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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.676 2017年7月4日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:スターバックス見る中国の大都市活力】
●スターバックスが多い地域は活力が高い? 中国主要都市商業競争力
●2016年 浙江ネット小売額1兆元を超える

┏【社会】
●中国企業 人件費コストの持続的上昇への挑戦に努力

┏【労働】
●火にのみ込まれる中国人 火事発生の8割は住宅

┏【観光】
●最悪なホテル、安全、空気に囲まれて最後にがっかりする旅行

┏【経済データ】
●外国為替(7月3日)

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……【特集:スターバックス見る中国の大都市活力】………………………………
●スターバックスが多い地域は活力が高い? 中国主要都市商業競争力
 スターバックスの店舗数、可処分所得、観光客の1人当たり消費額、域内総生産
等は、ある地域の商業や消費の活発さをはかる指標となっている。
 「西安には40店以上のスターバックスがあるが、これは絶対足りない、400店必
要かも」西安市の王永康書記は2017年初め、都市の開放度、商業活力は「スターバ
ックス算法」でまとめられると述べた。

 商業の雰囲気、人口活力、外資からの人気度、経済開放度、これら抽象的な指標
があるが、スターバックスはその一例にすぎない。中国はアメリカに次ぐ世界第2
の市場として、2600以上のスターバックスの店舗が存在するが、それは「スターバ
ックス都市図鑑」として明確に見てとれる。

 21世紀経済研究院が取りまとめたところ、スターバックスの店舗数、可処分所得、
観光客の1人当たり消費額、域内総生産等は、ある地域の商業や消費の活発さをは
かる指標となることがわかった。

 国内トップ都市である上海はスターバックスの店舗数が最も多い地方でもあり、
500店を超えるスターバックスはこの都市の商業活力を示している。
 一方、西部地域の都市である西安と上海との差は、現在のGDPだけでなく、各種1
人当たり経済指標においても、現在のスターバックス店舗数でもあらわれている。

 上海に近い蘇州は、省都ではないものの、各種経済指標は全国上位にランクイン
しており、スターバックスの店舗数も全国4位である。
 一方、重慶は直轄市として、ここ数年の経済成長等各種指標では上位にあるが、
スターバックス店舗数は主要都市の中で目立った数になっていない。
 2016年の重慶の観光客数は延べ4.51億人に達し、今回の統計の全ての都市のトッ
プであったが、1人当たり消費額はわずか586元だった。どのようにして1人当たり
消費をふやすかが都市の商業活力をさらに喚起する重要な一歩である。

▽スターバックス店舗数と各種経済指標
 都市 スターバックス店舗数 GDP(億元) 第三次産業付加価値額(億元)
都市常住住民一人当たり可処分所得(元) 社会小売品小売総額(億元) 観光業
総収入(億元) 観光客数(延べ億) 1人当たり消費額(元)
上海 539 27466.15 19362.34 57692 10946.57 3868.38 3.8 1017.99
北京 231 24899.3 19995.3 57275 11005.1 5020 2.855 1761
杭州 125 11050.49 6768.26 52185 5176.2 2571.84 1.41 1824
深セン 109 19492.6 11785.8 48695 5512.7 1371 1.24 11.5
広州 101 19610.9 1344 50940.7 8472.8 3217.05 1.85 1738.94
成都 94 12170.2 6463.3 35902 5647.4 2502.25 2.003 1249.25
南京 78 10503 6133.31 44009.4 5088.2 1900 1.12 1696
武漢 68 11912.6 6294.94 35383 5610.6 2496.15 2.3321 1070
天津 60 17885.3 9661.3 34047 5635 3192 1.91 1671
西安 40 6257.18 3827.36 35630 3730.7 1213.81 1.5 809
重慶 39 17558 8500.36 29610 2228 2645.21 4.51 586
蘇州 124 15400 7975.8 54400 4937 2059.53 1.14 1806.6

〈スターバックス都市図鑑〉
 現在、スターバックスは中国120以上の都市に2600店以上ある。スターバックス
のデータによると、今後5年で毎年500店を新規開店するとともに、200都市以上を
カバーする。つまり、今後5年のスターバックスの中国国内における開店速度は、
これまでの18年間の総和に近く、新規に80都市をさらにカバーすることになる。

 21世紀経済研究院はスターバックスが分布する上位12都市(上海、北京、杭州、
蘇州、深セン、広州、成都、南京、武漢、天津、西安、重慶)について分析を行っ
た。このうち11都市は直轄市、省都、副省級都市であり、蘇州だけが例外である。
 この12都市のスターバックスの店舗総数は1608店で、現在の中国のスターバック
ス店舗総数の61.8%を占める。この12都市のGDP総額は、2016年には17.63兆と全国
GDPの26%を占めた。

▽上海
 上海の539店のスターバックスは全国の他の都市をはるかにリードし、スターバ
ックスに包囲されている都市でもある。
 米サイエンスメディアのクオーツのデータによると、2013年、スターバックスの
上海における店舗数は284店だったが、21世紀経済研究院がスターバックスオフィ
シャルサイトや大衆点評のデータをまとめたところ、現在、上海市のスターバック
ス店舗数は既に539店に達している。
 つまり、3年間で、スターバックスは上海の店舗数を89.79%増加させたことにな
る。これは、この都市の経済発展レベル、商業活力と対外開放度とが密接に関係し
ている。

▽北京
 北京市は231店で店舗数2位だが、この数は上海とは非常にはっきりとした差がある。
 スターバックス店舗数が100店を超す都市を見渡すと、長江デルタ、珠江デルタ
の、中国の経済が最も活発な地域に位置している。

▽蘇州
 蘇州は省会都市でも副省級都市でもないが、多くのスターバックス店舗がある。
これは上海に近いという地理的要素のほか、外向型経済構造と人口構成が若いとい
った別の重要要素もある。

▽成都
 西部地域に位置する成都市は、スターバックス店舗数が94店と全国7位である。
この数字と2016年の成都市のGDPの全国順位は近く、成都の西部地域の中心都市と
しての地位にマッチしている。

▽西安
 西安市は40店で11位である。21世紀経済研究院のアナリストが各種経済指標を総
合比較した結果、スターバックス店舗数及び当該都市の経済がマッチしており、別
の角度から言えば、西安にスターバックスをもっとふやすには、多方面の経済指標
を高める必要がある。

▽重慶
 重慶は西安に次いで、現在39店ある。21世紀経済研究院は、重慶の「都市、農村
が大きく、山が多く、ダムが巨大」という基本的な地理条件にあることと関係して
いると見ている。

〈商業不動産と産業活力が都市の商業活力を決める〉
 スターバックスの店舗数はある都市の商業活力の一面を反映するにすぎないが、
このほかどのような指標で都市の商業活力をはかることができるだろうか。
 21世紀経済研究院は、都市住民の平均年収、商業不動産とA級オフィスビル数、
飲食収入が全社会消費品小売総額に占める割合、旅行データなどが参照可能な指標
であると見ている。

 まず、1人当たり収入という指標である。比較する12都市では、1人当たり平均年
収ランキングはGDPと比較的強い一致傾向が見られた。
 5都市の1人当たり平均年収は5万元以上、上海、北京、杭州、広州、蘇州は1人当
たり平均年収がより高い地域であり、つまり、現地住民は消費能力がより高く、こ
の5都市のスターバックスの平均店舗数は100店を超えている。

 商業不動産とA級オフィスビル数は、都市における資本の人気度を反映している。
 2016年末現在、上海市には都市複合商業施設が189店あり、そのうち商業施設建
設面積10万平方メートル以上が68店である。

 上海市のA級オフィスビルのストックは641万平方メートルに達し、北京を除いた
12都市において第2位だった。21世紀経済研究院は、上海市の発達した金融業はA級
オフィスビルの主要な借り主で、この種の業界の人たちがスターバックスの膨大な
消費者層を構成していると見ている。上海の陸家嘴地区の金融会社組織のオフィス
ビルでは、あちこちでスターバックスを目にする。

 しかし、このオフィスビルの指標は蘇州や杭州には通用しない。この2都市のス
ターバックス店舗数はそれぞれ120店を突破しているが、ショッピングセンターやA
級オフィスビルのストックは多くないし、園区経済、インターネット企業が主体の
産業構造であり、別の消費者層を生み出している。

 他の都市のうち、成都はA級オフィスビルのストックは全国的にリードしていな
いが、不動産コンサルタントDTZの統計によると、金融、サードパーティーサービ
スプロバイダー、インターネット企業、科学技術企業が成都のA級オフィスビルの
重立った借り主である。
 これらの層は、スターバックスを日常的に消費する主要顧客層で、つまり、成都
になぜこれだけ多くのスターバックスの店舗があるかを説明できる。

 ショッピングセンターストック(万平方メートル) A級オフィスビルストック
(万平方メートル) スターバックス店舗数
上海 234.8169 641.5682 539
成都 531.0677 173.5398 94
北京 1219 930.2079 231
蘇州 280 144 124
重慶 329.4 155.7 39
広州 172.5 468 101
天津 173.2 138.4 60
杭州 119.2 199.8 125
南京 101.54 130 78
西安 269 154 40
深セン 258.53 343.74 108
武漢 215.7 159.1 68

〈観光客1人当たり消費レベルは重要参考〉
 観光消費において、観光客1人当たり消費レベルは、ある都市の観光産業の競争
力の基準を反映しており、先述12都市の2016年観光客延べ人数及び1人当たり消費
レベルにも大きな差があった。

 観光客延べ人数では、2016年の観光客延べ人数が2億を超える5都市は、上海、北
京、成都、武漢、重慶だった。重慶は延べ4.51億人の観光客数でトップでもあり、
4億の壁を突破した唯一の都市でもある。観光客数は重慶観光市場の人気度を証明
している。
 しかし、観光客の1人当たり消費では、12都市のうち、10都市の観光客の1人当た
り消費額は1000元以上だが、西安と重慶は100元台にすぎない。

 西安市は1人当たり観光消費ランキングの後ろから2番目で、2016年観光客1人当
たり消費額(延べ人数)は809元だった。一方、重慶の1人当たり586元の観光消費
は12都市中最も低かった。

 逆に、スターバックス店舗数が120店を超えている杭州や蘇州では、GDPは上海や
北京に比べて高くないが、1人当たり観光消費は上位2位であるとともに、12都市中
唯一の1人当たり1800元を超える都市だった。蘇州、杭州の観光競争力は、強大な
商業活力を構成している。
〔21世紀経済報道2017年6月8日〕

●2016年 浙江ネット小売額1兆元を超える
 浙江省商務庁の情報によると、2016年浙江はネット小売額1兆306.74億元、前期
比35.43%増となり、電子商取引が正式に浙江の兆レベル産業に仲間入りした。

 統計によると、2016年の浙江省全体の各種の正常経営しているアクティブなネッ
ト店舗は87.92万店で、各種電子商取引サービス企業は3200社以上、電子商取引産
業基地は301カ所だった。
 浙江省商務庁の徐高春副庁長によると、電子商取引の急速な発展が消費方式の転
換と消費のレベルアップを促進し、新興業態を生み出し、新しい投資ブームを引き
起こしている。「電子商取引は浙江経済の転換、レベルアップの新たなエンジンと
なっている」
 「2016年、浙江は越境電子商取引輸出額319.26億元を実現した。数は多くはない
が、今後の発展の方向を代表するものである」(徐高春副庁長)

 このほか、2016年浙江省にある電子商取引専門村は506、淘宝鎮は51、大きくぬ
きんでて全国トップである。
 年間のネット小売総額のうち、農産品のネット小売額は396.19億元に達し、「農
村電子商取引の主要な発展は三農問題を解決し、農民の所得向上を助けるとてもよ
い手段となっている」(徐高春副庁長)

 浙江省商務庁電子商務処の蘆成南処長によると、目下の浙江の電子商取引の幾つ
かのデータは全国をリードしているが、物流や人材等では課題もある。

 「新しい経済分野では、多くの企業の実務人材の養成は高等教育機関を上回って
いる。浙江は電子商取引企業の優位を利用し、人材資源、教学モデル等の要素を統
合し、浙江に電子商取引分野の高度人材を集積させ、浙江の電子商取引の発展を支
援するとともに、浙江のネット通販人材を全国や世界に送り出す」(徐高春副庁長)
〔新華網2017年6月21日〕

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……【労働】………………………………………………………………………………
●中国企業 人件費コストの持続的上昇への挑戦に努力
 「中国企業―労働力マッチング調査」(CEES)報告が20日、武漢大学で発表された。
 ここ数年来、企業発展に影響する最も主要な要素は人件費コストと市場ニーズで、
大量の企業が人件費コストの急上昇がもたらす挑戦に直面し、対応に努めている。

 武漢大学質量発展戦略研究院、中国社会科学院、スタンフォード大学、香港科技
大学の関連専門家で組織されたCEES調査は、2015年、2016年、広東、湖北の2省で
1208企業、1万1366人を対象に行われた。

 CEES調査の主要担当者で、武漢大学質量発展戦略研究院の程虹院長によると、企
業で2年以上働く労働者に調査を行ったところ、2014年―2015年の製造業労働者の
実質賃金は、広東8.3%増、湖北5%増だった。
 広東の2度の調査データによると、2015年の新規労働者の実質賃金は前年の新規
労働者より14.5%多く、2年以上働く労働者の賃金の増加の伸びをはるかに上回った。
賃金増の理由は、技術が高い人を雇ったからかもしれないし、従業員を雇用する際
の競争が激しかったからかもしれない。

 CEES調査では、技能を持つ労働者の実質賃金は技能を持たない労働者より速く成
長し、増加の伸びは約2ポイント高かった。教育レベル、職業ポストによって労働
者の賃金には大きな差があり、大卒以上の学歴の労働者は高卒よりも27%高く、高
級管理者はライン労働者より66%高かった。

 2014年―2015年の製造業企業の就業者数は、広東6.3%減、湖北3.3%減だった。労
働者数の減は技能を持たない労働力に集中し、ライン労働者の減少幅が最も高い一
方、技能設計では微増した。
 程虹院長は、就業のこの構造変化は、企業が生産プロセスで技能集約度を高め続
けているものだと見ている。

 中国の製造業企業は労働力構造の調整のほか、産業技術レベルアップの推進や、
イノベーションがもたらす挑戦に努めている。
 程虹院長によると、CEES調査では8%の企業ではロボットが使われており、そのう
ち広東10%、湖北6%だった。40%の企業は自動化設備を使用しており、自動化設備の
価値が設備価値総額に占める割合は17%だった。
 研究開発投資は増加しているが、中でも国有企業、輸出企業、ハイテク企業の研
究開発投資はさらに多くなった。企業管理や品質もさらに改善し、新製品が販売額
に占める割合は上昇し続けている。政府もイノベーション型成長政策へシフトし始
めており、補助等の手段を通じて企業の発展を促している。

 CEES調査発表会の席上、専門家らは、この報告は、中国製造業企業がますます全
面的に成長しているという現状と成長風景について提供するもので、「中国企業―
労働力マッチング調査」の持続的な実施には巨大な価値があり、この調査は実証研
究や政策制定に豊富なデータ支援を提供するものであるとしている。
〔新華網2017年6月20日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●火にのみ込まれる中国人 火事発生の8割は住宅
 トップニュースに火災を報じられることが多い。ここ数日では、イギリス・ロン
ドンのマンションによる火災が多数の死傷者を出したし、ポルトガルの山火事では
少なくとも62人が亡くなった。

 中国で起きた火災について、ぱぱっとすぐ出てくるわけではないが、「日付 場
所 化学製品工場爆発」のような事故の見出しは見たことがあるはずだと思うだろう。
 例えば、「6・5山東臨沂化学工場爆発」「8・31山東東営化学工場爆発」、多く
の生命を奪った化学工場のニュースは、震撼させたとともに、自分の近所じゃない
と安心させただろう。

 しかし、知らないかもしれないが、化学工場よりも一番危ないのは私たちの家で
ある。
 公安部消防局が最新で発表した火災統計データによると、2015年、全国の火災発
生件数は約34.7万件で、そのうち、住宅及び宿舎の火災の発生件数は13.5万件に達
し、工場の建物火災の11倍、かつ1494人が死亡し、火災死亡総数の78.7%を占めた。

 死亡のほか、住宅火災ではさらに6.65億の直接的な経済損失を招き、年間におけ
る火災の直接的な経済損失の15%を占めた。物が多い倉庫、工場建物等の地方で発
生する火災では8.73億、8.68億と、おのずと巨額な損失が発生した。

 住宅はどうしてそんなに火災が発生しやすいのだろうか。2015年以降で原因が判
明した火災のデータによると、40.4%の住宅の火災(約4.6万件)は電気から引火し
ている。一方、放火、火遊びは1.7%、2.5%にすぎない。つまり、住宅内の老朽化し
た電線、長い間消していなかった電気器具、定期検査をしていないガス管は潜在的
なリスクである。

 火災は毎日繰り返し起こっているが、大多数の災害と同様に、感動的な家族のス
トーリー、称賛に値する救助があるが、唯一欠けているのはしっかりした防火教育
や訓練である。惨劇の教訓を通じて、人々は消防の断片化した知識を少しずつ蓄積
してきている。

 2014年、公安部消防局は初めて全国的な国民消防安全認知度調査を行った。その
結果によると、火災現場での避難知識では、火災発生時にはエレベーターを使えな
い、直ちに消防に電話することを多くが知っていたが、消火器の使用方法は設問項
目で最も最低の40.63ポイントと6割近い人は消火器の使い方を知らなかった。
 このほか、大部分は家の近くの消防施設を知らず、常日ごろから家電、ガス管、
キッチン器具をチェックする習慣がなく、密集している場所での非常口への関心度
も高くなかった。

 実は、これまで自分が受けてきた教育を思い返して気づいたことは、防火防災、
災害発生後にいかに避難するかという内容は重点にはなっていなかったことだ。
 学校で、いかにして防火するかを系統的に知り、火災ではいかにして自分が避難
するかという消防の授業を受けたことがあるだろうか。我々が生活しているコミュ
ニティーでは消防についての啓発教育や訓練活動をしたことがあるだろうか。それ
はないと答える人が多いと思う。

 最近、大火災が発生したイギリスは、多くの建物内には防火扉があるだけでなく、
海外留学生は入学後、まず最初に普通は防火教育を受け、夜間に警報が鳴る訓練が
あるはずだ。
 一方の中国では、消防は教育大綱の中に入っておらず、メディアの宣伝は推進力
に欠け、コミュニティーの消防教育は抜け、消防部門ひとりが啓発教育を行うのみ
に頼っており、全く足りない。

 経済の発展に伴い、中国の都市化建設は強化され、マンションはますますふえ、
高層化も進んでいるが、消防安全インフラ建設はついていっていない。中国の家庭
の消防器材の保有量はとても少なく、公共の消防器材の充足率も低く、マンション
には消防器材があっても、壊れていたり使えなかったり、使用期限が切れていたり
すると指摘する学者もいる。
 ひどい例では、人口が密集した場所では、非常口にはごみや物が積み上がり、コ
ミュニティーの消防スペースにはマイカーがとまって管理する人がいないので、事
故が発生すれば、最良の避難や救助のチャンスを逸するかもしれない。

 「災害を未然に防ぐ」は日常生活においてよく見るスローガンだが、実際には、
中国人の観念は、火事が発生しても予防していないということにとどまっている。
火災が起きた後に何も改善しなければ、惨劇を繰り返すことになるだろう。

▽2015年の火災死亡者数及び損失
場所 死亡者数 火災発生数 負傷者数 損失(万元)
合計 1899 349701 1213 435895
宿舎 175 21051 95 13454
オフィス 11 2189 7 3261
商業エリア 71 8879 70 45989
ホテル 11 945 17 598
レストラン 21 6584 82 6094
養老院 49 59 6 84
倉庫 23 6777 41 87323
工場 59 12304 116 86848
農副業 19 2177 19 13464
交通機関 22 33229 21 59725
その他 119 119043 102 52570
住宅 1319 113871 637 66486
〔網易2017年6月20日〕

……【観光】………………………………………………………………………………
●最悪なホテル、安全、空気に囲まれて最後にがっかりする旅行
 旅行の意義は何か。見知らぬ場所には特殊な魔力があるかのようだ。心地よい家
でくつろぐのなら、人が多くても遠くに遊びに行きたいと思う。
 旅行ブームは高まるばかりである。国家統計局のデータによると、2016年の年間
国内観光客数は延べ44.4億人、収入は約4兆、2015年比で10%以上の増で、GDPの成
長速度をはるかに上回っている。

 「2017年世界観光業競争力報告」をもとに、観光業先進国15カ国の各種順位を比
較した。
 総合順位では、上位10位は欧米先進国で基本的に占められ、中国は15位である一
方、ここ数年来高度成長しているタイ、マレーシア等の国は20―50位とさまざまで
ある。

 中国の観光競争力の順位は幾つかの先進国に次ぐ位置で非常に良好に成長してい
るようだが、本当にそうだろうか。
 この種の高順位は中国の豊富な観光資源に依存しているものである。中国は自然
観光資源で5位、人文観光資源では1位である。見たところ華々しい総合順位は、中
国観光業発展に存在する幾つかの問題を事実上見えなくさせている。

 人々はここ数年来の中国のインフラの発展を称賛するが、順位で示された事実と
は反対である。中国は92位で、15の観光大国はインドより順位が少し高いにすぎず、
諸外国から大幅におくれている(中国、インドのほか、順位が最も低いロシアも55位)
 ホテルの部屋、インフラの質、医療の改善等の面で中国とインドは似たり寄った
りで、要は、人を満足させるのは難しい。

 もし、インフラについて、土地が広くて人口が多くていろいろなことが行き届か
ないのだと言いわけできれば、中国は安全状況という項目が95位で、恐らく幾つか
の管理上の問題だと説明できる。
 この順位は日本(26位)、オーストラリア(22位)よりずっと低いが、テロが続
くヨーロッパ諸国や銃乱射事件が頻発するアメリカ(84位)とは比べられないし、
一方で、トルコ(116位)、メキシコ(113位)等の国より少し高い。

 警察への信頼度という項目では、中国の人民公安は56位で、15カ国中9位である。
よく警察が真面目に外国人たちをサービスするニュースは耳にするが、半面で、国
内の観光客の苦情にはいいかげんに済ませようとすることには努力が必要である。

 そして、さらにひどいのは、環境の持続可能性で、中国は136カ国中132位と相当
気まずい順位であることは間違いない。もちろん、これも途上国の多くが観光業を
成長させる際に共通して見られる弊害であるが、タイは122位、インドは134位で、
アメリカのような先進国でさえも避けられない(115位)一方、ヨーロッパ、日本、
オーストラリアはこの項目でいいスコアを得ている。

 具体的に見ると、観光産業の持続可能性についての中国の順位は63位で、大気品
質が136カ国中最下位は想定内である。
 ここ数年来、都市化の波で多くの文化遺産が破壊される一方で、観光業の発展を
考えて往々にして再建されているが、その結果、「本物は破壊され、にせものがつ
くられている」。破壊されたものが十分なプランなしで再建されると、観光産業の
成長可能性をそぐことは間違いない。
 大気の品質に至っては言及する必要がない。人々はとうに毎日の生活でなれてい
るかもしれないが、想像の中の清らかな景色も灰色に覆われるとき、その旅行の意
義は恐らくただその場所でスモッグを吸い込むということに変わってしまう。

 つまり、観光業の発展は資本家のポケットの中の利益を増大するだけにすべきで
はなく、人々の感動に配慮する必要がある。もし、観光業の発展が、公務員の破壊
と修復で政治的な業績を得させる、地元の人による利益集団が結託して観光客の利
益を侵害させる、観光地域の管理部門が法外な値段で食べ物を売るレストランに大
きな利益を上げさせるということにすぎないのであれば、このような発展は恐らく
理解が得られないのではないか。

 逆に、安全を保障できず、インフラも不十分、大気は普通はちっとも改善されな
いのなら、自分にとって大事な休みを国内の混み合う中で過ごすことはあり得ない。
2011年以降、年々減少する外国人観光客数と急速に増加する海外旅行需要がそれを
裏づけている。では、海外旅行に行けない人のニーズはどうすればいいのだろうか。

▽中国は観光競争力15位だが、環境持続可能性ではびり
 総合順位 インフラ ホテル・部屋 衛生設備 安全状況 警察の信頼度 環境
の持続可能性 旅行産業の持続可能性 大気の質
中国 15 92 116 88 95 56 132 63 136
フランス 2 17 37 32 67 29 17 21 77
アメリカ 6 3 16 1 84 23 115 25 58
イギリス 5 7 21 22 78 21 24 37 65
スペイン 1 2 9 14 18 16 31 36 54
イタリア 8 11 12 19 70 71 37 106 108
トルコ 44 42 64 55 116 67 112 41 90
インド 40 110 133 119 114 53 134 78 135
メキシコ 22 43 59 77 113 128 116 69 85
ロシア 43 55 83 94 109 107 71 86 75
日本 4 29 27 1 26 18 45 23 93
オーストラリア 7 8 33 1 22 11 38 16 7
マレーシア 26 46 35 50 41 38 123 6 111
タイ 34 16 39 63 118 60 122 55 126
ブラジル 27 39 95 80 106 109 66 117 24
〔網易2017年6月13日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行7月3日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.0352  677.72    86.81  773.97
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――4D酔い》
 先週はUSJに遊びに行ってきました。「攻略本」なるものを熟読玩味して遊びに
励んだわけですが、何かすごくお金がかかって、TDLとかとはまた違うビジネスモ
デルを見るようでした。自分があれほど4Dで酔うとは想像しておらず、エキスプレ
スパスを買っても次々と遊べなかったのが残念でした。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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