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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.353 2006年6月6日
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:待遇の落差とその行方】
●多くの民工には市民としての経済能力はない
●独占業界の高給取り現象 中国国民はいつまで独占業界を養うべきか?

┏【国内経済】
●北京住民の消費平均5000元 2005年1―4月
●広東民営企業 全国トップ 2010年にはGDPの半分を占める

┏【金融】
●銀監会副主席「中国の銀行業総資産は40兆元水準ヘ」
●中央銀行 2005年地域金融報告発表

┏【社会】
●上海の高齢化は「世界レベル」 下

┏【経済データ】
●外国為替(6月5日)

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……【特集:待遇の落差とその行方】…………………………………………………
●多くの民工には市民としての経済能力はない
 最近、建設部政策研究センターの主任が討論会で明らかにしたところによると、
今後5年で一連の政策が出され、2億人近い農民工が都市住民になるかもしれない。
 この報道のいわんとするところは、民工が都市住民となることの第一条件は都
市における安定した収入があるということである。大多数の民工にしてみれば、
まさにこれだけはなし得ないことなのだ。

 都市住民になるというのは、農民工が都市で得た収入を頼りに生活をすること
を意味する。彼らが年収のレベルの高低だけではなくて、さらにその仕事のポス
トあるいは労働収入の安定性と持続性も考慮しなければならない。たとえ彼らが
養老保険に入っても、定年退職年齢前までに一体何年十分に働けるかも考慮しな
ければならない。
 したがって、民工が安定的な収入があるかどうか、特定の一時期(例えば若年
期)だけではなくて、一生涯トータルで考えなければならないのだ。

 目下、民工年齢の需要と供給構造の間には深刻なミスマッチ現象が存在してい
る。労働集約型の製造業を例にとれば、企業が大量に募集するのは35歳以下(特
に25歳以下)の若年民工である。
 このような若年者の労働構造は2つの問題を発生させている。
 一つは、25歳以下の民工(特に女性)の供給が需要に追いつかないため、「民
工荒」(労働力不足)が発生することである。もう一つは、これらの民工が中年
(35歳より上)へと突入した後、圧倒的多数が労働集約型製造業への雇用機会が
大きく減少し、これまでの業種で仕事が探せなくなり、故郷に帰ることもできず、
民工の中年層の失業が発生することである。

 筆者は、第三次全国工業センサスに基づいて、服装、靴、玩具といった労働集
約型製造業で試算を行ったことがある。試算結果によると、35歳以下の民工が中
年(36歳以上)になった後は雇用機会が減り、失業の比率は3分の2から6分の5に
達する。
 中国人の平均余命が70歳以上であり、圧倒的多数の民工に言わせれば、「青春
飯」(若いときしかできない職業)の期間が終わった後、養老保険を受け取れる
年齢までの間には、長い20年間の中年失業期が存在するのだ。
 労働年数が短過ぎて、多くの民工が都市住民としての経済能力を持つことは不
可能である。

 多くの民工を都市市民にさせたいと思うのであれば、政府は、適当な雇用機会
を提供して彼らの中年失業問題を解決したり、都市住民に最低生活保障を与えな
ければならないだろう。
 しかし、都市には広範囲で「4050」問題(中年で下崗労働者は就職が難しい)
が存在し、市民となった民工の中年失業問題を解決することは容易なことではな
い。同様に、市民となった多くの民工家庭の長期(少なくとも10年以上)にわた
る都市住民最低生活保障については、都市財政がたえられるはずがない。

 筆者が見るに、市民としての経済能力を有する民工はほんのわずかかもしれな
い。すなわち、民工の中でも技術工か企業管理者、民営企業のトップとなった人
である。
 したがって、考慮しなければならない問題は、都市が民工を受け入れる奨励政
策を制定するに当たって、都市で定住する民工の中年失業への対応、民工の中年
期の収入の政策を保障するのかが含まれるかどうかである。
 仮に、このような政策を含むとするならば、必要となる財政支出は幾らと試算
されるのか、それは保障できるのだろうか。〔第一財経日報5月19日〕

●独占業界の高給取り現象 中国国民はいつまで独占業界を養うべきか?
 独占業界の給料レベルは高過ぎるというのだが、ではどれぐらい高いのだろう
か?
 歩副部長に聞いたところ、給料は全国平均レベルの2倍から3倍高く、その他の
手当や福利厚生を合わせるともっと高いという。
 例えば、ある電力グループ会社のごく普通の従業員でさえ年間収入は15万元に
上る。この給料水準は中国平均の10倍高い。

 独占業界の給料の伸びは速過ぎるというのだが、ではどれほど速いのか?
 国家統計局のデータによると、業界間の給料の最高額と最低額の差は、2000年
の4.71倍から2004年の7.52倍に拡大している。
 正直に言うと、このような給料の伸びは高過ぎ、速過ぎというよりも、異常に
高い、異常に速いのであって、一般的な問題ではなく、重要議題として取り上げ
るべきなのだ。

 給料は労働力価格とも言えよう。自分の給料を他人と比べるとき、給料レベル
の差異は労働能力の違いとも言いかえられる。何倍の差があってもおかしくない
が、同業界内の全体の給料レベルが、その他業界、各業界平均、全国のサラリー
マンの平均レベルより何倍も高ければ、それは正常ではなく、社会公平性に欠け
ることである。
 5割高、倍高でも十分な注意を払い、原因を調査して、迅速に対症療法を行う
べきであるが、2倍、3倍、甚だしくは10倍も高いとはどういうことなのだろう
か?。

 市場経済競争に勝った独占組織であれば、高給はある程度の範囲内で合理的で
ある。すなわち、市場競争ルールに励み、社会貢献を反映した範囲内であればで
ある。
 しかし、中国の独占業界――電力、通信、金融、保険、水力発電、たばこ業等、
これらはすべて行政的な独占業界であって、給料は成果、貢献度に関係なく、行
政のパワーに左右されるだけである。
 行政パワーの源は行政権力であり、このような権力が支配する独占業界の高給
取り現象は、実は中国の全国国民の血税で独占業界を養っているということなの
だ。

 報酬は給料収入であり、イコール激励であり、絶対公平より相対公平が重要で
ある。アメリカの心理学者アダムス(Adams)はかつて公平理論を発表している。
 すなわち、従業員の働きは絶対報酬とつながっているが、相対報酬でより公平
であるかを判断する。自分の労働報酬を他人の労働報酬とを比較し、労働報酬率
が等しければ公平であるとし、さもなければ不公平である。
 言うまでなく、全国国民の血税が独占業界の「不公平」を養い、市場秩序、経
済効率、社会調和を損なっているのだ。

 歩副部長は「ある独占業界とその他業界との収入ギャップは既に社会的な注目
を呼んでいる」と話す。しかし、筆者の記憶では、中国の独占業界の給料は、高
過ぎるという事実判断であれ、公平差に欠けるという価値判断であれ、このよう
な現象は10年前から既に存在していた。それは突然にやってきた出来事でもなく、
中国の全国国民が日常生活で肌で実感していることだ。
 そこで、一番悩ましいのは、やはりこのような現象が単なる世論段階で終わっ
てしまうことだ。長年、同じような問題は何度も提起されて議論してきたが、結
局誰も表に立って解決しようとしなかった。独占業界は独占のままで、取り締ま
ることもなく、独立業界の給料は勝手気ままに勢いよく伸びていっているのだ。
 目下の問題は、このような歴史をこのまま延々と続けていくのか?中国の全国
国民がいつまで独占業界を養う必要があるかなのである。〔中国経済時報5月19日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●北京住民の消費平均5000元 2005年1―4月
〈北京市統計局、1月―4月の都市住民の消費統計を発表〉
 北京市統計局、国家統計局は北京調査総合チームと共同で発表した数値による
と、1月―4月の、北京市住民の一人当たりの支出は14.1%増の4737.2元だった。1
人当たりの車輌の燃料費、交換部品などの支出は最も大きく78.8%となっている。

〈データ分析〉
▼被服費 1人当たり支出の伸びトップに
 1月―4月の北京住民1人当たりの被服費は前期比24.1%増の501.1元と伸び幅が
トップとなった。うち1人当たりの衣類、靴への支出はそれぞれ同20%超増の353.5
元、113.8元だった。これに基づき試算すると、1人当たりの被服関連の支出は125
元余り。うち衣類が88元、靴が28元、その他が9元となる。
 アナリストによると、今年4月までの衣類の価格指数は前年同期比で1.5%下落
している。ただ、住民が購入した衣服の単価は同期比11.7%上昇。中流階級の衣
服の消費が高級志向、ブランド志向となっていることを示しているという。

▼家電 100世帯当たりのクーラー設置率は154.6台
 1月―4月の1人当たりの家電製品、サービスへの支出は前期比22.9%増の292.4
元。うち1人当たりの家具、家電など耐久消費財の支出は148.3元だった。
 北京住民の100世帯当たりの応接セット、クーラー、浄水器などの保有・設置
割合は、それぞれ前期比5.2%増の95.2セット、10.6%増の152.6台、8.2%増の58台
だった。

▼娯楽 100世帯当たりのパソコン保有台数94.5台
 1月―4月の1人当たりの教育、文化、娯楽サービスへの支出は前期比16.1%増の
718.4元。うち1人当たりの文化娯楽用品への支出が前期比23.4%増の267元だった。
 住民100世帯当たりのパソコン、ビデオ、カメラの保有台数は、それぞれ前期
比11.5%増の94.5台、23.5%増の18.6台、5.8%増の111.1台だった。

▼交通 1人当たり前期比16%増
 1月―4月の1人当たりの交通費、通信費は16%増の678.4元。
 住民の自家用車所有台数の増加、燃料油価格の上昇に伴い、住民1人当たりの
車両用燃料、部品支出は前期比78.8%増の70.2元となった。

▼旅行 団体旅行の支出150%増に
 今年の春節の長期休暇以来、住民の旅行人数が増加。うち1人当たりの団体旅
行費用の支出は前期比49.2%増の98.2元。旅行関連の1人当たりの交通費は18.2%
増の128.7元。
〔北京晨報5月30日〕

●広東民営企業 全国トップ 2010年にはGDPの半分を占める
 広東省の黄華華省長は30日、2010年までに広東省の民営企業の付加価値は1兆
6750億元に達し、広東省全体のGDPに占める比率は50%に上昇するだろうとした。
 これは黄華華省長が広東省民営経済工作及び表彰会議で発表したデータである。
 黄華華省長は、民営企業は広東の都市化、イノベーションを促進し、外向型及
び内向型経済発展の重要な位置を占めていると述べた。

 今回の会議で提供されたデータによると、今年3月末までの広東省の個体・民
営企業数は279万件で、全国トップである。昨年、広東省の民営企業の売り上げ
は8602.5億元で、広東省全体のGDPの39.6%を占めた。民営企業の付加価値は1503.1
万人に達し、広東省全体の従業員数の31.7%を占めた。輸出総額は299.5億ドルで、
前年度59.5%増となった。知的財産権及び有名ブランドを持つ大型民営企業グル
ープが急成長し、昨年末の広東省の各レベルの科学技術部門が認定した民営科学
技術企業は7316件で、2002年末の4740件の1.5倍になった。

 黄華華省長は、今後、広東の民営企業の発展の方向は、中大型国有企業や外資
企業のためにサービスと下請を行う民営企業、精密加工民営企業の発展、対外貿
易を行う科学技術協力の民営企業の発展に力を入れ、委託専門園区での民営企業
の産業集積、委託に優位性のある産業の民営企業の集積、地域における民営企業
の産業集積を重点的に発展し、同時に、民営企業のイノベーション、全体の質と
経営管理水準の向上に努めるとしている。〔第一財経日報5月31日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●銀監会副主席「中国の銀行業総資産は40兆元水準ヘ」
 中国の銀行、金融機構は4月末時点で、既に2万8000社。うち銀行の総資産額は
40兆円近くに上り、全金融機関の総資産の95%以上を占める。

 中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は25日、ウェブサイトで、銀監会の蔡鄂
生・副主席の23日の中国金融サミットでのスピーチ内容を公表した。蔡・副主席
がスピーチの中で前述の情報を発表した。

 蔡・副主席は、中国の銀行業改革が総じて順調に発展しており、銀行、金融機
関に対する管理監督を強化しているとコメント。自己資本比率が基準に達してい
る銀行は、2003年末の8社から昨年末には53行にふえ、自己資本比率が基準に達
している銀行の資産の割合は2003年の0.6%から昨年末には75.1%に増加したとい
う。
 中国の主要商業銀行の不良債権比率は2003年末の17.9%から昨年末の8.9%に低
下。不良債権残高と比率がともに低減している。
 蔡・副主席は、「ここ数年来、中国政府は絶えず大銀行の改革に尽力し、銀行
業改革を全方位型、多層型に進めている」と述べた。〔新華網5月25日〕

●中央銀行 2005年地域金融報告発表
 中央銀行は27日、「中国貨幣政策執行報告増刊――2005年中国地域金融動向報
告」を発表した。当該報告の発表はこれで2回目である。
 報告では、2005年、中国各地域は積極的に経済構造調整と成長方式の転換を進
め、地域経済発展の調和がある程度改善したとしている。しかし、経済が急速な
成長を維持すると同時に、各地域では、固定資産投資の急激成長、対外貿易の構
造的な矛盾の顕在化、経済成長方式の転換の緩慢、地域間の分業体制が低迷とい
った問題が普遍的に存在している。一部の地域ではエネルギー消費が多過ぎて、
環境汚染の悪化する問題が存在している。

 報告によると、2005年中国全国各地の銀行、証券、保険はやや速く成長し、金
融動向も安定している。
 中国の全国各地で金融環境の建設が非常に重視され、直接融資の比重がある程
度高まり、融資構造もある程度改善した。2005年年末現在、中国全国各地の各タ
イプの銀行業金融機関数は合計20数万、従業員は260万人、資産総額は37万億元
に達した。

 金融と経済の良好な循環を促進する根本的な道は、良好な金融環境をつくるこ
とである。ある地域の金融環境が良好になれば、さらに多くの資金がこの地域に
流れ込むことになる。逆に、ある地域の金融環境がよくなければ、資金はこの地
域から流出する。
 資金の流れの方向について、報告では、中西部地域へ流れる現金がふえている
と分析している。東部地域の各金融機関はマーケットの主導権を引き続き握って
いるが、中部、西部、東北地域の金融機関は多くマーケット参画し、正味の融資
資金がある程度増加している。

 経済構造調整の推進と成長方式の転換に伴い、地域経済発展の調和がある程度
改善した。
 中央銀行の統計によると、地域のGDPは、東部10.9兆元(シェア55%)、中部3.7
兆元(19%)、西部3.3兆元(17%)、東北1.7兆元(9%)だった。中西部と東北地
域は投資誘致を強化し、外資流入の新しい注目地域になり、財政支出の増加速度
も加速している。

 そのほか、東部地域の固定資産投資の増加速度が減速し、逆に西部地域と東北
地域の増加速度は加速している。東部地域の輸出入増加速度は大きく下落し、輸
入増加速度の下落幅は輸出より大きく、貿易黒字は拡大し貿易赤字は減少してい
る。

 不動産価格の上昇幅は全体的に安定しており、国の不動産に関するコントロー
ル政策のもと、長江デルタ地域の大中都市の価格上昇幅は明らかに下落して、上
海では新築分譲住宅の販売価格はマイナス成長となった。
 しかし、消費のグレードアップ、都市化、土地価格の上昇、人民元上昇予想な
どの複数の要因が総合的に影響し、北京、深センなどの大都市の不動産市場価格
はうなぎ登りに上昇し始め、一部の沿海地域の比較的発達した非省都都市と一部
の中小都市の不動産価格ははっきりと上昇する勢いがあらわれている。

 マクロコントロールの深化に伴い、国の産業構造政策の指導のもと、各地域の
中長期ローンの過剰な伸びは抑制され、27の省市の中長期ローンは下落している。
 各地域の手形業務が急速に発展し、手形市場の利率が下降傾向にあり、一部の
省では手形融資による新規増加額が人民元ローンの新規増加額に占める割合は既
に30%を上回った。
 同時に、各地域のローン業務は引き続き安定的に成長して、中国全国の大部分
の地域のローン業務の増加速度は10%―13.5%の間にある。

 消費金融ローンについては、広東、上海、浙江、北京の上位4位のデータによ
れば、住民の収入水準や消費能力に大きな開きが存在し、中国の東西部地域間の
消費ローンの違いは明らかになった。
 地域ごとに見れば、東部地域の個人消費ローン残高は全国の個人消費ローン残
高総額の70%以上を占めている。2005年年末現在、広東、上海、浙江、北京、江
蘇、山東の個人消費ローン残高は1000億元を上回った。そのうち、広東は最も多
く3600億元を上回った。上海はその次で2800億元を超えた。
 東部地域と比べれば、中部、西部、東北地域の消費ローン市場規模は比較的小
さくて、多くの省の個人消費ローンの人民元ローンに占める割合は10%に達しな
い。

 中央銀行は、消費ローンの発展は金融機関の資産構造を改善するだけではなく、
さらに消費需要を拡大し、消費需要の乗数効果で関連産業の発展を推進するとい
う内需拡大の有効な道筋の一つであるとしている。

 業務種類から見ると、個人消費ローンの中で個人住宅ローンを占める割合がま
すます拡大して、自動車ローンの占める割合が大幅に減少し、住宅リフォーム、
学資、高価な耐用消費財といったローン数は極めて少ない。
 現在、個人住宅ローンは消費ローン残高全体の70%以上を占め、東部の大部分
の省、例えば北京、天津、上海、江蘇、福建、広東ではその比率は80%を上回っ
ている。〔保監会ネット5月28日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●上海の高齢化は「世界レベル」 下
〈上海は高年齢化の危機を隠蔽〉
 高齢化は上海に空前の圧力を及ぼしている。豊かにならずに高齢者となったり、
高齢者福祉システムが未成熟で、経済的発展都市の上海にとって厄介な問題とな
っている。

〈高齢者の満足度は減少〉
 高齢化は高齢者福祉に重大な影響を及ぼしており、社会消費需要や生産構造に
まで重大な影響を及ぼしている。

 上海市民政局から提供された調査資料では、調査を受けた上海市の高齢者の96.9%
が年金あるいは高齢者助成金を受け取っている。
 2005年の平均収入は2003年調査よりも増加している。2005年上半期の都市在住
高齢者の1カ月の平均収入は1068.0元で、2003年より53.1元ふえている。農村高
齢者の2004年の1カ月の平均純収入は452.8元で、2003年より149.0元ふえている。

 上海市の年金普及率は高く、96.9%の高齢者は各種の年金(または高齢者福祉
金)を受け取っている。そのうち、90.3%の高齢者が年金(または高齢者福祉
金)を主な収入としている。
 年金(または高齢者福祉金)の受給データでは依然として「都市と農村の格
差」が存在している。都市高齢者の1カ月平均の年金(または高齢者福祉金)は
970.7元で、農村高齢者は266.7元である。

 医療保障では、調査を受けた高齢者のうち、都市高齢者の94.6%、農村高齢者
の92.6%が各種の医療保険を享受している。79.5%の都市高齢者が都市労働者基本
医療保険、74.9%の農村高齢者は農村合作医療保険、8.2%の都市高齢者と8.4%の
農村高齢者が小城鎮医療保険、6.6%の都市高齢者と9.3%の農村高齢者がその土地
の医療保険を享受している。
 完全な自己負担は、2.3%の都市高齢者と1.8%の農村高齢者にすぎない。

 調査資料には、日常生活の自己管理能力に対する自己評価のデータがある。
 調査を受けた高齢者の94.8%が日常生活の自己管理ができると答えている。3.8%
の高齢者が一部自己管理できる、1.4%の高齢者が自己管理が全くできないと答え
ている。2003年の調査結果と比べると、自己管理が可能な人が1.5%増加し、自己
管理不可能な人が1.1%減少している。

 華東師範大学人口研究所教授で、上海市高齢者学会の桂世〓副会長は、上海市
高齢者の生活レベルは高くなっているが、高齢者の生活状況全般に対する満足度
はかえって下がっているという。
 桂世〓副会長は取材に対し「高齢者が生活状況全般に対して不満を示している
のは、比較対象に変化があらわれたからです。現在、年金は以前よりふえていま
すが、在職者やもうすぐ退職する人の収入はさらにふえています。年金の伸び幅
は在職者の収入の伸び幅に比べると小さく、高齢者は若者やもうすぐ退職する人
と比較するので、満足度が下がっているのです」という。

〈「両高一冠」という隠れた問題〉
 3月末に南匯で行ったアンケート調査によると、多くの高齢者は現状に満足し、
落ち着いた晩年を過ごしている。
 家電製品と飲料水の調査の例では、家電製品が1つもない人が9人で9%、1つか2
つという人が41人で42.3%、飲料水に井戸水を利用している人は56人で57.70%で
ある。

 高齢者の多くが病気治療のため、生活は質素である。
 かつて4回も模範労働者の栄誉に輝いたことのある盛錫渊さんは、現在退職し
て老夫婦2人で毎月700元の年金を受けている。柴を拾って、葦や柴を燃やしてか
まどで湯を沸かし煮炊きしている。ふだんは小魚やエビをつかまえて生活してお
り、安いものを買うために遠くまで出かけている。
 いろいろな方法でどうにか1個の銅貨をためている。うちにある家電製品は14
インチの白黒テレビと扇風機1台だけで、飲料水は井戸水である。盛さんのよう
な高齢者は少数派ではない。

 別の調査では、上海市郊外の高齢者には、「両高一冠(高血圧、高脂血症、冠
状動脈硬化症)」と言われる慢性疾患を持つ高齢者が比較的に際立っている。
 南匯でのアンケート調査によると、健康な高齢者が24人で24.7%、まずまず健
康な高齢者が15人で15.4%である。日常生活や食事では、72人の高齢者のうち、
日常生活の自己管理ができる者が74.2%を占めている。慢性疾患を持つ高齢者は58
人で、高血圧、高脂血症、冠状動脈硬化症の患者が比較的多い。

 机場鎮衛生院保健科の呉恵翠医師によると、机場鎮の高血圧患者(44人)はす
べての病気の中で最も多い。遺伝以外にも、最近の生活水準が高まっていること
により、日常的な食事構造が不合理になったこともある。食事内容が高脂肪にな
り、運動不足、喫煙、飲酒などの悪習慣によるものもある。重病人や、長期治療
が必要な者の中には、日常生活が困難で、医療費用や薬代の値上げによって、負
担がさらに重くなっている人もいる。

 この鎮に住む専業農家の喬林昌夫妻は、80歳を過ぎており、屋根の低い老朽化
した平屋に住んでいる。高血圧、脳梗塞、糖尿病などの慢性病を長い期間患って
おり、特に奥さんが転んで怪我をしてからは日常生活が不自由になっている。
 今は夫婦で、「薬ビン」「杖」で日常生活が維持されている。毎月の薬代は300
数元で、子供も経済的に逼迫しているので、ため息をつくよりしようがない。昨
年は約4000元借金しており、経済的にはかなり困難である。
 こういった状況は現地政府の福祉補助を受けるべきだろうが、結局は焼け石に
水で、根本的な解決は困難である。

〈高齢者福祉施設は「両少一高」敷居高し〉
 机場鎮三望村の調査結果を見ると、この村の高齢者人口は比較的に高いと言え
る。
 60歳以上の高齢者は358人で、村の総人口1889人の18.9%、そのうちの70―79歳
が123人、80―89歳が67人、90―99歳が7人である。

 ただ、この村の高齢者の「四有(理想、道徳、文化、紀律)」状況は比較的に
よい。
 調査を行った97人のうち、生涯学習では、科学文化、書籍や新聞で学ぶ者が8
人、技能を学ぶ者が1人、テレビ、ラジオ講座を聞く者が56人。仕事では、農業
が14人、家事手伝いが58人、再就職者が1人。娯楽関連では、体力づくりが7人、
碁・将棋が10人、その他の活動が12人である。

 高齢者保障については、保障があるという回答が18人、基本的に保障があると
いう回答が21人、保障が不足しているという回答が12人、保障がないという回答
が7人であった。

 「老人の家」が多くの高齢者が希望する生活方式になっている。
 三望村には「星光老の家」という高齢者福祉施設が1カ所ある。面積は200平方
メートル、2002年から指導者層はここを重視しており、専任者が担当して秩序あ
る管理を行っている。
 高齢者活動が多彩で、何度も体力づくり講座が開かれており、毎日30以上の人
が碁や将棋、体力づくり活動などに参加している。特に毎月1回行われている上
海劇に関する活動は、多くの高齢者に絶賛されており、多くの愛好者が積極的に
参加している。

 ただ、高齢者の「四有」活動は都市と農村では格差があり、公共施設や伝統的
文化などの要素に制約がある。そのため、高齢者はふだんはテレビを見たり、ラ
ジオを聞いたり、家の用事をすることが多い。1つの活動にしか参加していない
人が多く、農村高齢者の「四有」はまだ開拓の余地がある。
 しかし、高齢者福祉施設は少なく、空きは少なく、費用は高い「両少一高」と
言われ、そのため上海市農業保険の高齢者は見ただけでおじけづいてしまう。

 三望村の「老の家」のような高齢者福祉施設での生活は高齢者のあこがれであ
るが、個人収入と費用に格差があるため、依然として在宅が現地の高齢者の選択
肢のトップである。
 三望村での97人の高齢者の調査では、高齢者の老後の過ごし方は、在宅が62人
(57人が子供の世話になる。5人がヘルパーを雇用する)で63.9%、その次が、敬
老院、社会福利院、その他である。

〈高齢者市場の価値〉
 人口の高齢化は社会経済的に対する挑戦であると同時に、商業チャンスも提供
している。高齢化問題の解決は多方面にわたり、政府主導、民間資本、外資も導
入される。

〈「シルバービジネス」で民間資本の活性化〉
 上海は全国より10年早く高齢化社会に入り、高齢者レベルはますます高くなり、
短期間ではこの情勢は変わらない。 25年後には、現在35歳の人が60歳になり、
高齢者人口に入ってくる。この膨大な人口グループ(2005年で609万3500人)は、
上海市の高齢者人口の割合をさらに高めることになる。今後長期にわたって、人
口の高齢化による社会問題は回避不能な現実となることを十分に重視する必要が
ある。

 上海は中国経済の中心の一つであり、特に高齢化によって誘発される問題は既
に多方面の関心を集めている。同時に、上海における方策は今後採用すべき経験
と模範になるであろう。1979年に上海が高齢化社会になり、2002年は西安、2012
年には寧夏も高齢化社会になると予想されている。

 上海市人口委員会の謝玲主任は取材に対し、現在、上海市では高齢化と核家族
化が起こっていると答えている。高齢者人口は総人口の18.9%で、1家庭には平均
2.6人の高齢者がいる。家庭での高齢者福祉が今後の大きな問題となるだろうと
いう。
 統計では、上海市の高齢者率、すなわち高齢者人口と就業人口の比率はますま
す高くなっている。現在、上海の60歳以上の高齢者が15- 59歳の労働人口に占
める割合である高齢者率は20.6%で、5人の労働人口が1人の高齢者を支えている。
 この数字が2025年には58.5%、2050年には90.1%にもなる。つまり、1人の労働
人口が1人の高齢者を扶養しなければならないということになる。

 以前、上海市統計局が上海に住む65歳以上の高齢者1000人の生活状況について
調査している。
 上海の40%以上の高齢者が高齢者だけの世帯で、6分の1の高齢者は生活が不自
由である。身内の世話が望めないなどの理由で高齢者福祉施設に入ることを考え
ている。「豊かにならずに高齢者となる」ので、ますます高齢化問題は厳しくな
り、明らかに経済建設の足並みに影響を及ぼしている。

 一方、高齢化は経済的への挑戦であると同時に、商業チャンスも提供している。
いわゆる「シルバービジネス」である。
 1990年、上海に初めての労働者向け「浦東高齢者マンション」がつくられた。
 2003年10月23日、李嘉誠氏が2810万元を寄付し、上海金山衆仁高齢者養護施設
を建設した、これは李嘉誠氏が中国国内に寄付で建設した初めての高齢者養護施
設である。さらに国内投資により、同様の高齢者養護施設を建設する計画がある
という。
 4月19日、教育産業から起業した上海建橋グループは、初の高齢者コミュニテ
ィー「親和源」の施工に入り、来年の重陽節から使用を始める予定である。「親
和源」は建橋グループと康橋鎮政府の共同投資で、既に政府や社会各方面からの
全面的な支持を得ている。
 専門家は、高齢化問題解決へのアプローチは、政府主導、民間の資本、外資と
いった多方面から行えるものであると指摘する。

〈上海は高齢化解決のモデルケース〉
 上海は現代化の最前線にあるが、現代化より早く高齢化に入ってしまった。
 上海市政府の関連責任者によると、上海市政府は高齢者事業を「第十一次五カ
年計画」の上海市社会経済発展の全体の枠組み中に入れているという。区県にそ
れぞれ30以上の委員会や組織として高齢者事業委員会をつくり、総合的な準備と
協力体制を推進している。上海市の鎮や村の街区委員会、居民委員会によって高
齢者事業組織がつくられ、80カ所近い街道エリアに高齢者協会が建設されている。

 専門家の分析では、先進国は基本的に現代化を実現してから高齢化社会に入っ
ており、「豊かになってから高齢者となる」だったり、「豊かになりながら高齢
者となる」だったりしている。しかし、上海は現代化にはもう少し道のりがあり、
経済的にはなお発展途上にもかかわらず、高齢化社会へ入ってしまい、「豊かに
ならずに高齢者となる」という状況である。
 先進国が高齢化社会に入った時、一人当たりのGNPは5000ドルから1万ドル以上
であったが、中国の現在の一人当たりGNPはやっと1000ドルを超えたばかりであ
る。依然として発展途上国であり、人口高齢化に対する経済的実力は比較的脆弱
である。

 中国の農村の高齢化問題はもっと大きいというさらに厳しい事実がある。
 2005年末までの農村の高齢者人口は 8557万人で、老年人口総数の65.82%を占
めている。同時に、農村の大部分の地域ではまだ社会高齢者福祉保険制度が建設
されていない。農村の新型合作医療制度は現時点ではまだテスト段階で、農民の
高齢者福祉、医療に必要な社会保障はすべてが不足している。
 人口高齢化速度は速く、農村の高齢者福祉、医療などの方面の問題は都市に比
べてさらに突出し、西部や貧困地域ではかなり厳しい状況にある。

 専門家は、もし上海が社会高齢化問題の解決に失敗すれば、全国でも難しくな
るだろうと指摘している。上海の高齢化問題の解決への実施や模索は、中国全土
がこの問題を解決する、大切なモデルケースとなる。
〔中国経済週刊5月12日〕
注)〓は、「員」の横に「力」

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行6月5日17:53)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.1764  800.96  103.24   1036.3
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《編集者コラム――あっけなく》
 メールマガジンのための時間が取れず、リリースがおくれて済みませんでした。
どうしても妥協したくないところがあっておくれてしまいました。無事に出せる
と少し安心します。
 そしてまた1週間が過ぎ、リリース日になるということが繰り返され、どんど
ん時間がたっていき、そんなことを考えているうちに結局五月病という気分でも
なくあっけなく5月は過ぎ、いよいよ6月になってしまい、と同時に、もうことし
も半年過ぎてしまったことに時の流れの速さを感じるわけです。しかし、よくよ
く考えればこのメールマガジンのボランティアを始めてから6月ではや4年がたつ
わけで、年月の早さは本当にあっけないなと思います。
 もう少しで夏休みも見えてきそうなので、あと一踏ん張りかなとか翻訳者の方
とお話ししていたのですが、こんなことを思っているうちに、もしかしたらこと
しの夏もあっけなく過ぎそうな気がします。(ま)
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