CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.782 2022年10月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
登録/解除:http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ツイッター https://twitter.com/bizchina_jckc

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:60後大量退職時代の到来と高齢社会の加速】
●毎年2000万人の定年退職を一体誰が彼らを養うか
●毎年平均2000万人が定年退職 中国に与える影響と対応策

┏【李年古の日中異文化交流術】
●短編小説「私たちは実家で年を越した」 1

┏【国際】
●中国はなぜ麻薬取り締まりの国際協力に積極的にかかわるのか

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回

      編集長・李年古の新著 ■2022年3月10日発売■

―――  中国人コンサルタントが伝授する
―――         「カルチャー・ギャップ・マネジメント」  ―――

https://www.amazon.co.jp/dp/4834402878/ref=cm_sw_r_oth_api_glt_i_X0JNHG3H7E5KR83X4ZT8

回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:60後大量退職時代の到来と高齢社会の加速】…………………………
●毎年2000万人の定年退職を一体誰が彼らを養うか
 これは非常に興味深い現象ではある。中国の今年の卒業生は1076万となり、再度
最高記録を更新した半面で、中国での毎年の平均2000万人が定年退職となり、これ
も史上最大の定年退職ブームとなっている。

 中国は高齢者人口が世界で最も多い国であり、全世界の高齢者人口の5分の1を占
め、全国31の省、市、自治区中、28が既に高齢者社会に突入している。
 これと同時に、中国はまた労働力人口が世界で最も多い国である。2021年の労働
力の最も多い世界の10の国のうち、中国の労働力人口は7.92081億人に達し第1位で
ある。同様に人口大国に属するインドでさえ、労働力人口は4億人前後にすぎない。

 中国は世界で最も多い労働力人口を有すると同時に、世界で最も多い高齢化人口
を有する国でもあり、この現象を説明しようとする場合、恐らく計画生育から説明
を始める必要があるだろう。
 具体的には、80年代に計画生育が開始されて以降、その年代の人たちは1―2人の
子供しか産み育てることができなくなり、一人っ子家庭が次第に増加した。この年
代と80年代以前の4―5人と比べると天と地ほどの差があると言える。この状況は、
若者の年代と老人の年代の「人口の年代断絶」を引き起こした。

 現状からすると、中国の人口構造は比較的健全であり、8億近い労働力人口は、
経済増長と市場拡大のために非常によい作用を提供している。ただし、新生児人口
と毎年の高齢化定年退職人口を反映した場合、中国の人口の未来は憂慮すべきだろう。
 2021年の新生児はわずか1062万であり、人口出生率は7.5%で、出生率の最低記録
を更新した。現在の新生児出生人口から推測すると、近年内に中国の出生人口は1000
万を切る可能性がある。
 一方、そのころ生まれた60後は、2022年から次第に60歳代に入り始める。毎年2000
万人が60歳になると予測される。この毎年2000万人の老後を誰が養っていくかとい
うことは、各家庭の直面する問題でもあり、また社会全体の直面する難題でもある。
〔捜狐2022年8月20日〕

●毎年平均2000万人が定年退職 中国に与える影響と対応策
 1963年生まれの人口はここ70年での最高値であり、一方、新生児は2975万人に達
し、出生率は43.60‰であった。来年の定年退職者の人数がピークに達する。

 今回の「定年退職ブーム」のもたらす影響は多方面にわたる。
 まず、労働年齢人口の持続的で大幅な下落がある。
 復旦大学人口・発展政策研究センターの彭希哲主任は、この「定年退職ブーム」
において毎年2000万人を超える定年退職者が出る可能性がある一方、毎年新たに増
加する潜在的労働力はおおむね1700万―1800万である。つまり、中国は毎年300―500
万の労働年齢人口が減少すると指摘していた。

 この対応策について、現段階では、中国の多層型養老保険体系には主に三つの柱
がある。

 第一の柱は、都市職工基本養老保険者と都市・農村住民養老保険を含む基本養老
保険である。
 カバー率から言うと、全国の90%以上の人口には養老保険がある。カバー率は高
いものの、より高い生活水準、又はより高い保障水準とより高いサービスを必要と
する場合、その他二つの柱を通らなければならない。

 基本養老金以外の第二の柱は、企業年金又は従業員年金である。
 近年、企業年金と従業員年金は一定の発展があったが、カバーできる集団には依
然として限りがあり、かつ企業、事業者の経済的負担が比較的大きい。
 人力資源・社会保障部の開示したデータによると、2021年末時点、全国で年金を
設立した企業数は11.75万社であり、加入従業員は2875万人、総規模は約2.64万億
元である。
 一方、国家統計局のデータによると、同年年末の国内就業人口は約7.46億人であ
る。つまり、全国の就業人口の3.85%前後しか企業年金又は従業員年金に加入して
いないことである。

 第三の柱である養老保険は、個人貯蓄型養老保険と商業養老保険である。
 これまで、関連分野には全国的に統一された制度アレンジがなく、多層的な養老
保険体系という短所があった。今年4月、国は正式に「個人養老金の発展を推進す
ることに関する意見」を発表し、第三の柱である制度の「空白」がついに補完され
た。今月初めの情報によると、成都は既に四川省個人養老金の先行都市となった。

 中国人民銀行金融研究所の姚余棟前所長によると、第一の柱である養老金圧力を
緩和するには、第三の柱による代替率を少なくとも10%に達するようにさせる必要
があるとしている。〔毎日経済新聞2022年7月21日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●短編小説「私たちは実家で年を越した」 1
筆者前書き
 中国の文化に理解を深めるのなら、その細胞となる家庭に目を凝らすことも一つ
の手がかりになります。ある社会学者は、中国の国と家庭とは構造が同じだと指摘
しています。この考えが正しければ、家族を窓にした小説を通しても、一国の血縁
関係や倫理観が垣間見えるでしょう。
 この小説のテーマは、両親が亡くなった子供たちは家族の絆をどう再構築してい
くべきか、その苦悩と葛藤を明らかにしたものです。
 なお、小説では第一人称を使って書いていますが、内容はあくまでもフィクショ
ンであることを御了解の上で楽しんでいただければ幸いです。

 ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ――



 自業自得だが、よりによって家族のグループチャットで大旗を掲げてしまった。
今年の大みそかは私が食事を受け持つよ、レストランの年越し料理を予約せずに、
かわりに私がみずからつくる、と。
 このメッセージを送信するやいなや、グループチャットには静けさが訪れた。顔
文字のレスすら来ない。諦めずに戦術を変え、それぞれを攻略することにした。難
易度に沿って順に攻める。

 まずは弟だ。今回、千里はるばる実家に帰り、私たちは今両親が遺した家に一緒
にいる。私は宮廷料理に倣った仕様の食事を頼み、さらには彼を両親の遺影がかけ
られた壁を正面に見る位置に座らせた。日本の空港の免税店で買ってきた白鶴の日
本酒、淡麗純米の1瓶を彼は3時間かけて飲み、最後に3文字で私に報いた。「〓決
定(そっちで決めて)」

 私はすぐさま食卓から遠く北京に住む妹にウィーチャットのビデオ通話をした。
彼女は直ちに音声通話に切りかえ「兄さん、それこそ理想に上限なしだよ。それじ
ゃあ、兄さんの願いがかなうように祈ってる。だけど、私は放っておいて。まだ家
に帰れるかわからないし」と言った。
 彼女は、国際的に知名度のある難民援助組織で働いていて、誰と話すときも、い
つも世の中の乱れや人々の困窮に哀れみや憤りを覚えた口ぶりで話す。長年、難民
を家族とみなし、マイノリティーを庇護対象として捉えている。彼女にとっては当
然、私もその配慮の射程内だ。私には生活の面では愚かなので、兄の面倒を見るこ
とは彼女にとってマイノリティーを保護するような達成感がある。

 最後は姉である。彼女は両親の家から一駅の半分の距離に住んでいるが、地球の
反対側にいる原住民のごとく会うのは簡単でない。今回、私は既に半月実家にいる
が、一度しか顔を合わせていない。
 あれは朝の5時だった。私は息が詰まり目が覚めたのだ。目を開けると誰かが私
の鼻をつまんでいた。さらには金色の物体が鼻の穴の前で揺れていた。「揚げパン
持ってきたよ、食べる?」
 意識がもうろうとする中、感激でまた眠りにつくところだった。5分程ぐずぐず
して何とか起きると、揚げパンにはまだ熱がこもっていたが、姉はとうの昔にふら
りと出ていっていた。これこそが姉だ。常にずれた時間に、ずれたやり方で、泣い
ていいのか笑っていいのかわからないやり方で、ぬくもりをくれる。
 私の覚えている限り、姉と一つのベッドで寝ていたときから、彼女の思いやりの
与え方は全く変わっていない。頭が痛いと言えば、足の裏をくすぐり痛みをとめよ
うとしてくれるし、足がかゆいと言えば、ほうきを折って私の耳をほじくった。頭
痛のときに足を治療するのが、弟を万病から救う彼女の中での変わらない原則である。

 彼女を訪ねていき、この、この上ない理想を伝えたとき、彼女はちょうどフード
デリバリーでためていた食べ物の容器をキッチンのごみ箱に捨てるところだった。
ついでに中華鍋の底を手でこすり私の頬をつまみ言った。「鍋の底にすすがついて
ないか、鏡で見てみてよ。もう半年料理していないんだから。私をキッチンでおま
えにつき添わせようなんて思わないでね」

 彼女の家を出て自由市場を通り抜けたとき、ついでに脂の乗った大きな豚皮、さ
らには上等なモチ米、クルミ、干しナツメを買い、足取りはより確固とした力強い
ものとなった。そのとおり。3人の反応がかえって私の野心を強くした。
 もし、半年前、父を送った2日後にこの家が今にも倒れそうな古い家であったな
ら、きょうの私は屋根の横梁がきしむ音を聞いただろう。大きな音がとどろき、ま
さに崩壊しようとする音が聞こえただろう。
 今回帰国した私の唯一の目的は、みずから年越しの御飯をつくり、この古い家の
改造を宣言することにあった。4人兄弟姉妹の心をつなぎ、両親の残したブラック
ホールを埋めるために。

 私は最も早くこの家を離れた長男だ。20年以上前、日本へ留学に渡った際、私に
とって、家といえば、家族から絶えずに送ってくる手紙そのものであった。病の床
にいた母にかわり父が送ってきた手紙には、遠い遠い家での些細なことがくどくど
順を追って書かれていた。最後は必ず、一言添えられていて「息子よ、外にいられ
なくなったら帰ってきなさい。お前が寝るところはいつでもあるし、ここでは三食
食べられる」
 毎回その部分を読むと、異国で足場を固めようという気持ちがより強くなった。
父は知らないのだ。温かい家庭から出てきた子供はより遠くへ旅にしようとする意
欲が強い。振り向いて帰り道を見つけられなくなるなんて、永遠に心配する必要が
ないからだ。

 でも思いもよらなかった。今年家に戻ると、私の人生は帰路を失ってしまった。
高齢の父は公園で将棋を指していて、突然倒れた。赤の駒「馬」は父の手の中でほ
のかに温かく、まさに敵陣に攻め込むところで、父の心臓は突然鼓動をやめた(※)。
 私は父の埋葬に間に合わず、広州の隔離ホテルで、何年も前に父が私の帰宅を出
迎えるために、みずから厨房に入りつくってくれた最後の晩餐―――いろんな味が
混ざった火鍋のごった煮を思い出すことしかできなかった。
注)〓は、にんべんに「尓」
注)※中国将棋は、赤、黒二色に分けるものが一般的
(次号に続く)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)

……【国際】………………………………………………………………………………
●中国はなぜ麻薬取り締まりの国際協力に積極的にかかわるのか
 今日の世界では、グローバル化した麻薬問題が人類の生存と発展に大きな脅威と
なっている。麻薬に対して、一国が独善的になるのではなく、麻薬の取り締まりに
は各国の協力を強化する必要がある。中国は一貫して麻薬取り締まりの国際協力に
積極的に参加し推進しており、世界の麻薬取り締まりの分野で重要な役割を果たし
ている。

 今年の6月26日は第35回「国際麻薬乱用・不正取引防止デー」であった。中国の
麻薬取り締まりの最前線で主戦場である雲南省で、中新社の「東西問」は、雲南師
範大学法学・社会学学院の莫関耀教授に独占インタビューを行い、中国が麻薬取り
締まりの国際協力へ参加し推進する理念と方法について語ってもらった。

 インタビューの概要は以下のとおり:

中新社記者:中国の麻薬問題はどこから始まり、麻薬は中国の歴史にどのような影
響を与えましたか。

莫関耀:中国の麻薬問題は、唐代にアヘンが輸入されたことに端を発しています。
初唐にアラビア商人が、北方陸路の「シルクロード」を経て、中国皇帝に朝貢した
ことにより、次第に広まっていきました。
 明代は、麻薬問題の重要な転換点です。鄭和が「西洋下り」と言われる南方海上
の「シルクロード」を切り開きました。それにより、中国と西洋の貿易が拡大し、
アヘンの輸入が増加しました。

 明代の中期から末期にかけて、アヘンは薬用から快楽的な嗜好品にひそかに転用
され、民間へ拡散し始めました。宮中には贅沢で、欲の赴くままという雰囲気が漂
っており、アヘンはまさにこのような雰囲気の中で貴族たちが夢中になる「至高の
品」となり、皇帝も例外ではありませんでした。これも明が最終的に滅亡する一因
となりました。

 清代になると、アヘンは更に中国に輸入されるようになりました。1800年に英国
の東インド会社がアヘン政策を打ち出してから、アヘン戦争が勃発する前年の1839
年までの間、英国を中心とする植民地主義者が中国に63万8119箱のアヘンを輸入し、
中国のアヘン吸飲者が急増し、2500万人に達しました。アヘンは中華民族の幸福を
脅かす深刻な社会問題となりました。

 アヘン禍を解決するため、清朝政府は林則徐を広州に派遣し、アヘンを取り締ま
りました。林則徐により「虎門銷烟」と言われるアヘンの廃棄が行われました。こ
れが英国の利益を脅かしたとして、1840年に第一次アヘン戦争が勃発し、中国近現
代史の屈辱的幕開けとなったのです。
 不平等条約、領土割譲、賠償金により、中国は半植民地、半封建国家になりました。

中新社:近代、アヘンは中国の人々にかつてない屈辱をもたらしましたが、これは
中国人の麻薬に対する態度にどのような影響を及ぼしたでしょうか。

莫関耀:歴史的観点から、中国の人々は、麻薬問題が国家の安全、領土保全、民族
の盛衰、国民の幸福、経済発展、社会問題を脅かす重大な社会問題であると考えて
います。中国の人々は麻薬の害を切実に感じており、中国は麻薬犯罪を断固として
厳しく処罰する態度で法に基づいて麻薬を禁止してきました。
 1949年の中華人民共和国の成立後、中国政府は国民の先頭に立って勢力的に麻薬
撲滅運動を展開し、3年間で100年に及んだアヘン禍を根絶させました。
 しかし、中国の南西部国境である雲南省は、世界の主要な麻薬供給源である「ゴ
ールデントライアングル」に隣接しています。1970年代後半以降、国際的な麻薬ブ
ームが中国に侵入し、麻薬の密輸によって引き起こされた麻薬犯罪が息を吹き返し
ました。
 新たな麻薬問題に直面し、40年以上にわたって、中国政府は国、民族、国民及び
全人類に対して強い責任感を持って、厳しい麻薬禁止の立場を堅持し、全ての必要
な措置をとり、麻薬撲滅と人々の幸福のために最善を尽くしてきました。

中新社記者:中国の麻薬撲滅運動は「麻薬撲滅の人民戦争」の形式で展開されまし
たが、これの特徴は何ですか。

莫関耀:麻薬問題は、化学、医学、社会学、法学、社会統治などの分野が含まれて
います。麻薬統制システム及び統制能力の構築は複雑で困難な長期的社会プロジェ
クトです。科学的で効果的な構築活動は厳格な統制、システム統制、発生源統制、
総合統制及び法に基づいた統制の原則を重点的に把握しなければなりません。

 麻薬撲滅の社会統治は中国国家統治体系の重要な部分であり、麻薬取締法には
「麻薬撲滅は社会全体の共同責任である」と明記されています。
 「麻薬撲滅の人民戦争」は中国独自の麻薬取り締まりの方法になっており、国民
全体が幅広く参加するメカニズムと麻薬撲滅の社会統治理念を十分に発揮し、麻薬
撲滅の社会統治を国家統治システムに組み込み重要な部分となりました。

 中国は2005年に第1次「麻薬撲滅の人民戦争」を始めて、現在第5次に入っており、
大きな成果を上げています。中国の麻薬取り締まりの最前線で主戦場である雲南省
では、2005年以降、市民の通報に基づき、1万800件以上の麻薬事件を解決してきま
した。
 「麻薬撲滅の人民戦争」を展開することは、中国の制度的及び政治的優位性を十
分に発揮し、各方面の力を動員して麻薬問題の解決に成功した実践であり、麻薬撲
滅闘争で常に勝利を収める有効な方法であることが証明されています。

中新社記者:中国はどのようにして世界的な麻薬統制に積極的に参加して、麻薬取
り締まりの国際協力を全面的に推進しているのですか。

莫関耀:近年、経済のグローバル化、社会の情報化の急速な発展に伴い、世界的な
麻薬問題も拡大、蔓延し、麻薬にかかわる国や地域は更に拡大し、麻薬の種類、麻
薬の生産量、麻薬使用者はふえ続けており、麻薬は既に人類の生存と発展に影響を
与える重要な問題となっております。

 このような背景から、中国の麻薬撲滅闘争は楽観視できません。中国政府は、全
人類が直面する世界的な害悪であり、麻薬撲滅は国際社会の緊急かつ共通の責任で
あると考えています。世界的な麻薬撲滅闘争を推進し、根本から中国の麻薬問題を
解決するためには、国際的な麻薬取り締まりの協力を強化することが必要です。
 そのため、中国は一貫して麻薬取り締まりの国際協力に積極的に参加し、世界の
麻薬取り締まりの分野で重要な役割を果たしてきました。

 中国が展開している国際麻薬取り締まりに関する協力の主な形式は以下のとおり
です。
 一つ目は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の調整のもとで国際的な麻薬取り締ま
りに協力することです。
 二つ目は「上海協力機構」の麻薬取り締まりの協力メカニズム、「BRICS」の麻
薬取り締まり協力メカニズム、「瀾滄江―メコン川流域総合法執行安全協力センタ
ー」の麻薬取り締まり協力メカニズムです。
 三つ目は、中国と東南アジア諸国連盟(ASEAN)の麻薬取り締まり協力メカニズ
ムのような、中国と地域組織間の麻薬取り締まりへの協力です。
 四つ目は、中国とタイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジアの麻薬取り
締まり協力メカニズム、瀾滄江メコン川共同巡航メカニズムのような多国間の麻薬
取り締まりへの協力です。
 五つ目は、中国―ミャンマー、中国―ベトナム、中国―ラオス、中国―フィリピ
ンの2国間での麻薬取り締まり協力メカニズムです。

 また、国際刑事警察機構(インターポール)を通じた麻薬取り締まりへの協力、
国境地帯での麻薬取り締まりへの協力があります。

中新社記者:現在の国際的な麻薬取り締まりの状況はどうですか。中国はどのよう
に対応していますか。

莫関耀:現在、中国国内の麻薬関連の犯罪は抑制され、麻薬の状況は改善され、更
に強化が拡大しています。現在、麻薬使用者の減少、麻薬の大量生産の減少、麻薬
製品の流失の減少、流出型麻薬密売の減少など「4つの減少」というプラスの変化
があらわれています。

 しかし、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受けて、世界的に麻薬がはびこ
るという状況が更に拡大しています。
 国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告によると、新型コロナウイルスの流行は世
界的な経済、公衆衛生、人々の生活方式に重大な影響を与えるだけでなく、世界的
な麻薬生産供給、販売方法や消費需要などに多くの新しい変化をもたらしました。
 「ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)」「ゴールデンクレセント(黄
金の三日月地帯)」「シルバートライアングル(銀の三角地帯)」などの麻薬供給
地では、麻薬取り締まりの弱体化、景気衰退により多くの農民たちが麻薬栽培に転
向し、世界の麻薬生産量は高どまりしています。
 失業率の上昇により、多くの貧困・弱者層が麻薬使用者になり、麻薬による犯罪
を犯しています。全世界では、現在約2億7500万人が麻薬使用者です。

 このような状況を受けて、中国の麻薬取り締まり活動は新たなリスクと課題に直
面しています。
 これについて、麻薬防止教育の内容や形式を常に更新する必要があります。麻薬
防止教育は対象別、レベル別に実施する必要があり、麻薬取り締まりの知識をカバ
ーし、認知度を上げる余地があります。
 密輸、輸送、販売、麻薬製造犯罪に対して、麻薬取締法の高圧的な態勢を維持し、
動揺することなく、麻薬犯罪に厳しい打撃を与えることが必要です。
 地域社会での麻薬依存治療やリハビリの早急な強化、麻薬取り締まりの社会活動
組織と人材不足への補充、麻薬依存治療とリハビリや支援サポートを強化し、社会
復帰をなし遂げなければなりません。
 同時に、グローバル化、ネットワーク化している麻薬犯罪に対応するために、麻
薬取り締まりの国際協力を全方位的に展開し、国際的な麻薬取り締まりの場におい
て中国の知恵とパワーにより貢献する必要があります。
〔中国新聞網2022年6月25日〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
●ツイッター https://twitter.com/bizchina_jckc
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改頁:(1) 2 »