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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.792 2023年4月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:2022年ブックランキング】
●知乎 2022年ブックランキングを発表
●人気ベストセラー作家上位5人

┏【李年古の日中異文化交流術】
●短編小説「私たちは実家で年を越した」 10最終回

┏【国際】
●中央アジアと中国との文明交流のあり方 ―理解と相互学習―
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……【特集:2022年ブックランキング】………………………………………………
●知乎 2022年ブックランキングを発表
 2022年12月23日、質問サイトの知乎は2022年度ブックランキングを発表した。
 13万の電子書籍コンテンツから「著名人の推薦」「ユーザー推薦」等多くのラン
キングとタイトルを選出し、知乎ユーザーの閲覧傾向を紹介した。世情語られる総
括と閲覧状況が異なる2022年となった。

〈最も話題になった3冊〉
 知乎は月間億を超える閲覧がある質問サイトであり、2022年には3358万人を超え
るユーザーが閲覧し、年間で30万件を超える関連の話題が投稿され、計4万8686冊
が話題となった。
 最も話題になった3冊は「三体」「活着」「嫌われる勇気」である。(「嫌われ
る勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え」は、日本の哲学者の岸見一郎氏と作
家の古賀史健氏の共著の哲学作品で2013年12月に出版された)

 現在、知乎は13万の電子書籍コンテンツを有し、300を超える出版組織、数百人
の著名作家と協力関係を持つ。2022年、知乎は引き続き出版社との連携を深め、中
信出版社の計4300冊の良書を会員無料コンテンツプールに追加した。

 知乎の2022年度のブックランキングは話題、口コミ、革新、アクセス等の多様な
要素を組み合わせ、マネジメント、大衆科学、社会科学、歴史、心理、文学等を網
羅した12冊の厳選良書を選出した。
 商業分野の古典的名作である「原則」、羅翔教授「法治的詳細」等はマネジメン
ト、社会科学分野の必読書となり、莫言氏のノーベル賞後初の作品「晩熟的人」、
馬伯庸の架空歴史小説「長安的茘枝」は、知乎ユーザーが最も注目する文学作品と
なった。

〈著名人推薦書〉
 知乎2022年度ブックランキングには特別に著名人推薦書コーナーが設けられた。
 莫言氏は中国文学の古典「聊斎志異」、著名作家の蔡崇達氏はカミュの実存主義
の名作「異邦人」を推薦する。変化の激しい現在において、古典を読み直して得ら
れる力がある。
〔新浪網2022年12月23日〕


●人気ベストセラー作家上位5人
 複数の大手読書サイトのランキングによると、後浪研究所による22年上位100冊
と読者投票によって決定した2020年最も人気があったベストセラー小説作家上位5
人は以下のとおり。
1) 余華 35.5%
2) 王小波 27.3%
3) 劉慈欣 25.1%
4) 東野圭吾 24.4%
5) 村上春樹 18.6%
〔騰訊網2022年12月29日〕
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……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●短編小説「私たちは実家で年を越した」 10最終回
(前号より続く)


 「どこにいるんだ?」私は尋ねた。
 「遠い国よ。言ってもわからない」
 「春節だというのに家にも帰らないなんて。海外で難民にでもなっているのか」
 長いこと返事がなかった。次に妹の声を聞いたときには次の話題に移っていた。
 「姉さんや弟たちとの年越し御飯、どうだった?」
 別に。私は答えた。
 また沈黙が訪れた。スマホを握り締める私の5本の指先は感覚を失っていた。
 「兄さん。私、とっくに結果はわかっていたわよ。言わなくてもわかる」
 「どうして?」私は尋ねた。
 「だって……兄さん怒らないで聞いてよ。私、兄さんがこのうちを立て直せるな
んて、これっぽっちも思っていなかった。兄さんにはできない」
 一息吸い込むと、粉雪混じりの冷気が肺に入ってきた。
 「わからない?どうして兄さんにはできないって言っていると思う?」
 わからない。
 「だって、父さんと母さんが持ち去っていったものは余りにも多いの。残ったも
のも余りに多い……私が言おうとしていることわかる?」
 わかる。わかりたくない。

 電話が急に切れた。何度もかけ直したが、どれもつながらなかった。弟はパグを
連れとっくに暗闇の中に消えていた。足取りがとても重く、もう一度妹の声を聞く
までは動けなかった。
 どれだけ時間が過ぎたかわからない。ようやくまた呼出音が聞こえ、私は両手で
スマホを抱えこんだ。まるで体温こそが私たちの通話を成り立たせるかのようだっ
た。
 「ここの電波悪いのよ。いつまた切れるかわからないからね」少し慌てた声が聞
こえた。
 「どこにいるんだ?」私は尋ねた。
 少しの沈黙があり「中東の難民キャンプ。緊急人道危機で、私、応募してこっち
に来た」そう彼女は答えた。
 私は何て答えていいかわからなかった。だから、また同じことを聞いた。「どう
して家に帰らないで難民と過ごしたいんだ」
 妹は直接には答えなかった。「ここの人たちはみんな家がないのよ。テントだけ。
現実はとても残酷だから、誰にも帰れる家があるなんて思わないで」
 少し呼吸を置いて、話し続けた。
 「私も父さんと一緒だから、向かい合えないことがあると逃げることを選ぶ……」

 妹の声が急な騒音で途切れた。新年を迎える爆竹のような音だったので、中国と
同じ春節を祝う国にいるんじゃないかと尋ねると、彼女は、ほっほっほと笑い、考
え過ぎよと言った。ここには本物の銃と実弾しかないのよ、わかる?と言った。
 私は震え、お前大丈夫なのか?そんな危険な場所にこのままい続けられるのか?
と聞いた。
 妹は、大丈夫、ここはまだ安全よ。誰が何も持たない難民に銃弾を無駄遣いする
のよ、と言った。
 彼女は少し間を置いた。「正直なところ、私もはっきり言えないけど、両親のい
ない大みそかにそれぞれ思いを持っている姉妹と向き合うことと比べたら、どこが
より安全かってことよ」

 弟は前の十字路で随分長く私を待っていた。頭も服も白く染まって雪だるまにな
っていた。手を伸ばし雪をはたこうとすると、身をかわして避けられた。
 「いいよ。この方が好きだから」
 彼はそう言いながら手を伸ばし、私のズボンのポケットに手を入れてきた。私も
手を入れた。指先にほんのり温かい体温を感じた。
 その瞬間、辺りで音がさく裂し、にわかに空全体が明るくなって深紅色に染まっ
ていった。手を伸ばし耳を覆い隠すと、スマホが地面に滑り落ちた。
 新年を迎えるべくタイミングで鳴り響いた爆竹の音だった。

2021年12月26日 大雪の舞う蓉園居住区にて
(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)

……【国際】………………………………………………………………………………
●中央アジアと中国との文明交流のあり方 ―理解と相互学習―
 世界の一部としての中国と世界の関係は、私たち自身の歴史的地位と将来の役割
を理解する上で不可欠な部分を形成している。世界の大国である中国の広大な国境
に接する周辺部及びこの周辺部にある多くの国や地域は、周辺部や域外、特にグロ
ーバルガバナンスにおける周辺地帯を理解するための重要な思想史的な基盤に大き
く影響している。

 一般的に認識されている中央アジアは、地理的にはユーラシア大陸の中央の内陸
地域に位置し、東は中国の新疆に、南はイラン及びアフガニスタンに、北はロシア
に、西はカスピ海に隣接するカザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キル
ギス及びトルクメニスタンの5カ国で構成されている。
 1991年のソ連崩壊と中央アジア5カ国の独立は中国にとって近代以降最大の地政
学的出来事であった。今年は中国と中央アジア5カ国との外交関係樹立30周年に当
たる。この節目に、中央アジアとこの地域の国々をより深く理解し、さらに中国と
中央アジアとの文明の相互学習と意思疎通を深めることが求められている。

〈中央アジアを遠望する ―対外認識のパラダイム的な始まり―〉
 「地図で見ると、この広大な地域は自然が地球上に偉大な文明を形成した幾つか
の地域の間に意図的にこのような障壁をつくり、相互の文化交流を遮断したように
見える……」かつて著名な探検家スタインは、中央アジアの地理的及び文化的特徴
をこのように記述している。
 実際、中央アジアは海から最も遠い地域にあるため、歴史的にはしばしば周辺の
大国の緩衝地帯として機能してきた。同時に、この緩衝地帯としての役割はある種
の「つながり」という意味も含まれていた。
 まさに著名な中央アジア史の研究者である羽田亨博士が「アジアの遠く離れた強
大な国々も、これらの地域によって相互につながりを得て、切り離せない関係をつ
くり出した」と述べているとおりである。

 紀元前139年、張騫は漢の武帝に西域開拓を命じられ、10年以上にわたって派遣
された。これは長い歴史の中での一瞬の出来事かもしれないが、中国の対外認知の
パラダイム的な始まりであった。
 これが示しているのは、中国史における地政学的勢力の二極関係の中で、第三勢
力とその闘争戦略である。
 古典的な経験と歴史的な実践に基づく長大なパラダイムは、ユーラシア内の力関
係について理解をある程度深め、ユーラシアの「世界の島」についての理解を再構
築することさえ可能にしているのであった。
 同時に、こうした構造的関係の形成は、中国の北西部辺境における自国の安全保
障の重要性に対する歴史的認識にも大きな影響を及ぼした。その中で、ユーラシア
の主要な文明を結ぶ敦煌の物語と伝奇は、古代中国と中央アジアの相互理解や認識
が豊かで多彩な姿を示している。

 もちろん、中国が中央アジアを理解するプロセスは、この地域の内的特性や文明
の変遷を体験するプロセスでもあった。
 中央アジアは歴史的に何度も民族の移動と宗教の変遷を経験しており、その文明
形態は段階的で多様なホットスポットであることを示してきた。
 近代になると、西側列強の侵略、特に英国とロシアのグレートゲームにより、こ
の地域も次第に植民地秩序のネットワークに組み込まれ、古代における中国とこの
地域の密接な交流の歴史は、この植民地秩序のネットワークが壊れる20世紀までに
は、次第に曖昧となり忘れ去られることになった。

〈地域における新しいポジション ―中央アジアの独自性―〉
 世界史の研究における世界システム論(world-system theory)は、東南アジア
やラテンアメリカを含む地域の世界システム全体における位置と役割を中心――周
辺関係の観点から体系的に分析を行い、近代において東南アジアが次第に世界全体
の分業システムの従属的な部分となり、政治権力構造において西側勢力の周辺的な
役割を担うようになったことを明らかにした。
 また、ラテンアメリカの議論にも同様の意味がある。中央アジアは、世界システ
ム全体における位置づけと役割について、深い分析や討論が欠けているように思わ
れる。

 実際、現代資本主義世界の視点から世界システムを見ると、中央アジアを通るシ
ルクロードは、ある意味でユーラシア大陸を東西に結ぶ架け橋であり、古代の世界
システムの重要なリンクであったことがわかる。
 モンゴル大征服の時代になると、広い意味での中央アジアを中心に歴史上初めて
世界の政治、経済のシステムが形成され、その栄光は17世紀まで続くことになった
のである。
 その後、西洋の海上貿易と海上軍事力の拡大に伴い、ユーラシアの世界システム
の中心を占めていた中央アジアは、かつての地位を失っていった。

 世界システム論者、思想家として有名なグンダー・フランク博士(Gunder Frank)
は、著書「リオリエント」を通じて、東南アジア、特に近代化している中国の重要
性を浮き彫りにしたが、注目すべきことは、中央アジアの連結性についても鋭い分
析を行い、世界システムにおける「中心性」(Centrality)を問題提起している点
である。
 世界システムの歴史を体系的に分析しようとする全ての人にとって、中央アジア
は中心的な存在であると指摘した。中央アジアは、世界システムの歴史の研究に関
して注目と情熱を集めなければならないという意味でブラックホールなのである。
 しかし、中央アジアは、世界及びその歴史において、最も重要でありながら最も
軽視されてきた地域であることに変わりはない。それには主に次のような理由がある。
 歴史のほとんどの部分が、特に勝利を正当化しようという意図を持った勝者によ
って書かれている。中央アジアは長い間勝利者の故郷であり、その功績は歴史に書
き記されるか遺跡として残されるかであった。
 15世紀以降、中央アジアの人々はこの両方で敗者となった。彼らは中央アジアで
敗者となり、故郷である中央アジアはもはや世界の歴史の中心ではなくなった。さ
らに、これらの損失は急速にリンクして、世界史の魅力的な中心は周辺部、海洋や
西洋へと移っていった。

 ヨーロッパ(西洋)中心主義により、長期にわたって「西洋」だけでなく「東
洋」や「南半球」の歴史書の記述も歪曲されてきた。その中には、中央アジアの歴
史の記述も含まれている。
 現在、状況は変わり、中央アジアの歴史は周りの世界から再認識されつつある。
中央アジアがかつて有していた「中心性」を理解するために、世界における中央ア
ジアの位置づけを新たに確立する必要がある。

〈「一帯一路」構想 ―新たな歴史的相互作用―〉
 歴史は常に現実に対する知恵を与えてくれる。「一帯一路」構想の提唱と実践は、
当然、歴史におけるシルクロードの文明の痕跡が残されており、多くの発展途上国
が台頭し新しい時代を展開するのに伴って、ユーラシア大陸の各国が相互にリンク
して、中央アジアという地域の中心的役割により、新たな生命力と活力を帯びてき
ている。

 かつて、中国には独自の世界秩序と現実的な論理があった。シルクロードの交易
によって、中国、中央アジア、地中海沿海諸国の間で大量の貴重な商品が流通する
ようになり、実際に商人、ギルド、国家が長期にわたる貿易活動に関与するように
なった。
 その後の展開は、商品の交換にとどまらず、人、文学作品、思想や概念の交流も
促進され、最終的にはユーラシア大陸全体でシルクロードに関する共通の記憶が形
成された。

 21世紀の「一帯一路」構想は、このような歴史的な共通の記憶のコンセンサスに
基づくものであると同時に、新たな時代の文脈の下で新たな相互交流の意義を持つ
ようになった。
 中央アジア諸国との現実の交流において、「一帯一路」構想は、政策に関する意
思疎通、道路の連結、円滑な貿易、通貨の流通、人心が通じ合うという理念を堅持
し、「共商、共建、共享」(共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う)の原則
に基づいている。
 点から面へというように、道、地帯、回廊、橋を紐帯として、徐々に地域協力の
大きな枠組みを形成していく。概念的レベルでは、中央アジア諸国の平和と安全保
障の必要性を考慮し、文化的なレベルでは、中央アジア固有の文明の特性を考慮し、
歴史の継承だけでなく、未来志向の歴史的接触と現実的協力の両方を考慮した新し
い枠組みを形成することである。

 数千年もの間、中央アジアと中国の歴史と現実が入り交じり、中央アジアと中国
の間に相互理解の深い思想的きずなが構築されてきた。
 今を生きる私たち一人一人が、関心があればこのような相互理解をつなげる旅に
積極的に参加することができ無数の人々が歴史的なシルクロードを支えたように、
中央アジアに対する新しい認識の中で、「一帯一路」構想の地域的実践を深めてい
くことができるのであり、それは常に進行形になるだろう。
〔中国新聞網2022年8月4日〕
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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