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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.555 2012年5月22日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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◎「ビジネス企業研修@中国」http://www.bizchina.jp/
★今週の読者数合計:5,917名(2012年5月21日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:野菜価格変動に見える農村構造と流通問題】
●野菜価格2倍を考察する 工業化追求、農業軽視の必然
●他省産野菜が品薄高値に殺到 野菜価格はぱっと下がる
●車載野菜販売店は市場価格より25%安い

┏【国内政策】
●2011年中国社会寄附総額は800億元を上回る
●江西省 50万―100万人大都市が5都市に

┏【国内経済】
●江蘇省 昨年の発電量は3935億キロワット時で全国一
●中国企業の33%は買収による企業拡張を希望も、43%は資金調達方法を知らず

┏【労働】
●2012中国企業調査報告

┏【経済データ】
●外国為替(5月21日)
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……【特集:野菜価格変動に見える農村構造と流通問題】…………………………
●野菜価格2倍を考察する 工業化追求、農業軽視の必然
 ここ数カ月、江門(広東省)の野菜価格の高さに驚かされている。1キログラ
ム当たりで、ヘチマは10元以上、菜の花は8元以上、最も安い空心菜でさえ7元以
上と、短期間のうちに多くの野菜価格は2倍になり、これまでの人生でこんなに
高い野菜価格を見たことがないと驚嘆する人までいた。
 この野菜価格の暴騰は、直接的な原因は、恐らく春は野菜出荷がもともと少な
いということや、長期にわたる大雨であろうが、本質的には、長い間に多くの地
方で農業が捨てられ、工業化追求に熱狂した、その必然的な結果なのかもしれない。

 改革開放以降、野菜を含む農産品価格はとても高騰していて、三十年余で、江
門の穀物、肉類、家禽・卵、野菜等の価格はそれぞれ数倍から十数倍まで上がっ
ているものもある。
 農産品の価格の変動は、農民の収入と生産のモチベーションに直接影響し、都
市住民の日常生活の利益ともかかわりがある。農産品価格の暴騰は、必然的に中
低所得者層の生活に影響が出るし、政府も油断ができない。
 現在の問題は、農産品価格の上昇がもたらす利益の圧倒的多数は中間流通段階
に流れていて、生産者の受ける利益は小さいか、基本的に利益がないことさえあ
るということである。都市住民は野菜の価格が高過ぎることに不満を持つ一方、
生産者は安い野菜を嘆いている、まさにここに現下の矛盾が際立っている。

 改革開放初期から今日まで、工業品、農産品の価格がはさみを開くように両極
端の広がりを見せているのは農業や農民にとり極めて不公平であるが、各レベル
政府は一貫して農産品を価格管理の重点事項としており、物価安定保持を説き、
真っ先に農産品価格を調整してきた。
 幾つかの地方の公文書は農業を極端なほどに重要だと強調し、指導者は農業重
視を声高に叫んできたが、現下の矛盾は、このことに対する痛烈な風刺であるこ
とは疑いもない。
 仮に、価格調整やその他有効的な措置を講じて農業の劣勢的な地位を変えるこ
とができなければ、農業の利益は依然として低過ぎて、もうけを期待することさ
えできないのだから、どうやって農民に耕作へのモチベーションを出させ、農業
をいかにして発展させるのだろうか。

 ここ数年の農民収入は急速に増加しているが、主に農民の「転業」、つまり、
就業収入の著しい増加からくるものだ。
 2011年、江門の農村住民の一人当たり農林牧畜水産業の経営収入は3499元で、
世帯現金収入のわずか25.2%にすぎず、わずか3%増だった。賃金収入12.9%増に遠
く及ばないし、農業経営収入が農民の全体収入の中に占める割合は下がり続けて
いる。
 広東を例にとると、農民世帯の一人当たり純収入のうち、賃金収入の割合は
1995年の26.4%から、2000年の37.3%、2010年の60.8%に上がったが、同年の世帯
当たりの農林水産牧畜漁業の経営純収入の割合は1995年の46.5%から、2000年37.9%、
2010年21.6%に下がっている。

 農業経営の農民世帯収入に占める割合が下がり続けている原因はたくさんある
といっても、農産品価格と価値の乖離は長期的に深刻で、それが重要な影響を与
える要素であることは間違いない。
 農業経営がもうからない、貧困を脱出し豊かになれない問題を解決するべく、
価格調整を運用し、農産品価格を合理的な水準にまで戻し、値上がった利益は基
本的に川上の生産者に流すべきである。
 農民の農業労働の基本的な収入が出稼ぎ労働者に近づくことで、初めて農村で
の耕作を希望する者があらわれ、そして三農問題の長い道のりが解決されるのだ。

 農産物価格上昇の低所得者層に対する影響は、価格補助方式で解消することも
できる。江門について言えば、各レベル政府が毎年、3万戸近い生活保護世帯、7
万近い都市低所得人口に一定額の価格補助金を出せば、市全体の農業振興と160
万以上の農村人口の増収を図れるかもしれず、これは非常にやってみる価値がある。
〔南方報網―南方日報2012年5月8日〕

●他省産野菜が品薄高値に殺到 野菜価格はぱっと下がる
 9日に市場を取材したところ、大雨が終わり、広州の商店は続々と外から野菜
を買って広州に持ち込み、野菜価格はぱっと落ちていた。空心菜が500グラム当
たり1.3―1.5元、ニガウリが1.5―1.8元、地場の菜の花が2―3元で平価野菜取引
所で買うことができる。
 業界関係者は、天気が回復していくにつれて、野菜市場価格は今後下落してい
く見込みだと語った。
 なお、目下、葉物野菜、ウリ科やマメ科野菜も多くなってきていて、旬の野菜
の価格は相対的に安くなっていることも留意しておくべきである。

 先日、広東省の野菜小売価格の持続的な上昇傾向に対し、省物価局は緊急通知
を発し、各地域で野菜ビニールハウス、コールドチェーン設備、平価商店(安定
価格商店。政府補助金によって流通経路を短縮している)等の「3つの建設」施
策をさらに一層強化し、現地の平価商店と連携し安定価格で販売することを求め
ている。
 省物価局は、現下の野菜価格の変動が激しい状況の中で、平価商店が安定的な
市場価格を率先して打ち出し、流れに合わせて値上げしないことを求めている。

〈江南果樹・野菜卸売取引量は正常〉
 ここ数日、江南果樹・野菜卸売市場の「平価野菜取引区」では、商店が他省の
野菜を広州に持ち込むのに忙殺されていた。

 市場担当者の林業桃さんによると、9日から、市場内の野菜の1日当たり取引量
は7000トン前後まで上昇し、正常な水準に戻っている。増加している野菜は、雲
南、山東、海南島からのものだ。
 また、5月に入り天気が温かくなるにつれ、ウリ科やマメ科野菜も旬に入って
きて、ヘチマ、ニガウリ、キュウリは葉物野菜に比べて引き合いがあって、市場
ではさらに安くなることが見込まれるという。

 野菜価格の高どまりに伴って、平価の野菜はますます市民の支持を受けている
ようだ。茘湾区の地下鉄1号線西朗駅そばの広州茘〓農副産品総合卸売市場には
ここ数日で1万人の人出があり、野菜取引量も1000トンに落ち込んでいたものが、
9日は2000トンに回復した。

〈都市近郊では葉物野菜を広州に持ち込んで稼ぐ〉
 この市場の楊宇明総経理は、大雨の影響を受けたが、この市場の日々の野菜取
引量は正常値の3000トンまで急速に回復すると見込まれると語った。
 野菜価格が高どまりしているため、台山、開平、肇慶等の周辺都市から調達し
た葉物野菜を市場に持ち込み、もうけのチャンスを狙う者もいる。土地の標高が
少し高い野菜生産基地では、土地が水に浸っていないだけで、野菜価格高どまり
のために稼げるのだ。9日現在、この市場の野菜価格は既に下落していた。

 省物価局によると、近ごろの野菜価格上昇は、主に今年の広東省の春の降雨量
が多かったことが野菜の生産供給に多く影響し、そして北部の野菜は大量に市場
に出回らなかったことで、広東の野菜が「量は少なく価格は高い」ということに
なったという。
 同時にまた、人手、物流等のコストが持続的に上昇していることも、野菜価格
が前年比で上昇幅が大きくなった重要な原因である。6月に夏の野菜が大量に出
回ってくれば、野菜の価格はピークから下がってくると見込まれる。
〔大洋網―広州日報2012年5月10日〕
注)〓は、「朗」の下に「土」

●車載野菜販売店は市場価格より25%安い
 野菜販売価格の継続的な上昇と、野菜供給の「ラストワンマイル」問題解決の
ため、北京市商務委は野菜の車載販売という新たなモデルを打ち出した。
 この「野菜の車載販売市場」は既に北京市内の70地区を網羅している。流通に
おける中間業者が減少したことで、野菜価格は市場価格に比べ約25%ほど安くな
り、市民の歓迎を受けている。
 記者は9日早朝、野菜販売車両に随行し、車載販売される野菜が新発地市場で
仕入れてから、住宅地区で販売されるまでの全行程を取材した。

〈午前3時:新発地野菜取引所 選別・値引き交渉〉
 いまだ世間が寝静まっているころ、新発地野菜市場の野菜、もやし取引所は既
に超満員となっていた。
 「このもやしはよい。全部くれ」北京最大の車載野菜直販会社、北京紅偉安民
農業発展有限公司のバイヤー陸志亮さんは、20余名の同僚を引き連れて場内を行
き来し、野菜を選別、値引き交渉を行った。 

 「野菜を購入する際、我々は生産業者3社のものを比較し、野菜の品質を見る
と同時に価格を比較します」紅偉安民農業発展有限公司が長年にわたって提携し
ている生産業者は皆「安心野菜認証」を取得している。毎日早朝、新発地市場で
少なくとも30種類以上の野菜を選び、仕入れなければならない。
 大量購入することで比較的低価格で野菜を仕入れることができる。例えば、通
常の卸売販売価格が500グラム当たり9角―1人民元のもやしを8角で仕入れている。

〈午前4時:車載野菜直販配送基地 分類・箱詰め〉
 4時前後、新発地市場西側に位置する紅偉安民農業発展有限公司の車載野菜直
販配送基地に到着。配送センターは広さ1000平方メートル余り。各車両の作業員
は各自積み込み作業を行い、各種野菜はプラスチックのケースに積まれ、野菜販
売車両が続々と基地を出発する。
 「我々は、毎日販売をする際、需要の高い野菜、1日当たり15―18種類は価格
を抑えて、それぞれの地域の需要状況に基づいて分配を行っています」
 紅偉安民農業発展有限公司の韋玉華総経理によれば、仕入れ価格との差額はわ
ずか3角程度であり、会社による「抑制価格野菜」政策は今後も続けられる方針
である。

 紅偉安民農業発展有限公司は現在25台の野菜販売車両を保有しており、海淀、
西城、朝陽、石景山等を初めとする70地区を網羅し、1月で車両1台当たり最低1
万元以上の利益を上げている。
 そして、年内に車両を100台にふやし、300地区にその範囲を拡大する考えであ
り、韋玉華総経理は「これによって産地で直接仕入れることが可能となり、コス
トを抑え、野菜価格をさらに引き下げることができる」と語った。

〈午前5時35分:海淀区藍旗営地区 値札張り・販売〉
 5時35分前後、海淀9号車が海淀区藍旗営社区に到着。作業員は「本日の野菜価
格」を張り終え、一部の野菜及び果物の販売を開始。
 チンゲンサイ500グラム当たりの仕入れ価格1元、販売価格1.18元。キュウリ500
グラム当たりの仕入れ価格2.5元、販売価格2.75元。
 9号車の作業員である高聡瑞さんによれば、9号車の販売する野菜及び果物は40
―50種類。

 6時前後、住民の張さんが9号車を訪れ、キュウリ、トマト等を購入した。張さ
んは「他では500グラム当たりの市場価格が7元のホウレンソウをここで3元で購
入したことがある。ここは朝市よりも便利だ」と語った。
〔京華時報2012年5月10日〕
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……【国内政策】…………………………………………………………………………
●2011年中国社会寄附総額は800億元を上回る
 中国民政部の李立国部長は7日、国務院新聞弁公室で開催された記者会見で、
2011年末現在、全国には社会組織が計45.75万団体あり、2011年の中国社会寄附
総額が800億元を上回ると述べた。

 近年来、政府と社会の共同の努力で、中国慈善事業は急速な発展を遂げている。
1) 慈善組織数の急成長。
 2011年末現在、全国の社会組織は45.75万団体。公益慈善を発展目的とするも
のもあり、慈善事業の中で重要な中心的な役割を果たしている。

2) 慈善寄附規模が年々拡大。
 2008年の中国社会寄附総額は1000億元を超え、2009年は540億元強、2010年に
再び千元の大台を超え、2011年は800億元を下回ることはないと予想されている。

3) 社会ボランティアが広範に展開され、印象深い活躍をした。
 特に、重大自然災害と国家が開催する大きなスポーツの試合や盛大なイベント
のとき、ボランティアは困難を解決したり、大きなことを行ったりするための重
要な支えとなり、ボランティアスタッフの美しい動きがその光景に溶け込んでいる。

 このようなことがあっても、中国の現在の慈善事業の発展は全体としてはまだ
まだ初歩的な段階にあり、社会全体の慈善の意識の養成、慈善法規や政策制定、
慈善主体の育成発展、慈善事業の監督、慈善組織内部のコンプライアンス等、変
革や発展が必要なものがまだ多い。
 民政部門は、この状況の発展ニーズに積極的に適応し、実践と追求を強化し、
政策措置の整備を図り、慈善事業の健全な発展をさらに推進する。(後略)
〔新華網2012年5月7日〕

●江西省 50万―100万人大都市が5都市に
 8日、江西省都市化推進記者会見で、2011年末現在、江西省全体の都市総人口
は2000万人を突破し、2051.21万人に達し、都市人口は新たに87万人増加し、都
市化水準は45.7%に達し、前年比で1.64ポイント上昇したことがわかった。

 目下、都市化率が最も高いのは南昌で67.24%、次は新余で63.58%、萍郷で60.77%
である。年初の確定目標によれば、2012年、江西省の都市化率は1.7ポイント以
上上昇し47.5%以上に達し、依然として都市人口は新規に80万人前後増加すると
予想されている。

 居住環境も著しく改善している。江西省の環境の質は引き続き全国の上位に位
置する。
 江西省全体の都市生活汚水集中処理率は77.96%、生活ごみ無害化処理率は55%、
市轄区が設置されている市における都市化エリアの緑化被覆率は47.5%で、都市
緑地率、緑化被覆率、一人当たり公園緑地面積等の指標では全国をリードする水
準を維持し、中部地域でトップである。
 江西省には、都市緑化奨励を目的に選出された国家園林都市9カ所、国家園林
県庁3カ所、省レベル生態園林都市4カ所がある。

 市民生活の社会保障も強化されている。今年第1四半期の江西省全体の都市住
民一人当たり可処分所得は5183元に達し、GDP成長率より4.7ポイント上回った。
都市住民の基本医療保険、都市職工基本医療保険の全面普及を実現した。
 江西省全体の住宅保障プロジェクトでは、着工8.12万、主要部分の竣工が3.29
万で、完成分の投資は72.8億元となった。
〔江南都市報2012年5月9日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●江蘇省 昨年の発電量は3935億キロワット時で全国一
 江蘇電力監督管理事務室が発表した最新の「江蘇電力監督管理年度報告(2011)」
によると、2011年、江蘇省の総発電量は3935億キロワット時で、前年比12.5%増
で、発電量は全国一となった。

 3935億キロワット時の発電量のうち、火力が3735.4億キロワット時(前年比
94.92%増)で、残りの部分は水力、原子力、風力、太陽光である。このほか、江
蘇の2011年の電力使用量は4282億キロワット時で、前年比10.8%増で、全国第2位
だった。

 「江蘇電力監督管理年度報告(2011)」では、2011年、江蘇の電力需要は安定的
な成長を保持し、電力使用の増加は「前が高くて後ろが低い」という特徴があり、
年間の電力需給には全体として逼迫し、ピーク期には不足し、年初と夏場ピーク
の電力使用量は何度も過去最高を更新した。

 江蘇電力監督管理事務室担当者によると、2012年江蘇省の電力使用量は4650億
キロワット時になると予想しており、また、今年の夏場のピークには特別検査を
行い、緊急対応マニュアル、緊急対応チームの管理を強化し、電力の安全を保障
し、住民の電力需要を満たすことにしている。
〔新華網2012年5月8日〕

●中国企業の33%は買収による企業拡張を希望も、43%は資金調達方法を知らず
 先日、2012「国際商業アンケート調査報告」によって、3分の1(33%)の中国
大陸企業は今後3年以内に買収によって企業拡張を希望していることが明らかに
なった。
 経済成長が緩慢になっている影響を受け、この割合は前年同期(45%)に比べ
て下がっているところもあるが、2010年の調査結果(26%)を上回った。

 今後3年で拡張するときの資金獲得ルートについての問いでは、半数近くの企
業(43%)はどのように資金調達できるかわからないと回答し、前年の23%の割合
に比べると大幅に上昇し、企業の資金調達の不確定性が増している。

 このほか、企業の利潤(32%)と銀行融資(24%)が依然として企業の資金獲得
の最も主要なルートであるが、前年同期(57%、42%)に比べるとやや大きく減少
している。
 企業の上場志向は前年(24%)に比べて下がっていて、18%であるが、依然とし
て5%という世界平均水準を上回っている。

 買収を予定している中国企業のうち、92%の企業は域内の買収を通じた拡張を
望んでおり、圧倒的多数の企業は依然として国内市場に注目をしている。
 多国籍買収の割合は前年と比べて横ばいで、26%で、2008年以来の最高水準を
保持していて、中国企業の安定的な海外投資志向を反映している。

 専門家は、目下のユーロ経済の持続的な低迷が中国企業の底値買いを行うよい
チャンスであり、多くの中国の中小企業の海外進出を奨励すべきだとし、また、
相対的に安定的な国内経済環境のもとで、結構な部分の中国企業は既に十分な実
力を持るようになり、海外買収を通じて市場を拡張し先進的な技術を獲得できれ
ば、企業がさらに発展していくとしている。〔中国青年報2012年5月10日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●2012中国企業調査報告
 中欧国際工商学院は「2012中国企業調査報告」を発表した。
 中国企業は今後の発展展望に対し十分な自信を持っており、2012年に投資をふ
やすと回答している。人的資本管理は依然として企業の懸案とも言うべき主要な
問題である。中国企業はますますイノベーションを重視している。

〈中国市場に自信あり〉
 先進国が経済衰退の泥沼にはまっているうちにも、中国は依然として良好なビ
ジネスリターンが実現できる数少ない地域の一つだとますます見られるようにな
ってきている。

 この研究では、企業信心指数が一つの重要な部分であるが、これについて、2
つの調査対象――中国本土企業と外資企業は、どちらも2012年について楽観的で
あった。今後5年の中国の経営展望については、0(完全に自信がない)から10
(最大に自信を持つ)までの間で、平均企業信心指数は7.24だった。
 2011年、回答企業の75%の売上高は2010年より増加(33%)するか、大幅増加
(42%)していた。大多数の企業は未来に対して楽観的であったのに対し、回答
企業の12%の売上高は2010年より減少(7%)するか、大幅減少(5%)していた。
 回答企業の83%は2011年に利益を上げていた。10%は収支とんとんで、わずか2%
のみが大幅損失を出した。
 そのほか、回答企業の29%の粗利率は15%を超えた。全体的に、回答企業の中国
市場における収益性は良好であった。

 大多数の外資企業は利益を上げているが、中国本土企業ほど多くはない。外資
企業の66%は2011年に利益を上げており、収益率約20%が15%以上に達した。
 このことはまた中国本土企業の中期的な市場に対する自信を高めることとなり、
売り上げ増のために利潤を代償とする必要はないことを証明した。

 中国本土企業と外資企業は2012年に投資を拡大する計画である。
 中国本土企業の約59%と外資企業の55%は2012年に10%を超える投資拡大、中国
本土企業の22%と外資企業の15%は30%以上の投資拡大を計画している。

〈人的資本が第一のボトルネック〉
 回答企業は中国の業務をふやしているが、大部分は2011年に直面した懸案が
2010年と似ていて、人的資本の管理を依然として第一の問題として挙げている。

 多くの企業では、人的資本問題は順調な会社運営にとり一番大事なこととして
いる。中核となる従業員の採用と引きとめ、上昇する労働力コストは、彼らが直
面する主要な問題である。
 適切な中間管理職とエンジニアを探すことはとても難しいが、その主な原因は、
彼らの技術水準と経験が要求に達していないこと、要求に到達している人の報酬
水準が企業の支払い能力を上回っていることである。
 全体的には、労働者の流動率が高く、彼らに仕事をマッチングさせるには難し
さがあり、新たに入ってくる従業員にいつも研修を行う必要性がとても大きい。
これらはすべて企業にとり余分な負担となっている。

 2011年の従業員流動率は、ランク別では、非技術系の労働者が最も高かった。
 回答企業はさまざまな方式での人材引きとめ策を行っているが、そのうちで最
も有効的な3つの方法は、会社との共感や帰属感を高めること、良好な職業キャ
リアパスを提供すること、平均水準を上回る報酬である。
 企業がどんな方式をとるにしろ、すべての人材の動きに関心を払い、人材を引
きとめることで各階層の人員の流動率が下げる必要がある。

〈イノベーションは企業成功の重要な要素〉
 回答企業の82%が、中国の競争は激しい(53%)あるいは非常に激しい(29%)
としている。
 回答企業にとって、最も主要な競争ライバルは民営企業で、その次が国有及び
国有持ち株企業である。同一市場において成長していく企業の顧客に対する考え
は似通っていて、似通った資源を使っている。
 原材料価格及び人的コストの上昇は中国企業のコスト優位を失わせ、発展の重
点をイノベーション、研究開発、その他の企業価値を上げる活動へと転換を迫っ
ている。企業は差別化に活路を見出さなければならなくなっている。
 このことは、イノベーションと研究開発がなぜ企業の成功要素ランキングで2位
に位置づけられているかを説明している。

 回答企業の77%は研究開発活動を行っていて、かつ大多数の企業は特許を保有
している。
 多数の研究開発センターは沿海部の省市や上海、北京にあり、今後新規建設さ
れる研究開発センターの立地はこの2つのどちらか以外はあり得ない。大多数の
企業(54%)の研究開発経費は販売収入の5%を下回っている。
 回答企業で最も見られるイノベーションは以下の3つである。管理方法の改善、
既存の製品のラインに新製品を導入、あるいは全く新しい製品の開発。

 中欧国際工商学院の研究チームは、企業が研究開発の重要性を意識するように
なるに従って、この比率は大きく上昇するはずだと推測している。
 企業サービスを中国市場とマッチさせるという目的のために、回答企業の多く
は中国市場に特化して研究開発を行っており、中国市場にさらに適応しようとし
ている。
 つまり、多くはやはり中国市場に力を入れている。回答企業の26%は世界市場
に対して新製品を開発している。

 懸案に対処するため、回答企業では主に3つの分野を重点に置いている。それ
は、ビジネスモデルの転換または高度化、人的資本管理、イノベーションである。
 つまり、まず、ビジネスモデルを転換し、コアな競争力をもとに、顧客の期待
を満たすことに再び焦点を当てる。次に、貴重な人的資本管理経験をもとに重要
な人材を引きとめる。最後に、注目する製品、技術革新に重きを置いて、市場の
ニーズをよりよく満たすことで、可能な状況においてコストを下げる。

 今後の外部リスクについての問いでは、回答企業の大多数は、経済成長の鈍化
と労働コスト上昇が与える影響はとても大きいと見ていた。そして、人民元高と
政府腐敗がその後に続いた。
 回答企業の大多数にとり、中国で成功を得る鍵は人間関係である。具体的には、
優秀な管理チーム(1位)及び有効な業績と奨励体系(3位)を強調している。イ
ノベーションと研究開発は2位で、中国企業は既にローコスト以外の競争能力を
持つべきであることを意識している。企業の名声、非常に強い企業文化と企業価
値も成功の重要な要素である。

 そのほか、中国本土企業の強大さがとても目立つことは、回答企業で最も重要
な課題である。一方、中国国内における外国勢のライバルも競争力を持ってきて
いる。
 回答企業は、国有企業が有する不公平競争の優位性と地方保護主義にも一定の
心配を示している。同時に、特許侵害も重要な問題の一つである。政府はこの分
野に何らかの措置を講じなければならない。
 政府と良好な関係を保持することは、回答企業の発展にとり非常に重要である。
 業界内の腐敗問題が非常に深刻であると見ているのは回答企業のわずか7%にす
ぎず、28%はやや深刻、56%は自分の業界内での腐敗問題はそれほど深刻ではない
と見ていた。

〈海外工場保有はわずか8%〉
 回答企業の大多数は、中国国内に少なくとも1つの工場を持っていた。通常は
沿海省市及び上海や北京にあり、海外工場保有は少なかった。
 立地選択の際には、現地政府が提供する優遇政策、顧客に近いか、人材供給が
条件を満たすかが重要な検討事項になっている。サプライヤーを選択する際には、
品質第一、価格第二で、このことは価格競争になれている国内サプライヤーにと
っての懸案事項である。

 回答企業の半数近く(44%)は、国内で適当なサプライヤーを探すことはとて
も難しいと見ている一方、別の半数(46%)は簡単だと見ている。
 適当なサプライヤーが見つからない理由は、主に品質と管理の問題である。

 回答企業が工場を選択する際に真っ先に考慮する要素は、現地政府が提供する
優遇政策と顧客に近いかどうかである。この要素は企業の順調な運営を後押しで
きるだけでなく、物流コストを減らせるし、サプライチェーンの管理にもよい。
 そのほか、条件を満たす人材の供給、サプライヤーに近いかどうか、原料、現
地インフラの質も工場立地選択の重要な検討事項である。
 驚くべきことに、経済特区という立地は最も重要ではない要素である。
 わずか8%の回答企業は海外に工場を保有しており、工場は主に東アジア、東南
アジアに位置している。

 回答企業の64%は、毎年のマーケティング費用が売上高の5%を超えている。ブ
ランド影響力の上昇と中国市場の成熟に伴い、マーケティング費用が売上高に占
める割合は上昇していくと見込まれる。
 最もよく効果が出るマーケティング活動は、直接的なプロモーション、討論会
や会議、商品交易会である。このようにして見ると、直接あるいは消費者とコラ
ボレーションするマーケティング活動の効果が一番よいようだ。
〔贏周刊2012年5月10日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行5月21日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.9717  631.16   81.27   807.47
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――555》
 前回、通し番号をNo.555と入れたのですが、カウントを先走ってしまいました。
今回が555でした。次回は556回目ですが、次回をリリースすると、私がこの《中
国最新情報》に携わって10年を迎えるみたいです。今回は9年目最後のメールマ
ガジンでした。きっとボスも覚えていないでしょう。そんな昔の話になりました。
 さて、前回まで翻訳ボランティアを募集していましたが、おかげさまでまた新
しい方に加わっていただくことができました。引き続き募集しているので、やっ
てみたい人はぜひ教えてください。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 リン 楊桃
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