末キンドル等リアルタイムでネ
ット更新できる新世代の読書機器は二都市生活の人たちから最も選ばれるものとな
っている。
〔中国三星経済研究院2010年3月24日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行4月6日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.2787   682.6    87.88  926.94
関連ページ:http://www.boc.cn/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編集者コラム――また4月》
 また4月がやってきたので、翻訳ボランティアを募集します。これはお金をもら
えるんですかと聞かれるんですが、残念ながらお金なしです。本当にボランティアです。
 ただ、翻訳ボランティアの方ができる範囲で参加いただけるようには努力してい
ます。ボランティアには始まりがあれば終わりもあるのですが、最近は翻訳ボラン
ティアの方にお別れを言って終わってもらえるようになってきていて感謝していま
す。そういうボランティアですが、何回かでもやってみようかという興味のある方
は連絡ください。(ま)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:リン 神谷輝雄 竹内はる菜 荒木千春
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改頁:(1) 2 »