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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.773 2022年4月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:過去最大となることしの大学生の就職活動】
●今年の大学新卒1076万人の就職問題

┏【李年古の日中異文化交流術】
●日本から中国へ 隔離中、ではなく隔離への道のり 5

┏【国際】
●宇宙と儒教はどう共鳴するのか

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      編集長・李年古の新著 ■2022年3月10日発売■

―――  中国人コンサルタントが伝授する
―――         『カルチャー・ギャップ・マネジメント』  ―――

 入院した社員を社長がお見舞いに行って、社員に逃げられた!
 会議で上司が「では、あなたたちはどう考えますか?」と尋ねたら、大混乱にな
った!
 文化のバックグラウンドが異なれば、人間関係ですれ違ったり、ぶつかったり。
それはお互いの「当たり前」が違うから。
 小さな齟齬のウラには、大きなカルチャー・ストリームの相違が潜んでいる。お
互いが相手の〈見えない流れ〉を知り、どう付き合っていくか。
 日中ビジネスの第一線で活躍する名コンサルタントが、カルチャー・ギャップを
マネジメント(やりくり)する心得を伝授する。

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……【特集:過去最大となることしの大学生の就職活動】…………………………
●今年の大学新卒1076万人の就職問題
 今年の大学新卒は1076万人と、人数、増加率とも過去最高となる。
 同時に、新型コロナウイルス感染流行が雇用に与える影響は依然として続いてい
る。一部業界や企業における生産経営はコロナ前の水準に戻っておらず、就職難、
求人難が併存して存在している。

 企業は大学新卒の主要就職ルートであり、中小零細企業は大学新卒の就職先である。
 北京大学が先日発表した調査データによると、2021年、就職先が決まった新卒の
うち企業への就職は73.8%で、そのうち、民間企業が35.2%と最大で、国有企業が2
位で25.0%、外資企業が6.6%を占める。

 広東省は新卒の就職活動の注目地域である。2022年の大学新卒数は71万人と前年
より6.6万人増加した上に、他省からの新卒を加えると、広東で就職活動を行う大
学新卒は90万人を超える。

〈新卒の起業奨励〉
 起業の良好な成長環境が社会全体で整備されつつある中、大学新卒の多くも起業
を社会進出の目的地としている。

 2月11日、国家発展改革委員会など8部委は通知を発出し、起業のハードルを下げ
ることで、大学新卒により多くの才能を発揮する機会を提供する。
 大学新卒による起業を奨励するため、政府が投資開発するインキュベーター等の
起業サポートの30%程度を無償で大学新卒に提供する。条件つきだが、大学新卒の
インキュベーター等での起業に家賃補助を支給する地方もある。

 人力資源・社会保障部から得た情報によると、2022年の大学新卒の起業には更に
以下のような政策がある。
 まず、大学新卒(大学生村官、海外留学帰国学生を含む)は、最高20万元の特別
資金による利子補助を受けられる個人企業担保ローンを申請でき、零細企業を起業
する場合には最高300万元を申請できる。
 第2に、大学新卒が卒業年度内に個人経営に従事する場合、3年間は、毎年1万2000
元を上限に、増値税、都市維持建設税、教育費付加費、地方教育付加費、個人所得
税を控除する。
 第3に、初めて零細企業を起業し、または個人経営に従事して正常に1年以上経営
した場合、1回限りの起業補助金を支給する。

〈就職への考え方は時代によって変化する〉
 大学新卒が1000万人の大台を突破する中、若年層の就職に対する考え方の変化も
注目される。大学生の多くは、より給料の高い生産現場よりも、3000元―4000元の
行政、事務系の仕事を希望している。

 「彼らが職場に入る前に、平等なキャリア観念の形成できるようにできるだけ早
く支援するべきだ」智聯招聘の李強執行副総裁は、大学新卒は自分の予想を調整し、
末端の第一線の仕事をみずからのブルーオーシャンへと変える努力をする必要があ
ると述べる。
 また、企業が新卒を選考、採用する際も、新しい雇用の考え方への適応を模索し
なければならない。李強氏は、企業には、ルール以外にも感情と価値観があるべき
で、両者の感情と文化が共鳴させることで、若者に企業の発展に貢献しようと思わ
せるべきであると強調する。
〔上観2022年2月13日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●日本から中国へ 隔離中、ではなく隔離への道のり 5
(前号より続く)
 ホテル宿泊開始後、突然、自分がいる場所が世界中で最も安全な場所であると感
じた。誰も近づく勇気はないし、外を見ても、いつもじっとりと湿っていて、散布
された消毒のにおいが決して消えない。
 ドア口に置かれたごみ箱と部屋内部に置かれたごみ袋にはいずれも「医療廃棄物
袋」と記載され、誰もあえて入ってこようとはしない。

 訪問者は食事配膳であろうと、体温測定時のPCR検査係員同様、宇宙飛行士の様
相で、私が少しでもドアに近づけば、途端に後ずさりする。
 興味深かったのが、昨年と異なり、係員の作業風景の撮影を頭ごなしに注意され
たことだ。レンズを少しでも見せればウイルスが発生すると考えているのじゃない
かと思うほどの恐れぐあいだった。
 だから、頭部を避けて写真を撮った。

 ホテルに宿泊して2日経過した。毎日PCR検査で起こされるのも3日続いた。私の
やわらかな鼻孔は、あっという間につつかれたボイラーの煙突と化した。

 唯一、私の前に全身をさらけ出したのは配膳ロボットだ。しかし、ロボットです
ら、近づくときにはマスクをつけるよう絶えず警告をしてきた。まるで人間同様に
コロナに感染してしまうかのようだ。
 彼だけが私との密な接触を嫌がらなかったから、去っていく後姿はある種名残惜
しく、私は深い情愛を感じた。

 私は毎日走ることにした。絶えず角を曲がる様子はまるで八方ふさがりの場所で
行き当たりばったりに動いているかのようだった。
 そして、私は窓の外を見始めた。前回の隔離では1枚の窓が私の孤独を癒した。
今回は何を見つけられたかというと、道路を隔てた先にある、正面に2棟のビルだ。
1棟は空ビル、もう1棟も空ビルだった。

 私は突然、在りし日の魯迅の散文詩「秋夜」の冒頭部分、「我が家の門前には2
本の木がある。一本はナツメでもう1本もナツメである」みたいに今の状況はなっ
ているなと思ってしまった。
(次号に続く:写真をツイッターに投稿していますので、ぜひごらんください)

「中国から日本へ 誰がわかるのだろう。明日私は帰れますか?」1―5
 No.754(2021年4月5週号)〜No.750(2021年2月4週号)掲載

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)

……【国際】………………………………………………………………………………
●宇宙と儒教はどう共鳴するのか
 人類は、進化とは何か、それが何を意味するのかについて理解しようと努力して
きた。進化は、数十年にわたる現代科学の研究において最も驚くべき発見の一つで
あるが、チャールズ・ダーウィンが著書「種の起源」の中で初めて生物進化論を唱
えてからまだ約160年しかたっていない、新しい概念である。同様に、20世紀の科
学者たちが発見した「宇宙進化論」も、一般的には少しずつしか理解が進んでいない。

 宇宙の中に起源を見つける前に、私たちは進化を受け入れなければならず、進化
を創造力で織りなされた継続的なプロセスとみなし、自分自身を宇宙、地球及び人
類というダイナミックな全体の一部とみなされなければならなかった。その中で、
儒教思想は、人類そのものをより広大な宇宙と地球という意味の中に位置づけるか
けがえのない架け橋である。

 1978年、文化史学者で生態学者のトマス・ベリーは著書「新たな物語」の中で、
西洋では、環境保護主義者を除けば、生命共同体に対する責任についてほとんど言
及されていないことを指摘した。自然の潜在的価値は疎外され、自然の道徳的価値
はほとんど無視されている。自然の美的価値や娯楽的価値は認められるが、自然そ
のものの深層的価値は反映されていない。これに対して、儒教は、自然の持つ道徳
的価値こそが世界観の基盤であると捉えている。

 存在の継続性を尊重する宇宙論及び倫理学を受け入れ、より完全な倫理学的意味
を理解するためには、どのように前進すればいいのだろうか。科学と宗教の融合は、
このための新たな機会をもたらしたと思う。

 まず、全体を包含し、生態系の中の複雑な相互関係を肯定する体系的な科学を重
視すべきである。そこでは、自然の活力及びその他の種の認知に関する研究が次々
に行われている。同様に、生物界において、樹木と森に関する理解も急速に進んで
いる。

 その次に、科学的な理解は、先住民の生活方式や儒教思想というようなほかの伝
統的な宇宙観と生態学的な世界観によって補完することもできる。
 儒教思想はその歴史を通して、成長し続ける宇宙観及び生態学的世界観を高く評
価してきた。それは、人間と自然のリズムの調和を促す「易経」、天地人の関係に
関する漢儒教の解説、宇宙や地球の起源と流れを太極図で表した道教など古来より
あるものである。進化論的宇宙論の議論では、科学と精神的なヒューマニズムの視
点を織り交ぜるために、この伝統的で豊かな宇宙論的資源に焦点を当てる必要がある。

 儒教の宇宙観は、精神的なヒューマニズムの表現(すなわち、信託社会、自己修
養モデル、及び礼儀と音楽の実践)のために全体的な背景を提供する。これらの形
態の精神的ヒューマニズムは相互に関連しており、それらは、人間と拡大し続ける
相互に関連する生存環境の間に共鳴を呼び起こす。

 現代の新儒教学派を代表する杜維明は、儒教の世界観の宇宙論的方向性は、宇宙、
全ての生命体の間に「存在の継続性」を含め、自然及び人間界が不可分であると考
えていた。天、地、人は有機的、総体的、動態的、連続的な世界観の一部である。
人類と宇宙のこのような切り離せないつながりを「天人学」という言葉で表現した。
 人間は、コミュニティーの複雑な倫理システムを通じて相互につながり、より大
きな宇宙の秩序と結びついている。互恵的な「忠恕の道」は儒教倫理のキーポイン
トであり、儒教社会の共同体基盤を発展させる方法でもある。このようにして、人
々は緊密に結びついた「信託社会」となることができる。

 この中で、儒教のヒューマニズム的精神の目標は、完璧な人格を持った人間にな
るための道徳的改造である。また、まさに杜維明が考察したとおり、この精神的な
自己変革のプロセスは一種の公の行為である。個人の救済を目的とした精神的な道
ではなく、常に修正し、個人の美徳を育成するプロセスである。この修行の究極の
目的は、自己の宇宙的存在を獲得することだ。

 自己の宇宙的存在を実感するというのは、人間が互いに思いやり、社会のニーズ
に応え、礼儀や音楽を通じて自然界と調和していくことを意味する。儒教文化の中
には、孔子廟での「礼」のほか、公式な国の「礼」がある。しかし、儒教の伝統で
は、日常のコミュニケーションにおける「礼」が最も重んじられ、その「礼」を通
じて人間関係を改善し向上させることを目的としている。初期の儒教思想家である
荀子は、「礼」は適切な状況下で適切な方法で人間の感情を表現するためのツール
であると考えていた。さらに「礼」は人間同士をつなぐだけでなく、政治秩序、自
然の季節の循環や宇宙そのものなど、人間と現実のほかの重要な次元とつながって
いる。

 個人レベルでは、儒教の精神的ヒューマニズムにおける修養の全プロセスは、真
剣な学び、批判的な自己反省、持続的な努力及び自己変革の意思を通じて「至誠」
(「中庸」)を達成することを目的としている。杜維明はこれを「体知」(体認)
と呼んでいる。無批判に他人の考え方を吸収したり、他人に感銘を与えようとした
りするのではなく、自分自身のために学ぶことが必要不可欠である。したがって、
人間は常に変化することによってのみ、天地の創造力と生成力を調和させることに
よってのみ、自分の本質を悟ることができるのだ。このように宇宙の変化と同調す
るプロセスが、儒教の精神的ヒューマニズムの源と考えられ、さまざまな形で自己
修養に表現される。

 中国宋代の大儒である朱子やそれに続く新儒者は、変化は宇宙と人間の変容の源
であり、全ての道徳や美徳は宇宙論的要素を持つと考えた。例えば、人間性の核と
なる美徳(誠)は、個人と宇宙の増殖と成長の源であるとみなされた。人間として
最善を尽くすことで、自分自身や社会、宇宙の事物の変化に影響を及ぼすことがで
きる。「慈悲深い人は万物と一体である」という現実への深い共感により、自己の
宇宙的存在を実感するのである。

 朱子は、これら全てが人間の「気」と宇宙の「気」の相互作用のプロセスの一部
と考える。生命とエネルギーの流れは、「気」(物質的な力と生命エネルギー)で
あり、それは植物界、動物界、人間界を統合し、宇宙の全ての元素にも浸透してい
る。一たび人の心が動かされると、それは必ずや「気」となり、「気」を閉じたり、
行き来したりしながら、相互に刺激し合い作用し合う。

 到達し、閉じたり、行き来したりしながら、相互に刺激し合わなければならない。
このように、儒教の宇宙観では、人は孤立した個体ではなく、宇宙と地球の創造の
プロセスに深く根差した人間である。

 11世紀の新儒教の哲学者張載(1020―1077)は、著書の「西銘」で次のように考
えを明らかにしている。「乾(天)は父と言われ、坤(地)は母と言われる。私は
ちっぽけなものであり、全ての真っただ中にいる」隠喩にすぎない言葉であるが、
科学の真相があらわれている。生命は恒星のダイナミックな生成及び複雑に交錯す
る生態系のマトリックスから生まれる。したがって、中国の伝統的な文脈における
「家」とは、人間が生まれ帰属する宇宙や地球が有する創造的な力のことである。
親孝行が宇宙や地球全体に敷衍されることは単に隠喩のイメージを喚起するだけで
なく、生命の延長としての宇宙論的、生物的な条件でもある。

 私たちの使命は、社会だけでなく宇宙や生態系に全体感や帰属感を持つことであ
る。同様に、2000年に発表された世界的な倫理文書「地球憲章」の前文では「人類
は常に進化している広大な宇宙の一部である。地球は私たちのすみかであり、類ま
れな生命共同体で満ちあふれている」と指摘している。

 儒教思想は、進化論と生態学を両立する非常に豊かな宇宙観をはっきりと提示し
ている。儒教に述べられているように、宇宙と地球は私たちの故郷であり、絶大な
創造力を持った子宮である。地球の全ての生命体は数十億年という宇宙の進化によ
り生まれたことが、現在科学的に解明されている。地球の薄い大気層が生命を育む
ための条件となったのである。

 儒教思想の「存在の継続性」の理解はより強固な宇宙倫理や宇宙政治の基盤を築
くに違いない。このような倫理や政治の根底にあるのは、生命の要素を育む宇宙へ
の畏敬や尊敬であり、生命を維持し進化させる地球共同体としての責任と互恵であ
る。これら全ては互いに補強する共同創造者として広大な宇宙の変化に関与するた
めに不可欠である。この宇宙はまさに私たちの家なのだ。
〔中国新聞網2022年3月5日〕
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
●ツイッター https://twitter.com/bizchina_jckc
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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