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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.658 2016年9月27日
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国新世代が担う新たな消費社会の創造】
●銀行カードの与信使用率が初めて減少
●インスタント麺が売れないのは人口危機を示す

┏【社会】
●最も子育てに適した都市ランキングの発表
●子育てに適した省 上海がトップ

┏【国内政策】
●中国30民族自治州 第12次五カ年計画期間のGDP年平均成長率は13.8%
●今後中国の労働生産性に上昇余地 上

┏【経済データ】
●外国為替(9月26日)

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……【特集:中国新世代が担う新たな消費社会の創造】……………………………
●銀行カードの与信使用率が初めて減少
 生活シーンでの決済のオンライン化のトレンドが加速している。
 中央銀行が9月8日に発表した2016第2四半期決済業務統計データによると、スマ
ホ決済業務の成長が著しい。第2四半期に金融機関が処理した電子決済業務は323.22
億件、570.95兆元だった。そのうち、スマホ決済業務は61.37億件、29.32兆元で前
期比それぞれ168.46%増、10.20%増だった。ネット決済業務は110.27億件、474.04
兆元で同6.05%増、2.11%増で、増加速度はスマホ決済よりもかなり見劣りする状態
となった。
 他方、第2四半期の銀行カード与信使用率は44.33%、前年同期比2.11%減で、数年
来で初めての減少となった。

 このことに対し、〓(*1)財信用の業務担当者の金忠〓(*2)氏は以下のように見て
いる。
 「生活シーンの決済のオンライン化は新世代ユーザーの成長環境、行動変化によ
って決まる。オンライン決済市場でクレジットカードはこれら若い人の唯一の選択
肢ではなくなった。これがオンライン決済の大幅成長という環境下でクレジットカ
ード与信枠の使用率が減少する原因である。しかし、従来型の消費金融に対しては、
この新しいユーザー層の変化はショックでもありチャンスでもある」

 新世代の決済習慣の変化というのは、中国のクレジットカードの30年の発展で訪
れた一つのターニングポイントである。
 中国のクレジットカード産業が十分整っておらず、均質化競争が深刻になってい
るといった問題があらわれる一方、銀行のクレジットカードのオフライン消費の手
数料収入が、消費金融の台頭で大幅に縮小している。

 金忠〓(*2)氏は、「我々も銀行業の努力を見ている。多くの銀行はアップルペイ
等と協力したり、モバイルネットワークによるモバイルバンキング業務の整備を加
速したり、多くのインターネット協力パートナーとの広範な協力を積極的に探って
いる。これらの変化から見えることは、銀行業は停滞し前進しないはずがなく、一
貫して新世代ユーザーの行動との接触を模索している。銀行業にとり、新ユーザー
層とはチャレンジである以上に、新たなチャンスである」

〈新世代の消費習慣の変化を軽視できない〉
 インターネットが盛んになった今日において、スプーン、箸に触れる前に既にパ
ソコン、マウス、スマホに触れる世代、彼らはインターネットネーティブであり、
多くは1990年以降生まれである。
 この世代が成長し消費金融の分野に入り込んでくるに従って、彼らのネット利用
が社会の消費方式をひっそりと変えてきている。オンライン決済の普及率が極めて
高い杭州を例にとると、多くの若い人は外出するときに財布を持つ習慣がなくなっ
ている。
 〓(*1)財のクレジットカード管理サービスのユーザーデータによると、オンライ
ンクレジットカード消費では、70後の消費金額が最も高く、90後のカード決済回数
が最も多い。
 興味深いことに、2016年第1四半期、90後のオンラインクレジットカードの1人当
たり消費金額は最も少なく、70後の3分の1、80後の半分だが、オンライン決済での
クレジットカード使用頻度は最も高く、1カ月当たり16回である。90後はクレジッ
トカード決済を少額、高頻度に使っている。

 金忠〓(*2)氏は、人々の貯蓄習慣が変わり、後払い消費の意識が強まるここ数年
は、ちょうどインターネット金融の急成長に当たり、ネット金融のシーンが豊かに
なり、ハードルが下がることで、一部の信用はネット金融に奪われ、予想されてい
たクレジットカードのユーザー増はネット金融に相殺されたと見ている。そして、
90後の経済力の増加に伴い、深く人気を得ているオンライン消費市場も無視できな
い成長を迎えている。

〈銀行はショックのもとで新たなチャンスを模索〉
 目下、中国のクレジットカードは1人当たり保有枚数減、普及率を上げられない
等の課題に直面している。ここ数年のスマホ決済、消費金融等インターネットをも
とにする新たな決済消費方式が急速に台頭し、予想していたクレジットカードのユ
ーザー増はインターネット金融に吸い込まれてしまっている。
 金忠〓(*2)氏は、第2四半期データ中、銀行カードの与信使用率の減少は人々の
カードに対する依存度が減少している部分があることを暗示しており、その上、ネ
ット通販、割賦、現金貸しといったオンライン消費金融が盛んとなり、クレジット
カード市場に食い込んでいると見ている。
 例えば「京東白条」「天猫分期」といったサービスが次々出てきて、個人消費者
はクレジットカードを使用しない状況下で「先に消費し後で支払う」という信用サ
ービスを享受できている。これはかなりの程度で伝統的なクレジットカードの機能
を代替している。

 市場においては、〓(*1)財クレジットカード管理サービス等、一般ユーザーのモ
バイルインターネット与信商品が出てきている。また、多くの消費金融商品のハー
ドルはクレジットカード申請のハードルよりはるかに低くなっており、多くの人々
や分野に恩恵を与えている。このほか、さまざまなシーンで特定の消費金融商品は
特定のユーザーに利率特典を付与できるなど、現在のクレジットカードとは比べら
れないものになっている。

 第三者研究機関が発表した「中国モバイルインターネット消費金融業界研究報
告」によると、2015年、中国インターネット消費金融市場取引規模は1000億元を突
破し、2013年60億元、2014年183.2億元と比べ、増加速度は200%を上回った。今後
数年においてこの数字は高速成長を維持すると予想され、2019年までには3.3兆元
のレベルに達すると見込まれる。

 「クレジットカード業務は電子ルートやインターネットの技術と緊密に結びつけ
ば、金融のカバーする範囲が広がるし、人々の金融サービスへのアクセスでももと
もと優位性がある」銀監会の曹宇副主席が昨年、文章でこのように言及しているよ
うに、クレジットカードはインターネットの助けを借りれば、さらに広範な人々に
スピーディーな金融サービスを提供できる。
注)〓(*1)は、てへんにあなかんむりの下に「乙」、〓(*2)は、「方」を横に2つ
並べた下に「土」
〔21世紀経済報道2016年9月12日〕

●インスタント麺が売れないのは人口危機を示す
 インスタント麺は1980年代生まれの中国人の記憶の一つである。たとえ多くの人
がこの種の揚げ物を不健康だと感じていても、やはり便利で低価格で味もよい食品
にあらがうことはできない。
 インスタント麺の問題に関連して、インスタント麺のボス、康師傅グループの20
16年上半期売上高が前年同期比13.94%下落し、純利益は前年同期比66.94%減少した
というニュースを見た。分析によれば、売上高下降の主要な原因はインスタント麺
の販売量減少である。

 これは1社に限らず、業界の問題である。2015年の中国のインスタント麺総生産
量は前期比8.54%減で、販売額は前年比6.75%減少した。2016年上半期の中国のイン
スタント麺販売額は前期比わずか1.9%の増加なのである。さらにこれは2015年の暴
落以後のデッド・キャット・バウンスにすぎないのである。
 事実、インスタント麺は確かに徐々に売れづらくなってきている。これには収入
の増加と消費のアップグレードの側面があるが、根本的な問題としては、青少年や
学生、肉体労働者といったインスタント麺の主力となる消費人口が現在緩やかに下
降しつつあることがある。

 長年の出生率データから、インスタント麺等のインスタント食品の主力消費群は
多くが1980年代(1970年代末期を含む)に生まれており、当時の出生率は2%前後で
あった。しかし、現在の主力消費群は多くが1990年、2000年代生まれで、この時期
の出生率は1.5%前後である。10億の人口基準値で大まかに計算してみると1年に500
万人、10年で5000万人の差が発生する。一業界でこれほどひどいのだから、経営者
はどうして5000万人もの市場の委縮にあらがえようか。

 人口危機はインスタント麺の販売量を委縮させただけでなく、全ての消費業界に
負の影響を与え得る。そして最後には生産業界にも伝染することとなる。インスタ
ント麺が売れず、その他の大衆消費財もそこまで改善せず、次に来るのは恐らく家
電や自動車などの大口消費、最後に不動産であろう。
 統計によれば、中国の今後10年間の出生率はさらに1.2%の水準に下降するとされ
ており、これは未来の青少年人口がさらに減少することを暗示する。中国は人口危
機が経済に及ぼす影響を重視し発展モデルの向上を図らねばならないだろう。
〔財富動力網2016年9月13日〕

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……【社会】………………………………………………………………………………
●最も子育てに適した都市ランキングの発表
 宝宝樹の母子・家庭研究院は最近、「全国子育て環境都市調査研究白書及び子育
てに適した都市ランキング」を発表した。
 子育てに適した都市ランキングのうち、山東省の威海市が総合ランキング第1位、
北京は第68位だった。省の総合ランキングのうち、上海市は第1位、甘粛省は最下
位だった。

 調査研究報告では省と都市の多角的角度から子育てに適した地区に対して分析と
ランキングを行っており、それによると、沿海部や経済が発展した省と三、四線都
市で満足度が高いことがわかった。相対的比較において、北京はスモッグの悩みを
抱える都市として総合ランキングの中間の第68位に位置し、天津、河北省も空気の
質の問題でランキングの後方に位置する。これに対し、宝宝樹のデータ分析チーム
の解説によると、家長の自然環境に対する要求はますます高まっており、大都市の
この方面での満足度はますます低くなっている。〔北京商報2016年7月13日〕

〈参考:最も子育てに適した都市ランキング〉
▽上位10省――上海、浙江、福建、江蘇、重慶、海南、四川、広西、新疆、湖南
▽下位10省――甘粛、河北、河南、山西、陝西、湖北、安徽、江西、寧夏、天津

●子育てに適した省 上海がトップ
 7月11日、第27回世界人口の日に、宝宝樹の母子・家庭研究院は、最新の「全国
子育て環境都市調査研究白書及び子育てに適した都市ランキング」を発表した。
 子育てに適した省の総合ランキング中、上海は第1位に位置し、甘粛は最下位だ
った。母子室、授乳休み、幼児教育、児童文化遊具は、子育てにおけるウエートを
明らかに上昇させている。

 この調査研究報告は4カ月余を費やし、15万を超える家庭構成員に対するサンプ
ル調査を行い、北京、上海、広州から第三、四線都市まで全省(香港・マカオを除
く)を網羅し、環境、医療、飲食、施設などについて多角的に分析し評価している。
報告では、長江デルタ地域の上海、浙江、江蘇がランキングの1位、2位、4位を占
めた。

 調査研究報告によると、母子公共施設においては、「おんぶママ」が集中する上
海、広州、北京などの一線都市は配点が比較的よく、そのうち上海の母子施設が最
も便利で整っている。そのほか、授乳休みの実行においては、一、二線都市は三、
四線都市よりよく、そのうち、上海、北京の授乳休みの実施状況は全国トップで、
満足度評価では平均6点以上だった。

 乳幼児の相対的な資源において、就学前教育でも同様に新世代の両親が考慮する
重要な要素となっている。総合において、幼稚園の設置数、教員の資格、一般費用、
園の安全性、素質教育の展開など多くの項目を考慮すると、上海が就学前教育にお
いて全国1位を占める。
 そのほか、都市の行政レベルが上がるにつれて、児童娯楽施設の設置状況がよく
なる。そのうち、上海は娯楽施設の安全性、娯楽施設の数、娯楽施設の種類におい
て評点が全て6分以上で、全国第1位を占めた。〔上海女性2016年7月12日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●中国30民族自治州 第12次五カ年計画期間のGDP年平均成長率は13.8%
 12―13日に開催された第2回全国民族自治州小康社会全面建設経験交流現場会の
席上で得た情報によると、第12次五カ年計画時期において、中国の30自治州のGDP
は2010年の8506億元から2015年の1.62兆元へと増加し、年平均成長率は13.8%と成
長率は全国の平均水準を上回った。

 湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州で開催された現場会の席上、国家民族事務
委員会の巴特尓主任の発言によると、ここ5年は中国の30民族自治州の産業構造の
最適化が続き、経済力が新しい段階に踏み出し、各自治州の産業構造が一段と最適
化したことにより、全体として第一次産業の占める割合が著しく減少し、第二次産
業の占める割合が安定的に上昇し、第三次産業の占める割合が明らかに高まったと
いう特徴が見られた。

 同時に、自治州のインフラ建設は過去5年で大きな突破を見た。中央財政の投入
が強化され、2014―2015年度のわずか1年で、30自治州に手当てされた中央予算は
600億元で、交通、水利、通信等多分野の重大工事や重点プロジェクトに充てられ
た。目下、5自治州で高速鉄道が開通し、19自治州には空港が開設し、4自治州では
率先して村に道路を開通させる「村村通」道路の目標を実現した。

 しかし、巴特尓主任によると、民族自治州の発展は目覚ましいが、30自治州の多
くは辺境に位置し、高地、寒冷地あるいは省境で、各地域の中心都市から離れ、地
理的に不利で、大部分は交通ネットワークが未整備である。30自治州自身による開
発能力は不足しており、これが小康社会の全面建設の重点であり、課題であり、弱
点である。

 2015年、中国全国の貧困人口5575万人のうち、8民族自治区の貧困人口は1813万
で32.5%を占めた。しかし、30自治州の貧困人口は661万で、全国の貧困人口全体の
11.9%を占めた。
 2015年深セン市の経済規模は1.75兆元で、全国30民族自治州の経済規模は深セン
市1市に及ばない。

 巴特尓主任によると、小康の全面的達成は、1民族だけではできないし、1地区だ
けでもできない、イノベーション、調和、エコ、オープン、共有による発展を堅持
すべきで、強力で確実で持続可能な施策を講じ、自治州と全国全省が同時に小康社
会の全面建設を確保することだとしている。〔新華網2016年9月13日〕

●今後中国の労働生産性に上昇余地 上
 労働生産性(*1)と経済成長とは強い相関関係がある。世界平均水準から見ると、
労働生産性の成長速度が加速すると経済成長率も加速する。労働生産性の成長速度
が落ちると、経済成長も鈍化する。労働生産性は一国の経済が今後の成長の動向を
決めるバロメーターとなっている。

一、中国の労働生産性は持続的、安定的に上昇
 1996―2015年の20年のデータ(表1)を見ると、中国の労働生産性の成長の変動
は、大まかに以下の幾つかの特徴がある。
 一つ目は、単位当たり労働産出(*2)が大幅に上昇したことである。1996年、中
国の単位当たり労働産出は1535米ドルだが、その後年々着実に上昇し、2015年には
7318米ドルまで上昇し、約4倍増となった。
 二つ目は、労働生産性の成長速度が速いことである。1996―2015年、中国の労働
生産性の年平均成長率は8.6%で、同時期の世界平均水準を大幅に上回った。特に、
リーマン・ショック以前の2005―2007年は前年比10.3%増、12%増、13.1%増と2桁成
長だった。
 三つ目は、持続的に成長し、変動が小さかったことである。1996―2015年、中国
の労働生産性は持続的に高速成長し、2007年に13.1%とピークに達した。リーマ
ン・ショックの影響を受け、ここ数年の成長速度は落ちているが、それでも2011―
2015年の労働生産性の平均成長は7.3%だった。

▽表1 中国の労働生産性水準と成長率
 労働生産性(米ドル/人) 労働生産性の成長率(%)
1996年 1535 8.9  2006年 3459 12.0
1997年 1652 7.6  2007年 3912 13.1
1998年 1772 7.3  2008年 4290 9.6
1999年 1885 6.4  2009年 4674 9.0
2000年 2018 7.0  2010年 5146 10.1
2001年 2172 7.6  2011年 5586 8.6
2002年 2347 8.1  2012年 5990 7.2
2003年 2561 9.1  2013年 6423 7.2
2004年 2801 9.4  2014年 6866 6.9
2005年 3088 10.3  2015年 7318 6.6
出典:ILO(2005年を基準、以下同様)

図1 中国の労働生産性及び成長率の変動(略)

二、主要先進諸国に比べ、中国の労働生産性の成長速度は速い
 世界の主要先進諸国と比較したところ、アメリカ、EU、日本等の単位当たりの労
働産出水準は中国を大幅に上回るが、成長速度は持続的に落ちている。中国は単位
当たりの労働産出水準は低いが、成長速度は速い。これは中国の経済活力があるこ
とを反映したもので、今後の成長潜在力は大きい。

(一)中国の労働生産性の成長速度は速い。
 世界、アメリカ、ユーロ圏、日本、インドの1996―2015年の労働生産性を比較し
たところ、ここ20年間で、中国の労働生産性の成長速度が最も速かった。(表2、
表3参照)

▽表2 世界及び先進諸国労働生産性成長率(%)
 世界 アメリカ ユーロ圏 日本 インド 中国
1996年 1.6 2.0 1.0 2.3 5.5 8.9  2006年 2.5 0.5 1.4 1.3 8.9 12.0
1997年 2.3 2.6 1.7 0.8 2.4 7.6  2007年 2.4 1.4 1.1 1.3 8.8 13.1
1998年 1.0 1.9 1.1 -1.7 3.9 7.3  2008年 0.3 -0.6 -0.4 -0.7 4.3 9.6
1999年 1.6 2.8 1.0 1.0 6.9 6.4  2009年 -2.3 1.4 -2.7 -4.3 8.2 9.0
2000年 2.8 2.9 1.5 2.8 2.1 7.0  2010年 2.9 2.7 2.6 4.5 9.1 10.1
2001年 0.0 0.9 0.9 0.3 1.2 7.6  2011年 1.5 0.7 1.5 0.6 6.5 8.6
2002年 0.7 2.3 0.2 1.7 1.6 8.1  2012年 1.0 0.4 -0.4 1.9 4.0 7.2
2003年 1.0 2.3 0.2 1.8 4.4 9.1  2013年 1.3 1.8 0.4 0.6 5.4 7.2
2004年 2.4 2.8 1.5 2.0 4.9 9.4  2014年 1.0 0.4 0.3 -0.8 5.7 6.9
2005年 1.6 1.5 0.6 0.9 6.9 10.3  2015年 1.1 0.9 0.6 0.9 5.6 6.6
出典:世界、アメリカ、日本、インド、中国データはILO、ユーロ圏データは欧州
中央銀行

表3 平均労働生産性成長率(%)
 世界 アメリカ ユーロ圏 日本 インド 中国
1996―2015年 1.3 1.6 0.7 0.9 5.3 8.6
1996―2007年 1.7 2.0 1.0 1.2 4.8 8.9
2008―2010年 0.3 1.2 -0.2 -0.2 7.2 9.6
2011―2015年 1.2 0.8 0.5 0.7 5.4 7.3

 1996―2015年、中国の労働生産性平均成長速度は8.6%で、世界平均水準より7.3
ポイント高く、アメリカの1.6%をはるかに上回り、成長速度が速いインドより3.3
ポイント高かった。
 インドの労働生産性の成長の特徴は中国と似ているが、成長水準は中国より低い。
1996―2015年、インドの労働生産性の成長率は平均5.3%で、世界平均より4ポイン
ト高かった。
 先進諸国においてアメリカの労働生産性の成長速度は大幅に減少している。アメ
リカの労働生産性は、リーマン・ショック以前の1996―は2007年は平均2%と相対的
に安定し、世界平均水準も他の先進国より高かったが、2011―2015年は0.8%で、リ
ーマン・ショック以前から半減した。
 日本の労働生産性の成長速度は低く、変動も大きい。1996―2015年、日本の労働
生産性の成長速度は0.9%で、世界平均水準より0.4ポイント下回り、比較的低い伸
びだった。日本経済の国際化が進んだため、日本の労働生産性の伸びの変動は世界
経済の変動と密接に関連している。1997年のアジア金融危機、2008年のリーマン・
ショック後はマイナス成長となった。
 ユーロ圏の労働生産性の伸びの変動は多くの要素の影響を受けている。世界経済
の変動の影響のほか、ユーロ圏加盟国の増加、経済成長のばらつき等である。

図2 世界及び一部経済体の労働生産性の成長率(%)(略)

(二)中国の労働生産性のレベルは急速に向上している。
 2015年、中国の単位当たりの労働産出は7318米ドルまで向上し、1996年比で約4
倍増となった。一方、インドの単位当たりの労働産出は3559米ドルまで向上し、約
2倍増となった。中国と世界平均水準及び先進諸国との差はどんどん縮小してきて
おり、1996年の中国の単位当たり労働産出は世界平均水準の10.6%だったが、2015
年には40%に達し、アメリカの労働生産性の2.1%から7.4%に相当するまで上昇した。

(三)中国の単位当たり労働産出は依然として低い。
 2015年中国の単位当たり労働産出は7318米ドルにすぎず、世界の平均水準の1万
8487米ドルより明らかに低かった。アメリカの9万8990ドルと比べるとその差は歴
然としている。

表4 世界及び一部経済体の単位当たり労働産出
(2005年を基準 米ドル/人)
 世界 アメリカ 日本 ユーロ圏 インド 中国
1996年 14453 73880 65648 54768 1340 1535
1997年 14792 75782 66174 56470 1372 1652
1998年 14946 77219 65019 57809 1425 1772
1999年 15180 79411 65700 59144 1524 1885
2000年 15606 81720 67568 60767 1555 2018
2001年 15601 82459 67759 61469 1574 2172
2002年 15707 84392 68897 62105 1599 2347
2003年 15864 86318 70124 62885 1669 2561
2004年 16241 88776 71556 64444 1751 2801
2005年 16497 90072 72209 64992 1872 3088
2006年 16906 90542 73183 66391 2039 3459
2007年 17310 91773 74157 68007 2218 3912
2008年 17359 91242 73637 67745 2314 4290
2009年 16963 92560 70477 64946 2503 4674
2010年 17449 95069 73631 66586 2731 5146
2011年 17711 95724 74108 67559 2909 5586
2012年 17883 96062 75510 67083 3024 5990
2013年 18107 97748 75958 67164 3189 6423
2014年 18285 98116 75376 67867 3370 6866
2015年 18487 98990 76068 68631 3559 7318
注:ユーロ圏のデータはユーロ加盟19カ国の平均値。
データ出典:ILO

注1)労働生産性の研究は全要素生産性を科学的に比較するべきだが、中国は全要
素生産性を算出する条件を持ち合わせていない。したがって、本文で採用している
のは、ILOが就業人口をもとに算出した労働生産性(不変価格GDPと就業人口との比
率)である。
注2)就業人口当たりの生産を指し、本文でいうところの労働生産性である。
(次号に続く)
〔国家統計局2016年9月1日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行9月26日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.6155  667.44    86.05  749.86
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――運転手》
 また懲りずにメールマガジンの翻訳ボランティアの募集を出します。やってみた
い方はぜひ教えてください。
 成田空港の近くのホテルに行くためにがらがらのバスに乗ったら、送迎する運転
手さんが妙におしゃべり好きで、まるでタクシーかと思うぐらい話をしました。
 この運転手さんの中国人評は、帰国前に送迎すると見違えるほど礼儀正しくなっ
ていて、来日当初のマナーの悪さとのギャップがすごいということです。日本で一
体何があったんでしょう……。ウエルカムな気持ちで出身を聞いても、台湾人、香
港人はすぐ答えるのに、中国人は都市を言うか答えないか怒り出すという特徴もあ
るみたいです。
 このトーク力でアジア圏の各種言語のアナウンスや挨拶、簡単な質問の表現はほ
ぼ覚えたということで、国籍を問わずお客さんに何でも質問することを日々続けて
いることで得られる知識のすごさを知ったところです。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 楊桃
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