CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子マガジン《中国最新情報》  No.313 2005年7月5日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
登録/解除:http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今週の読者数合計:7,503名(2005年7月4日現在)
●中国電子情報産業HPのアドレスはこちら!
       http://www.jckc.com/dc/index.htm
●中国経済週刊HPのアドレスはこちら!
       http://www.jckc.com/eweek/index.htm
●日中ビジネス商習慣は「ビジネス企業研修@中国」でチェック
       http://www.bizchina.jp/

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:競争力の高い中国都市の飛躍】
●都市発展報告 競争力のある都市トップテン
●中央政府再び天津に注目 中国経済の第三成長拠点の建設計画
●北京 1人当たりGDP4300ドル 先進国レベルに達した?

┏【国内政策】
●米クレジットカード機密漏えい事件、2.8万の中国人に影響

┏【金融】
●中国とASEAN 7月に関税削減計画を始動

┏【社会】
●学生は戸籍の正確な意味を理解することが必要

┏【経済データ】
●外国為替(7月4日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:競争力の高い中国都市の飛躍】…………………………………………
●都市発展報告 競争力のある都市トップテン
 「2003-2004中国都市発展報告」が23日北京にて発表され、中国全国の代表的
な50都市の1年間の発展における比較優位と劣位が科学的に評価された。

 都市競争力とは、一つの都市の基本的な原動力であり、報告では50都市のイン
フラ、産業構造、投資環境などの定量分析を通して、中国における競争力のある
都市をランキングした。トップテンは、上海、北京、深セン、広州、天津、杭州、
南京、瀋陽、成都、武漢だった。
 また、50都市の総合力のトップテンは、上海、北京、広州、深セン、天津、杭
州、武漢、南京、成都、瀋陽だった。
 この日発表された報告には都市安全能力ランキングもあり、そのうちトップフ
ァイブの都市は、上海、深セン、北京、広州、天津だった。
〔中央テレビ国際6月23日〕

●中央政府再び天津に注目 中国経済の第三成長拠点の建設計画
 広東省の深セン、上海市の浦東地域に次いで、天津臨海新区は、今後15年の戦
略的チャンスにおいて中国経済の「第三の成長極」として環渤海地域の経済成長
を牽引し、中国経済成長の「南快北慢」という現状の打破を嘱望されている。

 昨年11月、中国人民政治協商会議全国委員会(全国政協)は、国務院に天津臨
海新区の速やかな計画、建設を提案。温家宝総理は11月24日、この提案に重要意
見を盛り込み、国家発展改革委員会に対し「経済社会発展の第十一次五カ年計画
と長期計画を関連づけて統合する研究」を要請した。
 今年3月6日午後、温家宝総理は第十期全国人民大会第三回会議に出席した天津
市代表に、演説の中で、天津臨海新区の開発が天津の長期的な成長のみならず、
環渤海地域経済の振興に対しても重要な役割を担うものであるとの意見を示した。

 天津市政府の最新情報によると、「天津臨海新区「第十一次五カ年計画」計画
要綱」は既に編さんを終え、天津市政府常務会議と北京市委員会常務委員会拡大
会議での討議を経て、基本部分が可決され次第、正式に国務院に報告される。
 関係者の話では、新しい計画では、臨海開発が天津の新区という位置づけから
国家地域経済発展戦略の重要構成部分に昇格しているという。

 中国は、1980年代に深セン、1990年代に上海浦東を開発するなど、中国沿海経
済の開発開放を成功させた「極点(拠点)牽引型」路線を採用した。珠江デルタ、
長江デルタは急速に成長し、中国経済で最も活力のある「両極」となった。
 しかし同時に、中国経済成長では2つの「不均衡」が一層際立ってきている。
東部では、南北の経済成長不均衡を指す「南快北慢」、全国的には、東西の経済
成長の不均衡を指す「東高西低」にある。
 この2つの不均衡の合流地点に位置している環渤海地域は、今も全体的に成長
が遅い。2拠点からの波及作用が十分に発揮されにくくなるだけでなく、中国の
東北アジア地域経済の一体化への参画の程度にも直接影響している。

 中国経済では、経済界の関係者は、天津臨海新区、浦東、深センを中国沿海北
部、中部、南部の類似する戦略機能を有する三大「極点(拠点)」と呼んでいる。
 ちょうど、深センが珠江デルタ経済地帯に対して、また浦東地域の長江デルタ
経済地域に対して戦略的な牽引の役割を担っていたように、天津臨海新区は「北
京、天津、河北」都市地域と環渤海経済地域の交差点に位置し、またユーラシア
横断鉄道の最近のスタート地点、中国の「東中西」ブロックと「南中北」ブロッ
クの環渤海地域における連結点に位置している。
 ある消息筋は、天津臨海新区の開発が1980年代の深セン開発や1990年代の浦東
開発に次ぐ中国の地域開発の重大な戦略措置となり、沿海経済開発開放の第三ブ
ームを起こすだろうと話す。

 天津臨海新区は天津市街地と臨海地域の間に位置し、計画面積は2270キロ。
 主務官庁への取材によると、計画中にある天津臨海新区には、近代的な製造・
開発基地、北方最大の海運センター、国際物流センター、生態宜居(自然環境に
配慮した人が住みやすい)臨海ニュータウンの4項目が含まれている。

 計画では、将来の臨海新区の波及牽引機能の力点についてさらに詳しく説明し
ている。例えば、石油化学工業・海洋化学工業規模の拡大、中流・下流製品の周
辺地域へのバリューチェーンの拡張、地域性ある化学工業地帯の形成、国外最新
技術の導入とその消化、吸収、転化による「三北(中国の西北、華北、東北)」
地域への移転などだ。
 天津臨海新区開発は、国際的視野に立ち、計画には、東北アジア地域経済関係
の増進や東北アジア都市間の経済連合や協力分野の拡大についても明記している。
 経済界の一部には、天津臨海新区開発の始動は中国北部地域の発展を促進し、
中国の対外開放の新たな構造を創出すると考えている人々がいる。この「戦略極
点」の鼓動が、中国の経済の調和に対する重大な役割を果たしそうだ。
〔経済参考報6月28日〕

●北京 1人当たりGDP4300ドル 先進国レベルに達した?
 国家統計局資料によると、2004年北京市1人当たりGDPが4300ドルに達し、前年
同期比11%成長し、北京市民の所得は先進国レベルに達した。
 これは6月21日開催した首都金融文化祭の記者会見の席で発表された情報だ。

 たくさんの人々はこのニュースを聞いて喜ぶかもしれないが、しかし、筆者は
あえて水を差すことを言いたいと思う。
 北京が先進国レベルの地域入りを宣言することはちょっと待ってほしい。なぜ
なら、世界銀行における1人当たりGDPによる基準からいうと、北京は確かに先進
国レベルに達したのだが、しかし、1人当たり可処分所得という基準から見ると、
北京市統計局の調査は1万5637.8元であり、つまり1人当たりGDPの半分しかない
からだ。

 ここで一つ説明しなければならないのが、1人当たりGDPと1人当たり可処分所
得の概念だ。
 1人当たりGDPは、一国(地域)の経済がある期間内ですべての居住者である企
業が生産した最終製品の総量と居住者人口を割った後で得た数値である。これに
対して1人当たり可処分所得は、個人所得税、財産税及びその他の経費を支払っ
た後で残った実収人のことを示す。
 つまり、この2つは異なる概念だということだ。

 それぞれの含まれている意味からいうと、1人当たりGDPは、1人当たりの平均
可処分所得より事実上はるかに大きい。そして、GDPは経済成長の数値だけをあ
らわしているのであって、コストとベネフィット、構造と分配、生態と環境など
の状況が反映されない。
 例えば、汚染はGDPの総量を増加させることができるが、人々の収入を増加さ
せることができない。むしろ生活の質を下げるということだ。

 GDP増加とともに、人々の所得の上昇スピードも速くなったのだが、人々の生
活コストが高いかどうかを見なければならない。
 近日、多くのメディアのニュースでは、今年の世界都市生活コストランキング
で、北京の順位は昨年の11位から今年の19位まで下がったと報道しているが、北
京の生活コストは依然として内陸部都市の首位となっている。
 これは北京の生活コストが昨年に比べて下がったことをあらわしているのでは
なく、外国為替の影響によるものだ。
 北京の生活コストの中で、地価、不動産の価格、交通とサービスの費用は比較
的高い。毎日の渋滞だけを見ても、どれだけの精力と時間をつぶしているかがわ
かるだろう。

 「1人当たり」という概念も幾つかの具体的な現実を覆い隠しやすい。1人当た
りGDPであろうが1人当たり可処分所得であろうが、貧富格差に対する認識をぼん
やりさせる可能性がある。
 1人当たりという概念は「お金」がだんだん多くなったことだけをあらわして
いるものであり、決して「金持ちがだんだん多くなった」ということを示してい
ない。
 統計によると、2004年末、北京市に年収50万元以上の人の総数は1.3万人で、
全市総人口の0.1%を占めている。市民の高低収入グループの1人当たり可処分所
得の格差は2003年の3.4:1から4:1にまで拡大している。

 これに対する最もよい説明は、北京市社会科学院が近日発表した「北京市街区
域集落調査レポート」にある。
 レポートによると、北京市中心部8区内では少なくとも358の「市街集落」があ
って、人口は少なくとも30万人を上回っている。これらの「市街集落」の中で、
2割の住民は正式の職業がなく、4割の家庭の月収は500元以下、6割の住民の1人
当たり住宅面積は10平方メートル以下だ。
 昔の繁華街だった大柵欄地域は既に典型的なスラムになり、そこに居住するた
くさんの住民の1日当たりの生活費は8元にすぎなかった。これはGDPの中で反映
することができない。

 GDPの概念の制約から、それを近代化指標として使えば、時によっては似て非
なる結果が生じる。そのため、GDPに相対して、全面的な豊かさと近代化を判断
する重要な指標は、やはり1人当たり可処分所得のはずだ。
 もし単にGDPだけ上がって、人々の所得は余り高くならず、大多数の人々の生
活水準も著しい変化が得られず、大量のスラムまで存在した状況であるならば、
先進国レベルに達したと宣言することは多少拙速に感じるのだ。
〔中国青年報6月24日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●米クレジットカード機密漏えい事件、2.8万の中国人に影響
 米クレジットカード機密漏えい事件で影響を受けた中国の顧客人数は3100人増
加し、事件による影響を受けた中国の顧客人数は2.8万人に近づいている。
 VISAの最新発表によると、全世界で約2200万件のVISA口座情報が今回の漏えい
事件により影響を受け、アジア太平洋地域では合計で20.5万件が影響を受けた。
そのうち中国内陸では約3100件だった。
 これ以前、VISAは香港に「香港では9000件以上のユーザーが影響を受け、その
うち761人は高い危険にさらされている」と発表していた。

 前週、アメリカのある銀行のためにクレジットカードシステム情報を処理する
会社から情報漏えいが発生し、VISA、マスター、アメリカンエキスプレス等数多
くの国際クレジットカード組織が影響を受けた。
 本報は22日に「全世界で4000万件以上の顧客情報は漏えいし、2.5万件近くの
中国顧客が影響を受けた」と報道していた。

 目下、VISAはすべての中国国内に影響を受けたクレジットカード口座を既に確
認し、会員銀行がカード保有者に適当な処理手続をするためにすべての会員銀行
に通知をしている。
 また、VISAは当該クレジットカードシステム情報の処理会社、法務機構及びそ
れによる影響を受けた会員機構と連携し、VISA関連の偽造事件を監督・測定・予
防している。

 また、カード保有者の立場に基づき、VISAは消費者に次のことを提案している。
 それによると、「カードは安全の場所に置くこと、個人のクレジットカード口
座情報を勝手に他人に漏らさないこと、信用のおける商店で買い物すること、毎
月勘定明細書及び国際ネット口座を細かくチェックすること、一たん異常が発見
したら関連金融機関に通知すること」としている。

〈関連情報〉
 マスターカードは、以前、次のような声明を発表している。
 「影響を受ける可能性がある1390万マスターブランドクレジットカードのうち、
中国大陸におけるカード保有者の割合は0.04%より小さく、約5560人に影響があ
り、香港では9700人に影響がある」
〔第一財経日報6月24日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●中国とASEAN 7月に関税削減計画を始動
 商務部によると、中国ASEAN自由貿易地域の関税削減計画が今年の7月20日期限
どおりに始動する。

 2004年11月29日、双方はラオスの首都ビエンチャンで「中国―ASEAN全面経済
協同枠組み協議貨物貿易協定」(「貨物貿易協定」)に署名した。規定により、
2005年7月から、2004年に既に関税削減された製品と若干の扱いが敏感な製品を
除き、双方は約7000項目の製品に関税削減を実施する見通し。
 2010年にかけて、中国は、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、
シンガポール、タイなどのASEAN設立時からのメンバー6カ国との間の関税を廃止
し、自由貿易地域をつくる。
 カンボジア、ラオス、ミャンマーとベトナムなどの4カ国、ASEANメンバー国と
の間には、5年間の過度期を経て、2015年に中国との貿易自由を実現する。

 7月20日から、正式に「貨物貿易協議」に規定された時間表に従って、中国と
東南アジア原産の製品に貿易関税を廃止つつある。

〈「中国ASEAN」有望な世界第三のマーケット〉
 関税削減計画の本格的な始動は、中国と東南アジアにおける、人口17億、域内
総生産2万億ドル、貿易総額1.2万億ドルのある膨大なマーケットの歴史的な始ま
りを意味する。かつまた、この地域は、EUと北米自由貿易地域に次ぐ、世界第三
のマーケットになることが可能である。
〔競報6月28日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●学生は戸籍の正確な意味を理解することが必要
 取材によって、戸籍を購入している大部分が今年の卒業生であることがわかった。
 その原因は3つある。
 1つ目は卒業手続のためで、戸籍を購入すると手続が容易になるから、2つ目は、
卒業生への戸籍の販売価格が安くなり、市場が拡大したから、3つ目は、今年の
卒業生が他の人に比べて戸籍に対して大きな需要を持っているからである。
 戸籍は卒業生にとって、どうしてそんなに重要なのだろうか?

〈戸籍はお墨つきではない〉
 中国人民大学、中央民族大学、北京大学などの大学で、無作為に何人かの今年
の卒業生を取材した。

 「私は北京の戸籍があると、就職に有利だと思っています。長期的に見ると、
結婚や子供の入学が有利になります。それから、戸籍があると安定感がある気が
します」建築学を専攻している張栄栄さんは今年の卒業生で、就職活動中である。

 「よく考えてみると、実際には戸籍に特に何らかの意味があるわけではないで
すが、ないよりはあったほうがいいんじゃないかと思います」銭宏斌さんは金融
を専攻している。
 「価格が適当ならば買うかもしれません。戸籍があることは、悪いことではな
いし、今後さらに優遇政策があるかもしれないからです。でも、今はどんな仕事
を選ぶかわからないし、もし外資企業に行くのであれば、戸籍は要らないかもし
れません。外資企業は収入レベルが高いので生活上の困難な問題になることはな
く、部屋を買ったり車を買うときでも戸籍がなくても大丈夫だからです」

 「絶対に戸籍を買うことはありません。北京に残りたいと思っていますが、戸
籍に意味はないと思っています。戸籍が一体何なんでしょうか?。今、就職活動
中で、何社かを検討中ですが、国有企業もハイテク企業も内定しています。戸籍
で職業選択を考えていませんし、就職先が私の戸籍問題を拒否することはできな
いでしょう」マネジメントを専攻している趙〓さんは言う。

 無作為に選んだ今年の卒業生6人の取材で、4人が北京の戸籍を重視していた。
3人が戸籍を購入したいと答えている。しかし、6人全員が戸籍で職業を選ぶこと
はないと考えている。
 「現在の戸籍の最大の意味は、結婚した後の子供の入学問題です。これ以外に
は、戸籍の意味はないのですが、学生たちは余り理解していません。戸籍の影響
力を大きく考えている人が多いのです。
 学校やメディアが、この落とし穴を明らかにしなければならないと思っていま
す。実際は卒業後、戸籍がなくても、戸籍がある人と同様に車を買い家を買って
おり、生活の質は低くないのです」北京大学の光華管理学院の就職相談室の孫儀
主任は言う。

 「でも、ないよりあったほうがいい。これは誰にとっても同じことだと思いま
す。その人の状況にもよります。例えば、すぐに結婚して子供を生むのであれば、
戸籍は比較的重要かもしれません。
 長期的には戸籍の意味は余りなく、子女の入学で多少問題がなくなるかもしれ
ません。しかし20年後、戸籍で制限となっているかどうかはわからないのです」
北京大学光華管理学院の党委員会副書記、馬化祥院長補佐は言う。

 「学生は余り戸籍を重視するべきでなく、重視するべきなのは仕事です。戸籍
で仕事があるわけでなく、必要ないと言えるでしょう。戸籍の購入は全く必要あ
りません」
 「戸籍が必ず優位だとは言えません。多くの企業が北京出身者以外の者を希望
しているのです、なぜだと思いますか?。北京出身者には恩恵が与えられている
ため、企業は地方出身者の方が勤勉で、根性があると考えているからです」馬化
祥院長補佐は言う。
 「今の社会は、チャンスが幾らでもあります。プレッシャーは大きいですが、
努力して頑張ればチャンスをつかむこともできます。若い人は戸籍を余りに重視
し過ぎています。戸籍は確実なお墨つきじゃないんです」

〈北京在留基準は常に変化している〉
 1994年以前は、中国の普通大学の大学生は、計画に基づいて公費で育成され、
卒業後は国家の統一配属政策をとられていた。大学生の育成コストの大部分は国
家財政で負担され、国家財政に多大な圧力をかけていた。高等教育費不足はどう
しても解決しなければならない問題となっていた。
 党中央、国務院「中国の教育改革と発展綱要」及び実施意見の要求により、
1994年から、大学の学生募集に対して計画や基準を設けず、公費でなく自費で
「一本化」して、学生に一部育成費用を負担させることになった。

 当時のこの重大な教育改革は、学生に一部の教育費を負担させるだけではない。
 1997年、国家は大学卒業生に対し「2つの選択、自由な職業選択の実行」とい
う就職政策を実行し、学校が学生に対して「卒業後の配属」を決めていた就職方
法が変更されたのだ。
 これと同時に、北京に残って就職できる基準にも変革が発生した。
 1997年以前は、北京出身者でない学生が北京に残るためには、学校の「卒業後
の配属」で配置されれば、学生は戸籍問題を解決することができた。
 しかし、1997年以後は、学生は自分で自由に職業を選択し、まず戸籍問題を解
決できる就職先を探し「北京転入定員」に入り、さらに学校の「北京残留定数」
に入るという2つの定数を満たすことでようやく北京に残ることができるように
なったのだ。

 「当時、教育部にはマクロコントロール的な考慮があり、大学卒業生の北京残
留割合を15%―20%を上回らないように要求されていました」馬化祥院長補佐は言う。
 1997年ころに卒業した数人の学生を取材したところ、当時は幾つかの大学には
定数があったという。割合は約15%で、この基準は厳しいものであった。
 たとえ学生が就職先を見つけたとしても、学校の北京残留定数に入らなければ
ならない。もし、残留定数に入れなかったら、仕事をすることはできないのである。

 しかし、北京残留定数に余裕のある学校も一部にはあった。
 「実際は北京残留定数はどこでも同じで、20%というのは卒業する学生数によ
って計算されていました。しかし、最終的に、北京大学の卒業生には、北京残留
定数という問題は存在していませんでした。
 最も主要な1つの原因は、大学院生の割合です。北京大学では、文系、理系を
合わせた大学院生の進学割合が約50%でした。これも計画によるもので、多くの
学校では大学院生の定員はこんなに多くありません」馬化祥院長補佐は言う。

 「例えば北京大学の本科卒業生は2000人で、その20%の400人が北京に残ること
ができます。しかし、北京大学の本科から大学院に進学する人はかなり多く、普
通、文系で30%以上、理系はさらに多く60%―70%です。大学全体で見ると、ほぼ
50%の学生が大学院に進み、残りの半分が就職しています。
 その上、この半分の中にも、国有企業以外に就職したい学生や、北京に残りた
くない学生もいます。さらに、理系の学生のかなり多くが出国を選んでおり、理
系学生の北京残留定数はかなり余裕があると言えるでしょう」

 別の調査によると、北京市人事局には1つの名簿があるという。
 この名簿には、全国のどの大学で北京残留を許可するのかというもので、名簿
になければ、たとえ企業は新卒者を採用しても、北京に残る条件に合わないため
人事局の認可が下りないのだ。
 今現在も、この名簿は依然として存在するらしい。

 しかし、北京の大学にとって、現在の学校ごとの「北京残留定員」の実際的な
意味は既に大したものではなくなっている。普通は戸籍問題を解決できる就職先
を探すことができるので、学生はすべて残留北京定数に入ることができる。
 その主な原因は、第1に、卒業生の北京戸籍に対するニーズが10年前ほど高く
なくなっていること。第2に、個人としての戸籍の実際的用途が少なくなってい
ること。第3に、私営経済と外資企業の強大化により、学生はみずから自由に職
業を選択できるようになり、国有企業はもともとの優位性を失ったことからである。

 「現在、北京への転入定員は、実際には企業側で調整されており、企業がその
学生を必要であれば学校が北京残留定数に入れることができるので、学生が困る
ことはありません」と孫儀主任は言う。
 「社会改良というものは順を追って徐々に過程を経て行われるものです。さら
に数十年を過ぎれば、戸籍については誰も気にとめなくなるでしょう」と馬化祥
院長補佐は言う。

 今年の卒業生の1人が言っていた話を思い出した。「よく考えてみると、戸籍
の何が特別に重要なのかわからないんです。しかし、わかっていることが一つだ
けあります。ないよりは、あったほうがいいということです。国の戸籍改革が行
われているけれども、もし本当に戸籍をなくしてしまうと、今度いつとれるかわ
からないからです」

〈学校は学生に戸籍の意味を理解させるべき〉
 「学校は卒業生に戸籍についての理解させるように努めるべきです。戸籍の意
味について学生は余り理解していません。多くの学生は両親の影響を受けて戸籍
が必要だと思っており、戸籍があれば安定感と安全性があると考えています。そ
のため、多くの学生は戸籍問題を解決するために職業を選んでいるようですが、
これは必要ありません」と孫儀主任は言う。

 大学を卒業する前には、誰でも自分の職業、人生について構想と計画がある。
しかし、ずっと勉強だけをしてきた学生は、社会に対する深い理解が不足してい
る。学生の就職に際して、夢と現実がかけ離れていることはよくあることである。
 多くの学生が就職活動で遠回りをしていることがよくある。ある卒業生は、就
職活動で、自分を正しく理解しないで、何度も行き詰り自信を失っている。ある
卒業生は、自分の選んだ業界を理解しないで、転職ばかりしている。ある学生は、
自分が何になりたいのかさえもわからず、職業計画がない。ひどい学生になると、
戸籍のために自分に全く合わない職種に就職したり、多額の金銭を費やして戸籍
を買っている。

 「学生が満足できないのは、彼らが実際の状況を理解していないからだとも言
えます。学生の就職を支援し、今後の進路が順調に行くように支援することも、
学校の重要な任務です。
 私たちの今の主要な仕事は、学生の就職を調整することであり、一方では多く
の企業から求人を得ること、もう一方は学生の期待値を下げるように指導するこ
とです。例えば、何回も就職指導、業界講座や先輩訪問を準備し、学生たちが職
場で何をするのかをできるだけわかりやすくすることで本当に好きな仕事を見つ
けさせることです」と孫儀主任は言う。
〔中国経済時報6月15日〕
(〓は、「水」を3つ書く)

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行7月5日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.4373  827.65  106.4    995.62
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編集者コラム――カラオケ》
 この前、友人とカラオケに行きました。私の友人は韓国ドラマ以外、外国に全
く興味がないため、中国語がわからないということをいいことに、全く中国語で
歌えていないC-POPを練習しました。
 そうやってC-POPを歌っていて気になるのは、歌詞の背景に流れる中国の映像
です。その映像が演歌のときに流れるようなものでイメージと合っていないとい
うのもさることながら、もっと強調したいのは、例えば天安門広場の前を自転車
の大群が行き来しているとか、ある省都市街地の様子とか、どうも一昔前の映像
なんじゃないかなということです。
 そういうのを見て、外国に興味のない私の友人は中国とはこういうところなん
だねと感想を言い出すため、いやいや、我々が中国で観光するような場所はもう
すごい発展していると補足を入れたくなるんです。
 別に中国のハイセンスな部分を抽出した中国のプロモーションビデオをつくる
必要はないのですが、C-POPを歌うときぐらい、イメージに合うような、もう少
し現実の姿を反映した中国にあこがれを抱くようなすてきなものをつくって流し
たらどうかなと思うのです。(ま)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●バックナンバーの入手(記事検索も行えます)
(200号以降 2003/2/18―)
 http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
(199号まで)
 http://www.jckc.com/nweek/view.php?no=1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:劉志軍 杉下薫 戴小芳 アヤ 平井玲子 郭暁楠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改頁:(1) 2 »