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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.741 2020年9月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:万科創始者の王石氏のイスラエルと日本への期待】
●万科創始者の王石氏 インタビュー その3

┏【李年古の日中異文化交流術】
●生産現場の技能者人材の心をつかむコツ(その2)
◆中国的なものづくり人材確保のヒント

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……【特集:万科創始者の王石氏のイスラエルと日本への期待】…………………
●万科創始者の王石氏 インタビュー その3
(前号より続く)
▽退職後の投資先はイスラエルと日本
 王石氏は退職後、イスラエルにベンチャーキャピタルを立ち上げ、日本にも1社
登記している。これは王石氏個人の好みであり、個人資源も、みずから考える将来
の発展空間もこの3国である。

 中国は言うまでもないが、日本の国際ネットワークルート、国際ビジネス社会に
対する認知度、資本の豊富さはいずれも顕著であり、中国の一帯一路のような国際
市場開拓で日本と結びつけることができれば、その成長空間は非常に大きくなる。

 イスラエルという民族はずっと危険、困難な状況にあるため、団結し、イノベー
ションを続けている。
 その一方で、彼らは休むこともする。休暇は英語ではsabbathといい、安息日と
同じ単語である。彼らの慣習では、安息日に働くことは信仰にそむくことになる。
安息日には利益を追い求めることはせず、問題を考え、開放的に交流をする。それ
でも彼らのノーベル賞受賞者輩出に影響がない。

 ユダヤ人のコミュニティーは通常開放されていないが、安息日は例外で、見知ら
ぬ人、隣人、異教徒を含む、彼らを理解しようとするあらゆる客を歓迎する。
 私は40日余りの安息日を過ごしたが、安息日になると、必ず彼らの家に行って、
体験、おしゃべり、食事をし、それ以外のことは何もしなかった。

 以前、ベンチャーキャピタルをしている友人を伴って余り親しくない家へ行った
ことがある。その家の主人は弁護士であり、ずっとロンドンで働き、その後イスラ
エルへ戻ってきていた。
 友人はイスラエルへの投資を考えており、現地のことを理解している弁護士が必
要だったので、非常に興奮して名刺を取り出して彼に渡した。その弁護士は非常に
ちゅうちょしながら名刺を受け取り、「私の名刺も差し上げますが、きょうはだめ
です」と言った。しかし、実際には翌日に行っても、もう会えないのである。

 イスラエルはイノベーションや活力があり、農業、ハイテクが発達しているが、
これといった大企業はなく、医薬トップ500に入る会社が1社あるだけである。この
会社は3年前にアメリカの非常に大きな独占的薬品会社を買収し、世界トップ10の
薬品工場の一つとなった。

 王石氏はイスラエルにベンチャーキャピタル会社を設立した。各種報道によると、
この会社の投資プロジェクトの一つは、2019年12月のベツレヘムでの海徳実験室
(Haid Lab)の開業である。

 日本は王石氏が今特に注目している国である。
 彼の見立てによると、日本人は以前中国に対し見下す方が多かったが、現在では
既に対等な見方となっている。
 「私たちとヨーロッパ、アメリカとは、いつか対等な味方となる、この過程にお
いて本当に重要なのは、他人が私たちをどう見るかということではなく、私たちが
どうやるかということである。例えば、ある起業家は香港の起業家を見下し始めて
いるが、これは間違っており、対等に見るべきである。私たちが香港から学ぶべき
ことは非常に多い」

 王石氏は、今回の新型コロナは、中国にとって、中国の大規模公共衛生危機への
対応能力を世界に見せつけ、中国を再度よく見るよい機会を与えたと考えている。
 同時に、中国の発展は非常に速く、みんなが嫉妬するのは仕方なく、これは正常
なことである。重要なのは、我々がより謙虚になれるか、他人の長所により目を向
けることができるかであると考えている。

 より謙虚、平和に、風通しよく。これは王石氏本人の変化でもある。2019年11月、
王石氏は最新の自伝「私の変革――個人的現代化の40年」を出版し、2008年以降の
みずからの変化を明かした。身体形成、個性の伸長、知識のアップグレード、社会
的役割の変化、生死観の変化、個人の変革、これらは全て中国40年の現代化の枠組
みの下にまとめられる。

 王石氏は日本でも会社を1社登記している。日本はインターネットルート、国際
ビジネス社会に対する認知度、資本量レベルのいずれにおいても優位性が明らかで、
中国企業の国際市場開拓で日本と結びつけられれば、可能性は非常に大きくなる。
 王石氏がイスラエル、日本の会社のどちらの会社にいたとしても、投資対象は中
国である。

 李嘉誠氏は13億香港ドルでイスラエル理工大学を広東に誘致した。そのため、王
石氏はイスラエルにインキュベーターを設立し、孵化したらある程度中国へ導入す
ることを創業の方針にしている。ベンチャーファンドを日本でつくり、イスラエル
に投資して孵化させ、その後中国で投資する。

 日本の大手企業による中国への投資は長く行われており、日本の中小企業も中国
へ進出したいと思っているが、具体的な方法がわからないでいる。今のコロナ流行
が与えるチャンスはとてもよく、既存ルートへの依存を打破し、全く知らない環境
での進出となる。
 しかし、人間が変わったわけではなく、経営管理企業の方法も変わらない。そこ
へ入っていきさえすればチャンスがある。中国に対するチャンスは今始まったばか
りである。

▽王石氏への一問一答
 王石氏にインタビューする前に、ニューフォーチュン誌はネットユーザーから
「王石氏に聞いてみたい質問」を募集した。王石氏へのインタビューで、誰もが気
になる質問について、一問一答を行った。王石氏の答えを見てみよう。

問:今の自分が10年前と明らかに変わったところを3つの形容詞であらわすと?
答:年を取った、髪の毛が少なくなった、自分では以前より格好よくなった気がする。

問:現在、最も確固として持っている、あるいは有望視している資産は?
答:学んで得た知識。

問:最近の小さな目標は?
答:小さな目標は本当にない。私には一つの大きな目標があり、それは人生の第3
ステージである。

問:人生の第3ステージではどのように生きるのか?
答:1週間を生きているという状態で、スポーツし、慈善を行い、事業をしている。

問:もしもう一度冒険するチャンスを与えられたら、何をする?
答:私はずっと冒険している、人生こそ一度きりの冒険。人生はただ一度きりで、
2度目の冒険をするチャンスを得ることはできない。

問:過去10年間、途切れることなく学問の途にいる。学問がもたらすだいご味はど
こにある?
答:主に、世界に対する好奇心。今でも欧米社会が主流であり、欧米のことを知り
たい。コロナウイルスによる流行で、ヘブライ大学からテルアビブ大学に転校した。
しかし、コロナ流行のため、大学を訪問するのは1年近く待つことになるだろう。
 勉強はもちろん続けなければならない。他の人に好奇心を持ってもらえるように
もしなければならない。好奇心を持ってもらえないとしたら、誰も歓迎してくれな
いだろう。

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●生産現場の技能者人材の心をつかむコツ(その2)
◆中国的なものづくり人材確保のヒント
 ものづくりの優秀な人材は一体、何を大切にして、各自のモチベーションにつな
げたのか。彼らと深くかかわった11日間で、僕はその回答のヒントをつかんできた
気がする。

▽自分の仕事に対する自信と誇りを与える説得材料の提供
 中国には「力を労する者は人に治めらる」という伝統的な考え方が昔からある。
中国の学生には、大学進学へ挫折したときにやむを得ず職業学校を選ぶ傾向が見ら
れる。深センでは職業学校を卒業して製造現場に就職した者の3年後の転職率は95%
に達するとの調査結果も出ている。
 だから、ものづくりの人材を確保するため、まずは肉体労働者に対する偏見と闘
わなければならない。伝統観念を受け継ぎ社会に対峙しようとする技能者たちは、
自分の仕事に対する自信と誇りを与える説得材料を欲しがっている。
 技能者の力を見せるような最先端な設備や、重役が果たすようなものづくりの未
来像を描くことによって、自分がかかわる事業の魅力に気がつく。
 技を極めることは、将来の明るい未来を約束してくれる――それを感じた瞬間、
彼らのやる気が一気に高まってくるような効果があるのだ。

▽AI時代の到来がすぐれた技能者の新たな価値創造の可能性を秘めているという期待感
 これからの製造業は、スマートロボットの進化によって単純労働を淘汰させる一
方で、優秀な現場技能者は、むしろロボットを進化させるために欠かせない貴重な
存在となる。
 この研修のいろいろな先生の講義や会社訪問は、彼らのバラ色の未来を示唆する
ものとなった。「高度の専門技能+ITスキル=将来のものづくりの貴重な人材」―
―これは、日本が提示するすぐれた技能者の理想像で、彼らのやる気に火をつけら
れるものなのだ。

▽チームを指導する力こそ、すぐれた技能者を評価する最重要亜な部分
 中国人の優秀な技能者は自分のスキルをひとり占めして、チーム全員に共有させ
ていく意識に欠けている。その背景として、中国の企業文化が深くかかわっている。
つまり、社内での同僚間の競争意識が激しく、他人を教えることは競争の強敵をつ
くることにつながり、自殺行為に等しい。
 だから、現地の日本の会社は、そのような不安を徹底的になくすような人材評価
の体制をつくらなければならない。さらに、社内でも技能者コンテストを行えば、
競争し合う環境づくりによい効果が見込まれるだろう。
 ただし、コンテストの表彰の対象は、個人よりもチーム、本人よりもそのスキル
を伝授した先輩に重点を置くべきである。そうした選抜方法によって、すぐれた技
能者の指導力を大いに伸ばすことが期待できよう。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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