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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.465 2008年10月28日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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★今週の読者数合計:****名(2008年10月27日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国経済ハードランディングの回避】
●中国経済のハードランディング防止も最悪の事態は未到来
●中国 10条の措置で経済促進
●城建部副部長 各地の不動産市場刺激を認める

┏【国内政策】
●全国で初めての破産企業はこのようにつぶれた

┏【労働】
●温州 金融危機下の現状 8%の企業が倒産 民工の帰郷を促す

┏【経済データ】
●外国為替(10月27日)

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……【特集:中国経済ハードランディングの回避】…………………………………
●中国経済のハードランディング防止も最悪の事態は未到来
 香港の大公報によると、中国は10月20日、注目されていた最新統計データを発表
した。
 2008年第3四半期のGDP実質成長率は9.9%、消費者物価指数(CPI)のインフレ率
は上半期の8%近くから7%に低下するなど、表面的には安定的な高成長局面を維持し
ているものの、最近の動向を考えると理想的とは言えない。
 GDP成長率は2007年第4四半期のピーク時には12%近くの伸びだったが、2008年第3
四半期には9%に低下。1年間で3ポイント近く低下し、既にハードランディングへの
対応を迫られることが意識されている。2008年第4四半期や来年の見通しは厳しい
ものとなりそうだ。

 過去20年を振り返ると、中国経済ではGDPの成長率のハードランディングの例は
多くない。1989年に前年から7.2%減の4.1%に低下し、1995年には前年比2.2%減の
10.9%に低下したという例がある。

 成長率の継続的な低下を防ぐには、その原因を確実に解決することが必要だ。ま
ず問題となるのは外需である。欧米の金融危機が全世界へと広がり、中国の輸出も
既に大きな打撃を受けているが、実際の影響については、詳細な分析がいまだなさ
れていない。
1) 2008年の輸出は2007年より既に鈍化しているものの、四半期ベースの増加率で
 は上昇に転じており、第1四半期の約21%増から、第3四半期では23%増となった。
2) 対外貿易の利益では、2008年上半期は前年同期比12%減だったが、第3四半期で
 は13%に持ち直し、純輸出は成長阻害要因から推進力へと変化している。当然、
 過去の大幅な貿易黒字に比べれば、その推進力も弱まっている。
3) 外国企業の直接投資の勢いが増し、第3四半期末時点で40%近く増加しており、
 第3四半期中にも28%増と2007年の19%増を大きく上回った。

 景気後退の主な原因は内需の弱小化であって外需の冷え込みではない。消費を反
映した小売価格の実質上昇が急速に進み、年初から第3四半期末までに14%に達した。
第3四半期は既に16%にまで加熱している。したがって、問題は消費ではなく投資に
よる影響によるものである。
 投資の増加は実際には大幅に鈍化している。2007年第3四半期は約21%だったが、
2008年はわずか14%になった。このためGDP成長率も3ポイント以上低下する見込み
で、景気冷え込みの元凶となっている。
 将来的には、欧米の金融危機により経済の悪化が深刻化するにつれて、中国国内
の不動産市場の調整も加速していき、中小企業の倒産やリストラの影響もさらに鮮
明になるものと見られる。外需のみならず内需もさらに弱体化するだろう。
 こうした状況でGDP成長率のさらなる低下を避け、底入れを図ることは難しい。
最悪の事態はまだ訪れていない。

 総体的に見れば、景気低迷を招いた要因は、外需の低迷と国内資産の市場調整な
どだ。だが、さらに根本的には、経済情勢の急激な変動に対する政策調整のおくれ
がある。現時点では、以下の点に注意すべきだ。
1) GDP成長率が鈍化しなければよいものの、8%の目標は低過ぎるため、低下を放置
 すべきでない。
2) 現時点の経済は不完全で、投資過剰・消費不足に陥っているが、投資の抑制手
 段をとるべきではない。
3) 欧米の貿易黒字拡大というアンバランスがつくり出されるべきではなく、輸入
 奨励・輸出制限や人民元高を加速するような措置で輸出を抑制させるべきではな
 い。
4) 過剰流動性に伴う金融引き締め政策を堅持すれば、過度の収縮を招きかねない。

 現実に直面し、中央政府も問題の所在を認識している。国務院常務委員会は、成
長率の鈍化は不利であることを確認し、10項目の対策を打ち出した。対策には投資
の強化や輸出支援などが盛り込まれている。
 その方向性は基本的に合理的なものだが、さらに強化するべきだ。マクロコント
ロールは事前にやるから意味がある。問題が発生した今となっては、もっと緊迫感
を持ち、大胆に決定すべきだ。
 財政出動による投資計画の拡大の牽引を早期に展開するとともに、適度な金融緩
和や人民元の適度な切り下げなどもあわせて経済の推進力とすべきだ。遅きに失す
れば、発展のチャンスを無駄にすることになろう。〔聨合早報2008年10月21日〕

●中国 10条の措置で経済促進
 中国政府は経済成長減速に直面し、不動産売買税の軽減、輸出払戻し税率の引き
上げ、政府による投資拡大などを含める10条の経済成長促進措置を実施すると発表
した。

〈中共中央の不動産に対する態度の変化〉
 一部の国内財政経済専門家はこの「10条」の設定が中国のマクロコントロールの
戦略転換を反映したものであると認識している。そのうち、国民の不動産購入支援
という措置が中共中央の不動産に対する態度の変化のシンボル的なものとみなされ、
ついに市場救済に取りかかり始めるとともに、各地方政府による不動産救済措置も
認められた。

 国務院によるこの「10条」は19日、すなわち国家統計局が第3四半期のマクロ経
済データを公布した前日に発表され、当局の市場ムードの安定をねらうものだった
という。
 20日に発表されたデータによると、中国における第3四半期の経済成長率は市場
予測の下げ幅を上回り、9%にまで低下したため、第1―3四半期の平均経済成長率は
9.9%しかなかった。この推移水準で計算すれば、今年の中国の経済成長率は10%を
超えるのが難しくなり、年間の経済成長率は2002年以来初めて1けた成長になる見
込みである。

 目下、中国の不動産業は不況に陥っている。ゴールドマン・サックスの報告によ
れば、中国の不動産業の売り上げが前年比64%減少し、住宅価格が4%低下した。そ
れと同時に、海外市場の需要減少が中国の輸出企業に影響を及ぼし、沿海部にある
多くの輸出中小企業が倒産し、失業率上昇のリスクが加速された。
 先日、香港百霊達国際持株有限公司は深センにある支社の破綻を発表し、1500人
の従業員が解雇された。そのうち約1000人の元従業員は日曜日、工場の外で集まり、
政府の関与や会社に給料を支払ってもらうよう要求した。
 また、中国税関総署の報告によると、1―7月、輸出額が10万米ドルに達していな
い玩具企業数は前年同期比3631社減の1574社であった。

 17日、温家宝首相の招集した国務院常務会議では、「弾力性のあるかつ慎重なマ
クロ経済政策をとり、いち早く財政・税収、貸し付け、対外貿易などに対する政策
を打ち出し、経済の持続かつ安定的な成長を維持する」と要求した。
 この会議では発表された10条の措置では、農業支援政策の強化、「大幅に最低限
の食糧買い付け価格の引き上げ」、「各種の農業に関する補助増加計画の制定及び
発表、補助対象範囲の拡大、補助基準の引き上げ」が出された。
 そして、中小企業の担保システムの完備、金融機関による中小企業への貸付額の
増加奨励、中小企業の直接融資ルートの拡大、中小企業の技術革新への財政支援の
増強。また、輸出を奨励するため、服装、紡績など労働密集型製品や高付加価値の
電機製品の輸出払い戻し税率引き上げ、有力企業及び製品の輸出支持が盛り込まれた。

 さらに、中国政府はインフラや民生など分野の建設への投資を拡大しようとして
いる。その他の措置として、物価上昇のコントロール継続、エネルギーの節約及び
温室ガス削減の着実な促進、歳入の増加及び歳出の節約、金融監査の強化などがあ
る。〔聨合早報2008年10月21日〕

●城建部副部長 各地の不動産市場刺激を認める
 19日、全国各地の市長69人が深センに集まり「中国市長フォーラム」が開催された。
 住宅・都市農村建設部の仇保興副部長はフォーラムの席上、「各都市政府に一定
の自由度を与えなければならない。各政府は能力、責任を持って、幾つかの政策選
択をするべきである」と述べた。
 これは、政府高官が初めて各地の不動産市場刺激政策について正式な態度を表明
したものである。

 先日、杭州、上海等18都市が相次いで不動産市場刺激政策を打ち出し、推し進め
ている。具体的には、市民への住居購入補助の提供、償還期限の延長、関連税の減
免及び公共積立金貸し付け最高額の調整等で、このことは社会の各界各層に広範な
関心を引き起こし、激しい議論がわき上がっている。
 同時にまた、一部メディアは、幾つかの都市の措置が既に中央の政策の許容の限
界線に触れているものであると疑問を呈していた。このような原因もあり、政府高
官の態度は最近の各界各層の注目点となっていた。

 今回の仇保興副部長の表明は、既に市場救済措置を打ち出していた都市を安心さ
せることになった。
 仇保興副部長は、それぞれの都市に異なる特徴があり、不動産業の状況も異なる、
したがって、打ち出される政策も異なるものであるはずだと解説する。
 「我々はそれぞれの都市の政府が賢明な選択を打ち出せることを信じている。多
くの事柄を試行的にまず行うだけであっても、その次には規範化されていく、改革
開放とはこのようにやってきたものである」

 地方政府の市場救済のプロセスで発生するであろう新たな問題について、仇保興
副部長は以下のように述べている。
 「現在、各都市の政策動向及びその効果について、住宅・都市農村建設部は子細
に観察しているところであり、各般の措置の効果を評価しているところである。ど
ういうものを引き続き実行すべきであり、終了すべきものであるか、適当な時期に
規範となる意見を出せるはずだ。もし、再度ただすべき問題があったとしても、ま
だ間に合う」〔新華網2008年10月20日〕

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……【国内政策】…………………………………………………………………………
●全国で初めての破産企業はこのようにつぶれた
 22年前、瀋陽市防爆器材廠は破産宣告を受け、新中国建国後初めて破産した公有
制企業となった。その衝撃は国内外に伝わり、外電では「中華人民共和国建国以来
の前代未聞のやり方であり、中国にとっては重大な実験である」と報じられた。
 当時の改革実験を振り返る韓耀先さんの記憶は、年月が過ぎ去っても色あせるこ
とはなかった。

 韓耀先さんは、定年退職前は瀋陽市経済貿易委員会副主任、現在は瀋陽企業合併
破産サービスセンター主任として、また中国で最初の企業破産規定の起草者として、
瀋陽市防爆器材廠の破産の全プロセスを見てきた。
 韓耀先さんは先日記者の取材で、この企業が当時どのようにしてつぶれたのかと
いうことを語ってくれた。

 中国の企業破産の改革が実質的に始まったのは1984年である。当時、瀋陽は全国
総合体制改革試験都市であり、重工業基地として当時の工業経済全体の絶対的な規
模を占めていた。瀋陽市全体の国有企業数は約1万社、集体企業は1万社近くあった。
 1984年6月、瀋陽市汽車配件公司からちょうど瀋陽市集体経済事務室に転任し政
策研究を行っていた韓耀先さんは、市指導者あてに提出する1つの調査研究課題を
受け取った。
 「集体企業まで調査研究を行うべきである。集体企業でしっかりやっている企業
に対してはさらに多くの政策的な発展振興策を与えるべきであるが、経営が不調で、
管理が混乱している、製品が市場にない、技術が立ちおくれている、深刻な債務超
過である企業については、いかにして市場退出させるかを研究すべきである。この
ような企業は、長期に損失を出し、いつまでも国に頼るわけにもいかず、底なしで
ある。そこで、このような企業をどのように処理するかを研究し、破産・倒産がで
きるのかどうかを研究してほしい。この改革は集体企業にまず行うことにして、ま
ず破産・倒産の規定を打ち出すべきである」

 韓耀先さんは2カ月かけて規定の第1稿を調査研究し起草したが、通らなかった。
3カ月後、韓耀先さんは第2稿を出した。市委員会常務委員会でのたび重なる討論、
修正を経て、採決された。

 韓耀先さんによると、この2つの根本的な違いは、2稿目で計画経済の思想モデル
を飛び出し、市場経済の色彩を帯び始めたところにあるという。
 過去に破産といえば、それは我々の思想的な意識では資本主義的なものだと考え
ており、社会主義国家には根本的に企業破産というものは存在しない。ましてや、
当時の書き方では計画経済下の商品経済にのみに限られたもので、人々の思想的な
意識のもとには「市場経済」という4文字は存在しなかった。韓耀先さんを含む起
草者も、思想の上で絶えず修正や突破を経験することになったのだ。

 聞くところによれば、韓耀先さんがまずこの企業破産の規定を行うに当たって、
彼の妻は「あなたは社会主義で破産をやろうとしている、もし「運動」が行われた
ら、まず最初に批判されるのはあなただ」と大変心配していたという。

 「試行規定」を討論、修正する際、市の指導者も思想上の論争を経験することに
なった。最後、市委員会、市政府が主要指導者に示したことは、我々は改革試験都
市である以上、保守的な方法で問題を処理するのは改革でもなく、改革都市でも言
えないということだった。
 このようにして、瀋陽は全国で率先して企業破産の追求と実践を進める都市とな
った。

 1985年2月9日、瀋政発(1985)25号文書「瀋陽市城鎮集体工業企業破産・倒産処
理試行規定」が出された。この「試行規定」は、2年連続損失、損失額が資産総額
80%超過、破産警戒線に達した企業にイエローカードを出し、1年が過ぎても好転の
兆しがないときには、破産を宣告するというものであった。

 1985年7月、瀋陽市政府は瀋陽市防爆器材廠、瀋陽市農機三廠、瀋陽市五金鋳造
廠の3社の長期損失、債務超過、状況が好転しない集体企業に対して破産・倒産の
期限つき整理改善通告を発した。
 瀋陽市五金鋳造廠の工場長だった周桂英さんは、後に回想してこのように述べて
いる。「会議が終わった後、みんなで泣き、心はずたずただった。しかし、イエロ
ーカードの圧力は最終的にはエネルギー、結束力へと変わり、1年が過ぎて、工場
の中では上から下まで個々人が一生懸命励み、労働者は労働安全用品さえも要らな
いとし、生産のたび1分銭でも節約をと考えていた」

 1986年8月3日、瀋陽市五金鋳造廠と瀋陽市農機三廠のイエローカードは取れたが、
年々連続で損失を出し債務が48万元を超過していた瀋陽市防爆器材廠は、瀋陽市工
商行政管理局によって正式に破産が宣告された。
 破産後の防爆器材廠の職員は働き口をなくし、「両親もいるし、子供もいる、ど
うやって生活すればいいのか」と嘆く者もいたし、工場長の無能をののしる者もい
た。しかし、多くの人は、どうにもならない現実を受け入れることになった。
 韓耀先さんは、彼らは改革という胎動の陣痛を受けた者であったが、これらの中
には自分で仕事を求め、後に財をなすものもあらわれたとしている。

 瀋陽の大胆な試みと理論の突破から、後に、全国というさらに大きな範囲内で企
業の優勝劣敗のメカニズムがつくられ、中国企業破産法が立案され、有益な実践が
進められた。
 この年の12月31日、全国では破産法の試行が始まったが、その原典と基礎はまさ
に瀋陽市防爆器材廠の破産案件であった。
 それから2006年8月27日に「中華人民共和国企業破産法」が正式に公布、施行さ
れるまで、20年という時間が過ぎた。

 大まかな統計では、この年月で瀋陽では100社以上の企業が破産に追い込まれて
いる。
 韓耀先さんは、当初の「瀋陽破産第一号」は、現在から見れば多くが整っておら
ず、不完全なところがあったが、中国の市場経済の形成、発展、仕上げを促進する
役割を果たしたのではないかと話している。

 韓耀先さんは、改革の珍しいチャンスを捕まえたようだ。しかし、「私でなくて
も、ほかにやる人がいる。これが改革の歩みであり、だれもその進歩をとめること
はできないものである」〔新華網2008年10月21日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●温州 金融危機下の現状 8%の企業が倒産 民工の帰郷を促す
 金融危機のあらしが吹き荒れ、中国で巨大な労働市場がまさにこの侵食を受けて
いる。沿海部の労働力が中西部に大量に戻っている。その背景には一体どんな状況
があるのだろうか? 帰郷した民工はどんな困難に遭遇しているのだろうか?
 「毎日経済新聞」記者は、東莞、温州、安徽等に赴き、金融危機下の農民工の現
状を探った。

 この危機はまさに温州の製造業の各分野に急速に蔓延してきている。
 注文が終わったが、外商企業はお金を持ってこない、仕事場で売れ残った数千着
の洋服を眺め、温州で社長をしている楊文さん(仮名)は途方に暮れていた。その
2日後、楊文さんのOEM加工工場は生産停止に追い込まれた。運がよければ、1カ月
後に新しい注文が来て生産を回復できるが、そうでなければ300名以上の労働者は
失業に直面することになる。
 目下、温州の半分以上の輸出主体の服飾加工工場は生産停止あるいは生産半減状
態、労働者の流出は深刻である。温州製造業はまさに過酷なモデルチェンジに迫ら
れている。

〈背景:生産停止〉
▽中小企業は限界
 温州市経済貿易委員会経営運行総合処の李雄偉処長によると、今年7月初めに経
営運行総合処は温州市にある31の工業の盛んな鎮及び開発区の1万5521社の中小企
業に調査を行ったという。その調査によると、1009社が生産停止または半生産停止、
それとは別に250社が倒産、合わせて1259社に上り、調査企業総数の8.1%を占めた。
 「温州の中小企業総数は14万社である。我々が把握しているデータによれば、昨
年1年間で温州の4%以上の企業が倒産し、今年は5.9%に上昇するかもしれない」現
地の役人が明らかにした。
 これに対し、李雄偉処長は、5.9%には達しないが、数字を具体的に公表するのは
利便性がないという。「実は、この方面のデータについては正確な統計はとりにく
い。多くの温州人はこのような会社を経営し続けることはせず、別の会社をつくり、
もともとの会社の登録を抹消しに来ないからだ」

▽1着の洋服の利益が5元にも満たない
 浙江省南部最大の服装生産基地、「中国休閑服装名城」と呼ばれる温州市の楽清
市。ここには服装生産企業が400社以上あり、服装加工業は一貫してこの地の支柱
産業である。しかし、今年になって、生産停止、生産半減という現象は伝染病のよ
うに楽清市の服装産業全体に蔓延している。
 金利達制衣公司の担当者によると、盤石鎮だけでも、少なくとも半分以上の輸出
主体の服装加工業は生産停止あるいは生産半減状態にあるという。
 盤石鎮に行ってみると、かつては工場が集積し、機械音が高らかに響いた壮観な
情景は既になく、もともと密集していた服装生産基地は、1社また1社と工場を閉
鎖・生産停止し、ばらばらになってしまっていた。

 「今年は商売がどこもよくない」取材をしたどの企業も同様の感触を持っている。
実は、昨年の段階で多くの温州の社長は2008年はそれほどよくないと予想していた
が、ただ、こんなにもひどくなるとは思っても見なかったというだけである。
 「1着で生産価格が105元のスーツで、現在では5元さえ利益が出ない」楊文さん
はこのように言う。今年に入ってから、洋服生地価格は10%上昇、労働者の給料は
20%―30%上昇、石炭は1トン当たり8、900元から1600元へと高騰が続き、今年のOEM
の利潤はわずか2%になってしまった。

 さらにひどいことに、米ドル、ユーロが人民元に対して下落しているため、輸出
主体の服装工業の注文量は激減している。
 さらに別の状況として、ようやく完成しても、外商が為替レート変動のため悪質
なキャンセルが行われ、楊文の工場のように、数千着のスーツが売れ残り倉庫にあ
ることで、数十万元の流動資金が占用され、資金の流れがショートするという結果
となっている。
 お金を稼げなければ、生産停止に追い込まれるのである。いつ注文が入り、生産
が回復するのか、多くの服装加工企業には選択の余地はない。

 中国国内販売を主体にする服装工場は、現在は生産停止にはなっていないとはい
え、基本的には苦しい状況にある。彼らは為替レートの変動の影響は受けてはいな
いが、同様にコスト上昇圧力に直面し、利益は薄くなっている。中国国内販売の注
文量はとても小さく、ただ生計を維持するだけである。

▽電器業界、危機に苦しむ
 電器業界も同様によくない状況である。「中国電器の都」である柳市鎮でも、状
況は楽観視できなくなっている。「人民元高で、取引先は現在取引しようとしな
い」徳克瑪液圧製造有限公司の対外貿易部の劉莉莉経理によると、以前は2、3日お
きには取引先の注文メールを受け取っていたが、現在は1週間待っても1つも来ない
という。
 この会社は海外市場を開拓して4、5年がたつ。過去2年間の業績は成長を続けて
いたが、今年成長がとまり、輸出業績は前年同期並みである。しかし、幸いなこと
に、この会社の外国との貿易量はそんなに大きくなく、大部分が国内販売に頼って
いたため、衝撃はそれほど大きいものではない。

 「社長は、売りたい物を売ってもうからないのであれば、市場が安定してからに
しようと言います」劉莉莉経理によると、会社もまさに応急策を考えているという。
1) 掛け売りをやめ、仕入れ先には現金取引を厳しく求める。
2) 第2に、品質、価格を変えない、ローエンド市場を捨て、ハイエンド路線を堅持する。
3) 新製品の開発に努め、ハイテク技術の割合を高め、競争力を向上する。

 しかし、問題は「言うは易く行うはがたし」ということである。まず、代金支払
い後に商品を届ける取引では、成約率が下がるかもしれず、取引先を失うことにな
る。次に、新製品を1つ開発するのに少なくとも1000元を投入する必要があるが、
これはまた資金を占用する等の問題が発生することになる。

〈選択:帰郷〉
▽多くの中小企業で従業員2割減
 従業員が募集困難な現象は今年特にはっきりあらわれてきた。「労働者の流動が
大き過ぎる。行ったり来たり、来てはまた行ったり、会社では毎日募集している」
劉莉莉経理はこのように言う。大まかな統計では、今年温州の大部分の中小企業の
人員削減、辞職の割合は、企業の総労働者数の約20%を占めている。

▽企業:求人難
 楽清市の工業園区を歩いていると、至るところに従業員募集の張り紙がある。
「経験者優遇」とあっても、従業員を雇いにくくなっている。
 「ここ2年は毎月1200元と出していたが、今は1500元でも雇えない」劉莉莉経理
はこのように教えてくれた。

 記者が注目したいところは、多くの会社が出している賃金は市場の平均を上回っ
ていて魅力的なことである。しかし、豊富な従業員採用経験を持つ陳さんは記者に
対し、このような情報の多くは虚偽で、本当のことは会社で面談したときに提示さ
れるものであり、もともとこんなに多くはないと話す。
 その上、賃金の上昇は物価上昇に遠く及ばない。昨年は一般労働者を8、900元で
雇えたのに、ことしは1200元に上がったのにだれも雇えない。「このお金では御飯
を食べるのでぎりぎりだ」

 大部分の企業に言わせれば、従業員募集の困難が引き起こす問題はますます深刻
なものになっている。「企業は熟練工を養成しにくくなり、すぐにやめてしまう。
我々がすぐ同じポストで働ける熟練工を雇うことは難しく、これは生産経営に大き
な影響を与えている」金利達製衣有限公司の担当者はなすすべもないという。

▽農民工:食べるのにぎりぎりの賃金
 ここ2日間、楊文さんの会社の入り口に張り紙が掲示された。全従業員に21日に
各グループ長のところに精算に行くようにと知らせた。従業員によれば、これは賃
金の支払いということである。

 ある職業紹介所の前で、重慶出身の陳さんが募集広告を見ていた。1週間前、彼
が働いていたある服装加工工場は注文を得られずに生産停止となった。温州で何年
も住み着いている彼は家に帰るつもりはなく、再び仕事を探そうと思っている。
 パートタイム労働の給料は比較的高くて1800元―3000元である。しかし、今年は
企業利益が減少したため給料が大幅に下がり、多くの労働者は離れていっている。

 徳克瑪のパートタイムで働く王さんによると、昨年のパートタイム賃金は1件当
たり3.35元で、1カ月に2200元稼ぐことができたが、今年は1件当たり0.31元に下が
り、同じ仕事量なのに1900元しか受け取れないのだという。これは王さんの一家の
日常的な支出に十分なだけである。
 「工場には100人以上の労働者がいたが、最近2カ月で20人がいなくなった」王さ
んは春節後に仕事をやめ、故郷に帰って仕事を探すのだという。「我々の故郷でも
現在は1500、1600元の仕事を探せるし、生活費もここより安い」

〈関連 上半期 浙江1200社以上が閉鎖・停止〉
 記者が浙江省経済貿易委員会から得た統計データによると、今年上半期、浙江の
一定規模以上の企業のうち損失を出した企業は1.07万社、また、一定規模以上の企
業の工業生産額及び利益総額は前年同期比それぞれ5.5%減、17.8%減となった。
 浙江省工商局から得た統計データによると、今年上半期、浙江省全体で1200社を
超える企業が閉鎖・廃業に追い込まれた。

 10月20日午後、浙江省委員会常務委員会は第3四半期経済展望分析会を開催した。
会議では、今年は国際情勢に重大な変化が発生した1年であるとした上で、国際経
済環境における不確定及び不安定要素は明らかに増加し、国内経済運営にも幾つか
の新しい状況、問題が出現しているとの考えが出された。また、浙江の中小企業が
直面している主要な困難は資金が日増しに逼迫し、生産コストが上昇し、輸出展望
が深刻であるとした。
 第1―3四半期において、浙江民営企業の輸出入額は758.7億兆ドルで、32.7%増加
したが、それは前年同期の増加速度を下回った。

 これと同時に、政府の企業向け資金注入も既に始まっている。浙江省は今年、
6500万元を中小企業貸し付け信用保証リスク補償として支出する。浙江省が初めて
小口ローン会社の営業免許を与えた海寧宏達は、開業後わずか10日間で既に4300万
元の貸し付けを行っている。
〔毎日経済新聞2008年10月22日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行10月27日17:35)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.2611   683.6    88.18   861.2
関連ページ:http://www.boc.cn/
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《編集者コラム――あと1カ月》
 だれもが御存じじゃないことだろうと思うのですが、このメールマガジン《中国
最新情報》は1998年11月30日に「まぐまぐ」より創刊され、来月30日で創刊10周年
を迎えます。
 私は2002年からボランティア参加をしているので、そのうちの6年間ぐらい貢献
できました。メールマガジンをつくるときは、いつも睡眠を削っていっぱいいっぱ
いになってやっていますが、これから1カ月間は少しは楽しく紙面づくりをしたい
です。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:リン 呂君 澤田裕子 林学成 周英
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