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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.739 2020年7月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:プラスチック汚染問題の中国の対応】
●「プラスチック汚染」対策として中国「レジ袋規制」に注力
●万科創始者の王石氏 インタビュー その1

┏【李年古の日中異文化交流術】
●中国人の生命観(その2)「不折騰」の奥深い意味

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……【特集:プラスチック汚染問題の中国の対応】…………………………………
●「プラスチック汚染」対策として中国「レジ袋規制」に注力
 プラスチックは重要な基礎材料で、社会生産と人々の生活において幅広く利用さ
れている。プラスチックの不適正な生産、使用、処分はエネルギー資源の無駄遣い
を招き、生態環境を汚染し、人々の健康と安全に影響を与えている。
 国連のある報告によれば、地球全体のプラスチックのうち、再利用されているの
はわずか10分の1にも達しておらず、8割近くが埋め立てられるか捨てられていると
いう。全世界で年間800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流れ込み、海洋生
物や漁業に深刻な影響を与えているという統計データがある。

 中国はプラスチックごみが環境に与える影響に対して以前から強く問題視してき
ており、「プラスチック汚染」対策として2008年6月には「レジ袋規制」を施行した。
 国家発展改革委員会のデータによれば、中国のプラスチック製レジ袋の使用平均
量の毎年の増加速度は、2008年以前に一度20%超えをして以降は現在の3%以下にま
で下降し、主要な小売シーンにおけるレジ袋使用量は年平均で20万トン減少したと
される。

 海外メディアは、中国が現在、海洋マイクロプラスチックの主要輸出国であると
伝えているが、生態環境部海洋生態環境局の霍伝林副局長は以前、「中国は最大の
プラスチック生産国であるが、決してプラスチック汚染大国を代表しているわけで
はない。これは多くの研究でも証明されている」と話していた。

 中国科学院都市環境研究所が先日発表した「プラスチックの十大真実とプラスチ
ックリサイクル業のグリーン成長に関する提言」の中では、中国の年間のプラスチ
ック製品生産高は7500万トンを超え、その回収率は23―29%で、多くの先進国を上
回っていることが言及されている。

 ネット通販やデリバリー等の新業態がもたらすプラスチック製品の消費量は引き
続き上昇しているが、それに対し、国家発展改革委員会と生態環境部連合は今年1
月「プラスチック汚染に関するさらなるガバナンス強化への意見」を共同で発出した。
 「この意見の中では「プラスチック禁止」や「プラスチック制限」の期限が明確
化され、ネット通販やデリバリーなども例外ではない。一部プラスチック製品の使
用禁止及び使用制限とともに、代替製品及び代替モデルが推進され、適正なプラス
チック廃棄の回収とリユースを行い、人々の生活を便利にすることが提言された」
と国家発展改革委員会の責任者は話す。

 霍伝林副局長も「中国は海洋ごみ汚染を防ぐため、各地方政府が管轄港湾への責
任を負う「湾長制」を試験的に行い、生活ごみがそのまま海に流入することを禁止
している。同時に、海洋ごみの清掃力を強化し、沿海都市海洋ごみ汚染の総合予防
モデルを展開している。例えば、「渤海総合管理陣地攻撃戦行動計画」に基づき、
渤海に入る河川と沿岸海域ごみの総合管理等を展開している。これらは全て、プラ
スチックごみの海洋流入を大いに防いでいる」と明かした。

 「中国は積極的にプラスチックごみ処理と資源化利用のための国際協力を行って
いる」。
 国務院発展研究センター社会発展研究部の周宏春研究員は「プラスチック汚染」
問題の解決が、地球全体を改善するだけでなく、特に海洋環境も改善し、将来、中
国の経済発展方法の転換や国際影響力向上に積極的な作用をもたらすと語った。
 それによると、プラスチック汚染問題を根本から解決するには、総合管理し、廃
棄するプラスチック製品の減量化、資源化、無害化を実現することだという。

 国家発展改革委員会責任者によると、この後、関係部門と合同で、プラスチック
製品禁止・制限リストをタイミングを見て更新し、禁止・制限範囲の執行基準の細
分化を行う予定だという。各地域はこの「意見」をもとに、更に実用化・細分化し
た内容で禁止・制限の具体的な施策を実施しなくてはならない。
 「中国は発展途上の大国だ。世界が共同で対応するプラスチック汚染問題につい
て、私たちが積極的に大国の責任を発揮していく必要がある。行動変化を提唱し、
理念を実践に変え、中国の知恵と構想で地球全体のプラスチック汚染対策に貢献し
よう」とこの責任者は語った。〔中国産業経済情報網2020年5月11日〕

●万科創始者の王石氏 インタビュー その1
 4月21日、王石氏は、証券時報社長兼総編集長でニューフォーチュンのプロデュ
ーサーでもある何偉氏と3時間にわたって対談した。王石氏の財富観、公益観、ス
ポーツ、新しい創業計画、人生について詳しく紹介する。
 本文は2万字だが、ここではその内容の一部を抜粋する。

 王石氏は1951年生まれ。集団主義の時代に育ち、30歳までの間は国家の運命に従
い、文革を経験し、兵になり、労働者を経て、工農兵大学生となり、外国との貿易
を経験した。
 1983年、32歳のとき、勇気を持って、勉強のつもりで深センで創業し、人生の次
なる30年間で世界最大の不動産会社をつくり、みずからの価値を証明した。「建築
で生命を賛美する」というスローガンは、激しい都市化の中での住宅企業を有名に
させた。
 2017年6月、万科の董事会主席を辞任した後は、公益に身を投じ、ビジネスリー
ダーから社会活動家に転身した。再びゼロからのスタートでも、企業家としての勝
負、自己証明と真面目さで新しい次元を開拓し、「私はできる」という自己実現か
ら、「私たちはできる」という公衆の価値向上を目指している。

 コロナ流行中に、王石氏はまたもや話題の人物となった。王石氏は、深センで登
山エクササイズ運動を始め、市民にコロナの闇から抜け出ようと呼びかけるだけで
なく、王石氏が創立したマンモス基金会は40カ国以上に寄附を展開、さらに清華大
学万科公共衛生・健康学院の共同建設にと、万科全従業員を率先して清華教育基金
会に時価53億元の万科株式を寄贈した。これは国内大学では史上最大の寄付金額で
ある。

〈公益事業について〉
 退職後、大量の時間を公益に費やして率直に言えることは、自分にとってお金は
大事で、お金があってもコントロールできるのかわからない、金を稼げば自分が有
能だと証明できるということである。企業家が歴史に名を残すかどうかは、業界何
番目であるかではなく、社会の中のいろいろな業界を横断する際の能力である。
 一方、公益は別の次元の競争であり、お金を価値があり信用力があるものに使う
ことは、お金を稼ぐよりも難しい。困難に挑戦するのは王石氏の企業家としての性
分である。

 本当に重要なのは、他の人が私たちをどう思うかではなく、私たちがどうするか
である。例えば、今の企業家の中には香港の企業家を見下し始めている人もいるが、
これはよくなく、対等で見るべきである。
 公益を例にとると、香港の企業家は公益で非常に成功している。香港恒隆地産は、
規模こそ、李嘉誠、李兆基傘下の不動産会社ほど大きくないが、彼らは十数年前か
ら4000万米ドルを故宮に寄付し、建物の修復を専門にし、さりげなく国際的に一流
の古い建築、古い文物の修復技術を取り込んでいる。恒隆地産の陳啓宗董事長の弟
はハーバード大学公衆衛生学院博士卒業で、彼らは家族名でハーバード公衆衛生学
院に3.5億米ドルを寄付している。

 邵逸夫氏については言う必要もない。私は中国で登山、探検では、ラサ、シガツ
ェから大慶まで、もっと遠くに多く行ったが、邵逸夫氏が寄贈した校舎、実験棟を
見た。
 李嘉誠氏は故郷のために力を尽くし、高等教育の導入に全力を注ぎ、汕頭大学を
創立し、汕頭大学とイスラエルの有名大学の一つである海法理工学院を通じて広東
イスラエル工科学院を共同経営している。同校はイスラエル大学の唯一海外共同設
立している学院となっている。

 このような例を挙げて、香港は私たちが学ぶ価値があるところが非常に多いと言
いたい。中国は発展が速く、外国が嫉妬するのは当然で、これは正常なことだが、
肝心なのは、私たちがもっと真心で、もっと謙虚に、他人の長所をもっと見ること
ができるかどうかである。
(次号に続く)
〔ニューフォーチュン2020年6月4日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●中国人の生命観(その2)「不折騰」の奥深い意味
 最近、中国のネット上で、アフターコロナの世界に期待を込めて「不折騰」とい
う言葉が徐々に広がってきた。僕自身もその言葉に共感を持っているので、それを
日本語に訳しようとしたものの、適切な表現を見つけずに悩んでいる。

 中国人の生きている歴史や社会の中でみずから体験しないと、その複雑な意味合
いは到底理解し切れないと思われる。
 「不折騰」という言葉には多義性があり、文脈、使用者、シーンによってさまざ
まな意味と解釈を持つことができる。「avoid power abused」と訳されているし、
「No making movement」「振り回さない」の訳し方もある。

 中国人は無数の大きさの災難を繰り返して経験してきた。洪水、地震、SARS、戦
争、植民地、内戦等である。中国近代史はほとんど苦難史とも言える。だから、庶
民は常に人生に吉凶禍福が不意にやってくるものだと思い、高い危機意識を持ちな
がら国家や家族の存続を憂える、まさに「憂民」とも言える存在である。

 だから、日本を代表する思想家である柳宗悦の考え方に多くの中国人は共感を得
られるはずだと思う。柳宗悦は、民衆の日常の生活世界で最も大切なことは、「無
事」という究極的な変わることのない理念だと力説した。
 「無事でいたい、無事でありたい」は、私たちの生活の最上の理念である。無事
な人生、無事な生活、無事な家庭、無事な社会、無事な国、無事な世界、無事な自
然等々、「無事」は社会や人間の全ての真理が帰着すべきところという信念を持っ
ているのである。

 実は、「不折騰」という言葉は、柳宗悦の描いている世界を実現させる方法であ
る、中国人はそう信じているのだ。
 その意味とは、国は疲れ切った庶民に寛容と平穏な生活を取り戻させ、世界が激
しい対立をやめ、異なる価値観の共存と和解を求めるということである。これが実
現できてこそ、民衆は初めて日々の「無事な生活」、細やかな幸せを味わえるでは
ないだろうか。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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